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2011年4月28日

丸山元課長からの手紙

【調査会NEWS1041】(23.4.28)

■丸山元課長からの手紙

 山本美保さんに関わるDNAデータ偽造疑惑事件について、平成16年3月の発表を行った当時の山梨県警警備一課長である丸山潤氏(現在バンコクの日本大使館勤務)から先日調査会宛の手紙が届きました。

 これは、県警に対して何度問い合わせても納得のいく回答が無かった点のうち二つについて丸山氏宛に葉書等で問合せを行ったことへの回答です。

 二つとは、(1)山形の身元不明遺体とのDNA鑑定について、実際には家族に一言の説明もなかったのに4回も説明したとしているのはなぜか、(2)山梨県警科捜研でDNA鑑定を行わず科警研、名大と外部で2度の鑑定を行い、名大での鑑定中に初めて遺留品について家族に問い合わせ、しかもその遺留品は家族が見たこともないものだったのに矛盾点を無視したのはなぜか、についてでした。

 これに対して丸山課長からの手紙では次のように書かれています。

「当時私自身も、課員の担当者と共に妹さんである森本美砂さんやお母様である山本文子さんに、山形で発見された御遺体との再鑑定を名古屋大学において実施していることを直接お伝えするとともに、遺留品等の写真をお示ししております。
 また、御家族からの様々なお尋ねには、当時から、山梨県警察として、出来る限り詳しく回答していたところです。
 現在、私は、捜査を行っている山梨県警察を離れており、お答えする立場にありませんので、御不明の点があれば、山梨県警察にお尋ねいただきますようお願いします。
 なお、山梨県警察には、私からも御質問があったことを伝え、必要な対応をされるよう連絡致します」
 
 山本美保さんと山形の身元不明遺体が別人であることは、多数の警察関係者まで認めているところであり、その矛盾点については「詳しく回答」されたことなど一度もありません。そして丸山元課長の手紙にある御家族への再鑑定の説明というのは全くの嘘です。本人の可能性のある身元不明遺体があると聞けば家族のショックは大きく、山本家に限らず直ぐにでもその現場に飛んでいくと言われる方が大部分でしょう。いわんやDNA鑑定をしているなどと言われて忘れるはずがありません。

 しかも、丸山元課長の手紙では、再鑑定をしていると伝えるとともに遺留品の写真を見せたと書かれており、これ自体があり得ないことです。通常はまず遺体のデータや家族への遺留品の確認をして、それで可能性があるとなった場合、DNA鑑定になるのが当然だからです。それを本人が知らないはずはなく、このような回答になるのは、あるいは言外に「自分だけでやったことではない」ということを伝えたかったのかも知れません。

 丸山氏は県警の発表に疑義が呈されてから間もなく京都府警に異動し、その後警察庁で拉致問題を取り扱う外事情報部外事課の課長補佐を務め、一昨年は韓国に行って金賢姫への事情聴取をするなどして、その後バンコクに赴任しました。DNAデータ偽造疑惑事件は当然出先の一課長が勝手にできることではなく、東京からの指示によるものであるのは明らかです。また、特定失踪者について目撃証言があったり写真や情報が出てきている方も多数おられますが、このような現状でそれらの重要な情報がどう扱われるかは言うまでもないことです。

 国家公安委員長を兼ねる中野寛成・拉致問題担当大臣にはこの問題に明確な決着を付けるよう、強く求める次第です。報道関係各位にもこの問題の重大さをもっとしっかりと理解し報道していただくようお願い致します。

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2011年4月23日

実は放射線は大丈夫なのではないか

 私は完璧な文化系人間で、鉄道に関わるところでちょっと理科系をかする位です。したがって、今回福島の原発災害で様々な用語が飛び交うのを見ていても、よく分からないものの、何となく今回の避難とかを見ていて「本当かな」という疑問が消えませんでした。ただの勘と言えばそれだけですが、拉致問題をやってきて政府の動き、マスコミの報道の仕方などを見てきた経験からすれば、どうしても疑いを持たざるをえませんでした。

