※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年9月27日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n89eb8f3592fc 名刺アプリの「Eight」さん […]
The post 売上35億円の名刺アプリ「Eight」が語る、通期黒字化に到達するまでの成長の裏側。アプリの指標を改善した「2つの成功施策」 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年9月27日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n89eb8f3592fc
名刺アプリの「Eight」さんを取材しました。
塩見:
2012年にサービス開始した「名刺アプリ」です。紙の名刺を管理できたり、スマホをかざしてデジタル名刺交換ができたりします。
ユーザー数は約372万人、Eight事業の売上は約35億円、Eight事業としては2024年5月期にはじめて通期黒字化を達成できました。
売上の内訳としては、BtoBサービスが売上の約90%を占めていて、そのうち約半分がイベントサービスの売上になっています。
例えば、Eight主催で「Climbers」「Startup JAPAN EXPO」などのイベントを開催し、主にスポンサーからの収入でマネタイズしています。
塩見:
もともと、Sansanという「企業向けの名刺管理サービス」をやっていたのですが、その頃から「個人の名刺管理にも課題があるな」と感じていました。
また当時、LinkedInやFacebookが成長する中で、個人がビジネスパーソンとしてつながる「ビジネスネットワーク」にも需要が出てくると考えました。
それと、日本人は名刺帳を持っていたので、これをデータで管理できれば、それ自体が「ビジネスネットワークになる」と仮説を立てたんですね。
「紙の名刺を管理すること」も課題として捉えていましたが、10年後には「紙の名刺はなくなるのでは?」という考えも正直あったんです。
なので、まずはじめは「名刺の管理アプリ」を作って、それを「ビジネスネットワーク化していく」という構想でスタートしました。
塩見:
2012年にEightを公開すると、それなりに最初から反響はあって、様々なユーザーの方が使ってくれましたね。
評価されていたのは「データの正確さ」でした。名刺をスキャンするとOCRをかけるだけでなくて、運営側で人力でデータを補正していたのですが、これが良いユーザー体験につながっていたんです。
当時のOCRは精度が8割ほどでした。これは体感的には「ほぼ読めないね」というレベルです。OCRだけだと良い体験を提供できませんでした。
これを、人力で補正することで「データが非常に正確だ」という評価になり話題になって、その点をテレビなどでも取り上げていただきました。
当時の名刺管理サービスは、OCRで読ませて「ユーザーが自分で補正する」という形の有料のPCソフトが多かったんですよ。
でもEightでは「入力を無料で代行してくれる」ということで、体験的にも驚きが生まれて話題になったのかなと感じます。
塩見:
まず、名刺領域の課題というのは「誰かがすごく困っている」というより「みんなが少しずつ困っている」という広く浅いタイプの課題でした。
職種や業界によって「課題の深さ」には差がなくて、強いていうなら30〜40代の名刺をたくさん持っているビジネスマンに課題がありました。
そこで着目したのは「スキャンのハードル」でした。当時のEightの名刺管理は名刺を1枚ずつ撮る必要があり、名刺帳に1,000枚溜まっている人にとってハードルが高かった。これをどうスキャンしてもらうのかを考えました。
利用ハードルを下げるために進めたのが「どこでもスキャン計画」という、様々な場所にスキャナーを設置するプロジェクトでした。
例えば、カフェやコワーキングスペースと提携して「Eightのスキャナー」を置いてもらって、名刺をスキャンできるスポットを増やしていったんです。
他には、スキャン業者と提携して、実際にユーザーの自宅まで伺って、名刺のスキャンを代行するサービスもはじめましたね。
また大学の前で、就活生に「名刺を作りませんか?」と声をかけて、無料で名刺を作成して、Eightでの名刺管理を広める取り組みも行いました。
ターゲット層の広がりに合わせて、アプリのデザインも変更しました。初期のデザインを捨てて、ニーズに合わせてデザインを変えていったんです。
塩見:
我々としては「ビジネスネットワークを作ろう」と考えていたけど、出してみると「名刺を管理したい」というニーズの方が強かったんですね。
