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2014年3月31日

寺越さんの訪朝

【調査会NEWS1513】(26.3.31)

          副代表 岡田和典

 日朝局長級会議で「寺越昭二さん家族の訪朝について話し合われている」との報道があります。

 墓参と遺骨収集のためとのことですが、墓に刻まれた寺越昭ニさん誕生日の日付が1日違うこと、過去に遺骨と称して引き渡された物は、遺骨ではなく赤土であった(私の記憶では200万円支払ってます)ことを北朝鮮はどのように説明するのでしょうか。

 長年に亘り北朝鮮に申し入れていたことであり、拉致問題に巻き込まれ、寺越家分断というご家族の地獄のような苦しみを考えると、この話し合いが前進への一歩となることを願うばかりです。

 ただ、訪朝するのであれば、何としても実現してもらわねばならないことがあります。

 北朝鮮で亡くなったとされる寺越外雄さんは、帰国事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人韓福生さんと結婚し、2人のお子さんがいます。お孫さんもいるようです。神戸にお住まいであった兄の寺越文雄さん(故人)とは100通以上文通し、繰り返し日本への家族での帰国を訴えていました。墓参訪朝団とともに、外雄さんの家族が同じ飛行機で帰国してこそ、昭二さんと外雄さんへのご供養になるのではないでしょうか。
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※寺越事件 昭和38年(1963)5月、能登半島近海で漁に出た漁船が消息を絶ち、寺越昭二さん・弟の外雄さん・甥の武志さんが行方不明になった。後に漁船だけが漂流しているのが発見されたが海難事故として処理され、3人の戸籍は抹消された。それから24年経った昭和62年(1987)突然姉に外雄さんからの手紙が届き、武志さんと共に北朝鮮にいることが分かった。武志さんの両親が訪朝し外雄さん・武志さんと面会する。2人は昭二さんが既に死亡した、自分たちは海難事故で漂流しているところを北朝鮮の船に救われたとして拉致を否定した。外雄さんは平成6年(1994)に北朝鮮で死亡したとされている。3人は明らかに拉致被害者であるにも関わらず、日本政府は拉致認定をしていない。

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2014年3月30日

再調査

【調査会NEWS1512】(26.3.30)

 1年4か月ぶりの日朝政府間交渉が行われています。日本政府は拉致問題についての「再調査」を求めているとのこと。

 いうまでもなく「再調査」とは北朝鮮に逃げ場を与え、譲歩を引き出そうというものです。北朝鮮の外務省が工作機関に手を突っ込んで調査をし、極めて重大な問題である拉致を進展させることができるはずはありません。こんなことは子供でも分かります。北朝鮮は何年も前から何人かを出すつもりではいるのであって、その人たちを返すために「再調査したら出てきた」という口実を作るだけのことです。

 昨年から飯島勲内閣官房参与やアントニオ猪木参議院議員の口を通して拉致被害者の人数の話が出ています。要は北朝鮮側が「何人出せば終わりになるのか」と言っているのでしょう。あるいは「これだけ出せば終わりにするんだな」と言われているのかも知れません。

 北朝鮮は日本に対して、(1)身代金(制裁解除も含めて何らかの利益供与)、(2)拉致問題の終息、を求めているはずです。日本政府としては(1)はどうにかなっても(2)の方はそう簡単には呑めません。そもそも何人拉致被害者がいるのか分かっておらず、北朝鮮でも色々な機関がやっておりもう誰も全て把握できていないはずです。

 ともかく何も動かない状態よりは動くことによって流れを作ることが必要です。交渉の機会があるなら表も裏も含めて積極的に取り組んでいただきたいと思います。その過程で政府への批判につながる事態が起きる可能性がありますが、福田康夫政権のとき、結局虻蜂取らずになってしまった轍を再度踏むことがないようにしてもらいたいものです。

 その上で、これは国民の側が絶対に忘れてはならないことがあります。

 大部分の拉致には国内の固定工作員や協力者が深く関与しており、海岸から上がってきた工作員だけで拉致したケースはごく一部です。横田めぐみさんを警察犬の動かなくなった現場から車で連れ去ったのもそういう人間ですし、今帰国している拉致被害者5人の拉致にもそういう人間が多数関与しています。そしてそれについてはまだ何も明らかにされていません。国内では工作員・協力者も1人として罪に問われていないのです。

 交渉は進められるべきで、その結果に期待はします。しかしそれは入口でしかありません。本当の意味の「再調査」は日本の中においてこそ行われなければならないはずです。

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2014年3月29日

1万キロ現地調査第20回終了

【調査会NEWS1511】(26.3.29)

 1万キロ現地調査第20回(愛媛・高知)が終了しました。関係各位のご協力に心より御礼申し上げます。

 報告会の折「今回の成果は?」と記者さんに聞かれたのですが、昨日のニュースに書いた永本憲子さんの件などいくつも成果はあるものの、劇的な情報、例えば尋ねて行ったご自宅から拉致の証拠が出てきたとか、海岸を歩いていたら北朝鮮工作員の水中スクーターが見つかったといった成果はさすがにありません。最近はやりの捏造をするわけにもいきませんし、結果については正直に発表しているつもりです。

 しかし20回やってきたことによる蓄積は非常に大きなものがあると自負しています。現場に行けば何より感覚をつかむことができますし、皆で議論することで1人で行ったときに気付かなかったことが出てきます。これまでの現地調査と照らし合わせながら新たな可能性が浮かび上がって来たりもします。もちろん現地で「しおかぜ」の収録ができることも大きな意味があります。これからも方法については常に見直しながら、さらに充実した調査なるように続けて参ります。

 なお、今回福留貴美子さんの実家など足跡をたどれたのは自分にとっても収穫でした。私は救う会事務局長時代実家を訪ね、当時はお元気だったお母さんの信子さんにお会いしたことがあるからです。その後信子さんは日比谷で行われた国民大集会にも参加されています。

 福留貴美子さんは調査会発足前から救う会で拉致被害者として取り扱われており、特定失踪者と政府認定者の中間、いわゆる「救う会認定」に入るのですが、今回は高校の同窓生の方々も5人おいでいただき、今後の進展も期待できるものがありました。今後救出に向けてさらに活動を進めていきたいと思います。

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2014年3月28日

先入観

【調査会NEWS1510】(26.3.28)

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 昨日は今治から伊予市を経て高知県の宿毛まで移動しました。伊予市は大政由美さんの自宅があり、平成3年(1991)3月韓国での失踪後、自宅前に不審な車がいたことが確認されています。昨日はその現場でお母さんから当時の状況について説明を受けました。断定はできませんが自宅の様子をうかがっていたのではないかと思われます。

 宿毛では昭和56年(1981)5月に当時高校2年生の永本憲子さんが失踪しています。自宅近くのバス停で叔父さんから声をかけられたのを最後に行方が分からなくなっているのですが、今回現地に行ってお話しを聞き、当時付近が極めて海に近かったことが分かりました。「宿毛市片島」という地名なのですが、当時はその名の通り島で、橋で渡っていたのが埋め立てで地続きになったそうです。

 特定失踪者の中で何人かは失踪直前に「小さな嘘」をついています。何者かにおびき出されて、ちょっとだけ出てくるつもりだった。おびき出された理由自体は家族に言いにくいことだったので小さな嘘をついたが、本人は直ぐ帰ってくるつもりだったのではないかということです。この場合は家に残したものなどからも長期にわたって不在にするつもりがなかったことが明白な場合が少なくありません。

 永本さんは声をかけた叔父さんには「バスで市内に行ってくる」と答えたそうですが、もしこれが「小さな嘘」なら現場が海の直ぐそばということとあわせて考えると全く別の状況が想像されます。永本さんはその後の目撃証言が現時点では存在しません。近くの海岸から移送されたと考えればそのことも理屈が合います。

 また、当時高知市内に住んでいた永本さんの友人は「宿毛署から来た」と名乗る2〜3人の男から外で事情聴取を受けたと語ったそうです。このようなことはありえず、何者かが警察の名を語った可能性もあります。この点も不審な点です。

 現時点では推測が多いので今後さらに調査を続けなければなりませんが、今回来てみて(岡田副代表や上野理事は既に訪れたところですが)自分自身先入観にとらわれていたことを痛感しました。

 この地域では太平洋側ということもあり、拉致問題についての関心は低く、それこそ先入観で「こんなところで北朝鮮による拉致が起きるはずがない」という認識が一般的です。情報の集まりにくい理由でもあると思います。工作船は高知にも来ているはずで、今後世論を喚起して新たな情報の収集に努めたいと思います。

(写真は永本憲子さん)

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2014年3月27日

今治にて

【調査会NEWS1509】(26.3.27)

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 今一万キロ現地調査(第20回)で愛媛県の今治に来ています。昨日は到着後市長・市議会議長への表敬を行い、拉致問題への一層の取り組みをお願いしました。その後山下綾子さんの失踪関連現場の調査・二宮喜一さんについてのご家族からの聴取・集会への直行と三班に別れて実施しました。お二方への調査の結果については改めて報告します。

 集会は救う会愛媛と愛媛県拉致議連の主催で、今治では初めてになります。増元照明家族会事務局長・梅原克彦前仙台市長(調査会を支援する会監査)と私が登壇し、特定失踪者山下綾子さん・二宮喜一さん・大政由美さんのご家族がそれぞれご挨拶されました。山下さん・二宮さんについては「しおかぜ」メッセージの収録も行われました。短期間の準備にもかかわらず多数の方が参加され有意義な会でした。

 今日は今治から伊予市を経て高知県宿毛市に向かいます。

(愛媛県関係の今回の調査対象者・敬称略)

◎山下 綾子 (やました あやこ)

生年月日:昭和17(1942)年9月20日 (現:71歳)
当時身分:看護師
当時住所:愛媛県今治市石井町
失踪日:昭和46(1971)年4月
最終失踪関連地点:愛媛県今治市石井町


◎二宮 喜一 (にのみや よしかず)