 4月9日に飯舘村役場に行き、周りの様子を見ても何も異常はなく、瓦が落ちているところがいくつか見える程度でした。行った2日後の11日に避難指示が出されました。空気もおいしいし、こんなところから避難させられたら体調を崩すだろうと感じた次第。

 福島の放射線の問題については、稲恭宏(いな・やすひろ)博士が全く問題ないと主張しており、その内容はYouTubeなどで見ることができます。昨日お会いしてお話しを聞きましたが、この方面に詳しい友人の福井義高・青学大教授もほぼ同じ意見で、国際的にも確立された理論のようです。

 要は塩も一度に大量に飲めば身体に害があるが、少しずつなら害はない、というより、摂取しなければ身体に悪いということのようです。今政府が基礎にしているのは少しずつ飲んでも一度に飲んでも結果は同じという考え方で、それに基づいて住民を避難させています。もし、何でもないところから無理矢理住民を避難させて、避難所などで窮屈な生活を強いれば、かえって健康被害が起きるのではないかと思います。

 これからもう少し勉強するつもりですが、何か読んでも頭には入らないでしょうから、論より証拠で早い内に現地に行って放射線を浴びてこようと思います。

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2011年4月21日

警備局長答弁

【調査会NEWS1039】(23.4.21)

■性別・血液型・推定年齢・身長と「DNA」以外に一致するものなしー警備局長答弁

荒木和博

 前号ニュースでお知らせした昨日の参院拉致特での山谷えり子議員の質問に対し、答弁した警察庁西村警備局長は「(昭和59年6月21日に山形県の海岸に漂着した)身元不明死体が美保さんであるとの判断については、検視・司法解剖の結果得られた性別・血液型・推定年齢・身長に関する事項やDNA型鑑定結果をふまえ、総合的に判断した」と答弁しました。

 性別は男と女しかありません。血液型は四つだけ(身元不明遺体の鑑定書はA型とのみ記載)。推定年齢は鑑定書では23歳前後(20歳〜25歳)位とされています(山本美保さんは20歳)。推定身長は160センチ〜170センチで、両足の切れた遺体ですので推定でしかありません(山本美保さんは159.5センチ)。

 逆に言えば、開示のできないDNA鑑定書以外にはこれ位しか山本美保さんと山形の身元不明遺体を結びつけるものがないということです。もちろん矛盾点については一つも説明できていません。これで同一人物だというならAKB48など何人でも同一人物になるでしょう。西村警備局長答弁は警察の主張がそもそも根拠のないものであることを自ら明らかにしたものであり、考えようによっては共犯者を一人増やしただけと言えないこともありません。

 中野寛成・拉致問題担当大臣は山本美保さんのご家族とも会うと答弁しています。かつて中井洽・元担当大臣は「山本美保さんのこともやっている」と言っていました。大臣には報告書も上がっていたようですが、結局うやむやのままに退任してしまいました。国家公安委員長でもある現大臣の任期中に「政治主導」で明確な結果を出されることを切に期待するものです。

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2011年4月20日

参院拉致特

【調査会NEWS1038】(23.4.20)

■本日の参院拉致特で「山本美保さんに関わるDNAデータ偽造疑惑事件」について質問

 本日13:00から行われる参議院拉致問題等特別委員会で自民党の山谷えり子議員が「山本美保さんに関わるDNAデータ偽造疑惑事件」について質問の予定です。質疑の模様は参議院のホームページから生中継で見ることができます。

 この事件は警察関係者でさえも直接関わりのない人は多くが疑問を呈しています。現在様々な方向からアプローチが行われていますが、すでに矛盾は余りにも明らかであり、当局には一刻も早く真実を国民に知らせる必要があります。この問題は政府が拉致問題にどのように取り組んできたか、本質を理解する上でも極めて重要な事件です。ある意味、これまで様々に入手された多数の特定失踪者に関わる目撃証言、生存証言等がどのように扱われてきたのかを理解することができます。報道関係各位におかれてもぜひ積極的に取り上げて下さいますようお願い致します。