それで、想定よりも「名刺管理のニーズ」で伸びていき、年間30万人くらいずつユーザーが増えていって、約3年で100万人まで到達したんです。
このときにEightに「フィード機能」をつけました。100万人に届けばネットワーク効果でSNS的に伸びていくのではないかと。でも、これは実際は全然そうはなりませんでしたね。
そこから、フィード内に広告を入れたり、プレミアムサービスを作ったり、少しずつビジネスモデルを整えていって、今に至るという感じです。
2023年のリニューアルでは、そろそろ「デジタル名刺に置き換えていこう」ということで、スマホをかざすと名刺交換ができる機能も実装しました。
アプリのトップも「名刺交換の機能」にフォーカスしていて、デジタル名刺交換のアプリとして認知度を高める活動をしているところです。
塩見:
正直なところ、最初はユーザーが増えればなんとかなると思っていました。実際にはユーザーが増えても、いきなり儲かるものではありませんでした。
人力で名刺データを補正するなど、それなりに運用コストもかかっていたので、黒字化するまでは本当に苦労しましたね。
なので、広告・イベント・Eight Team・プレミアムサービス、様々なサービスで薄く広く収益化して「ようやく黒字化できた」という感覚です。
本来なら、1本でも強いマネタイズ方法が確立できたら良かったのですけど、そこはやっぱり甘くなくて。時間もかかりました。
マネタイズに貢献したなと思うのは、「安易にユーザーを増やさないこと」でした。Eightでは「自分の名刺」を撮影しないと登録も完了しません。
プロフィールを手入力できるような設計にせず、初期から登録時に「名刺」を必須にしていたことが、ユーザーの質の高さにつながりました。
登録ハードルを上げて、実名の価値のあるネットワークを構築したことが、マネタイズの基盤にもなったと考えています。
数を追い出すと誘惑に駆られやすくなります。例えば、ライトに使ってもらうユーザーを集める施策に走ったり。ここは我慢が必要でした。
中西:
Eightでは「タッチ名刺交換」を普及するにあたり、これまで「スマホで名刺交換をしたことがない」という習慣が課題になっていました。
ユーザーさんの機能の評価は高くても、多くの方はスマホで名刺交換をしたことがないため、そこに心理的なハードルがあったんですね。
そこで、着目したのが「心理的ハードルの低い」利用シーンでした。具体的には「社内での名刺交換」であれば、気軽に試せるのではないかなと。
実際に、一部のヘビーユーザーの方は、社内の名刺交換にEightを使っているというデータもあったので、それも参考にして仮説を立てました。
施策としては「タッチ名刺交換チャレンジ」という、期間中に一定人数との名刺交換を行うとギフトカードがもらえる企画を行いました。
この企画の利用例として、「最初は社内の人と交換してみよう」「改めて同僚との挨拶に使ってみよう」と、社内でのユースケースを訴求したんですね。
すると企画前と比べると、約3倍の人が「タッチ名刺交換」を使ってくれて、その後の利用者も大幅に伸ばすことができました。
まだ体験したことのないものは、ハードルを下げて体験してもらい「利用イメージを形成してもらうこと」が大事なのだなと学びました。
中西:
Eightのデジタル名刺というのは「顔写真・職歴・学歴」などを更新すれば、常に正しい情報を閲覧できることが大きな強みです。
ただ、ユーザーの多くは「もらった名刺を保管するため」という理由で利用していて、プロフィールの更新に意識が向いていないことが課題でした。
これを解決するために考えたのが、ユーザーに「人から見られていること」を意識していただくという施策で、これが非常に上手くいきました。
具体的には、Eightユーザーにメールで「あなたのプロフィールは今週何人に見られました」という感じで、閲覧数を伝えるようにしたんですね。
すると、そこで初めて「自分のプロフィールは見られている」という感覚を持ってもらえて、プロフィールの更新率が一気に高まりました。
通常のメールと比べると、このメールの開封率は1.5倍ほど高く、メール内のプロフィール確認ボタンのクリック率も非常に高くなりました。
この施策のアイディアは、マーケティングチームで「人に見られることによる意識の変化」を議論していたところからはじまりました。
例えば、おしゃれやお化粧をするときに「人に見られるからやらなきゃな」と思ってやるケースって、日常の中ですごいあるよねと。
Eightでは「人に見られている感覚」があんまりないなと思ったので、これを応用したところ上手くいったという感じでした。
越智:
Eightのアプリチームでは「モバレコ会」という、最新の技術を使ってEightに実験的に機能を実装してみる会を、約1年前から開催しています。
