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2009年8月31日

総選挙

 予想されたこととは言え数字を見るとともかく凄いと思いました。

 ああなると候補者個々の資質や実績など全く関係ない結果だと思います。落ちて欲しくない人も何人も落ちてしまいましたが、逆に言えばこの結果はあまり本人の責任として気にするべきものではないでしょう。

 程度の差こそあれ同様のことはこれまでも社会党「おたかさんブーム」「日本新党ブーム」「小泉郵政選挙」と経験してきたので、基本的には同様だと思います。今までの突風が二度続かなかったことを考えると、次回はまた別の風が吹くのでしょう。もっとも今回は量的に大きな変化なので、自民党に揺り戻しをもたらす力が残っているかどうかが問題ですが。

 拉致問題に携わるものとしてはこの風をどう利用するかが大事だと思います。特にこれまで政府が隠していた部分を少しでも国民の目の前に明らかにできれば、その事実によって前に進めることはできるでしょう。「飯倉公館事件」や「DNAデータ偽造疑惑事件」、そして警察庁にあるはずの拉致の可能性の高いと思われるリストなどを何とか明らかにしていくためにがんばっていきたいと思います。

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2009年8月27日

経済制裁

※8月27日付の調査会NEWS 827号に書いたものです。

 家族会・救う会の衆院選候補者アンケートで回答した候補者の三分の二が全面的経済制裁に賛成でした。救出運動が始まった12年前には想像もできない数字ですが、家族会・救う会の皆さんの努力が実ってきているのだと思います。

 その一方で、経済制裁に反対する声も最近度々聞かれるようになりました。例えば前の家族会事務局長であった蓮池透さんは、ある集会で「制裁が効いているのかと言えば、中国から北朝鮮に物資やエネルギーがどんどん入っている状況です。経済制裁は北朝鮮をかたくなにするだけで、何の効果もないと思います」と言っています。蓮池さんの経済制裁反対の発言はこのときだけではないので、本人の確信に基づいたものなのでしょう。

 蓮池さんの言っていることの中で、今の日本政府が広報活動などしかやっておらず、取り返すための具体的なことが不十分だという内容もあったと思います。それは私も同感です。また、経済制裁「だけ」で良いとは思いません。

 しかし、問題は根本的な姿勢です。相手は普通の国ではなく、建国以来続いた対南(韓国)赤化統一という基本方針のもと、休戦でしかない朝鮮戦争の延長線上で拉致を行っている国です。そこから被害者をすべて取り返すためには闘う姿勢が欠かせません。

 経済制裁は国家として、その意思を表すとともに、直接の効果以外に北朝鮮の工作活動の抑止など様々な効果があります。組織が先細りするばかりの朝鮮総聯が僅かな力を振り絞ってやるのが「経済制裁反対」の行動であるのは、逆に言えばそれが効果がある証拠だということです。

 また、付け加えて言えば蓮池さんや、多くの制裁反対派(?)は北朝鮮の人権問題についてはほとんど語ろうとしません。

 帰国した弟の薫さんは北朝鮮で公開処刑など、様々な人権侵害の場を見ているはずです。実際に中に入ったかどうかは別として政治犯収容所のことも良く知っているでしょう。だからこそ、そういう問題について話せないのでしょうが、少なくともそういう国だからこそ拉致事件も起こしたのだということは無視するべきではないと思います。

 過去の問題とからめるのは単なる詭弁です。今の北朝鮮が最低限の人権が保障されている国であればともかく、今も自国民に対しても世界に希な人権蹂躙を行い、多くの国民を餓死させて恥じない金正日体制が過去の問題を持ち出すのは単に日本から何かを得るための手段でしかないことは誰にでも分かるはずです。

 経済制裁の効果がない、金正日の側にも一理ある、北朝鮮の体制を倒そうなどと言うべきでないという皆さんは(とりわけ蓮池さんは)、政治犯収容所の体験者、脱北者から一度しっかりと北朝鮮の人権状況を聞いてみたらどうでしょうか。その上で彼らに(そして収容所の中で殺された人々、公開処刑された人々に)向かって同じことを言えるのであれば、それはそれで結構だと思いますが。

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2009年8月19日

金大中

 「金大中事件のときに殺しておけばよかったんだ」

 数年前、私がお世話になった韓国のある大学教授のこの言葉を聞いたときはさすがにどきりとしました。扇動家的な人ではなく、冷静な視点でものごとを分析する方でしたから。

 死者に鞭打つべきではない、というごく優等生的な感覚からすれば、民主化の闘士であり、大統領も務め、南北関係の改善に寄与したことを賞賛するべきなのかも知れませんが、私はどうしてもこの人を評価することができません。自らがノーベル平和賞をもらいたいがために、膨大な韓国民の血税を使い、何も変わっていない北朝鮮を変わったと勝手に解釈して、金正日体制の延命に力を貸してきた人です。そのおかげでどれだけ沢山の北朝鮮の民衆が死に追いやられたことか。

 1980年代から90年代にかけて、韓国政治の病根であった全羅道対慶尚道の「地域感情」も、元はと言えば金大中氏が自らの勢力を強めていくために煽り続けたことの結果です。結局この人が大韓民国、あるいは朝鮮半島にもたらしたものはプラスよりはるかにマイナスの方が多かったと言わざるを得ません。

 しかし、盧武鉉前大統領が自殺し、今回金大中元大統領が亡くなったことで、自由民主主義国家大韓民国における「失われた10年」の主役がともに退場したことになります。今後韓国の左翼は少数化、先鋭化していくでしょう。取り返せるかどうかは李明博政権と韓国民の意思にかかっています。