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2011年4月16日

弥生慰霊堂

 靖国神社と道を隔てて反対側、武道館に入る田安門の上の方に警視庁と東京消防庁の殉職者慰霊施設「弥生慰霊堂」がある。昔は神社だったのだが、宗教色を無くし鳥居を撤去したので何ともしまらない施設になっている。
 私は靖国神社に行ったときはできるだけここにも寄って一礼して来ることにしているのだが、昨日行ってみたら公園管理事務所の立ち入り禁止の看板が立っていた。別に立ち入り禁止にする必要もないだろうと思って中に入ると灯籠が倒れていた。
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 地震で倒れたものだろうが、ということはパイロンを立てて柵を作る以外、このひと月間何もしていなかったということか。いくら何でも殉職者に失礼ではないか。
 ここには「弥生慰霊堂」と書いた石碑があるだけで、何のための施設なのかについての説明は全く書かれていない。警察関連の施設なのでテロを受ける可能性があるとか言うのが理由らしいが、どうせ無宗教の建物なのだから、爆破されれば(いまどきそんなヒマな左翼もいないと思うが)作り直せば良いだけだ。
 何よりここには殉職者を思う気持ちが感じられない。本当なら小学校の社会科見学などのコースにでも入れて、殉職した警官や消防士の話でも聞かせてあげるくらいのことをして当然だと思う。今は田安門のあたりにある案内板にも書かれていないので気付く人すらいないのが現実だ。
 私はそれでも他に行くところがないから行くのだが、多数の人が訪れる靖国神社と比べて余りにも差がありすぎる。部下が殉職した警察のOBとか、誰かどこかに小さな祠でも作って亡くなった方々への感謝の念を捧げられるようにしてもらえないのだろうか。

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2011年4月13日

飯舘村

 去る9日土曜、予備役ブルーリボンの会の有志で陸自郡山駐屯地等災害派遣に従事している部隊に激励を行いました。
Hinomaru


その折飯舘村役場も訪問して物資をお渡ししてきました。
 11日に飯舘村には政府から避難要請があったとのことですが、本当にその必要はあるのでしょうか。まあ目に見えないものですから何とも言えませんが、空気は美味しく、一杯吸ってきました。こんなところから避難所に移されたらそのストレスの方が害が大きいようにも思えました。


Iitate


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2011年4月12日

北陸現地調査/リスク

【調査会NEWS1037】(23.4.12)

■北陸地方現地調査

 当初3月12日から14日の日程で計画し、東日本大震災の影響で延期になっていた北陸3県の現地調査は次の日程で行うこととなりました。

6月10日(金)富山
6月11日(土)石川
6月12日(日)福井

 詳細についてはまたご連絡します。関係各位にはご対応方よろしくお願い申し上げます。

■リスク
     荒木和博

 福島の原発被災で、突然に専門用語やマイクロシーベルト、ミリシーベルトなどのそれまで聞いたこともなかったような単位が飛び交っています。全く門外漢の自分には何がどうなっているのかよく分かりませんが、想像するのは、例えば大体大丈夫だろうと思える地域でも、絶対に大丈夫だとは言えないために中途半端な発表になり、「それなら可能性があるということか」→「危険ということだな」と話が大きくなって不安を拡大しているのではないかということです(あるいは逆もあるかも知れませんが)。

 安全に絶対などということはあり得ませんし、こんな状況では保証もできないと思いますが、子供ならともかく、私たちみたいな50過ぎの人間では関係ないようなことも少なくないのではないかと思います。誰かが決断してリスクを負ってでも事態を収束させなければならない。それができないことが現在の混乱の一因であるようにも思えるのです。

 なぜこんなことを書いたかと言うと、この発想が拉致認定のことと良く似ているからです。警察はたびたび「もし認定した人が拉致でなかったら北朝鮮から反撃される」と言って拉致認定しない理由にします。しかし、現在のわが国の拉致問題解決(というより、政府によれば「被害者の帰国」)の手段からすれば認定しない限り「帰国」の対象にはならず捨て置かれるだけです。