例えば、この新しい技術を使うと「Eightのカメラ撮影体験」がもっとよくなりますみたいな感じで、各エンジニアがテーマを決めて1日で機能を開発し、その日の夕方みんなに発表するんですね。
エンジニア視点では「ここいまいちだな」と普段思っていても、中々手をつけられないところを、自由な技術や発想で作ることができます。
そこで挙がってきた技術は、実際Eightに組み込んでいくこともありますし、より洗練させるために機能を磨いていくこともあります。
越智:
カメラの品質を上げたり、データ化の品質を上げることは、定量的には効果は測れないですが、名刺へのこだわりを捨てずに続けていますね。
例えば、名刺をスキャンした際の「ホワイトニング処理が綺麗になりました」といっても、名刺の取り込み枚数が増えるわけじゃないんですよ。
でも、Eightは名刺の束があって「邪魔だからデジタル化したい」という方も多くて、そこの満足度が高くないとEightを使い続けてくれないと思うので、ないがしろにはできないところかなと。
—
【取材協力】
Sansan株式会社:https://jp.corp-sansan.com/
Eight:https://8card.net/
Sansan株式会社 塩見 賢治さん、中西 仁奈さん、越智 瑛甫さん
【告知】Eight(Sansan)さんでは、プロダクトデザイナーやプロダクトマネジャーを採用中とのこと。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。
https://jp.corp-sansan.com/recruit/midcareer/jobs/
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、以下URLにて4つほどまとめています。note購読者向けにまとめています。EightのサブスクCVRなどを高めた改善、効果の高かった「似ているユーザー」を軸にした訴求と施策、Eight事業の失敗してしまった施策、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n89eb8f3592fc
The post 売上35億円の名刺アプリ「Eight」が語る、通期黒字化に到達するまでの成長の裏側。アプリの指標を改善した「2つの成功施策」 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年8月29日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n470be3a622a4 BeMatchさんを取材しまし […]
The post 関連動画が1億回再生。BeReal交換アプリの「BeMatch」に聞く、TikTokマーケを起点に急成長した方法。顕在化したニーズを軸に「伸びるプロダクト」を生み出すコツ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年8月29日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n470be3a622a4
BeMatchさんを取材しました。
畠中:
BeRealの交換アプリです。2023年12月にリリースして、スワイプ数は6億回、マッチ数は900万回、メッセージ数は2,500万回に到達しています。
ユーザー層としては10代〜20前半が多く、異性だけではなくて同性のマッチ比率(全体の30%)もそれなりに多くなっています。
基本的には、オフラインも含めた「口コミとTikTokからの流入」をメインに成長している感じですね。
ONEは高校時代からの友達である2人が、2020年に創業したアプリの開発会社です。コミュニケーションアプリがとくに好きで力を入れています。
畠中:
アイディアとしては、顕在化していた「BeRealの交換ニーズ」を見て、解決策になるプロダクトを作ったら伸びるのでは、と考えたのが最初でした。
例えば、TikTokのBeRealのバズってる動画に「わたしとBeRealを交換しませんか?」「IDはこれです」みたいなコメントって結構あったんですよ。
X(旧Twitter)でも「BeReal 交換」と検索すると「BeRealの友達がほしい」という投稿がたくさん出てきて、こんなに交換ニーズがあるんだなと。
この「既に起こってる事象」に対して、それを解決するプロダクトを作ると伸びやすいみたいな方法は、元DeNAのCSO原田さんもおっしゃっていて。
また、僕の前職のpiconでも「荒野行動の懸賞付き大会」の検索アプリを、この方法で作って伸ばした経験もあったので、これはいけるのではと。
それで、「BeRealのID交換アプリ」を着想して、共同創業者のトモキに電話してすぐ家に行って、そこから約5日で開発したのが「BeMatch」でした。
