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2011年12月26日

『姜尚中を批判する』

『姜尚中を批判する』は鄭大均・首都大学教授の著書です。年末発売の月刊『正論』2月号で書評を書きました。大変面白く、在日論としても深い本ですのでご一読を勧めます。

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崔永林

【調査会NEWS1111】(23.12.26)

■崔永林

   荒木和博

 朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」では通常金日成と金正日以外に幹部の名前が記事の見出しに書かれることはありません。名目上の国家元首である金永南・最高人民会議常任委員長が外国の来賓と会ったとか外国に行くというときには例外的にあったものの、それ以外には誰の名前もタイトルには出てきませんでした(もちろん、本文には出てきます。また、タイトルも私が見落としていれば分かりませんが)。

 これは金日成・金正日以外他に対する個人崇拝的なものを一切排するためですが、今年の半ばころから崔永林総理が現地視察のニュースで頻繁に登場するようになりました。崔永林という人はエリートではあるものの比較的地味なキャリアの人なのですが、なぜこの人だけが出てくるのか不思議です。金日成・金正日以外の幹部の名前をタイトルに出しても良くなったなら別の人も同様に出てくるでしょう。まだこれがどういう意味なのか、判断することはできないのですが19日に発表された国家葬儀委員会の序列でも軍の一番の実力者とみられる李英鎬より上、金正恩と金永南に次ぐ3位です。今後それがどういう意味を持つのか考える必要がありそうです。

 日本政府は北朝鮮に明確なメッセージを出していませんが、色々なルートで個々の幹部にメッセージを送ってみるというのも意味はあるように思います。

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2011年12月25日

木村かほるさんに関する情報について

【調査会NEWS1109】(23.12.21)

■木村かほるさんに関する情報について

   荒木和博

 去る21日水曜にTV朝日系で放送され、その後読売新聞等でも報道された木村かほるさん(昭和35年秋田市で失踪)に関する藤本健二氏の目撃情報は、現時点で少なくとも矛盾と言えるものはありません。もちろん、あくまで「似た人を目撃した」との情報であり、藤本氏が直接会話したり何かの証拠を入手したわけではないので確認のしようはないのですが、これは北朝鮮での目撃情報であれば仕方のないことです。

 ポスト金正日がどうなっていくのかは不透明ですが、だからこそ拉致被害者の情報収集には政府は全力をつくすべきで、「不確かな情報であり確認できない」からといって動かないのではなく、「不確かだが情報がある」ということで動くべきであるのは当然です。木村かほるさんについて言えば、平壌でタイ人女性に日本語を教えていたとの証言があり、今回の証言はそれとも一致します。また、金賢姫に平壌外大で日本語を教えていた先生が木村かほるさんであるとの情報もあり(これについてはその後在日の帰国者ではないかとの話もあり引き続き情報の確認中です)、北朝鮮に拉致されている可能性は極めて高いと言わざるを得ません。ちなみに私が前にインタビューした元人民軍出身の脱北者崔主活氏は「北朝鮮の一般大学で日本語を教えている拉致被害者がいる」と言っていました。

 どうせ大臣もまもなく替わるでしょうし、政権もいつまでもつか分かりません。政府頼みでこちらは知らん顔とはいきませんので私たちも可能なことはやっていきますが、こういうときは「北朝鮮にいる可能性のある失踪者はすべて拉致されている」という前提で対処していただきたいと思います。災害のときは所在不明であればすべて被災した可能性があるとして対処するのですから。

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2011年12月21日

今後の対処方針/しおかぜ緊急体制

【調査会NEWS1109】(23.12.21)
※昨日(12月20日)の記者会見で以下の文書を発表しました。

■今後の対処方針等について

 金正日の突然の死亡は今後北朝鮮のみならず周辺国をも巻き込んだ変化につながっていくと思われる。これは拉致被害者救出のチャンスである一方、放置しておけば被害者に危害が加えられる可能性もある。今こそ政府の決断が必要とされるときでもあり、本当の意味での「政治決断」が求められるものと確信する。様々な状況を想定し、総理が北朝鮮の政府・党・軍及び国民に向けて拉致被害者の帰還を求めるメッセージを発すると同時に、具体的な情報収集・救出に向けて可能な全ての手段を動員して準備を進めることを求める次第である。