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2009年8月18日

左派

 小沢前代表も参加した民主党の集会で党旗を作るために国旗を2枚切り貼りしてつなげたとのニュースが流れてきました。誰がやったのか知りませんが、少なくとも「国旗を切ってもかまわない」という認識があるからこういうことになったのでしょう。

 しかも党首討論会で麻生総理に指摘されると鳩山代表は「われわれの神聖なマークなので、きちんと作られなければいけなかった」と答えたとのこと。神聖なのは国旗であって党旗ではありません。私は旧民社党の人間として民社党の党旗、マークに今でも誇りを持っていますが、「神聖」というのはそう簡単に使うべきではないと思います。

 民主党には旧民社党の仲間が中央地方に多数おり、私自身政権交代への期待は、保守派の方々よりは強いと思います。しかし、その私でさえ解散以降聞こえてくる話は「本当に政権交代して大丈夫なのか」ということばかりです。

 戦後政治の中で、初の社会党政権である片山内閣を潰したのは党内の左派でした、昭和35年に民社党が結党されるのももともとは左派による右派攻撃が発端でした。細川連立政権の後を受けた羽田政権が短命に終わった理由の一つは社会党が自民党とくっついたことでした。

 政権選択の選挙である今回総選挙(本来は総選挙はすべて政権選択の選挙なのですが)で、国民に不安を抱かせているのはことごとく左派的な政策や幹部の発言、行動です。民主党の中に自民党よりまともな議員は何人もいるのですから、もっとそういう人が声をあげて、党の舵取りをしていってもらわなければ、仮に今回政権を取れたとしても片山内閣の二の舞になってしまう可能性すらないとは言えません。

 小沢一郎・前代表のやり方は「一番左と手を組めば途中は皆付いてくる」というものなのでしょうが、数がすべてというやり方は結局失敗します(小沢さん自身のこれまでの政治家としての道のりを見れば一目瞭然です)。

 民社党は昭和50年代前半、労働組合の中で左派との対決が一段落し、闘いを忘れていきました。その結果が昭和60年以降の党勢の衰退でした。国際的にも第二次冷戦とも言える状況の中、もう一度左派との闘いに目を向けるべきではないかと思います。それが明確になれば民主党政権は放っておいても転がり込んで来る(自民党があの調子ですから)と思うのですが。

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2009年8月11日

8月29日のシミュレーション

8月29日に新潟市西蒲区の海岸で行う工作員上陸、拉致等のシミュレーションについては予備役ブルーリボンの会のサイトにてお知らせを行います(右にリンク)。見学される方はそちらを逐次チェックして下さい。拉致のシミュレーションは既に行っており、その模様も掲載されていますが、当日はそれなりの意味のあるものをお見せできると思います。
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(現地の海岸)

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国連警察隊?

 今日の新聞に民主党が「国連警察隊」の設置を検討しているとの記事が載りました。これを使えば日本の主権行使ではないので武器使用が出来るとのこと。要は国際的な対面を保ちつつ党内左派や社民党にも納得させられるということなのでしょうが、国家の整合性からすれば全くナンセンスな話としか言いようがありません。

 国連という、極めて実体の曖昧な組織の下に武力を持つ常駐組織を作り、その指揮下に日本国民を入れるということを本気で考えているとしたら、ごまかしを続けている自民党の国防政策よりさらに始末の悪い内容だと思います。

 昨日は平沼拉致議連会長の選挙区に民主党が「刺客」を送り込むとの報道がされていました。自党の中の左派どころか社民党まで手を結んでおいて、平沼さんのところには候補者をぶつけるという姿勢は何を考えているのか、党内の旧民社系や保守系のみなさんは何も言わないのでしょうか。こういうときだからこそしっかり舵を切っておかないと後で悔いを残すことになるのではないか。それが民主党だけの悔いならともかく、国民の悔いにもなるのではないかと思います。

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2009年8月 6日

原爆投下と平和の夢

 8月5日の時事電によれば、世論調査で米国人の61%が原爆投下は正しかったと考えており投下を支持しない人は22%にとどまったそうです。

 この数字を見てなるほどな、と思いました。私たち日本人が勝手に「過ちは繰り返しませんから」と思ったところで、落とした当事者が正しかったと考えていたらどうしようもありません。鳥居民さんの『原爆を投下するまで日本を降伏させるな』(草思社刊)に書かれているように、すでに継戦能力を喪失していた(中国大陸などは別として)日本にとって、本来もっと早くに終戦に持ち込めたのを長引かせて、あえて原爆を投下したアメリカからすれば、逆に「戦争を早期に終わらせるため」という大義名分はどうしても必要だったでしょう。その理屈がなければただの虐殺ですから。

 敗戦後、サファリパークの中の平和を享受してきた日本は、ある意味夢の中にいたのかも知れません。明治、大正の世代はそれでも自分たちがサファリパークに連れてこられたと知っていたのでしょうが、昭和になってからの世代(戦中世代でも)は自分たちがいるところが本当の世界だと勘違いしてしまったように思います。獲物を捕まえなくても餌が与えられる、外敵と戦わなくても生きていけるという幻想の中で半世紀余が過ぎ、そろそろその幻想が消えてきているのでしょう。

 「憲法を変えなければ何もできない」ということではなく、意外と個々人の発想の転換で全体の大転換もなされると思います。

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2009年8月 2日

「月刊民社」

 内輪向けに書いたものですが、民社協会の機関紙「月刊民社」8月1日号に寄稿した拙稿です。民主党の中でも旧民社系は埋没しがちで、周りから見ていると何とも危なっかしい限りです。もう少ししっかりしていてくれたら「民主党が政権をとっても大丈夫」と言えるのですが。

Minsha

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