「滅共統一」と「テーハンミングク!」
(調査会News938号に加筆しました)
6月14日から18日までソウルに行っていました。今回は15日にソウル市内の憲政記念館で開かれた「北朝鮮の反人道・反平和犯罪終息のための国際会議」への参加が主たる目的でした。日本からは増元照明・家族会事務局長と私が参加し、増元さんは「北朝鮮の反人道犯罪被害者の証言」として拉致問題に関する経緯と現状を報告、私は「国連の役割と限界」と題しお話ししました。
増元さんはきちっとレジメにのっとって話されましたが私の方は時間がなかったこともあり、レジメにはあまりとらわれずにスピーチをしました。私の下手な韓国語ですからどれだけ理解してもらえたか分からないのですが、会場でふと思いついて次のようなことも話しました。
「私が最初に韓国に行ったのは1977年のことです。当時は街のあちこちに『滅共統一』というスローガンが書かれており、『過激な国だなあ』と驚いたのですが、それから33年経った今日、考えてみると行くべき道は『滅共統一』しかないのではないでしょうか」
何人かは拍手してくれましたが、今の韓国ではこういう会議でも北朝鮮の政権を崩壊させるべきと発言する人はほとんどいません。今回も来賓で来た金泳三元大統領は金正日を「殺人魔」と呼んでそんなことを言っていましたが、他の人は国際法上の問題とか、外国人も韓国人も議論のための議論が多かったように思います。正直なところ増元さんや増元さんと一緒に証言した脱北者女性2人の方がよほど具体的で分かりやすかったです。
もちろんやれば何らかの効果はあるのでしょうが、国際会議というのも下手をすると開催自体が目的化しがちです。もう金正日体制を倒す以外に北朝鮮がまともになる道のないことは分かっているのですから、「どう認識するか」「法的にどうか」の段階で会議をやっても成果はないでしょう。「どう倒すか」なら別ですが。
ちなみに最後のまとめで私は統一の問題について、「これだけは韓国の皆さんにしかできません」と言いました。あまり反応はありませんでした。もはや大部分の韓国国民が統一を(少なくとも早急には)望まないという現状で、「滅共」も「統一」もそう簡単には行かないでしょうが、現実から逃げない姿勢が必要なのではないかと考えた次第です。日本人に言えた義理ではないかも知れませんが。
ところで帰国前日の17日はワールドカップの韓国・アルゼンチン戦でした。韓国は残念ながら4ー1で負けましたが応援は気合いが入っており、ソウル広場を埋め尽くす真っ赤なTシャツと「テーハンミングク(大韓民国)!」と叫ぶ応援は壮観でした。下はデジカメで撮ったその光景。この後前半終了直前に1点韓国が入れて大騒ぎでした。これは広場の入口あたりで、広場には何万人いたのか良く分かりません。こんなときに爆弾テロでもやられたらどうするのかと思ったのですが、北朝鮮よりサッカーという感じでした。
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