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2008年12月31日

水中スクーター

※以下は調査会NEWS 732号に書いたものです(写真は別)。

 北朝鮮の工作員が上陸浸透に使うための水中スクーターは現在3台が発見されています。(1)福井県美浜町の海岸で平成2年10月に発見されたもの、(2)富山県黒部川河口で平成13年3月に発見されたもの、そして(3)同じ平成13年の12月に奄美沖でのいわゆる「九州南西海域における工作船事件」で沈没した工作船に搭載されていたものです。

 ここではご参考まで、(1)と(2)についての資料を掲載します。見ていただければ分かるようにほとんど同型のものです。詳しい資料がありませんが(3)も同様です。

 ちなみに、(1)は福井県警、(2)は富山県警が保管しており、(3)は引き上げられた工作船とともに、海上保安資料館横浜館に展示されています。調査会の展示で度々お見せしているのは(3)のレプリカ(1分の1模型)で、一昨年の北朝鮮人権週間イベントで借りようとしたところ、海上保安庁の許可が下りなかったため、調査会の曽田理事が一人で材料を調達し、溶接して作ってしまったものです(モーターを積めば北朝鮮に乗り込める、かどうかは分かりません)。

 たまたま見つかったのがこれだけですから、おそらく日本の海岸線周辺を掘り返せば山ほど見つかるでしょう。年末年始の休みでお時間のある方はやってみたらいかがでしょうか。なお、これを使って上陸した工作員が物見遊山をして北朝鮮に帰った訳でないことは言うまでもありません。

(1)福井県美浜海岸で発見された水中スクーター

平成2(1990)年10月に福井県美浜町の松原海岸に工作子船などが漂着した、いわゆる「美浜事件」の折、付近の松林から発見されたもの。

塗色:緑色
塗料:アルキッド系樹脂塗料
材質:アルミニウム合金製
全長:150センチ
直径:27センチ
重量:69キロ
スクリュー:アルミニウム合金製・丸形プロペラ3枚・プロペラ直径26センチ
スイッチ:1個 外国製トグルスイッチ 起動及び変速用
モーター:水冷式(海水を利用)  「直発」を意味するハングル刻印の他、「430」「27.5V 36A」の刻印。
Oリング:アクリロニトルリブダジェンゴム2本、直径27センチ
バッテリー:陽極に銀、陰極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムを用いた「酸化銀電池」と呼ばれるアルカリ蓄電池 縦6.6センチ×横9.8センチ×高さ13センチ 8個×2列=16個 製造刻印1988 1989 1990

(2)富山県黒部川河口で発見された水中スクーター

平成13(2001)年3月29日に通報。周辺の植生状況から判断して平成10(1998)年11月下旬頃から11(1999)年4月頃までの間に埋められたとみられている。

塗色:緑色
塗料:アルキッド系樹脂塗料
材質:アルミニウム合金製
全長:160センチ
直径:27センチ
重量:78キロ
スクリュー:アルミニウム合金製・三角プロペラ3枚・プロペラ直径26センチ
スイッチ:2個 日本製トグルスイッチ 起動及び変速用
モーター:空冷式 「直発」を意味するハングル刻印の他、「430」「27.5V 36A」の刻印。赤色ハングルで「危険」と表示
Oリング:アクリロニトルリブダジェンゴム2本、直径27センチ
バッテリー:陽極に銀、陰極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムを用いた「酸化銀電池」と呼ばれるアルカリ蓄電池 縦6.7センチ×横9.9センチ×高さ13.5センチ9個×2列=18個 製造刻印1996


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12月16日の明治大学での6大学共催イベント(調査会の展示を行った教室。左にあるのが水中スクーターのレプリカ)

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2008年12月30日

労働新聞

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 ちょっと前のものですが、机を片付けていたら11月11日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」のコピーが出てきました。キャプションには「実働率を高めるために機関車整備を良くやっている ー平壌機関車隊にてー 本社記者 李ミョンナム撮影」とあります。何と1面の記事です。裏を返せば現状がどのようなものか一目瞭然ということです。