生年月日:昭和13(1938)年1月15日 (現:76歳)
当時身分:会社員(夜は専門学校生)
当時住所:東京都品川区小山
失踪日:昭和37(1962)年9月
最終失踪関連地点:東京都品川区

◎大政 由美 (おおまさ ゆみ)

生年月日:昭和42(1967)年4月5日 (現:46歳)
当時身分:三重大学研究生
当時住所:三重県津市江戸橋
失踪日:平成3(1991)年3月28日
最終失踪関連地点:韓国・慶州市

(写真は今治で失踪した山下綾子さん)

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2014年3月26日

圭運丸事件で3庁に告訴状提出

【調査会NEWS1508】(26.3.26)

 お知らせしたとおり、圭運丸事件(昭和42年・雄武町沖)について昨日(25日)告訴人北越優子さん(紙谷慶五郎さん三女)と代理人藤野義昭弁護士(前救う会北海道代表)が札幌地方検察庁を訪れ地検・北海道警・第1管区海上保安本部の各担当者に告訴状を提出しました。

 調査会が関与した告訴・告発ではこれまで対象は警察のみで、検察・海保への告訴も初めてですし3庁同時告訴を行うことももちろん初めてです。その意味で今回のケースは非常に注目されます。なお、北越さんから受理について質したところ、今回はあくまで提出だが、既に内容については確認済みなので、速やかに受理するとの回答があったそうです。なお文面自体は昨年12月に提出した告発状とほとんど同じです。

 今後検察・警察・海保が連携をとって捜査を進めるとのことですが、これまで機関の縦割りが拉致問題解決のネックになってきました。圭運丸事件の捜査が契機になって連携が進めば他の事件についても進展が期待されます。

 調査会では6月に雄武町も含めた道北地域の現地調査を行う予定で、さらに進展に向けて努力していきたいと思います。

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2014年3月25日

今日明日の予定

【調査会NEWS1507】(26.3.25)

 本日25日15:00、札幌地方検察庁において地検・北海道警・第1管区海上保安本部に圭運丸事件についての告訴状を提出します。既にお知らせしているように、このように3庁に同時に告訴を行うことは初めてであり、特に検察・海保にはこれまで拉致問題で告訴告発は行われていません。今回のケースは非常に注目されるものです。なお、この告訴は当初昨年12月に検察に告発状が提出され、それを検察から告訴に切り替えて欲しいとの要請があり直して1月に提出、さらに検察が警察海保と協議の上3庁に告訴状を出してもらいたいとの要請があったため、それに基づいて行われるものです。結果については次号以降のニュースでお知らせします。

 明日は1万キロ現地調査第20回で愛媛県今治市に入ります。1万キロ現地調査で四国に入るのは今回が初めてです。予定されている調査の他、太平洋側から四国への工作船の侵入等についても情報の収集ができないかと思っています。関係各位のご協力をよろしくお願い申しあげます。

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2014年3月24日

陸軍中野学校

【調査会NEWS1506】(26.3.24)

 ある程度の年齢の方でないとご存じないかも知れませんが、大映映画に「陸軍中野学校」シリーズがあります。

 主役は市川雷蔵で『陸軍中野学校』・『陸軍中野学校 雲一号指令』・『陸軍中野学校 竜三号指令』『陸軍中野学校 密命』・『陸軍中野学校 開戦前夜』と、昭和41年から43年にかけて4本の作品が作られました。旧陸軍の情報要員養成学校である中野学校を題材に、主役の椎名次郎中尉が敵のスパイと大陸や日本国内で渡り合うという内容です。

 なかなか見応えのある映画なのですが、これを特に高く評価したのは映画好きの金正日でした。単に観ただけではなく、工作機関でもこの映画を教材として使わせたそうです。元工作員の安明進氏は金正日政治軍事大学でこの映画のシーンをスライド教材に使って授業を受けたと言っていましたし、曽我ひとみさんは北朝鮮の招待所でこの映画を観たと話しています。北朝鮮の映画で有名なものに「名もなき英雄たち」というスパイ映画のシリーズがありますが、これもおそらく「陸軍中野学校」の影響を受けて制作されたものと思います。

 また、「金正日の料理人」、藤本健二氏の著書の中には金正日と射撃場に行ったとき、見事命中すると金正日が「ナカノヤー」と言ったという話が出てきます。おそらく金正日はこの映画をみて「わが国の工作員もこれだけの能力を持たなければならない」と思ったのでしょう。

 実際、この映画を観ていると、背乗りとか病院を拠点にした拉致なども出てきます。映画を地でやったのではないかという感じですが、逆に言えばこの映画から北朝鮮の工作活動もある程度推測できます。そうやって拉致を成功させた工作員に金正日は「ナカノヤー」と声をかけたのかも知れません。

 北朝鮮の情報機関立ち上げのときに中野学校出身者が関わっていたという話もありますから、それが事実なら映画の前からそのノウハウが使われていた可能性もあります。陸軍中野学校は戦後各国の情報機関から高く評価されていますから、金正日の目の付け所もそう悪くはなかったのかも知れません。

 問題は、お手本になった方のわが国が、警察であれ公安調査庁であれ海保であれ自衛隊であれ、優秀な人間は沢山いるのに情報戦ではやられっぱなしということです。「日本版CIAがないから」などという制度的なことではなく、これは何十年もの間、指導層に国家を担う覚悟が欠けていたのが最大の理由ではないでしょうか。なんとか巻き返して、金正日が生きていたら「ナカノヤー」と断末魔の悲鳴を上げる位のことをやらなければならないと思います。

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2014年3月23日

看護婦さんの失踪

【調査会NEWS1505】(26.3.23)

 26日からの現地調査の対象のお一人、山下綾子さんは看護師でした。女性の看護師(手っ取り早く言えば看護婦さん)の失踪は非常に多く、これに医師(昭和38年非公開女性)・看護学校中退(山本美保さん)・検査技師(松井綾子さん)を入れると以下のように非常に多数になります。 

安達恵美子 昭和34年 京都
木村かほる 昭和35年 秋田
正木冽子 昭和36年 徳島
非公開女性 昭和38年 北海道
長谷川文子 昭和44年 北海道
山下綾子 昭和46年 愛媛
国広富子 昭和51年 山口
曽我ひとみ 昭和53年 新潟
非公開女性 昭和54年 山梨
非公開女性 昭和58年 青森
山本美保 昭和59年 山梨
加藤悦子 平成元年 愛知
保泉泰子 平成3年 愛知
松井綾子 平成10年 茨城 

 このうち木村かほるさん・国広富子さん・山本美保さんは拉致濃厚(いわゆる1000番代リスト)、曽我ひとみさんは政府認定です。他の方々にもかなり怪しいケースがあります。

 このリストの特徴は時期が分散していることです。全くの推測に過ぎませんが、朝鮮半島には昔から日本女性に対する憧憬(若干盲目的な)のようなものがあります。例えば金日成が「日本の女っていうのはいいんだ。特に看護婦なんか、献身的だし…」とか言ったので手下が「そうか、看護婦を連れてくれば親分の覚えがめでたくなるんだな」と考えて拉致をしたのではないか。非常に次元の低い話ですが必ずしも的外れとは思えません。

 ついでに言えば北朝鮮の政権というのは要は出来たときから山賊みたいなもので、今も山賊みたいなものですから、交渉するにしても山賊としていると思った方が分かりやすいです。私自身朝鮮半島研究者の一人としては、研究対象の次元が低いとなれば自分の次元も低くなったような気になるのですが、やはりあまり考えすぎない方がよろしいかと思います。

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2014年3月22日

放置国家

【調査会NEWS1504】(26.3.22)

 救出運動が始まったころ、警察庁の担当者に会うと(特に公式の場で)、「法と証拠に基づいて厳正にやっています」と言われたことが何度もありました。

 そのときは、「そうか、なかなか証拠が出てこないから前に進まないのだな」、あるいは「法律を整備しないと進展させられないのかな」と思っていました。まだ政府は「拉致」と断定せず、「拉致疑惑」と言っていたときです。

 しかし、この言葉は最近あまり聞かなくなりました。「法と証拠に基づいて」いなかったことが誰の目にも明らかになったからです。それどころか、現地調査の結果、あるいは最近毎日何件も届いてくるようになった情報などからするとこの国は何十年もの間やられ放題やられて、ほとんど何もしてこなかったということがますます感じられるようになりました。

 「法治国家」だと思っていたら「放置国家」だった。これが実感です。

 先日、ある元自衛官(故人)のご子息にお会いしたとき聞いた話ですが、お父さんは昭和40年頃1か月位家を空けて日本海側に行っていたそうです。それは演習名目での海岸線の北朝鮮工作員上陸に対する警戒監視、威嚇だったらしいとのこと。後にお父さんは拉致問題がテレビで放送されるのを家で見ていて、お母さんが「かわいそう」と言ったところ、「10人や15人ではない、100人以上はっきりしているんだ」と語ったそうです。お母さんが「何でそんなこと分かるの」と聞いたのには答えませんでした。

 このようなケースは極めて稀な、現場の判断で行われたことだと思います。少なくとも公式的には自衛隊はこれまで拉致問題にほとんど関与してきませんでした。正確に言えばあえて排除されてきたと言っても間違いないでしょう。去年の政府主催拉致問題コンサートで「海上自衛隊の歌姫」と言われる三宅3曹が歌を歌ったのが「自衛隊の関与」としては初めてかも知れません(調査会では平成18年、朝霞の陸上自衛隊広報センターで集会を開催しています。協力いただいた当時の千葉駐屯地司令はじめ、自衛隊の中にその思いを持っている人が少なからずいることは確かです)。

 いざというときには様々なことが起きるわけで、突然「助けに行け」と言われてもできるはずはありません。また、情報収集能力だけをとっても自衛隊には独自の能力があります。それを使ってこなかったのは敢えて使ってこなかったということでしょう。それはひょっとしたら歴代防衛庁長官の中に金丸信や加藤紘一といった皆さんが名前を連ねていることと関係しているのかも知れません。

 いずれにしても、「法治国家」なら国家の主権と国民の安全を守ることを最優先するのが当然です。「法と証拠」以前の「常識」に立ち返らなければならないと思います。

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2014年3月21日

DNAデータ偽造事件に関する情報(4)