畠中:
最初はめっちゃ地道でしたね。TikTokのコメント欄で「BeReal交換しよう」と書いている人に「こんなアプリを作ったよ!」と声をかけたり。
SNSで「BeReal交換しよう」と投稿している人に「いいね」して回ったり、LINEのオープンチャットの「BeReal交換グループ」に参加したり。
ストア審査に少し時間がかかったので、その間にBeRealの友達を増やして、BeRealにも「アプリ開発の様子」を投稿したりもしましたね。
そういう「地道なこと」を続けていくと、数日間は1日2桁のダウンロードでしたが、少し経つと1日1,000ダウンロードまで伸びていきました。
それくらいのタイミングで、TikTokでも一般ユーザーの「BeMatchの動画」が自然にバズって、コメント欄でも「BeMatchって何?」と話題になって、ストアのランキングで上位になることができました。
なので、膨れ上がってきて顕在化していたニーズを、うまくつついたことでウワッと爆発したみたいな感覚でしたね。
それと同時に「TikTokはチャネルとしてポテンシャルが高そうだ」と感じ、そこからTikTokも頑張りはじめたという流れでした。
畠中:
印象的だったのは、マッチングアプリの「ライク」を起点にしたモデルは、すごく良くできているんだなということです。
誰かを「ライク」すると、相手に「ライクされました」と通知されて、その人は気になってアプリを開き、また誰かに「ライク」をする。このサイクルが回ってユーザーがアクティブになる。これがとても優れているなと。
BeMatchは「マッチングアプリ」ではないのですが、分析画面をリロードする度に、ホントにスワイプ数がものすごい勢いで増えていきましたね。
畠中:
BeMatchがとても良かったのは、BeRealを使ってる人が「中学生・高校生・大学生」とかの世代なので、「若い人が集まる場所」にできたことです。
BeRealには若いユーザーが集中しやすく、BeRealを必須にしたBeMatchにも同世代が集まる。この構造がプロダクトにも良い影響を与えました。
上の世代が入ってこなくて、同世代だけが集まると何が起きるかというと、プラットフォーム内の熱量がものすごく高くなるんですよ。
実際にBeMatchの公開当初、1ユーザーあたりのスワイプ数が「平均585回」という日もあって。中には1日に「数千回スワイプする人」もいました。
BeMatchでは「BeRealの写真」を必須にすることで、プロフィールの質も高くなっていて、それがマッチ率にも良い影響を与えています。
築山:
あとは「旬のアプリに乗っかった」のも良かったなと。日本ってBeRealが伸びている市場で、この1年で新規ダウンロード数も10倍になっています。
ここで大事なのは、アクティブユーザーの母数ではなく、どれぐらい伸びているかなんですよ。「旬のトピックか?」が強力なファクターになっていて。
例えば、一時期BeMatchのアメリカ版のマーケも試したところ、ユーザー数はアメリカが一番多いはずですが、全然うまくいかなくて。
恐らく、アメリカでは「利用者は多いが熱量はない」みたいな状況なんだと思うんですよね。ちょっと旬が過ぎているというか。
例えば、日本で2024年に「Clubhouseの交換アプリ」と言われても、あまりピンと来ないと思うんです。旬じゃないとパッと関心が向かないので、訴求が効かないのかなと解釈しています。
なので、タイミング的にも「BeRealが伸びている、旬のトピックだった」というのも良かったかなと。
畠中:
BeMatchは、TikTokにフォーカスすることで成長していて、TikTokのBeMatchの関連動画は「再生回数が累計1億回」を超えています。
TikTokの再生数とアプリのインストール数は「割と比例するな」というのも見えてきていて。TikTokが伸びるとユーザーも増える構図になっています。
手法としては、公式のアカウントを運営したり、インフルエンサーの方にPR投稿をしてもらったり、TikTokの広告を運用したりしています。
特徴的なのは、TikTokで「伸びかけているインフルエンサー」を調査して、その方に声をかけてPR依頼のアプローチをしていることです。
ほかのSNSって、フォロワー数が線形に伸びることが多いですが、TikTokは急激にバズって突然インフルエンサーになることが多いんですよ。
そうなると、事務所や広告代理店に「まだ発見されてない人」って多くて、その伸びかけている人に連絡すれば良い条件で交渉できます。
なぜなら、事務所や代理店が間に入らず依頼できるため、それでコスパ良くPR投稿をお願いできています。これをずっと続けていますね。
