アドネットワークのAppLovinさんに「カジュアルゲームのプロモーション」のコツなどを聞きました。
※本記事はAppLovin株式会社より、依頼を受けて執筆したPR記事です。
※AppLovin株式会社 坂本達夫さん(写真左)、萬野有生さん(写真右)
AppLovinさんからみて、最近は「どういうアプリ」が上手くいっていますか。
坂本:
最近はグローバルで見たときに、いくつかの条件を満たしたカジュアルゲームが、ビジネス的にうまくいっている事例が多く出てきています。
萬野:
世界では「月に1億円儲かっているカジュアルゲーム」って珍しくないんですよね。ひとつのアプリで5億円くらい稼ぐものもあります。
最近の、AppLovinに広告出稿している会社をみても、トップ10のうち7割くらいが「カジュアルゲームデベロッパー」になってきていて。
ここにきて「カジュアルゲームをグローバルで収益化する」というビジネスモデルが、大きなトレンドになりつつあるのを感じますね。
うまくいっている「カジュアルゲーム」にはどういう特徴があるのでしょう。
坂本:
簡単にいうと、誰もが楽しめるアプリを、世界をターゲットにつくって、プロモーションでユーザー獲得して広告で収益化する、という特徴があります。
僕たちは、このタイプのゲームを「ハイパーカジュアル」という風に呼んでいて。
メリットとしては、開発やローカライズのコストが低いため、数人規模のデベロッパーでも、低リスクでビジネスをスケールさせやすいことが挙げられます。
また、数字さえ合っているなら、プロモーションしながら利益を伸ばせるため、そこまで集客の導線を気にする必要がないのも良いところです。
ハイパーカジュアルが「どうマネタイズしてるか?」というと広告です。平均すると「収益の70-90%くらい」を広告収益が占めているアプリが多いですね。
ハイパーカジュアルをつくるときに「ココをみるべき」という数字はありますか。
坂本:
やっておくと良いのは「アプリの継続率」をチェックすることですね。
継続率の目安は「1週間後で30%」あるとかなり優秀です。経験上では少なくとも「1週間後で20%」はあると良いかなと感じます。
継続率が低い場合は、コンテンツやゲームモードを増やして、まずは継続率を高めてから、プロモーションすることをオススメしています。
継続率について、個人的にバロメーターにしているのは、息子にあそばせてみて「翌日もやるかどうか」を観察してみることです。
これは見ているとおもしろいんですよ。まだ小学校前だから「チュートリアルに文字」があると、その瞬間に離脱してしまったりする。
それから、同じステージばっかりやっていたら「その先に進めなくなった」ってことだから、ゲームバランスが良くないのかなと思ったり。
※息子さんにゲームをあそばせてみて「次の日」もやっていたら合格
広告の収益性を上げるために「気をつけるべきポイント」はありますか?
坂本:
ハイパーカジュアルって、とくに「インタースティシャル広告」との相性が良いんですよ。なので、そこの表示頻度は上げたほうがいいです。
たとえば「Dune!」というアプリは、広告収益の90%を「インタースティシャル」が稼いでいます。動画リワードは10%しかないんです。
そういう背景もあって、グローバルだと「2〜3プレイに1回」という頻度で、インタースティシャルが出てくるのは当たり前になっています。
なので、日本ではレビューに「広告うざい」と書かれるイメージがありますが、世界基準だともっとインタースティシャルは出していいかなと。
レビューに「広告がジャマだ」とちらほら書かれていても、アプリの継続率をみると非常に良かったりもするので、そうしたレビューを書く方が「日本だけ割合として多い」という可能性もあります。
※公開からずっとランキング上位をキープしているアプリ
なるほど。
坂本:
広告の実装については、ある程度「パターン化」されているので、かなり再現はしやすいですね。
インタースティシャルの比率を上げるのと、動画リワードを「リトライ」のところに入れるのは、鉄板なのでやっておいた方がいいと思います。
萬野:
それから、いくつかゲームモードを入れたり、アチーブメントを充実させて「1プレイで何かが得られる設計」にしておくといいですよね。
うまくいっているアプリは「プロモーションのコスト」をどう回収していますか?
坂本:
流れとしては、動画広告から「質の高いユーザー」を獲得して、ランキングの高い位置をキープして、自然流入を含めてコストを回収しています。
うまくいっているところは、1インストール50円〜100円のコストで、グローバルで1日に2〜3万インストールくらい、AppLovinから集客していますね。
萬野:
PuzzledomやBowmastersなどは、もともと「1日に3〜5万円」の収益だったのですが、プロモーションした結果「1日に数百万円〜1,000万円」まで収益が伸びたんですよ。
一度ためしてみるまでは、そんなポテンシャルがあったなんて、絶対に分からなかったと思うんですけど、中にはそういうアプリもありますね。
それを「小さく試してみたい」という場合、どんな手順で進めれば良いですか?
坂本:
オススメしているのは、まずアメリカなどの国で「1インストール100円、1日数万円の予算」で、どれくらい反応があるのか検証してみること。
例えば、1インストール100円のコストで、1時間で200インストールされたら、理論上は1日に5,000インストール弱まで伸ばせるはずですよね。
そうしたら、第一段階クリアというか、「低いCPIでスケールさせられそうだ」というのがわかります。
僕らに声をかけてもらえれば、いろんなアプリで蓄積されたデータをもとに、一緒に検証しながら進めることもできますよ。
なるほど。そこの段階で「うまくいかないケース」ってどんなパターンがありますか?