【調査会NEWS1503】(26.3.21)

 山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件について、今回はDNA鑑定と他の鑑定資料の矛盾についてです。警察は「山形の海岸に漂着した身元不明遺体と山本美保さんの妹、森本美砂さんのDNA鑑定結果が一致した。だから遺体は山本美保である」と言っています。

 遺体が山本美保さんであればDNA鑑定の結果以外も当然一致するはずです。しかし実際は明らかに矛盾しており、そこにいくと警察からは「矛盾しません」という答えが返ってくるだけです。何か北朝鮮とのやりとりみたいで、あの国を相手にしているとこちらも似てくるのかとすら思えてきます。

 矛盾はここに書かれたことだけでなく、既にお知らせした歯の脱落、屍体の屍蝋化、座高の問題他様々な点が存在します。警察は一般的法医学所見でない場合なら特殊な事情が存在することを積極的に究明・説明すべき責任があるはずです。これまで本件で大騒ぎしながら何も証明できていないのは証明できない(つまり山形の遺体と美保さんは別人であるということ)だと思います。
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 本件においてはDNAの一致だけをもって個人識別が一致したことになっているが、他の鑑識資料との関係において、個人識別判定に矛盾する問題も発生しており、総合的な判断を下す必要性が求められる。その矛盾点や整合性を検討した結果について解説する。

 検視規則第6条に検視にあたっての司法警察員は、必要に応じて医師等の意見を徴して、綿密に調査しなければならないとされており、複合的な調査対象事項を下記に示すとおり、具体的かつ、綿密に調査を実施することが義務づけられている。

 この調査すべき事項として

ア 変死体の氏名、年齢、住居及び性別
イ 変死体の位置、姿勢並びに創傷その他の変異及び特徴
ウ 着衣、携帯品及び遺留品
エ 周囲の地形及び事物の状況
オ 死亡の推定年月日時及び場所
カ 死因(特に犯罪行為に起因するか否か)
キ 凶器その他犯罪行為に供した疑いのある物件
ク 自殺の疑いがある屍体については、自殺の原因及び方法、教唆者、幇助者等の有無ならびに遺書があるときはその真偽
ケ 中毒死の疑いがあるときは症状、毒物の種類及び中毒するに至った経緯

等が挙げられているが、ここで示す各調査事項関係間で相互に矛盾する事項があってはならないのは当然である。

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2014年3月20日

チャンネル桜(横田夫妻の孫娘との面会他)

 チャンネル桜「防人の道」で横田夫妻のモンゴルでの孫娘との面会についてお話ししました。それにしても彼女は何で「ヘギョン」が「ウンギョン」になったのでしょう。前に父親の金英男氏は「幼名がヘギョン」とか言ったような記憶がありますが、ヘギョンがウンギョンでは変わり映えしません。めぐみさんの「死亡」も最初1993年と言われたのが後に1994年になっていますし、途中で何か北朝鮮内部の変化があったのかも知れません。

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モンゴルと北朝鮮・拉致問題のいくつかの接点

モンゴルと北朝鮮・拉致問題のいくつかの接点 【調査会NEWS1502】(26.3.20)

     特定失踪者問題調査会副代表 岡田和典

 今、何かと関心の国がモンゴルです。横田さんご夫妻とお孫さんの出会いの地であり、朝鮮総連中央本部を落札したのがモンゴル企業(後に無効)でした。

 来週、現地調査を行う高知出身の福留貴美子さんは、このモンゴルへの渡航を強く希望していました。当時のモンゴルは現在の北朝鮮と同じく、本国の同意を得た特別な人以外の入国は叶いませんでした。

 福留さんは高知県立山田高校卒業後、綜合警備保障に就職し、五反田のTOCビル4階を担当します。同じ階に、高敬美さん・剛さんを拉致したとして国際手配されている、木下陽子が働くユニバーストレーディング社が入居していました。1976年に出国した福留さんはその後消息を絶ち、20年後、よど号犯岡本武の妻として新聞報道されます。

 失踪時、モンゴル渡航のオンリーワン企業がS社です。失踪前、福留貴美子さんも訪ねています。北朝鮮との繋がりも強く、1991年5月に名古屋から平壌に民間として初めてチャーター便を飛ばしています。この企てを実質的に仕切ったのが、マダム朴こと朴敬允(金剛山国際観光オーナー)です。猪木議員を最初に北朝鮮に紹介したのがマダム朴と言われています。猪木議員は訪朝から帰国後、執拗に家族会に「北朝鮮に来ないか」と誘っていたようです。

 S社のオーナーでモンゴルとのNGO団体理事長がY氏です。10年程前の話になりますが、寺越武志さんのお母さん寺越友枝さんが平壌から帰る飛行機の中で隣席の男性から「私はミスターXに通じる人間です」と声を掛けられ、Y氏の名刺を渡されています。

 S社のビルに事務所を設けたのが北朝鮮での墓参と遺骨収集を目指す「北遺族連絡会(前身「全国清津会」)」です。連絡会結成集会には横田滋さんも出席し、連絡会の事務局長であるO女史から「一緒に訪朝してほしい」と再三要請されます。

 このO女史、寺越友枝さんと同じ金沢市に住居を構え、兄と共に経営する会社は、モンゴルの道路工事に関係します。この連絡会には事務員として、よど号犯田中義三(日本で受刑中に死亡)の娘も働いています。「小坂浩彰さんにお世話になってます」が赴任の挨拶でした。

 小坂浩彰氏とは、帰国した拉致被害者5人の子供たちが未だ北朝鮮に残っている時、子供たちに接触し、TVに度々登場して、当時の家族会事務局長であった蓮池透氏と激しく争った、北朝鮮支援者の一人です。子供たちが帰国後、蓮池透氏の発言が変化するのですが、同時期以降、蓮池透氏・小坂浩彰氏・寺越友枝さんご一緒の姿が目撃されます。また、蓮池透氏は横田さんに北朝鮮で、お孫さんと会うことを進言します。この辺りのことについては17日の朝日新聞に掲載されています。

 モンゴルと北朝鮮・拉致問題の不思議な接点、そして怪しげな人々。春一番とともにさらに色々な動きが起きるのでしょうか。

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2014年3月19日

愛媛・高知現調日程

【調査会NEWS1501】(26.3.19)

 既にお知らせしている1万キロ現地調査第20回(愛媛・高知)の現時点での日程概要は以下の通りです。報道関係の皆様には取材等ご協力方よろしくお願い申しあげます。

●目的
(1) 現地調査により個々の事件及び北朝鮮による拉致・工作活動への認識を深める。
(2) 広報啓発活動を通し今後の工作活動を抑止する。
(3) 現地で特定失踪者家族・政府認定者家族他関係者から北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」のメッセージを収録する。

●参加予定者

調査会:代表荒木・副代表岡田・専務理事村尾・常務理事杉野・同曽田・同武藤・理事上野(救う会高知事務局長兼)計 7名

家族会:増元照明事務局長

調査会を支援する会:梅原克彦監査(前仙台市長)

特定失踪者家族等:山下綾子さん・二宮喜一さん・大政由美さん・永本憲子さん・亀谷博昭さんのご家族及び福留貴美子さんの友人等関係者

支援者:中矢民三郎会長他救う会愛媛の皆さん・森田和博会長他救う会高知の皆さん

●日程

3月26日(水)---------------------------
16:20 今治市で山下綾子さん関連調査・二宮喜一さん関連聴取
18:00 救う会愛媛主催集会(今治市・今治市総合福祉センター)
宿泊:今治国際ホテル(今治市)

3月27日(木)---------------------------
08:00 ホテル発・山下綾子さん関連調査後伊予市へ
10:10 伊予市着。大政由美さん実家周辺で調査・その後宿毛へ移動
15:30 宿毛市片島公民館で永本憲子さん親族と合流、現地調査・しおかぜ収録
宿泊:ホテル・マツヤ(宿毛市)

3月28日(金)---------------------------
09:00 ホテル発・土佐清水へ
10:00 土佐清水市で亀谷博昭さんご家族から聴取。
11:00 土佐清水出発・香美市へ
15:40 香美市香北町着・福留貴美子さん及び非公開女性・武内卓さん関連調査。終了後高知市へ
18:00 福留貴美子さん関係者ミーティング(非公開)
19:10 報告会(〜20:00 高知市・高知会館)
 ※報告会は記者会見を兼ねますが誰でも参加できます。

●備考
 日程は変更になる可能性があります。25日までのお問い合わせは調査会(03-5684-5058)へ、26日以後のお問い合わせは専務理事村尾(090-2140-3411)ないし理事上野(090-3184-3969)までお願いします。
以上

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平成26年度前期国際講座

Kokusaikouza 平成26年度前期の拓殖大学国際講座の予定が決まりました。タイトルをご覧になって「ふざけている」と思った方、決めたのは担当の私であり講師に責任はありません。予めご了承下さい。奮ってご参加下さいますようお願い申しあげます。

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2014年3月18日

圭運丸事件で検察・警察・海保合同捜査へ 

【調査会NEWS1500】(26.3.18)

511514 昭和42年(1967)11月北海道雄武沖で4人が失踪した圭運丸事件について、昨年12月12日、札幌地検に紙谷慶五郎さんの三女優子さんが告発人、藤野義昭弁護士・川人博弁護士・土田庄一弁護士及び調査会代表荒木が代理人となって告発状を提出しました。その後地検から内容そのままで告訴に切り替えて欲しいとの連絡があり、年が明けて1月に告訴状を提出、地検では警察・海保とも連絡をとりながら対処を検討してきました。

 その結果としてこのたび検察・警察・海保が合同の組織を立ち上げて対応することになり、藤野弁護士のところに「あらためて検察・警察・海保に対して告訴して欲しい」という連絡がありました。この要請に基づき3月25日午後3時、札幌地方検察庁にて地検・北海道警・第1管区海上保安本部の担当者に告訴状を提出します。地検に赴くのは告訴人の北越優子さん(紙谷慶五郎さん三女)と代理人の藤野義昭弁護士(前救う会北海道代表)です。告訴状の内容は最初の告発状の「告発」を「告訴」に変えた以外は基本的に同じものになります。