 しかし、日本政府が認定するかどうかなど、北朝鮮に拉致されている人とは何の関係もありません。「北朝鮮の反撃」というのは、例えば拉致自体を北朝鮮が全面否定していたときならまだしも、既に拉致自体を認めてしまった今となっては全く気にする必要はないはずです。例え100人認定してそのうち10人違っていたとしても、拉致被害者の救出が進むならその方が遥かに正しい選択ではないでしょうか。僅かなリスクを恐れて本来の目的に目をつぶることはあってはなりません。

 救出するという本来あるべき目的をあえて隠して、帰国させるなどという言葉で誤魔化すのはかつて占領軍を「進駐軍」と言い換えて精神の安定を得たのと同じ発想です。警察がリスクを負わないならその上の政府の決断によって別次元の行動をすべきだと思います。福島の原発への政府の対処を考えるとき、その思いはさらに強くなっています。

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2011年4月 9日

意見書

【調査会NEWS1036】(23.4.9)

■「山本美保さんに関わるDNAデータ偽造疑惑事件」意見書

 この事件では平成16年3月5日に山梨県警が山本美保さんであると発表した山形の身元不明遺体について、体格や遺留品、遺体の状況などがことごとく別人であることを示しているのはすでにご存じの通りですが、警察の発表の唯一の根拠となっているDNA鑑定書はご家族の要望にもかかわらず非公開のままです。

 そこでご家族・支援者は昨年11月11日付けで県に対し鑑定書の開示請求を求めましたが、同月22日付で県警本部長名不開示決定通知が伝えられました。これに対して1月18日、不開示決定を取り消すことを求める審査請求を県情報公開審査会に対して行いました。

 その請求について3月4日、県情報公開審査会から諮問庁(県公安委員会)からの「不開示理由説明書」の写しが届き、その文書に「反論があるときは意見書を提出して下さい」となっていたため、4月7日、山本美保さんの双子の妹である森本美砂さんが意見書を情報公開審査会に提出しました。意見書作成にあたっては法律家の会の小笠原忠彦弁護士のご協力をいただいています。

 以下意見書を掲載します。なお、3月4日に届いた不開示理由説明書の写し等は下に掲載してあります。

  それにしても、山本美保さんと山形の遺体が別人であることはもう誰でも分かっているのに、警察は何でいつまでもシラを切り通そうとするのか、若干の寂しさを感じます。
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平成23年4月7日
山梨県情報公開審査会 会長 濱田一成殿

           意見書

               審査請求人   森本美砂

 審査請求人は山梨県公安委員会の提出した不開示理由説明書に対し以下のとおり意見を述べます。

第1 不開示理由説明書第3項以下の事実に対する認否

1 不開示理由説明書3項(1)の事実は認める。 

2 同3項(2)の事実は不知である。

3 同3項(3)の事実中、平成22年11月22日付け、梨備―情五第54号により行政文書不開示の処分がなされたことは認め、その余は不知である。

4 同3項(4)の事実は認める。

5 同4項(1)の事実は認める。

6 同4項(2)アの事実中、第1段落の事実は認め、第2段落の事実は否認する。

7 同4項(2)イ(ア)の事実は否認する。

8 同4項(2)イ(イ)の事実は認める。

9 同4項(2)イ(ウ)の事実は認める。

10 同4項(2)ウの事実中、本件文書が甲府市内女性行方不明事案に関する捜査の一環として、山形県で発見された身元不明死体について、その身元確認のため、当該行方不明女性の双子の妹との姉妹関係の有無についてなされた鑑定であること、本件行方不明事件は、平成16年1月29日、審査請求人が外国移送目的略取誘拐事件として山梨県警察本部に告発し、同年2月9日、これが受理された事件であることは認め、その余は不知ないし否認する。