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調査会メールニュースについて

 このブログをご覧の方にも配信先の方はおられると思いますが、特定失踪者問題調査会では電子メールのニュースを希望者に配信しています。このニュースは私が救う会の事務局長時代、マスコミの拉致担当の方などにお知らせをするために始めたもので、調査会設立であらためて調査会ニュースとして送信しています。送信先も次第に増えて1600カ所余りになったのですが、アドレスの変更などで戻ってくるメールも200通位にのぼったため、戻ってくるアドレスについては年末年始の休みを利用して削除していっています。もしこのブログをご覧の方で「調査会ニュースを読んでいたのだが最近届かなくなった」という方がおられましたらご連絡下さい。

 調査会ニュースはお名前とご住所・お電話番号等をお知らせいただければどなたにでも(朝鮮総聯の議長でも、金正男氏でも)お送りしています。ご連絡は代表荒木のアドレス宛にメールをお送り下さい([email protected])。なお、お名前などのデータを明らかにしたくない方は調査会のホームページでバックナンバーをご覧になれますが、時間的には若干(時には大幅に)遅れての掲載になります。

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2008年12月29日

なぜ北朝鮮は拉致をしたのか

※本日(12月29日)付調査会NEWS 730に書いたものです。

 「そもそも、なんで北朝鮮は拉致をしたのですか」

 どこに行っても聞かれる質問です。私は「北朝鮮にとって拉致をするのが『通常』であり、拉致をしないことの方が不自然だった」と答えています。

 もちろん、それぞれの拉致には「侵入した証明」や「侵入するときに遭遇してしまった」という理由も含め、それぞれの理由があることは事実です。私たちが「マッピングリスト」として発表しているものもその一つです(昨日付で産経新聞のWebニュースの以下のアドレスにも記事が掲載されています)。

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/081228/kor0812282116004-n1.htm

 しかし、これらを突き詰めていくと、逆に「初めに拉致ありき」といった発想がみえてきます。北朝鮮側は拉致に対抗(?)しようと日本が戦前強制連行をしたとか何とか言いますが、拉致をしているのは日本人だけではなく、救う会の調べでは現時点で合計12カ国の人を拉致していることが分かっています。別にタイやルーマニアが朝鮮人の強制連行を行った訳ではなく、したがって歴史的な問題は単なる言い逃れに過ぎません。

 また、北朝鮮は帰国した在日朝鮮人やその日本人家族を、帰国前の約束を破り返しませんでした。これも拉致に近い行為です。韓国人の場合は朝鮮戦争中(開戦から休戦までの3年間)に8万3000人を超える拉致被害者の氏名が確認されており、その発想は「足りなければ持ってくれば良い」という、極めて安直なものです。自力でものを作ろうとせず、何でも外から持ってきたり、連れてきて作らせようとするのは今も変わっていません。

 そこから、何が考えられるかと言えば、直近でも拉致は考えられるし、今後もやるだろうということです。「拉致問題は、すでに事件は終わっており、今やることは向こうに捕らわれている人を救い出すこと」という考え方は転換すべきだと思います。

 しかしまだこの点は実感として掴めない方が多く、調査会としては今後もできるだけ情報を積極的に明らかにしていきます。機会がありましたらこれまでの記者会見等もご覧いただければ幸いです(下記の(株)ネットライブのホームページでご覧になれます)

http://www.netlive.ne.jp

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2008年12月28日

拉致問題と北朝鮮人権問題

※本日(12月28日)付調査会NEWS 729に書いたものです。

 14日に開催された6団体合同行事に参加された何人かの方から、「これまで拉致問題だけに関心を持ってきたが、政治犯収容所や脱北者の問題も大事であることが理解できた」とのお言葉をいただきました。主催者の一人として、本当に嬉しく思います。 もちろん独りよがりになってはいけないのですが。

 何度も同じようなことを書いていますが、「拉致問題という重大な人権侵害を受けている日本だからこそ、北朝鮮の人権問題は誰よりも実感できる。苦しんでいる北朝鮮の人々も救うために先頭に立つから協力してもらいたい」というのが国際的には最も理解しやすい呼びかけ方だと思います。その意味では拉致問題を進展させるためにも私たちは拉致、特に日本人拉致問題だけを語るべきではないでしょう。 

 また、日本人拉致問題だけでいけば、当然「取引」ということが出てきます。私はそれも一つのアプローチだと思います。制裁だけで後はただじっと待っているというのは改めるべきと思いますが、懸念されるのは取引でやることによって数人が帰り、それ以外は蓋をされてしまうことです。実際年末年始の休みを隠れ蓑にして何かが動くのではないかという噂もないわけではありません。ですから、拉致問題の解決のためには同時に北朝鮮人権問題全体への取り組みが欠かせないのです。