 告訴手続きの詳細につきましては藤野法律事務所(011-476-1321)にお問い合わせ下さい。今回検察への告訴も初めてでしたが、検察・警察・海保で組織を立ち上げて連携するというのも拉致問題では初めてであり、画期的なことだと思います。ぜひ結果が出るよう期待する次第です。

(写真は左上紙谷速水さん・右上紙谷圭剛さん・左下紙谷礼人さん・右下が父の紙谷慶五郎さん)

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2014年3月17日

福留貴美子さんの事案について

【調査会NEWS1499】(26.3.17)

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                調査会理事 上野 一彦

 3月26日からの1万キロ現地調査第20回の調査対象の1人に高知県出身の福留貴美子さんの事案がある。福留さんは政府認定拉致被害者ではないが、特定失踪者問題調査会設立前から拉致被害者として救出活動の中で扱われてきた、いわゆる「救う会認定」である。

 彼女は今から38年前の昭和51(1976)年7月に「モンゴルへ行く」と友達に告げて羽田空港から出国、しかし何故か北朝鮮に入国し、更に驚くべき事は昭和45(1970)年3月に日航機「よど号」をハイジャックして北朝鮮に渡った日本の赤軍派メンバー(9名)の一人である岡本武と結婚したのである。

 福留貴美子さんに関する事案(以下、<福留事案>とする)は謎に満ち、今なお詳細が明らかになっていない。その全ての説明はメールニュースでは不可能だが、今回は福留さんに発付された逮捕状の経緯を辿りながら、日本の公安警察が福留事案をどの様に認識し、捜査を行なっているかを考察してみたい。

 平成16(2004)年1月9日、警視庁・公安部は福留さんに対して旅券法違反容疑で逮捕状を取った。渡航が制限されている北朝鮮へ必要な申請手続きをせずに渡航したという容疑内容である。この唐突な逮捕状請求は、4日後の13日に帰国する「よど号」グループの子供たち(6人)の中に岡本武と福留さんの子供(次女)が含まれていたからである。警視庁は何としても次女の所持品検査を行い、特に死んだとされている岡本武と福留さんの<遺骨>の有無を確認したかったと思われる。しかし、2年前の平成14(2002)年9月に岡本武と福留さんの子供(長女)が帰国した際には所持品検査は行われておらず、何ともチグハグな対応と言わざるを得ない。

 この次女への所持品検査に対しては4ヵ月後の平成16年5月に次女を原告とする国家賠償訴訟が起こされ、翌年(平成17年)10月の公判において警視庁・公安一課の警視が「福留貴美子さんは、警察としては拉致被害者として考えていない」と証言した。

 これはある意味、当然の証言と思われる。何故なら、福留さんに対して「渡航が制限されている北朝鮮へ必要な申請手続きをせずに渡航した」という容疑で逮捕状を請求したのであれば、それは「拉致されたのではない」と考えている事に他ならないからである。逆に拉致(略取誘拐)された可能性を考慮しているのであれば、渡航制限に違反した事を容疑内容とする逮捕状請求はあり得ないとなるだろう。

 その警視の証言から1年が過ぎた平成18(2006)年11月、「救う会・高知」は福留事案を被疑者不詳の略取誘拐とする「告発状」を高知県警に提出した。

 私もそれ関わった一人だが、正直言って受理される可能性は少ないだろうと思っていた。法廷での警視の証言は重く、この年の2月に行なわれた「日朝包括協議」で外務省が北朝鮮に安否確認を求めた36人の中に福留さんが入っていたとしても、それ自体は北朝鮮での所在を推認するものではあっても拉致の可能性を示唆するものとはならないからだ。

 しかし、翌12月の県議会で「告発状」に関する県議の質問に答えた県警本部長の発言に私は微妙なニュアンスを感じ、用意していた「告発状」不受理の際の声明文に加えて受理の際の声明文を慌てて作成した事を覚えている。

 県議会でのやり取りから1週間後、県警の警備部長から「告発状」の正式受理が告げられた。受理に当たっては当然、警察庁に照会が行なわれたと推察されるが、「告発状」を受理する事によって先に指摘した渡航制限違反を容疑内容とする逮捕状の発付と拉致(略取誘拐)されて北朝鮮に連れ込まれた可能性との矛盾はいっそう際立って来たのである。

 そして平成24(2012)年12月末に警察庁が開示した拉致の可能性を排除できない失踪者の「都道府県別・調査対象者数」(868人)という資料において唯一人、福留貴美子さんだけが警察庁・国際テロリズム課の所管とされた。

 ここで留意しなければならないのは、福留さんと同様に「よど号」メンバーの妻であり、現在も北朝鮮にいる森順子(旅券返納命令違反と石岡・松木両氏の拉致容疑で国際指名手配)と若林(黒田)佐喜子(渡航制限違反及び虚偽申請と石岡・松木両氏の拉致容疑で国際指名手配)の名前が登場していない事である。森と若林は旅券法違反に加えて拉致の実行者として国際手配されているのだから当然なのだが、今だ日本へ帰国していない「よど号」メンバーの妻(3人)の内、福留さんだけが<調査対象者>として別枠の扱いを受けている事に注目する必要がある。

 そして遂にと言うべきだろう、平成25(2013)年5月に参議院の有田芳生議員が提出した質問主意書に対して政府は「福留貴美子氏に係る事案については、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進している」とした上で「これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていない」と答弁したのである。

 福留事案は、平成17年から8年の時を経て「拉致被害者として考えていない」から「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案」へと様相を変化させたと言えよう。

 それでは、福留さんに発付された逮捕状は現在どうなっているのだろう。更新を続けて今なお有効なのだろうか。これに関しては詳細が分からないのだが、警視庁としては本人の帰国や関係方面への捜査に備えて更新を続けていると推測するのが自然だろう。

 ただ、福留さんへの逮捕状の請求と発付は為されていても、通常は行なわれる筈の指名手配がされていないという意外な話がある。

 福留事案は「よど号」グループの動向と密接に絡んだ特殊な事案であり、様々なインテリジェンスの網目を解きほぐす作業が必要な難解な事案でもある。公開捜査には最も相応しくない事案なのだろう、という推察は出来る。

 しかし公安警察は、福留さんが北朝鮮へ入国した事による旅券法(渡航制限)違反での逮捕状請求と、福留さんが拉致(略取誘拐)された可能性を排除出来ないという、相容れないアポリアに陥っているのである。


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2014年3月16日

金ヘギョン

【調査会NEWS1498】(26.3.16)

 横田滋さん・早紀江さんご夫妻がモンゴルで孫の金ヘギョン(ウンギョン)さんに面会したとのニュースが流れています。

 これについて何件か問合せは受けたものの、正直なところ私自身が今日知ったばかりで、表に出ていること以上には情報を持ち合わせていません。

 ですから、まだあまり決めつけるべきではないと思うのですが、「本当に大丈夫なのか」という思いがあることも確かです。

 3月5日の参議院予算委員会で、井上義行議員の質問に対し安倍総理は「井上委員が私の秘書官をしているときから、国際社会の連携、当時はまだなかなか理解はなかったわけですが、ここまでは来たわけでありまして、北朝鮮に圧力をかけながら、対話と圧力でこの問題を解決していきたいと思います」と答弁しています。

 この答弁自体はCOI(国連事実調査委員会)に関するものですが、井上議員は秘書官時代安倍総理の命を受け密使として北朝鮮にも行っています。3月3日の日朝非公式協議で面会が決まったとなれば、このとき安倍総理の念頭には当然横田夫妻の金ヘギョンさんとの面会があったはずです。

 しかし、同時にこの日の他の井上議員への答弁、そして前日の同じ予算委での答弁からすると、ニュース1488号に書いたように、総理に主体的かつ核心に迫る拉致被害者救出の意志があるのかは疑問です。仮に総理にその意志があったとしても、少なくともそれが実行に移せる状況でないことは間違いありません(予算委の答弁にはそれを感じさせるものもありました)。ですから、総理の周辺にいる人間はこれが北朝鮮のちらつかせる餌だったとしても「進展」であるとアピールするでしょうし、今後もその流れでいこうとするに違いありません。

 ともかく前に進めてはもらいたいと思います。私の言っていることが全て正しいとは思いません。また高齢の横田さんご夫妻の孫娘と会いたいという思いに対してわれわれがどうこう言える資格はありません。しかし根本的な問題は、横田さんご夫妻の孫娘がなぜ北朝鮮にいるのか、ということであるはずです。

 ともかく今回のことが拉致問題全体の最低限の解決のためにマイナスにならないよう、これからも注視していこうと思います。

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2014年3月15日

半潜水艇か、潜水艦か

【調査会NEWS1497】(26.3.15)

 以下は平成17年(2005)6月に妹原仁調査会常務理事が調査したものです。この年3月に町村合併で松江市と合併した島根町多古鼻での話。

 同年4月、沖合で潜水艦ではないかと思われるような物体をダイバーが見たという話があり、妹原常務理事が島根町に赴いて関係者から聞き取りを行ったとき、次のような証言が得られています。これまであまり考慮していなかったのですが、ひょっとしたら半潜水艇ではないかという気がしてきました。ただし妹原常務理事は半潜水艇説には懐疑的であり、やはり潜水艦ではないかという意見です。

 いずれにしてもこれがクジラやイルカでないことは間違いないと思います。不審な船の情報は日本全国にあり、北朝鮮工作船が太平洋側に来ていることも確認されています。場所を問わず同様に海で不審な物体を見たとの情報をお持ちの方がおられましたらご提供下さい。ともかくあらためて前提観念を取り払い、全ての可能性を考えてみたいと思います。

 なお、半潜水艇の写真は荒木のブログに掲載しています。

http://araki.way-nifty.com/araki/2014/03/post-c5c6.html

(妹原常務理事の聞き取り内容)