 特定失踪者問題調査会としては当面次のような方針で対処を行う。

1、北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」の一部プログラムの緊急放送化(別紙)
 
2、これまで明らかになっており政府で放置されている特定失踪者に関する情報をもう一度公開して世論の喚起を図るとともに、早急な政府への対応を求める。

3、その他状況変化に柔軟に対応して手段を講じ、可能な限り早く、一人でも多くの救出のために全力を尽くす。主催集会は昨年の10・23集会が最初の最後の予定だったが、必要によっては再度開催することも検討する。

 既にご家族の多くは高齢化し、再会を待ち望みながら次々と亡くなっている。北朝鮮にいる被害者も高齢化した人が少なくない。この機会を逃せば拉致被害者救出は永遠に間に合わなくなる可能性がある。特定失踪者問題調査会としても可能なことは全て行っていく所存である。

平成23年12月20日
 特定失踪者問題調査会代表 荒木和博

■短波放送「JSRしおかぜ」の対応について

                   しおかぜ担当 専務理事 村尾建兒

 「しおかぜ」では、19日の金正日死亡発表を受け、今後の放送スケジュールを緊急体制で行なう事を決定した。

 放送スケジュールは以下の通りとなるが、現状、北朝鮮の動向がどのように変化するのか不透明なため、あくまで暫定的である事とした上で、不測の事態も想定し、臨戦態勢で番組差し替えなどを行い対応する。

●放送内容
 拉致被害者及び北朝鮮に囚われているすべての邦人へ、この混乱期に可能な限り最優先で日本へ情報を送る事を呼びかけると共に、身の安全確保には十分に気をつけるよう促す。

 北朝鮮の状況分析を行い的確な情報を伝えると事とし、今後の動勢には十分に注意するよう呼びかける。また、北朝鮮崩壊による有事など最悪の事態へ発展する兆候がある場合には、直ちに緊急避難放送へレベルを上げる。

●緊急放送スケジュール(暫定)
12月23日(金)22:30〜23:30
12月24日(土)05:00〜06:00
12月24日(土)22:30〜23:30
12月25日(日)05:00〜06:00
12月25日(日)22:30〜23:30
12月26日(月)05:00〜06:00
12月30日(金)22:30〜23:30
12月31日(土)05:00〜06:00
12月31日(土)22:30〜23:30
01月01日(日)05:00〜06:00
01月01日(日)22:30〜23:30
01月02日(月)05:00〜06:00
※その他の放送日についても、適時変更の場合あり

●放送周波数 
夜 22:30〜23:30 6135kHz(現) 5910kHz、5985kHz
朝 05:00〜06:00 5910kHz(現) 5965kHz、6110kHz
※周波数は、北朝鮮当局による妨害電波対策のため適時変更の場合あり

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2011年12月20日

医学的結論書

【調査会NEWS1108】(23.12.20)

■20日13:30からの会見の模様は(株)NetLiveのご厚意でインターネット中継されます。下記のホームページでご覧下さい。

http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html

■医学的結論書

    荒木和博

 朝鮮中央通信は18日付の以下の「医学的結論書」を発表しました。

 「偉大な指導者金正日同志は、心臓および脳血管の疾病のため長期間、治療を受けてきた。
強盛国家建設のための超強度強行軍の日々に折り重なった精神的・肉体的過労により2011年12月17日、走る野戦列車の中で重症急性心筋梗塞が発生し、ひどい心臓性ショックが合併した。
発病即時、すべての救急治療対策を講じたが2011年12月17日8時30分に逝去した。
2011年12月18日に行われた病理解剖検査では、疾病の診断が完全に確定した」