伸びそうな人を探すときには、「最新の何投稿のいいね数は○○以上」とか、フォロワー数ではなくて動画のエンゲージメントで見ていますね。
ちなみに、PR投稿を依頼するときに「わたし、BeRealやってません」という人ってほぼいなくて、本当にみんなやっている感覚ですね。学生は体感95%はやっているかなと。
他には、TikTokの広告は、週に何十本もの広告クリエイティブをつくって、効果を検証してまた入れ替えて「検証の数」で勝負していますね。
プロダクトの開発を頑張っても、ユーザーまで届かないと意味がないので、僕らはマーケティングも気合を入れて頑張るようにしています。
畠中:
TikTokの訴求については、途中から「機能的な訴求」から「体験的な訴求」に寄せていったところ、動画の反応率がより良くなりましたね。
知名度の低いときには、「BeRealが交換できるよ!」という感じで、明確なペインに対して、機能で訴求をすることが多かったんです。
しかし、知名度が一定上がってくると「もう知ってるよ」となってしまうので、その先にある「友達ができるよ」といった体験を訴求しました。
ほかには、インフルエンサーさんにもBeMatchに登録してもらい「BeMatchで僕を探してみてね。」みたいな一言を入れると効果が高かったです。
すると、数千人〜数万人のファンの方が「アプリを入れて探してみよう!」となりやすく、アプリに登録する動機を生み出すことができます。
コメント欄にも「探してみます」「見つけた」みたいなコメントも増えるので動画のエンゲージメントも高くなります。
畠中:
意識するのは「ブランディング」ですね。例えば、男性側に最適化してクリエイティブを過激にすると、女性側のマイナスブランディングになります。
極端な話ですが、露出高めの服を着ている女性の動画を広告で回すと、男性ユーザーの獲得単価(CPA)って、実際めちゃくちゃ安くなるんですよ。
しかし、オーディエンス対象を「男性だけ」に絞っても、女性にも一定数は見られるため、女性から避けられてしまうリスクも高まります。
女性のユーザーに「そういうアプリなんだ」と思われるのは避けたいので、女性から見ても抵抗感のないクリエイティブを意識しています。
築山:
スワイプ画面に「誰を表示するか?」という優先度の問題を、ある機能を入れるようにしたところ、アルゴリズムを凝らなくても解決できました。
もともとは「登録が古い順に25人」と「登録が新しい順に25人」を選んで、合計50人をスワイプ画面に表示していました。
ただ、これだと「真ん中のユーザー」があまり表示されません。これを解決するために開発したのが「エクスプローラー」という機能です。
具体的には「最近アプリを開いた人」「ひとことを更新した人」が表示される欄を作って、アクティブに使う人ほど表示数が伸びるようにしました。
この仕組みによって、満遍なく「ライク」が届くようになって、「誰からもライクされない」という人が少なくなったんですね。
僕らのリソースで「アルゴリズムをめっちゃ凝る」というのは難しいので、これは良い解決策だったかなと思っています。
畠中:
プロダクトの中に「不確実性」があると、そのルールの中で攻略する楽しさが生まれて、中毒性につながりやすいという仮説が一つあります。
BeRealって、盛れない写真が前提の中で、どう盛れる写真を撮るかという、ランダム性が「アプリの中毒性を高めている」と考察していて。
つまり、それを攻略するから楽しいわけです。YouTubeやTikTokで「BeRealで盛れる写真の撮り方!」という動画が出るのも、その制限のあるゲームを攻略する楽しさがあるからだと思います。
BeRealには、MAUが約4,000万人いる中で「アメリカ・日本・フランス」という3つの国が、最も主要な市場だと公表されています。
また、これらのユーザーの半数が「週6日以上」はBeRealを使用しているそうです。なので、日本は世界で見ると特殊な市場なのかなとも思います。
日本では「写真SNS」が流行りやすいですよね。PoparazziやDispoも話題になりましたし、カメラ好きが多いのかもしれません。
畠中:
ソーシャルアプリって「既存の友達と仲を深めるため」に使うものが多いと思いますが、そこに課金モデルを入れると離脱しやすいと思っていて。
例えば、メッセージアプリが高額課金性になったら、別のアプリに移動してしまうと思います。なぜなら、別のアプリでも似た体験ができるので。
一方、BeMatchって「新しい人と出会えること」が他のソーシャルアプリと異なるポイントで、だからこそ課金モデルが成立すると考えています。
この「新しい人と出会える」という要素は、代替手段があまりなかったり、代替手段があっても同時並行でつかわれるという特性を持ちます。
なぜかというと、そのプラットフォームにしかいない「ユニークなユーザー」が存在するためです。並行して使われても価値が残るんですね。