●漁師A

 (目撃者は)青くなって帰ってきた。何か見たのは間違いないが、当時は濃霧で200メートル先が見えない状態だった。現場付近は急な瀬があって、常識で考えたら潜水艦など入っては来れないだろう。8メートル位だったという。

●漁師B

 そのときから警戒が厳しくなっている。毎日その海域に海保の巡視船が出て警戒行動をしている。


●目撃した地元のダイバー

 多古鼻近海にある潜水ポイントで練習をするため3人で船に乗りいつもの場所に着いたとき、「ウィーン、ウィーン」というモーター音のようなものが聞こえたので近づいて行った。水深18メートルあたりにきていた。そのポイントから沖は直線で約500メートル、水深35メートル位までなだらかに深くなっている。

 視界は濃霧で100メートル、200メートル先も見えないくらいだったので音のする方に近づいて行った。10メートルか15メートルまで近づいたとき、突然視界に入ってきたのが5メートル四方くらいの四角いものだった。水面に出たところは明らかに水を切って波を発生させていた。西から東へ向かい航行しているようだった。

 その物体は飛行機の翼をぶつ切りにしたようなもので明らかに金属でできていた。同じものを三つとそれよりかなり大きな船と思われるものを発見した。この大きな船は少し離れて見えたので、濃霧でもあり水面あたりの状態は確認できていない。四角い大きなものを三つか四つくらい載せていた。

 恐ろしくなり写真も撮らずに引き返し、平島を回ったあたりで米子の事務所に電話した。自衛隊がその海域で潜水艦の訓練をしていないかを海上保安部に確認してもらうためだった。自分たちがその物体を見たのは正午頃、海保が来たのは16時頃だったと思う。それから境海上保安部で事情聴取された。

 そのモーター音のようなものはその年の夏中聞こえていた。ダイビングは30分を単位に潜るのだが常時モーター音がするのではなく、時折聞こえた。昨年(平成16年)には全く聞いたことがなかった。そういえば昨年近くの六ツ島で上半身裸の男が海保に捕まっているのを見た。

 その物体を発見したポイントから自分たちの船でも15分もあればいつも巡視船が居る場所まで行ける。ここは鹿島原発にも非常に近く、普通の船でも15分もあれば到着できる。


(妹原常務理事のコメント)

 なぜそのとき海保は数時間も経過してから現場海域を捜索したのだろうか。それとも連絡直後から捜索活動はしていたが、発見できないため目視した本人の事情聴取をするようになったのだろうか。

 2人の漁師はイルカやクジラなどと見間違うことはないと言っている。実に奇妙なことである。潜水艦でなく他の魚やイルカやクジラであれば海保自体がそのことを境に巡視船による警戒行動もしくはその海域を常時監視するものだろうかという疑問が湧いてくる。

 事件は結局クジラか何かの見間違いとして処理されてしまった。海保では潜水艦の訓練ではないかとも行っていた(防衛庁に確認したのだろうか)。目撃者は「マスコミに詳しく話すな」と海保で念を押されている。

 この海域にクジラが出現するのであれば観光客を呼び込むことができる。不審な物体がいると証言してもプラスになるものではない。嘘をつく理由は見当たらない。
 

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半潜水艇

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 北朝鮮の半潜水艇。ソウルの戦争紀念館に展示してあるもので、本物なのか復元されたものか見逃しました。説明には次のように書いてあります。

「SP-10半潜水艇
 半潜水艇とは潜水艦と高速艇を結合したモデルであり、水中に潜行し運行する潜水艦の特性とジェット推進で水面の上を滑るように失踪する高速艇の特性を兼ね備えている。SP-10半潜水艇はHF無線機、日本製GPS装備、漁網切断機などと3個のエンジンが装着されている。水上では最高40ノットの速力で、反潜水状態では最大12ノットの速力で移動が可能である。北朝鮮はSP-10の他にもこれを改良したSP-10H、大同級などを製作してベトナム、イランなどに販売してきた。我が軍は1983年12月釜山多大浦海岸に浸透した半潜水艇撃沈いらい1985年10月には釜山青沙浦海岸で、1998年12月には全羅南道麗水の海岸で半潜水艇を撃沈している。」

 ちなみに多大浦侵入で捕まった北朝鮮工作員の2人のうちの1人が昨年11月に山口の現地調査に同行してくれた李相哲氏です。
 昔韓国軍の将校だった知人がこの2人を韓国軍が使って上陸浸透阻止の訓練をしたときの話をしてくれました。知人はもちろん守る方で、海岸で必死になって警戒していたそうですが、いつまで経ってもやってこない。どうしたのだろうとふと振り返ると後ろで2人がラーメンを食べていたとか。
 日本に半潜水艇が来ているのかどうかは分かりませんが、方法はともかく撃沈の可能性がある韓国より遥かに入りやすいことは確かです。少なくとも「憲法の制約が」とか、「集団的自衛権の解釈が」などという国会ののんびりした議論とは違う現実が身近にあることだけは間違いありません。

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深浦港の北朝鮮船

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 救う会秋田提供の写真です。救う会秋田のホームページに動画も載っていますのでそちらの方が分かりやすいかも知れません。
http://www.j87.net/sukuukai_akita/rireki.html
 この船は平成19年6月、4人の男女を乗せて青森県深浦港に入ってきた北朝鮮の船。これはその3か月後の9月2日、秋田港に浮かべて海保が実験したときの写真です。
 この船は北朝鮮の清津から日本海を渡って深浦まで来た、ことになっています。しかしまあ800キロ、この船で来れると思う人はいないでしょう。ちなみに水平線に見えているのは堤防で、ここは秋田港の中です。とても外海を何日も航海できるとは思えません。
 この船が着いてから、私はあちこちで「こんな船が清津から直接来られるはずがない。理由は分からないが母船に乗せられて日本近海で海に下ろされているはず」と発言しました。そうしたら海保の人がやってきて「この船は清津から直接来ました。確認されています」と言っていきました。何かDNAデータ偽造事件みたいな話ですが、ご本人は極めて真面目な人だったので、上からの指示だったのでしょう。
 この4人はろくに事情聴取も行われずに韓国に送られました。それもまた何かの理由があったのだと思います。国民は今も真実を知らされず、そしてやってくる北朝鮮船は無人のものも含めて増えています。

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2014年3月14日

山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件に関する情報(3)

【調査会NEWS1496】(26.3.14)

 1489号の続きです。山本美保さんと山形の身元不明遺体の大きな違いの一つに座高があります。それについての考察です。

 前に山梨県警でこの差について聞いたとき、「それは遺体の長さです。足の付け根で切れているからそこまでを計ったものなので矛盾はありません」という返事が返ってきて思わず吹きだそうになった記憶があります。身元不明遺体の鑑定書を読めば「臀部下端」の位置が写真に示してあり、誰がどう見ても座高を測る場所であることが明らかです。

 そもそも身元不明遺体が誰であるか特定しようとするとき、遺体の全長は何の意味もありません。足が切断されているのですから、記録に残してあるのは当然座高のように比較できる場所だと考えるのが当然でしょう。

 まあ、山梨県警の担当者も警察庁から言われて仕方なくそう言っているのでしょうから、担当者は「何の関係もない俺たちがこんな目にあわなきゃならないんだ」とぼやいていたかも知れません。
 
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 身元不明遺体の鑑定書では溺死体の頭頂部から臀部下端まで(仮定座高)95センチとの計測結果を報告している。

 一般的に溺死体では皮膚、筋肉等が膨らむ傾向が見受けられる。

 山本美保の座高は87.4cmの記録が残っており、溺死体との誤差は7.6cmを示している。腐乱死体の膨張は、一般的に身長・座高等のような縦の方向よりも、胸囲や腰回り等の横の膨張率が高いとされており、ここで示す座高の誤差7.6cmはあまりにも誤差が激しいと思料される。

 鑑定書では本屍の推定身長は160cmから170cmとの報告がなされている。山本美保の身長は159.5cmの記録がある。この身長は女性として検討した場合、日本人の成人女性平均値(身長159.7cm、座高85.4cm)と同一である。仮に身長が160cmで座高が95cmであれば股下高65cmとなり、極めて足の短い体型ということになる。座高からすると本屍の身長は限りなく170cmに近いものと推認できる。

 20〜24歳日本人女性の平均データ(平成16〜18年)

 身長158.2cm、座高87.5cm、股下高71.8cm

 つまり両検体の座高から推認した身長比較をすると、本屍は170cm以上、山本美保は160cm弱として身長が一致しないことが明らかになった。
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2014年3月13日

情報提供の呼びかけ(チャンネル桜)

 チャンネル桜・「防人の道」で葛城さんが調査会の情報提供への呼びかけをおこなってくれています。実際それを見て情報を送って下さった方もおられます。皆様ご協力をよろしくお願いします。

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「拉致と真実」の購入について

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 先日お知らせした萩原遼さん責任編集の「拉致と真実」ですが、出版元の星へのあゆみ出版は萩原さん自身が代表であり、ご本人入院のため販売の対応ができなくなっています。そのため調査会でも販売することにしました。1冊800円です。ただし本誌には「頒価800円+送料100円」となっていますが、定価で調査会が買い取る形にしましたので送料は実費180円(ゆうメール)になります。ご了承下さい。

購入ご希望の方は郵便振替にて「拉致と真実」送付希望と通信欄にご記入の上代金及び送料計980円をお送り下さい。複数部数のお取り寄せの場合の送料はお問合せ下さい。

(当初間違えて合計代金1180円と書きましたが980円の間違いです。お詫びして訂正します)

 送り先 00160-9-583587 特定失踪者問題調査会
 お問い合わせ 特定失踪者問題調査会 03−5684−5058 

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関谷俊子さんお母様ご逝去

【調査会NEWS1495】(26.3.13)

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去る2月22日、関谷俊子さんのお母様、関谷し津さんが逝去されました。享年93歳。先日ご家族から連絡がありました。

 関谷俊子さんは昭和49年(1974)7月11日に千葉市で峰島英雄さん・遠山常子さんと共に失踪されています。男女3人での失踪はこのケースだけですが、1970年代は男女での失踪・拉致が頻発しているときで、調査会でもその一つとして注目しています。3人は峰島さんの車に乗っていたのですが、その車も見つかっていません。