坂本:
ひとつは、スケールがでない。たとえば、日本っぽい「萌えや乙女ゲー」に寄せたアプリだと、客層が限られてしまってスケールしにくい。
もうひとつは、コストがかかりすぎる。仮に「1インストールの獲得に300円かかる」としたら、それをカジュアルゲームで回収するのは厳しいですよね。
といった理由で、最初のプロモーションで「これは厳しいかな」という数字になることもあります。なので小さく検証するのが重要です。
萬野:
ちなみに、日本っぽくても「ドット絵のゲーム」だと、アメリカに濃いファンがいるため、1インストール80円で獲得できたりすることもあります。
そういう、良くも悪くも「やってみるまでわからない」という部分もかなり多いですね。
ざっくり「どれくらいの予算」があれば良いんですか?
坂本:
動画制作とプロモーションを合わせて、予算が50万〜100万円くらいあると、AppLovinに出稿してポテンシャルが測れるかなと思います。
動画広告のクリエイティブは、外注すると20〜30万円あれば十分つくれますね。縦と横で15秒と30秒のものをつくってそれくらいです。
ちなみに、プロモーション予算に関しては、動画系アドネットワーク、Facebook広告、Googleのユニバーサルアプリキャンペーンに寄せているところが多いですね。
新作アプリじゃないと「プロモーション」って成立しないんですか。
坂本:
いえ、新作じゃなくても成立しますね。むしろ「眠っているアプリ」というのも結構ある気がします。
2年前に公開された「継続率の高いアプリ」を、アメリカでプロモーションしたら、1インストール50円で、1時間で1,000インストールされたこともありました。
ほかにも、有料だった「Slash/Dots」というアプリは、無料広告モデルにつくり直してプロモーションしたら、かなり米国での感触がよかったんですよ。
そういう「眠っていたアプリ」が、プロモーションで復活して収益的にも成功する、という事例もこれから出てくると思いますよ。
どうして「ハイパーカジュアル」って成立するようになったんですか?
坂本:
ひとつ大きいのは、動画広告が「面」として広がってきたこと。ハイパーカジュアルって静止画の広告だと「どんなゲームか」がわかりにくかった。
それが、動画広告のフォーマットが普及したことで、幅広いユーザーに「どういうゲームなのか」を抜群にカンタンに伝えやすくなった。
萬野:
逆もそうですよね。カジュアルゲームって、動画広告が出てきてから「同じユーザー数」でも、10倍くらい収益があげやすくなった。
数年前に、Flappy Birdがバナー広告だけで1日500万円を稼いでいたけど、いまの環境でマネタイズしたら、数倍から10倍の収益になるはずです。
つまり、ここ数年で「わかりやすい動画広告」で集客ボリュームがでるようになったし、カジュアルゲームの収益性もよくなってきた。
この2軸の条件がそろったことで「ハイパーカジュアル」が成立するようになったのかなと。
AppLovinさんからみて、ほかに「これから来そうなトレンド」って何かありますか。
坂本:
広告フォーマットの話だと、うまくいきはじめているのは「プレイアブル広告」です。これはカジュルゲームとの相性もめちゃくちゃよくて。
動画広告に出稿してたアプリが、プレイアブル広告をやりはじめた途端、1インストールのコストは変わらずに、獲得数が2倍〜10倍に増えたりしてるんです。
おもしろいのは、プレイアブル広告を経由してインストールしたユーザーは「アプリの継続率が高くなる」という傾向がデータとして出ていること。
理由としては、プレイアブル広告で「一度ゲームをあそぶ体験」をすることが、一種のチュートリアルのような効果につながっているのかなと考えています。
※ゲームがあそべる広告「プレイアブル広告」の表示例
最後にメッセージなどあればお願いします。
坂本:
いま、日本のカジュアルゲームって、作り手のアーティスティックな部分を、前面に押し出していく方向にいっている気がするんです。
それも「ひとつの正解」ではあると思うけど、グローバルだと受けにくいし、再現性という意味で「なかなか難しいよね」という課題はあると思うんですね。
ハップさんのゲームなどはうまくいっていますが、プロモーションもできずに「誰にも気付かれずに沈んでしまう」ということが起こりやすい。
僕は日本のゲームデベロッパーさんがつくるゲームって、クオリティでいうと「世界一のポテンシャル」を持っているなとすごく思っていて。
それを、きちんとビジネスにする手法さえ浸透すれば、日本発でグローバルで「月1億円を稼ぐカジュアルゲーム」が出てくると思うんですよね。
というのもあって、きちんとアプリをつくれば、わりと高い再現性でヒットを狙える「ハイパーカジュアル」には、とても注目しています。
萬野:
僕はもともと、ソーシャルゲームの会社にいたのですが、ソーシャルゲームだと「1本数億円でつくって、プロモーションに数億円かける」って当たり前なんですよね。
その分、ハイパーカジュアルは、開発コストも数百万円からはじめられて、低リスクでビジネスも広げられるので、ぜひ検討してみて欲しいです。
AppLovinからのお知らせ
4月に「世界で稼ぐカジュアルゲーム」をテーマにしたセミナーを開催予定です。
世界で大ヒットしたゲームを手がける豪華海外ゲストをお招きし、マネタイズやマーケティング手法についてお話しいただきます。
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取材協力:AppLovin株式会社
広告企画:アプリマーケティング研究所