 いつもこのように説明をしているのですが、考えてみれば北朝鮮の人権問題というのはもっと単純な話でもあるのです。それは「目の前の国で苦しんでいる人がいるのだから、日本が助ける」ということです。

 例が飛躍するかも知れませんが、ソマリア沖の海賊対策で護衛艦を出さないとか、出しても集団的自衛権の制約で他の国の船がやられていても手助けできないなどというのは、どう考えても日本人として恥ずかしい、卑怯なことではないのでしょうか。法律解釈で自縄自縛になっているより、「当然のことだから」と言ってやった方が余程良い結果が出ます。そもそも霞ヶ関周辺で働いている官僚の皆さんは、政治が行った決断に後から理屈をつけるのも仕事のうちでしょう。

 最後に拉致に戻ります。政治がなすべきは、拉致問題で言えば拉致被害者を「救出」することです。来年こそは単純に、分かりやすくいきましょう。

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2008年12月24日

月刊正論2月号

 最近宣伝めいた話が多く恐縮ですが、産経新聞社の月刊「正論」2月号(月末発売)ではグラビアページで10月、11月に1000番台リストとして発表した34人の顔写真が掲載されています。また救う会の西岡会長代行と私の原稿も掲載されています。ご一読いただければ幸いです。

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2008年12月16日

6団体共同集会の御礼

※12月26日付の調査会NEWS 726号に書いたものです。

 12月14日に明治大学で開催した6団体共同集会につきましては多数の方がご参加下さり、成功裏に終えることができました。ご協力いただいた皆様に主催者の一人として心より御礼申し上げます。

 今回のことをきっかけにさらに各団体が連携を深めて共通の目標を目指して努力して参ります。今後ともご支援よろしくお願い致します。

 なお、最後のセッションの宋允復・守る会及びNO FENCE事務局長の「外国では日本は拉致しかやらないように思われている。十分に理解していない人が少なくないのでもっとしっかりと知らせていくべきではないか」という趣旨の発言は、自分としても非常に頷けるものでした。

 北朝鮮は言うまでもなく「日本は拉致問題を取り上げるが、自分たちも戦前多数の朝鮮人を強制連行しているではないか」と言い続けています。拉致はでっち上げと言えなくなった今ではなおのことそれを強調します。そして、最近ではヒル国務次官補も同様のことを言ったとか。今後6者協議の他の参加国でも日本が拉致問題を取り上げるのを押さえようとすればこの論理を使ってくるでしょう。

 そのときに、「これはこういう事実があって北朝鮮の主張は嘘である」という反論も必要ですが、いくらでも嘘はつけるのですから、延々とそれに対する反論をやっていればモグラたたきのようになってしまってこちらが消耗するだけです。

 これを乗り越えるのは「日本は単に自国民を助けようとするだけではなく、普遍的人権問題に積極的に取り組むのである」という姿勢を国際的にアピールすることだと思います。その意味で政治犯収容所の問題や脱北者の問題に日本人の関心が高まることは、回り回って拉致問題の解決に大きな効果を挙げるものと思います。

 さらにこの活動を続けていくことは拉致被害者に関わる情報を収集することにもつながり、もちろん北朝鮮の体制を弱め、民主化にもっていくことによって拉致被害者救出への糸口を作っていくことができます。「日本は拉致問題ばかり出して北朝鮮を敵視する」というのは日本の中の数少ない親北分子の常套句ですが、「いや、北朝鮮の民衆も救う視点からもこの活動が必要なのだ。お前は北朝鮮の人々を苦しめている金正日独裁体制を擁護するのか」と言うことができます。北朝鮮に対しても逃げ道を塞ぐことになるでしょう。

 保守系の人の中には拉致問題に熱心な余り、北朝鮮の人すべてが拉致の犯人であるかのような物言いをしたり、収容所や脱北者の問題には一切関わらないという人がいますが、それこそ「八紘一宇」の精神にもとるものではないでしょうか。もちろん、主権侵害という意味で言えば拉致は特別な問題です。しかし、それは本来日本がその国力をもって取り返すべきことであり、人権問題という観点から考えたとき、拉致だけをやるというのは芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のようになりかねません。