マッチングアプリでいうと、Tinderとタップルを同時並行で使うというのは実際当たり前に行われていますよね。
こうした仮説を考えつつ、課金モデルで成立するソーシャルアプリを作れないかと、チャレンジしているところです。
—
【取材協力】
ONE株式会社:https://0x1.company/ja
BeMatch:https://bematch.jp/
ONE株式会社 畠中理弥さん、築山朋紀さん
【告知】ONEさんでは、各職種にて採用中。平均年齢が約23歳と若く様々なソーシャルアプリを作っている会社です。とくにマーケターやエンジニアを探している(正社員・業務委託)とのこと。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。
https://herp.careers/v1/oneinc
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、以下URLにて4つほどまとめています。BeMatchで追ってる指標は何か、インフルエンサーの承諾率を高めた工夫、TikTokの新規アカウントの検証方法、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n470be3a622a4
The post 関連動画が1億回再生。BeReal交換アプリの「BeMatch」に聞く、TikTokマーケを起点に急成長した方法。顕在化したニーズを軸に「伸びるプロダクト」を生み出すコツ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年8月21日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n1da565ceb483 YOUTRUSTさんを取材しま […]
The post 反対されても「ほしい機能」は実験すべき。キャリアSNSの「YOUTRUST」が語る3つの成長の転換点。社内の「モメンタム」を高めたら事業が急成長していった話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年8月21日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n1da565ceb483
YOUTRUSTさんを取材しました。
岩崎:
YOUTRUSTは信頼でつながる「キャリアSNS」です。登録ユーザー数は25万人以上、利用企業数としては累計1,200社を超えています。
つながりのある人から「副業・転職のスカウト」が届いたり、カジュアルな仕事やビジネスの相談、社外とのつながりを作ることができます。
大事にしているのは「スカウト体験」です。YOUTRUSTでは、登録から7日以内に1通でもスカウトをもらった人は、翌月継続率が90%を超えます。
面白いのは「転職意欲」は関係ないんです。転職意欲のある人が「転職のスカウト」をもらったら継続するって当然ですよね。
でも「転職意欲がない人」も継続している。これって「良い話があれば転職を検討したい。」と誰しもが考えているってことだろうなと。
これは大きな気づきでした。気持ちよくスカウトをもらい続ける体験って、ユーザーさんにとってめちゃくちゃ嬉しいことなんだと。
逆に、スカウトが「月10通」を超えると返信率が下がります。転職サイトではないので、大量に届くとマイナスに働くのだと思います。
そこで「初期に1通はもらって、その後はコンスタントに月10通までもらう」といった状態を意識すると、継続率が伸びていきました。
岩崎:
YOUTRUSTというサービスは「転職意欲の公開機能」からはじまりました。面倒な転職活動をこっそり進める方法として考えたものです。
これは「自分がほしい機能」でした。こっそり「わたし、転職考えてますよ」と社外に伝えて、誰かに誘ってもらいたかったんですね。
事前にこのアイディアを、人事やHR業界の先輩などに話してみると、「転職意欲なんて公開しないよ。なぜなら隠すものだから。」と言われました。
でも、実験のつもりで公開してみると、初日に約700人が登録してくれて、約3分の2のユーザーは「転職意欲」を表明していたんですよ。
また約12%が「積極的に検討中」と転職意欲マックスで公開していました。これを見て「全然いけるじゃん!」と思ったんです。
ここから言えるのは「まずは実験してみよう」だと思っていて。N1の意見を聞くのも大事だけど、こだわりがあるなら出して検証してみること。
どれだけ周りに「違う」と言われても、自分の感覚って自分だけのものではない可能性があるので、ユーザーにぶつけて検証してみよう。