 ちなみにこの1年前、昭和48年7月7日に市原市で古川了子さんが失踪しています。古川さんと関谷さん・遠山さんは皆同じ千葉商業高校の出身です(古川さんは卒業後、関谷さんと遠山さんは在学中)。失踪前食事をしていた場所(千葉市院内)なども含め様々な要因からして土台人や固定工作員がらみの拉致の可能性を排除出来ない失踪です。

 失踪から今年で40年、お母様に情報すら伝えることができなかったことが残念です。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

(写真は関谷俊子さん)

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2014年3月12日

政府は知っていた

【調査会NEWS1494】(26.3.12)

 平成14年(2002)4月4日と言えば小泉訪朝の半年前、有本恵子さんが拉致認定されてひと月足らずのことです。このとき英文で東京から発信されたロイター電は当時日本政府が認定していた有本さんを含む11人に加えて30人近い日本人が拉致されていると伝えています。

 情報源は警察庁の幹部と思われますが、おそらくリストまで見せてリークしたのでしょう。しかしこの情報は外信だった上にまだ未認定拉致被害者の問題まで関心が至っていないときでもあり、日本国内でそれほど大きな話題にはなりませんでした。

 この後拉致認定されたのは曽我ひとみさん・ミヨシさんと松木薫さん、石岡亨さん、田中実さん、そして松本京子さんの6人です。日本国籍でないため「警察断定」でとどまっている高敬美・剛姉弟をいれても8人しかなりません。したがって9・17小泉訪朝の前の時点で少なくともあと20人程の拉致被害者を政府は知っていたということになります。

 最近でも陰で「確実な拉致被害者はあと10人位」とか言っている政府関係者がいるそうですが、このことを知っていて(知らないはずはありませんし、10人でも大変なことであるはずですが)言っているのだとすれば、それは拉致を隠蔽しようとするものであり、また日本政府の不作為を隠蔽しようとするものだと言わざるを得ません。

 古屋大臣の号令で立ち上げられた警察庁の「特別指導班」は県警を指導するだけでなく、こういう政府関係者も指導してもらいたいものです。また、少なくともこの30人近くのリストは今からでも公開されるべきだと考える次第です。

 それと、この記事を見ていてふと気付いたことがありました。それはまた後日書きたいと思います。

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インタビュー 北朝鮮は40人近くの日本人を拉致した可能性がある

※訳注:文中に使われている「東京」「平壌」は主に日本政府と北朝鮮当局を指す。また「メディア」はロイターのことと思われる。

2002年4月4日15時27分

東京、4月4日(ロイター)

 日本の情報当局は、孤立している共産国家に拉致されたとされる11人の日本人のリストに30人近く新たに付け加える可能性があると述べた。

 北朝鮮は後に「ありもしないことを騒ぎ立てている」とメディアと日本政府を強く非難した。

 アジアの2国間の間でもっとも微妙な問題である日本人拉致の噂の論争は、国交正常化の壁となっている。

 日本の情報当局高官は、さらに30人近い日本国民が北朝鮮に拉致されていると思うとロイター通信に語った。新たな数字は失踪者に対する多くの調査から導き出されたことも付け足した。

 東京は少なくとも11人の日本人は1970年代と80年代に工作員に対する日本語教育の為に北朝鮮の工作員によって拉致されたと言っている。

 北朝鮮は拉致を繰り返し否定している。

 情報機関関係者は匿名を条件に「北朝鮮によって拉致されたと確信している11人のリストに付けくわえる可能性は高い」と語った。

 「悪の枢軸」とブッシュに烙印を押された北朝鮮による拉致疑惑が当初信じられていた以上に深刻かもしれないと明らかになったことは、日本や韓国のようなアメリカの重要な同盟国との長く開かれていない会談を再開する準備の兆候のようにみえる。

 拉致被害者リストに人を付け加えるほど、国交正常化前に解決すべき2国間のハードルは高くなるだろうと情報筋は語る。

<スパイゲーム>

 情報筋は、最近非公式に北朝鮮が「11人のら拉致被害者リストのうち一人がその共産国家で生きているが2人の男性(氏名は確認できない)が死んでいる」とそれとなく伝えてきたと言っている。

 情報筋は、北が生存していることを示唆した人物は東京が1983年に英国で北朝鮮の人間によって拉致されたと確信している当時23歳の有本恵子さんの可能性があると語った。

 有本さんが誘拐されたという疑いは、1970年に北朝鮮への飛行機をハイジャックした日本赤軍の左翼のメンバーの前妻の証言によって先月裏付けされた。

 情報筋は、スペインで消息が分からなくなった後、1980年6月に平壌へ拉致されたのではないかと日本が考える40代男性2人をリストに加える可能性があると語った。

 その他のほとんどの拉致は日本で起こったと情報筋は語る。多くの失踪者は、二つの国を隔てる日本海の人里離れた海岸沿いから姿を消した。

 日本はスパイとしての訓練するまたは工作員に日本語や日本の習慣を教える為に拉致したことを非難している。

 「日本人を拉致する主要目的は北がもっとも意識する韓国にスパイ活動をする為である。日本人に成りすますことで、彼らは韓国に自由に出入りできる」と情報筋は話している。

<金正日−重要な容疑者>

 朝鮮中央通信は日本の反動メディアと極右勢力とが問題を大きくしていると非難した。

 情報筋からのコメントが公表された後、「(平壌の)真摯な立場を冷遇する妨害的ふるまいであり、人道的立場から適当な時期に相互の関心事項を話し合うための日本との交渉を中止するためのふるまい以外に考えられない」と伝えた。

 北朝鮮赤十字は、先月日本の担当者との間で「いわゆる行方不明者」の調査を再開する準備ができていたと話した。

 当局は過去の朝鮮半島での植民地宗主国日本について、「世界でもっとも多くの拉致をした記録を持つ戦争犯罪国家である」と言っている。

 朝鮮中央通信は「日本が過去の犯罪に謝罪し補償しなければ何も解決しない」と言っている。

 拉致問題について論じ合うことは、隠遁しているリーダー金正日の関与が推測されるため北にとって敏感であり複雑な問題であると情報源は語った。

 「われわれは金正日が拉致の重要な役割を果たしていることを知っている。1970年代半ば、彼が北朝鮮の政治をほとんど掌握したころから拉致事件が起こっている」と情報源は語った。

<小泉の立場は明確>

 小泉純一郎首相は最近拉致事件の解決なくして国交正常化はないと語った。

 「拉致事件に関して、日本側は譲歩の余地はない。そしてそれを解決する為の求めに北朝鮮は応じないだろう」と情報当局は語る。

 11人の生存リストの中のうち一人、1978年に工作員の養成の為に北に拉致された
と伝えられている日本人女性の一人は確実ではないがまだ生きている」と情報提供者は語った。

 日本政府によって別名李恩恵として確認された女性は1990年代中ごろに北に殺されたという報道がある。

 情報源はその女性が1987年に大韓航空爆破について韓国当局に証言した北朝鮮女性、金賢姫を教育した女性だと確信していると語った。

 金は東京でホステスをしていたその日本人女性が、船で北朝鮮に送り込まれたのち、平壌の特殊工作員養成機関で働いていたと語った。

 情報源は「その女性に関しては矛盾した報告もある。我々はその報告が真実かどうか知る方法はない」と語った。

<交渉は進展に失敗した>

 日本は1991年に北朝鮮と国交正常化について話し始めた。しかし北朝鮮は日本人女性の拉致を言い出したとたんに部屋から出て行った。

 この宿敵同士は2000年に国交正常化交渉を再び始めた。しかし、また何も進展させることができなかった。

 先週北朝鮮はシンガポールで週末に行われる予定だった日本と北朝鮮の厚生相会談の予定を急に取りやめた。

 北朝鮮が会談を中止したのは準備ができていいためだと語った。しかし、日本の担当者は平壌が話題の中心に拉致問題が置かれることを恐れているように見えると語った。

 東京と平壌の関係は北が1998年8月に本州上空を飛び越して3段式のミサイルを発射したとき最悪の状態になった。

 12月、海上保安庁は経済排他水域200マイル以内に侵入し、停戦命令を無視した北朝鮮の工作船と思われる船を攻撃した。そして約15人の乗員全員と共に工作船は沈んだ。
(以上) 

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2014年3月11日

拉致と朝鮮総聯

【調査会NEWS1493】(26.3.11)

 守る会(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)の名誉代表である萩原遼さん責任編集による「拉致と真実」創刊号が発行され、昨日その記者会見が国会で行われました。本誌には私のインタビューや調査会で発表した資料なども掲載していただいています。

 「拉致と真実」は拉致問題を中心に朝鮮総聯の犯罪性を明らかにし追求していこうとするものです。最初萩原さんからお話しを聞いたときは、正直なところ、昨今ただでさえ活字メディアが大変なときにできるのだろうか、と感じました。しかしこうやって出来てくるとそのバイタリティというか、執念に敬服する次第です。一人でも多くの方に読んでいただきたく思います(購入等お問い合わせは「星へのあゆみ出版」03-6809-3121 まで)。

 また、会見で萩原さんは自らが胃がんと宣告され、「放置していれば余命2か月」と言われたと明らかにしました。今日入院して明日12日に検査を行うそうですが、失礼ながら年齢からすれば進行も遅いでしょうから、適切な処置がなされてお元気になられ、さらに2号以降に取り組まれるよう期待しています。

 さて、萩原さんの指摘する拉致と朝鮮総聯の関係ですが、もちろん中央委員会など表に出る可能性のある総聯の会議の議案などで「日本人を拉致しよう」などと書いているはずはありません。動くのは土台人を使った一本釣りとか、あるいは「学習組」などの地下組織のはずです。しかしともかく実質的に北朝鮮の下部機関である朝鮮総聯が本国に対して「拉致をすべきでない」とか、「対日工作活動をやめよ」と言ったはずはなく、逆に指示があればそれが組織的であれ個別的であれ従ったことは明らかです。