11 同5項の事実中、昭和59年6月4日に失踪した山本美保が、昭和59年6月21日に山形県遊佐町の海岸で見つかったご遺体であると山梨県警が発表したこと、この根拠になった資料についての審査請求人の主張は概ね認め、平成16年4月7日に審査請求人が同人の訴訟代理人立ち会いの下で本件文書を閲覧したこと、平成23年1月6日に再度、審査請求人、代理人、訴訟代理人の3者が本件文書を閲覧したことは認め、その余は否認する。

12 同6項は争う。

第2 審査請求人の主張

1 山梨県情報公開条例第4条の趣旨は、刑事訴訟に関する書類及び押収物については、刑事捜査及び公判維持の必要性、刑事被告人の権利、被害者および関係者のプライバシー権保護のために例外的に公開の範囲外としたのであり、それが情報公開の例外である以上、条例第4条の趣旨及び文言は制限的に解釈されるべきである。

2 刑事訴訟法第53条の2は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の適用の例外を定めるものであり、例外である以上、ここに規定する「訴訟に関する書類」とは、厳格かつ制限的に解するべきである。

3 山梨県情報公開条例は、その第1条が規定しているように「県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし県民の県政への理解と信頼を一段と深めるとともに、県民が県政に関する情報を適格に知る権利の尊重に資することにより、県民参画の開かれた県政を一層推進することを目的」としている。
  審査請求人が本件文書の公開を求めたのは、まさに山梨県情報公開条例の目的とするものと同一である。従って、原則として本件文書を山梨県情報公開条例により公開するべきであることは当然である。

4 問題は、山梨県情報公開条例第4条の規定の適用があるかどうかである。山梨県公安委員会は、同条の適用があると主張する。しかし、これは誤りである。以下、詳述する。

(1) まず、山梨県情報公開条例第4条は、「刑事訴訟に関する書類及び押収物について」は、この条例の規定は適用しないとしている。しかし、前述のとおり、本来、山梨県情報公開条例第1条の目的からすれば、本件文書は原則として公開されるべき行政文書である。それが例外的に同条例第4条により、公開されないとすれば、その第4条の適用については、厳格かつ制限的に解釈されなければならない。

(2) ところで、山梨県情報公開条例第4の趣旨は、刑事訴訟に関する書類及び押収物については、起訴前においては捜査の密行性が重要であること、関係者のプライバシーの保護の必要が高いことがあげられる。この点で、本件文書は形式的には起訴前の刑事訴訟に関する書類であると言えなくはない。
しかしながら、本件文書により、山形のご遺体と行方不明女性の双子の妹の姉妹関係について姉妹関係があり、昭和59年6月4日に失踪した山本美保が、昭和59年6月21日に山形県遊佐町の海岸で見つかったご遺体であると山梨県警が発表しており、捜査の密行性については本件文書に限っては捜査実施機関である山梨県警の公表により否定されていると言っても過言ではない。
また、関係者のプライバシーの観点からもプライバシーが侵害されるのは、行方不明女性及びその家族と山形のご遺体の家族やその関係者であるところ、本件文書の開示を求めている審査請求人は行方不明女性の双子の妹であるから、審査請求人に開示されたからと言って、行方不明女性及びその家族のプライバシーが侵害されることはない。
その上、本件文書は鑑定書であり、その鑑定結果が行方不明女性と山形のご遺体が同一であるとの結果である以上、これを公開しても山形のご遺体の関係者のプライバシーが侵害されることはありえない。
従って、本件文書が形式的には「刑事訴訟に関する書類」であったとしても、その例外の趣旨からすれば、本件文書は実質的には例外とする「刑事訴訟に関する書類」には該当しないと言うべきである。