 17日に発病して「すべての救急治療対策を講じた」にもかかわらず午前8時30分に死亡したということは列車は深夜早朝に走っていたということになります。疲労困憊した金正日を真夜中に列車に乗せたのでしょうか。

 また、金日成のときの医学的結論書も同様ですが、解剖して病因が確定したということになっています。既に死んだ人であり生き返るわけではありません。神様のような金正日の身体を解剖してどうするのでしょう。死亡原因が疑わしいものであるために解剖したことにしなければならなかったということではないでしょうか。

 今回の死因は父金日成の死因と同様、公式発表とは違っていると考えた方が良いと思います。そしてそれは今後の北朝鮮の混乱を予想させるものです。20年以上後継者として実権を握ってきた金正日でさえ父親の死後3年間総書記になれなかったのですから。

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2011年12月19日

金正日死亡/記者会見

【調査会NEWS1106】(23.12.19)

■金正日死亡
                            荒木和博

 すでに報道されている通り正午に朝鮮中央放送は重大放送として金正日死亡を伝えました。

 現地指導の途中列車で急死ということは、それが事実だったとしても本人の健康が維持されていたという前提での日程ですから、かなり急なものであったと思います。金正恩への後継は不確定であり、金正日の後継者確定から金日成死亡まで約20年、金日成死亡から総書記就任まで3年かかっていることを考えると、少なくとも金正恩本人の実力では不可能です。

 また、北朝鮮の報道は当然死因を偽っていることも考えられ、金正日に対するテロの可能性も考えられます。いずれにしても金正日死亡によって北朝鮮に大きな変化が起こることは確実です。拉致被害者救出の可能性が一気に高まるとともに、救出するという覚悟が欠かせません。大きな変化を私たちの側に引き寄せられるか、いよいよ正念場となりました。

 今後新たな情報等入れば逐次お知らせします。
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【調査会NEWS1107】(23.12.19)

■緊急記者会見のお知らせ

 報道関係各位

 本日の金正日死亡のニュースを受けて明日緊急記者会見を行います。ご多忙のところ恐縮ですが対応賜りますよう御願い申し上げます。

1、日時12月20日(火)13:30~

2、場所 UIゼンセン会館(東京都千代田区九段南4-8-16 Tel03-3288-3549)
 ※JR・地下鉄市ケ谷駅下車3分(JR出口から靖国通りを靖国神社に向けて進み、三菱東京UFJ銀行の手前の道を右に入って直ぐ 日本棋院斜向い)

3、内容 金正日死後の対応について


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2011年12月16日

訃報(山下春夫さん兄・山下寛久さん)

【調査会NEWS1105】(23.12.16)

■訃報
                            荒木和博

  昭和49(1974)年8月福井県小浜市で失踪した特定失踪者山下春夫さんのお兄さん、山下寛久さんが去る13日心不全で逝去されました。

 はちまき姿で巻物のようにした手紙を読まれる姿を覚えておられる方もいると思います。最近は体調を崩されご家族のおられる北海道で療養されていましたが、薬石効なく旅立って行かれました。慎んでご報告申し上げ、ご冥福をお祈り申し上げます。密葬は北海道で昨日15日執り行われ、年明け1月中旬に小浜にて本葬が行われる予定とのことです。

 去る11月4日、第3回の1万キロ現地調査の折山下春夫さんの失踪関連現場にも足を運びました。現場の状況について議論しながら「何度もここには寛久さんと来たけれど、北海道ではもう出てくるのは無理だなあ」と思っていましたが、それにしても突然でした。最近ご家族の訃報を聞くと残念を通り越してぞっとするような感覚を覚えます。

 山下寛久さんの思いをもう一度お伝えするため、2年前の平成21年7月1日、当時の河村官房長官に手渡された要望書(7月14日付調査会NEWS810号に掲載、一部名前を伏せてあります)を再度掲載します。なお、寛久さんご自身はこのときも体調を崩されており、当日の要請には参加できませんでした。
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 ◎要望書