 思想の如何を問わず、そこに苦しんでいる人がいれば助けるべきであり、その行動があってこそ他国の国民も日本を信頼し、協力しようとするのではないかと思います。今後も私たちは北朝鮮の人権問題の改善のための活動を続けて参ります。ご理解とご協力をお願い申し上げます。

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2008年12月12日

12月14日の集会です。奮ってご参加ください。

【拉致・収容所・脱北 アジアの人権】
北朝鮮テロ全体主義国家の実状を訴える6団体共同集会
アジア人権人道学会の設立準備期成会 

【日時】 12月14日(日) 午後12時半開場 1時開会
【場所】 明治大学リバテイタワー 10階 1103教室

      東京都千代田区神田駿河台1-1
      JRお茶の水、地下鉄新御茶ノ水・神保町下車それぞれ5分程度
      http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

【参加費】 無料

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■ 2008年度北朝鮮人権問題啓発週間にて、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会、北朝鮮難民救援基金、特定失踪者問題調査会、北朝鮮による拉致・人権問題にとりくむ法律家の会、RENK、NO FENCEの6団体が、アジア人権人道学会の設立準備を期し、共同開催する集会を催します。

■ プログラム

【開会】 午後1時 川島高峰明治大学准教授挨拶
【演奏】江原 望(日本フィルハーモニー交響楽団チェリスト)
カタロニア民謡・カザルス編「鳥の歌」

【1時半〜3時 映画上映】 「めぐみ 引き裂かれた家族の30年」
「拉致」という国家的陰謀に巻き込まれてしまった普通の家族。そして、その家族の娘を取り返したいと言う思いが、人を、国を、世界を動かしてゆく。
 アカデミー賞受賞監督であるジェーン・カンピオン(『ピアノ・レッスン』)製作総指揮、クリス・シェリダンとパティ・キム夫妻監督による衝撃のドキュメンタリー作品。
映画公式ホームページ http://megumi.gyao.jp/

【3時半〜6時 収容所体験者・脱北者による証言集会】

* チョン・グワンイルさん(北朝鮮政治犯収容所体験者)

 チョンさんは、収容所で囚人として班長を長く努め、収容所内の、拷問、虐待、強い
られた死など、悲惨な実態をつぶさに観てきました。また、収容所内で出会った数多く
の北朝鮮帰国者の悲劇的な運命について、今始めて明らかにされる多くの情報が証
言されます。

* ワン・ヘソンさん(日本在住の脱北者)

 約5年間を中国で過ごし、そこで様々な体験をしてきた脱北者で現在日本在住のワ
ン・ヘソンさんが、北朝鮮を脱出した難民達が、中国で保護を受けられず、どのような
過酷な運命を辿らなければならないかを自らの経験に基づいて証言します。

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【6時半〜7時半 主催6団体他、北朝鮮の人権改善を目指す人々による大発言会】

主催6団体及び北朝鮮の人権問題、拉致問題にとりくむ人達から、来年こそは拉致
被害者を救出し、独裁政権による人権弾圧をやめさせるため、私たちに何ができる
かを、自由にそれぞれの立場から発言していただきます、当日は同じ10階の幾つか
の教室にて、北朝鮮および広くアジアの人権問題についての展示、映像上映などを
同時に行います。多くの皆様方のご参加を心からお願いいたします。
【連絡先】E-mail: [email protected]
      及び各団体ホームページをご参照ください。
【共催団体】
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 http://hrnk.trycomp.net/
北朝鮮難民救援基金 http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/
特定失踪者問題調査会 http://www.chosa-kai.jp/index.html
RENK  http://www.bekkoame.ne.jp/ro/renk/
ノーフェンス http://nofence.netlive.ne.jp/
北朝鮮による拉致・人権問題にとりくむ法律家の会 

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2008年12月 9日

歴史問題

 最近田母神空幕長更迭問題をきっかけに、自分自身が気づいたことがあります。歴史問題というのは実は中韓との問題ではなく、米国との問題だということです。

 福井義高・青学大教授の言う「ルーズベルト聖戦史観」の裏返しがまさに「東京裁判史観」であり、この克服こそが求められています。これはかなり大変なことですが、米国の国力が低下し、冷戦の軛からも離れつつある日本が独自に動くということは同じ自由主義の大国である米国にとってもプラスになるでしょう。

 かつて民社党は「駐留なき安保」と言っていたことがありました。結局これを目指すことが日本の独り立ちにつながるように思います。

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