(3) 捜査公判に関する国の活動は司法機関である裁判所により図られるべきであるとの理由について
山梨県公安委員会は、捜査公判に関する国の活動は、司法機関である裁判所により図られるべきであることを不開示の理由としている。
しかし、刑事についての司法警察活動は、都道府県公安委員会の所管の下で都道府県警察が行っており、司法機関である裁判所が刑事手続きの基本的な適正確保を図るのは原則であるが、山梨県民が県政に関する情報を適格に知る権利に基づいて、県政に関し説明を求め、県政においても県民の理解と信頼を得るために、情報の公開を行うことはこれと全く矛盾するものではない。
さらに、具体的な情報公開決定について争いがある場合には最終的には、司法機関である裁判所が判断することになるのであること、ことは山梨県情報公開条例4条の解釈の問題であって、個々の刑事手続きの問題ではないのであるから、この点についての山梨県公安委員会の主張には理由がない。
 
 (4) 本件文書の性格について
    本件文書は鑑定書であり、客観的かつ科学的で学術的な文書である。そこでは、客観的かつ科学的に正しい鑑定であるか否かが問題になるだけである。鑑定書が客観的かつ科学的に正しいものか否かは、公開されて他の専門家の分析を経る必要がある。従って、それが公開されることは、むしろ適正な捜査、公判に資することはあっても、それ以外に弊害が生じることはない。
現に、刑事訴訟法47条で厳しく非公開とされている起訴前の捜査記録も、これまで民事訴訟による権利行使のために実況見分調書や写真撮影報告書等の客観的証拠について、原則として代替性の有無にかかわらず、閲覧・謄写が認められてきた。しかも近年、被害者からの事件の内容を知りたいという強い要望に応えて、事件の内容を知るという目的のためにも客観的な証拠については原則として閲覧を認めるというより弾力的な運用が相当であるとして平成20年11月19日付で法務省の通達が全国の検察庁になされている。
このような起訴前の明白な捜査記録でさえ、客観的な証拠であれば、民事訴訟目的あるいは事件の内容を知るという目的のために刑事訴訟法上で閲覧が許されているのであるから、客観的な証拠である本件文書を被害者の遺族である審査請求人に対して公開することはまったく問題がない。この意味で、本件文書のような客観的な証拠は、一面で民事訴訟の追行や被害者が事件の内容を知るための文書であるとも評価できるので厳密な意味での訴訟目的のためだけの文書とはいえず、山梨県情報公開条例の趣旨や行政機関の保有する情報の公開に関する法律の趣旨から制限的に解釈すれば、山梨県情報公開条例第4条の規定する「刑事訴訟に関する書類」ではないといえる。
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2011年4月 6日

戦略情報研究所講演会(梅原克彦氏)

■戦略情報研究所講演会のお知らせ

 今回の戦略情報研究所講演会では東日本大震災の現場に入って活動された梅原前仙台市長のお話をお聞きします。奮ってご参加下さい。

1、日程:平成23年4月25日(月)18:30〜20:30

2、場所 特定失踪者問題調査会事務所3F(東京都文京区後楽2-3-8 Tel 03-5684-5058)

 http://www.mapfan.com/index.cgi?MAP=E139.44.53.3N35.42.3.3&ZM=11 

※JR・地下鉄飯田橋駅下車5分(JR東口を出て大きな歩道橋を上ります。見渡すと一カ所だけ歩道橋が首都高速の下を通っていますのでそこをくぐって突き当たりを左に下ります。30メートル程行くと五洋建設の本社があり、その二つ先の第6松屋ビル3階です。1階が「南蛮渡来」という飲食店になっています)
 ※いつものUIゼンセン会館ではありません。ご注意下さい。

3、講師:梅原克彦・前仙台市長
 昭和29年仙台市生まれ、東京大学卒、通産省入省、駐米公使などを経て平成17年から21年まで仙台市長を務める。

4、テーマ:「東日本大震災、現場からの報告」

5、参加費 2000円(戦略情報研究所会員は無料)。

6、中継 前半の講演部分約1時間、(株)NetLiveのご厚意によりインターネットでの中継を行います。遠方などで参加できない方は下記ホームページからご覧下さい。
     http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/index.html

7、参加申し込み 事前のお申し込みは不要です。そのまま会場においで下さい。

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