 日頃は、ご公務におかれまして拉致被害者関連に対し格別のご配慮を賜り厚く御礼申し上げます。現在、福井県嶺南地区には北朝鮮による拉致の可能性が高い特定失踪者が3名います。その中に、私の弟山下春夫(やましたはるお)がいます。

 山下春夫の失踪当時の状況につきまして簡単ではありますが報告をさせていただきます。

本籍地 福井県小浜市(以下省略)
現状所 福井県小浜市(以下省略)
生年月日 1946年(昭和21年)3月25日生

 昭和49年8月17日、小浜ドック造船会社前の堤防へ夜釣りに出かけました。そのまま行方不明となりました。

 失踪当時、現場には靴が残されてバラバラになっていました。誰かと争った形跡が考えられます。会社と釣りの現場は直線で約70メートルの距離です。

 春夫は、田鳥の海育ちであり水死する様な男ではありません。

 当時、春夫は寮を住居とし四国からの5名の方々と一緒に勤務をしていました。

 春夫の勤務状況につきまして、当時の●●さんに伺いました。

 「春夫さんは、仕事にも慣れ船大工として山脇宏社長(故人)から一目おかれて、彼自身の船への執着心が強く社内でも評判でした。

 ある日の事でしたが、『見慣れない男が貴方の会社でプラスチック船の修理の上手な職人はいますか?』と伺って来た事を社長が聞きました。

 社長も北に拉致されたに間違いないと言っておられました」

 春夫が失踪する2ヶ月前(1974年6月)に、高敬美さん・高剛さんが岡津海岸から北朝鮮に送り出されています。春夫の失踪現場から車で15分程の場所です。この事件に春夫も関連していると思われます。

 私は春夫が拉致されたと確信致しております。

 私には時間がありません。 精神的・体力的にももう限界です。一刻も早い日本政府の徹底した再調査をして頂き誠意ある対応を心からお願い申し上げます。

平成21年7月1日

        山下寛久

内閣官房長官 河村建夫殿

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2011年12月15日

海外事情12月号

Kaigaijijou2312

 拓殖大学海外事情研究所で発行している「海外事情」の12月号が発行されました。今回は朝鮮半島特集です。表紙でお分かりのように多彩な執筆者が様々な角度から朝鮮半島を分析しています。ご一読ください。

 通常の書店では販売されていませんのでご購読希望の方は拓殖大学研究支援課(03-3947-7595)にご連絡ください(1冊500円、年間11冊5000円)です。

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チャンネル桜

チャンネル桜に出演しました。

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2011年12月10日

訃報

 元産経の正論調査室におられた大内保治さんが昨日(9日)亡くなられたとの報せが届きました。大内さんは拉致関係のイベントにも度々参加され、調査会の活動も様々な形でバックアップして下さいました。

 先日ガンの治療中であり、抗癌剤の投与をやめたとのメールをもらいました。「大いに命あるまで、遊びましょう」とあり(おそらく同様のメールをもらった人は何人もおられると思います)、それでは新年会でもとメールをお送りしたところ、「楽しみです」との返信をもらったのが今週初めでした。

 私にはなぜかこういう経験が度々あり、悔やんでもどうしようもないのですが、こんなことなら早くにお見舞いに行っておけば良かったと思います。残念です。

 お通夜・告別式は以下の通り執り行われるとのことです。ご冥福をお祈り申し上げます。

通 夜  12月13日(火)18時~19時
告別式  12月14日(水) 11時~12時
式 場  寛永寺 輪王殿 第一会場
     東京都台東区上野公園14-5
     電話   03-3821―4433
     ファクス 03-3821-2255
電車 JR上野駅公園口下車 徒歩5分
  JR 鶯谷駅南口下車  徒歩5分
車  首都高速1号線上野出口より5分
喪 主  大内 綾子
     東京都江東区東陽2-3-3H棟513
お問合せ・御供花注文
    さくら葬祭
     電話  03-5907-6710
     FAX 03-5974-0721

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