 久米裕さん拉致の実行犯である李秋吉は北朝鮮に渡った妹さんを人質にされ、昭和48年8月頃に北朝鮮工作員に包摂(取り込まれること)されたと言われています。それから久米さん拉致まで4年ある訳ですが、おそらくその間そして今日まで、本人の心は穏やかではなかったでしょう。もちろん今でも拉致実行犯として罪に問うべきと思いますが、彼自身も被害者であることは間違いありません。 

 同様の在日が多数工作活動に関与してきたはずです。北朝鮮はもともと朝鮮総聯や在日を信頼していませんから、人質をとったりして絶対に逃げられない人間以外は重要なことには関与させていないと思います。被害者に加害行為をさせるという卑劣な行為をしてきた体制であるということは今の北朝鮮からしても十分に分かります。

 現地調査をやってきて、不審な失踪が起きている場所と在日韓国・朝鮮人の多住地域が重なっている例は少なくないというのを実感しています。この点はもっと正面から究明しなければなりません。同時に在日、特に公然非公然に朝鮮総聯の活動に関わってきた人たちには、もし今後も日本社会で生きていこうとするのであれば、自分自身が朝鮮総聯とどう向き合うのか(総聯を信じるのか、反対するのか)、明らかにする責任があると思います。そしてもし工作活動に関与していたならその内容を明らかにしなければなりません。

 在日の問題は昨今嫌韓感情、反北朝鮮感情とごっちゃになってかえって複雑になっています。私自身は朝鮮半島に愛着を持ち、研究の対象にしてきた人間です。北朝鮮の体制はもちろん現在の韓国の反日姿勢にはより明確に闘っていかなければならないと思っていますが、一方でヘイトスピーチや「気に入らない人間は全部在日」、といったような考え方にはおよそ賛成できるものではありません。そして、その立場で、朝鮮総聯のやってきたことについては最後まで真相究明をし、問うべき罪を問うていかなければならないと確信する次第です。

 萩原遼さんが一刻も早く回復され、「拉致と真実」の2号以降が世に出ることを心から期待しています。 

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2014年3月10日

不安定な妨害電波から見える北朝鮮情勢

【調査会NEWS1492】(26.3.10)

             専務理事 村尾建兒
 
 張成沢一派粛清・処刑と同時期から続いている妨害電波の不安定な状態は、既に3ヶ月以上経過して依然継続しています。状況は以下の通りです。

●妨害電波はあるものの非常に弱い。

●放送途中から妨害電波が発射される。

●放送前から妨害が発射されるが、途中で止まる。

●全く妨害電波が出ていない。

●周波数変更後の追従に、これまでより時間を要する事が多く見られる。

 7年半の妨害電波との闘いの中では、「しおかぜ」の放送開始直前からきっちりと妨害を発射し、番組が終われば停波するという、ある程度規則性を持っていたものが、上記のように乱れた状況を繰り返しています。
 
 この状況の要因を考えて見ると、一つは北朝鮮の電力不足でしょう。現状の妨害電波発射状況を見る限り、それを機械的にやっているとは思えず、明らかに人為的に操作をしている事が分かります。多分電力が供給されれば妨害を出し、供給されなければ出せない、電力が止まればおしまいのように場当たり的な対応をせざるを得ないのでしょう。

 しかし、北朝鮮の電力不足は今に始まった事ではありません。これまでも、「北朝鮮が国外向けの石炭の輸出を禁止した」とか、「平壌の電力供給は1日4時間」などと複数の報道がありましたが、金正日が死亡した直後でさえ、このように妨害電波に異変が起きた事はありませんでした。しっかり妨害電波の追従は継続され、逆に北朝鮮内でのラジオの取締が強化されたとの情報が複数報道された程です。

 ですから現在の状況は、自国の放送を止めても妨害電波は止めないとされる北朝鮮にとっては、異例の状態である事は明白です。最近では、これまで姿を見せた事のない北朝鮮の国旗を掲げたタンカーが地中海へ出現したという、北朝鮮のエネルギー不足が深刻である事をうかがわせる報道もありました。

 こうした事から、現在の妨害電波異変の根本的な要因は、やはり北朝鮮の大番頭であった張成沢処刑であると考えてもおかしくないでしょう。その影響から対外的政策に変化を余儀無くされ、エネルギー不足も助長、国内の指揮命令系統も混乱した結果、突如、張成沢処刑発表と同時期に「しおかぜ」に対する妨害電波が2週間止まるなど、以前のような妨害電波対策を維持する事が出来ない状態になっていると判断出来るからです。そして、その状態は現在も改善される事無く引きずっているのです。
 
 ラジオの伝播は地球環境により日々変化するが、現状北朝鮮の妨害電波から全般的に言える事は、現在「しおかぜ」の電波は強力であり、こちらのモニタリングや北朝鮮近隣地域からの報告では妨害電波の影響は今ほとんど無いということです。また、その他日本各地や世界から届く受信報告から見ても同様です。熱心に報告を送ってくれる多くの皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
 
 「しおかぜ」では、この機を最大のチャンスと捉え、戦略情報研究所研究員金哲民(脱北者・仮名)氏による内部分析を踏まえた北朝鮮幹部、知識人向けの情報注入と情報提供を促す朝鮮語番組を強化しました。これまでになかった北朝鮮の変化を突き、外部からの情報の量と質を今一層強化しなくてなりません。引き続き皆様のご支援とご協力を切にお願いする次第です。
 

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拉致と真実

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 萩原遼さん責任編集の「拉致と真実」創刊号(星へのあゆみ出版刊)が発行されました。私のインタビューを掲載していただいています。櫻井よしこさんと萩原さんの対談や張成沢処刑など貴重な資料も多数掲載されいてますのでご関心のある方はご一読下さい。お問い合わせ・お申し込みは星へのあゆみ出版(03-6809-3121)までお願いします。
 今日その記者会見が参議院会館でありましたが、萩原さんはご挨拶の中で「自分は胃がんにかかっており、放置していれば余命2か月と言われた」と明らかにされました。明日入院して明後日検査を受けるそうです。それでも「拉致と真実」は出し続けたいとのことで、そのバイタリティーには本当に感服するとともになんとかご快癒を祈念する次第です。


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2014年3月 9日

重ねて情報の見直しについてお願いします

【調査会NEWS1491】(26.3.9)

 情報シートを作成し各方面に情報収集のお願いをし始めて以来、様々なところから情報が集まっています。拉致問題に長く関わってきたジャーナリストの方で、最近になってご家族から「実は30年ほど前不審な男につけられたことがある」という話を伝えられた方がいました。詳しく聞いてみるとある非公開の失踪者の方と場所も時期も極めて近いことが明らかになりました。

 各地の救う会の役員の中でも今になって「そういえば…」という話が出たりしています。個々に見ていればただの偶然とか、思い過ごしに見えるかも知れません。しかし、つながれば新しいことが見えてくる可能性もあります。もう何も出てこないだろうと思っていた市川さん・増元さんの吹上浜周辺でも昨年多数の情報が出てきたのです。そしてそれをきっかけに反対側の大隅半島などでも情報が出てきました。

 実はお恥ずかしい話ですが私自身、最近になってふと思い出した話がありました。都内のある焼肉屋が12年前の9・17小泉訪朝直後、唐突に店を閉めてどこかに引っ越したという話。近所では色々と噂していたとのことです。また、事務所にある書類も今もう一度見直しを行っていますが、忘れていたことが色々と出てきます。こんご差し支えないものは逐次お知らせしていこうと思いますが、昔何となく取っておいた情報が今になると新たな情報と結びつき結構重要に思われることもあります。

 情報シートは下記調査会ホームページからダウンロードできます。「こんなことは皆知っているだろう」とか「もう出てくるはずはない」と思わずに、ぜひ情報をあげて下さいますようお願いします。

http://www.chosa-kai.jp/140204.html

 

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2014年3月 8日

愛媛・高知現調で集会・報告会

【調査会NEWS1490】(26.3.8)

 26日水曜から実施する1万キロ現地調査第20回にあわせ、26日に今治市で救う会えひめ主催の集会が開催されます。今治では昭和46(1971)年4月に看護師の山下綾子さんが失踪しており、また昭和37(1962)年に都内で失踪した会社員二宮喜一さんのお姉さんが住んでおられます。集会の場では「しおかぜ」の収録も行う予定です。場所等決まりましたらお知らせします。開始時間は18:00の予定です。

 28日夜(19:00の予定)には高知市内で現地調査の報告会を開催します。香美市出身の福留貴美子さんは騙されて北朝鮮に入国しよど号グループ岡本武の妻になったと言われており、調査会発足の前から北朝鮮での存在が確認された、いわゆる「救う会認定」です。従って特定失踪者のリストには入っていません。警察が一昨年発表した868人の中でも1人だけ別扱いになっており、北朝鮮の中での状況も、警察の扱いも謎の部分が多い人です。その謎を今回は少しでも解きたいと考えており、永本憲子さん(昭和56年5月宿毛市で失踪)・亀谷博昭さん(昭和61年1月大阪で失踪)の件と合わせ報告会の場で発表する予定です。

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2014年3月 7日

DNAデータ偽造事件に関する情報(2)

【調査会NEWS1489】(26.3.7)

 前回情報の続きです。山形県遊佐町の海岸に身元不明女性の遺体が漂着したのは昭和59年6月21日、山本美保さんの失踪から17日後です。したがってもし遺体が美保さんなら死後最大17日間経過したことになります。それについての記載です。なお、文面は原文を若干修正してあります。
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 本屍の死後経過時間について、山形大の鑑定書では比較的古いことを指摘し、各種気象条件等を考慮して「大約3週間から3か月位」と推定している。つまり屍体の状況から最短でも腐敗や屍蝋化が進んだ場合3週間以上としている。他の法医学者にあっても、鑑定書記載の屍蝋化の状況から、最短期間でも1か月を経ているとの見解が提示されている。

 山本美保さん失踪から本屍発見までは17日間であり、本屍のような外部所見が顕著になるとした警察発表には説得力がなく、説得すべき関係資料も存在しておらず、到底信ずるに値しない。一般的な法医学的所見でない場合であるなら、特殊な事情が存することを積極的に究明・説明すべきである。「あり得る」では説明として認められるものではない。

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2014年3月 6日

救わない

【調査会NEWS1488】(26.3.6)

昨日の参議院予算委員会での安倍総理の答弁が「北朝鮮内乱時の拉致被害者救出を米に要請」と報道されています。

 私は別に失望はしません。これまで半世紀以上の政府の見解であり、安倍政権で特に後退したわけではないからです。しかし、少なくとも現時点で、日本政府が自らの行動によって拉致被害者を救出しようと思っていないことだけは理解しておく必要があります。

 報道されたのはみんなの党井上義行議員の質問に対する答弁ですが、要は何か起きても自衛隊は自衛隊法上は派遣について派遣先国(北朝鮮)の合意が得られないから救出に送れない。国際法上は認められるが日本は憲法9条があるからどう考えても特殊部隊を送ったりすることはできないというものです。

 実はこの前日、すなわち4日の同じ参院予算委で、総理はもう一つ重要な答弁をしています。「北朝鮮が混乱状態になっても拉致被害者の安全をわが国は確保できないので、可能であれば韓国や米国に依頼をする」という内容。社民党福島瑞穂議員への質問で、文脈は米朝間が戦闘状態になったとき北朝鮮への武器弾薬を運ぶ船を日本が臨検等する問題で、福島議員の質問自体は正直「何を考えているのか?」というものですが、総理の答弁はかいつまんで言えば「日本は何もできないのだから、日本人を助けてくれる米国への協力くらいはしないわけにいかない」ということです。

 では、米国や韓国が、日本が後ろで見ているときに自国の青年の血を流してでも日本人を助けてくれるでしょうか。逆に考えてみれば分かりやすい。どこかの国が日本に助けを求めて来て、「わが国には軍事力はありますが憲法上使えません。日本が自衛隊を出してわが国民を救って下さい」と言われたとしたらどうでしょう。

 いわんやシリア情勢を見るまでもなく何もできないオバマ大統領と日本叩きに熱を上げる朴槿恵大統領です。何かしてくれるとすれば余程の見返り(日本が相手国の要求を全て呑むとか)なしには絶対にしないと思います。

 私たちはこのような現実の中にいるのだということ、そしてこの現実を変えない限り拉致被害者の救出もなく、そして今の日本の安全もあり得ないことを忘れてはならないと思います。

(3月6日参議院予算委員会・井上義行議員の質問に対する安倍総理答弁)

 「現在の法の枠組みの中において、もし北朝鮮において内乱的状況が発生した場合においては現行の在外邦人を保護するための枠組みとしては自衛隊法に基づく在外邦人等の輸送があるが、当該輸送を行う際には派遣先国の同意を得ることが前提となるため、御指摘の北朝鮮の内乱のような事態に対して拉致被害者を救出することは困難であると考えられる。

 他方、派遣先国の同意が得られない場合に部隊を派遣して自国民を救出することは国際法上一定の条件を満たす場合には認められる場合があると考えられる。しかしながらわが国の場合は憲法第9条の制約があるため御指摘のような事態、すなわちわが国に対する武力攻撃が発生しているわけではない北朝鮮の内乱のような場合には、一般的にはただちに自衛権発動の要件にあたるとは言えない。自衛隊の特殊部隊を救出のために派遣するといった対応を取るのは憲法上難しい。これは様々な検討を加えても憲法上は難しいという判断である。

 いずれにしても拉致被害者の安全確保ということは極めて重要であり不断の検討を加えている。同盟国たる米国の協力も極めて重要でありその意味において拉致被害者等々の情報も米国に提供しながら必要なときの協力は常に求めている。今後日米同盟を強化するための各種施策を講じると同時に国際社会とも連携してあらゆる事態にすべての拉致被害者の安全を確保すべく全力を尽くして参りたい。」


(3月4日参議院予算委員会・福島瑞穂議員の質問に対する安倍総理の答弁)

 「北朝鮮は既に日本の罪もない人々を多数拉致をしている。当然そして混乱状態では残念ながらその人たちの安全を私たちは確保できない。その際は例えば可能であれば韓国や米国に依頼をする。

 すでに私たちは拉致被害者の人々人権のために米国に情報を提供してるいがそういう中で当該国に武器弾薬が運ばれているときに、私たちはそれを阻止できなくて良いのか。『このときは阻止しませんよ。しかし、拉致被害者については米軍の兵士に命をかけて守って下さいね』とは果たして言えるかどうか。私たちは国民の生命財産を守らなければならない立場として真剣に議論を進めていく必要があると考えている」

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2014年3月 5日

山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件に関する情報

【調査会NEWS1487】(26.3.5)

 これは警察関係者からの情報です。事情があって全部出すことはできませんが山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件について次のような説明がされています。これから逐次お知らせしていきます。

 この事件の真相を明らかにできたなら、私は安倍総理の「自分の代で拉致問題を解決する」という言葉を信じます。それくらい重い問題であり、また絶対に真相を究明しなければ成らない問題でもあります。

 なお、山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件に関する概略は下記をご覧下さい。

http://www.chosa-kai.jp/shiryou.html

◎矛盾点1、歯牙配列上の形態

 歯牙の脱落に関しては、通常では歯根膜腐敗により歯牙が脱落するには、最短で3か月程度、最長で半年程度はかかるとされているが、わずか17日で脱落が発生したということであれば、医学的所見からの特別な事情が説明されなければならない。如何にして数日間という驚異的な速さで歯牙の脱落が起きたのであろうか。

 警察発表ではこの問題について明らかにしておらず、偶然性をもって、本件のような状況が起こりうるとしているが、科学的根拠は乏しい。

 歯牙の脱落に関しては、腐敗進度に大きく影響を受けることになる。

 腐敗進度の進行速度は「気温」・「水温」・「湿度」等に大きな影響を受け、その置かれている環境条件から腐敗進度が変わってくることになる。

 しかし、本件のような屍蝋化現象は、水中や土中での高湿度・通期がないことなどの条件が求められる。つまりミイラ化現象のような死体の異常現象の一つである。

 屍蝋化する場合の条件として「水中」・「土中」等の湿度が高く、通期がない状態が環境条件として求められる。しかし、水中では約1か月位から始まるとされているが、本件では異常な速さである。この異常な速さをどのように説明できるのか重要であろう。

 本件のような異常なしたい現象は、一般的に説明されている、死体の腐敗ではなく、腐敗しない死体と置き換えることもできる。

 一方では死体の腐敗による歯牙の脱落の速度が速く、他方では屍蝋化による特殊な死体現象を呈していることから、このような異常な速さの歯牙脱落が起きるとは考えにくく、また、仮に歯牙の脱落が起きる程腐敗進度が速く、他方では屍蝋化が進む相矛盾する現象が起きていたことになる。

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2014年3月 4日

太平洋側にも浸透経路

【調査会NEWS1486】(26.3.4)

 調査会が入手した某官庁の資料に1枚の地図があります。「工作船の海上浸透経路」とのタイトルで北朝鮮の連絡所(工作機関の基地)がある清津・元山・海州・南浦から日本へ向かう線が引かれています。

 この線の行き先は非常に微妙で、おそらく米子・舞鶴・能登半島・上越・鶴岡ないし酒田・秋田・五能線の十二湖あたり・鰺ヶ沢・津軽線の蟹田あたり・いわき・伊勢湾ないし三河湾に線がたどりついています。どこも怪しい場所ばかりです。

 さらにその線は先日第19回1万キロ現地調査を行った種子島・屋久島周辺も通過しておりランダムに書いたものとはとても思えません。

 また、この地図には説明として次のように書かれています

・漁船(母船)で沿岸30〜10km程度まで接近する
・子船(武装工作船)に移乗し海岸1km程度まで接近する
・孫船(潜行推進機又は水中スクーター)で海岸に達着する
・時期は主として土・日・祭日又は新月等。上陸場所は県境が最適

 この「潜行推進機」というのはご存じない方もおられるでしょうが、昨年11月の山口現地調査のとき同行した元工作員李相哲氏が語っていた「アクアスクーター」と言っていたものと同じだと思います。水中スクーターは蓄電池でモーターを回すものですがアクアスクーターは水上にシュノーケルを出しエンジンで駆動するとのことでした。この情報は他に聞いたことがなかったのですが、すでに政府機関で察知していたというのは少々驚きでした。また、「県境」というのは私たちももう一度見直さなければならないと思いました。

 なお、李相哲氏に太平洋側への浸透について聞いたところ、「自分は知らない。普通考えれば燃料が足りなくなるのではないか。ただし途中で給油できれば可能だと思う」とのことでした。

 なお、この情報とは別なのですが、太平洋側から工作船が電波を発信していたという情報がいくつか上がっていることも確認されています。調査会としては今後もさらに情報の収集及び公開を進めて参ります。
 

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1万キロ現地調査第20回(愛媛・高知)について

【調査会NEWS1485】(26.3.4)

 1万キロ現地調査も今回で20回目になります。次から次へと出てくる情報に驚くばかりですが、ともかく続けるしかないと思います。よろしくお願いします。

 今回の日程、詳しくは追ってお知らせしますが、概略次のようになる予定です。

3月26日(水) 関係者愛媛入り・夕方今治市で山下綾子さん・二宮喜一さんについて調査・聴取・ご家族のしおかぜ収録

3月27日(木) 今治での調査後伊予市で大政由美さんについての調査・聴取・ご家族のしおかぜ収録 終了後宿毛市へ。永本憲子さんについての調査・聴取・ご家族のしおかぜ収録

3月28日(金) 土佐清水市で亀谷博昭さんについての聴取・ご家族のしおかぜ収録 終了後香美市へ。福留貴美子さんらについての調査。終了後高知市へ。関係者のミーティング及びマスコミ等への報告会。

 日程はまだ変更の可能性があります。関係各位にはご協力をよろしくお願い申しあげます。

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