またインタビューをするなら、顧客に近い人でも業界に詳しい人でもなく、実際の顧客に聞くべきなんだ、ということも学びました。
そこからタイムラインを実装して、投稿機能をつけるなどSNS的な方向性に進化していき、現在の「キャリアSNS」になっていきました。
初期のYOUTRUSTは「Facebook登録」を必須にしていました。外部のソーシャルグラフを活用して、マッチングや友達候補の精度を高めるためです。
データが蓄積されてくれば「友達候補」などを予測できるようになるため、途中からFacebook登録を必須にしなくても良くなりました。
岩崎:
YOUTRUSTの、初期の成長につながったのは「副業の波」にうまく乗って、一定のポジションを獲得できたことだと思います。
SNSで最も難しいのは「初期のコミュニティ」をどうつくるかなんですね。最初は「小さくて狭いコミュニティ」を占拠することが大事になります。
振り返ってみると、小さな市場ではなくて、大きな市場の「ニッチなジョブ」を狙ったのが良かったと解釈しています。具体的には「まともな副業を見つけたい」というキャリア市場のジョブです。
副業は比較的小さな市場です。そこに向かうと行き詰まるので「キャリア」という大きな市場へのエントリーポイントとして「副業」を捉えました。
実際に「副業」というワードを掲げた瞬間に、ユーザー数が伸びましたね。業界有名人の副業ができる「すごい副業」という企画も成功しました。
当時の副業って、本当かなと疑うような「あやしい仕事」も多かったので、まともな副業が探せる場所が求められていたんです。
話題性のある「すごい副業」を企画し、それをSNSの運用型広告に出すと、通常の広告と比べて1人あたりの獲得単価が1/2〜1/3になりました。
話題性のある企画をつくって、それをSNS広告を回すと効果的というのは、当時の大きな気づきでしたね。
岩崎:
2022年頃に組織崩壊が起きて、組織も50人から38人に減って停滞期に突入してしまいました。そこから力を入れたのが「モメンタム」でした。
モメンタムというのは、「勢い」「進捗感」「できる!」という感覚のことで、「俺たちならやれる!」という内から湧き出る雰囲気のことです。
イメージ的には、スラムダンクの湘北のように「この試合勝てる!」という感覚を持って、「最後の1秒までシュートを狙うぞ」となっている状態。
そういうチームは、みんな「勝てる!」と信じていますよね。最後に「これもう無理だな…」と足が止まったら、勝てる試合も勝てなくなる。
それは弱い組織だなと。安西先生の「あきらめたらそこで試合終了ですよ。」という言葉も、モメンタムを上げるための言葉だと思うんですよ。
営業なら、31日ギリギリまで粘る組織と、30日に「今月は無理だ」と諦める組織では全然違います。
短期的には負けたとしても、翌月に持ち越したものに「1.01」みたいな係数が掛かり続けるので、複利でたどり着ける場所も変わってきます。
例えば、弊社には「モメンタム局」という、モメンタムのとくに高いメンバーが集まった部署(兼務)があって、社内のモメンタムを高めています。
役割は「空気清浄機」に近いです。人間が増えると、いつの間にか「悪い空気」が溜まりやすいので、換気して「いい空気に変える」必要がある。
モメンタムの高さは意外とわかります。オフィスでメンバーと目が合うか、元気に挨拶しているか、とかはわかりやすいです。
銀行の融資審査でも、銀行の方ってオフィスに行くことが多いそうですが、そういうところまで見て判断するらしいんですよ。
なので、わたしたちは「モメンタム」と表現していますが、昔からある言葉で言うなら「社内の風通し」なのかもしれません。
リクルートさんやサイバーエージェントさんのような偉大な会社にも、強烈なカルチャーがあるし、空気を極力濁らせない仕掛けがあるなと。
モメンタムが高い状態になると、「わからないけど、やろう!」となるので、意思決定が速くなって、物事が進むスピードもめっちゃ速くなります。
意外と「それ意味あるんですか?」とか「本質的なんですか?」みたいな、ロジカルバトルが足を引っ張っていることって多いと思います。
不可逆な決定なら「ロジカル」が超重要です。でも、ネットサービスって「試してみて、やり直せば良い」という意志決定ばかり。
例えば、経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2024」で、弊社が「審査委員会特別賞」をいただいたときに、授賞式で岸田総理に”はっぴ”を着てもらうことができたんですよね。
この写真はメディアでも取り上げていただき、YOUTRUSTの認知度向上などにつながりました。これも「モメンタムの力」だと思っていて。
実は、事前に経産省の方から「映えるものないですかね?」と相談が来て、「それなら、はっぴとか着ていく…?」みたいな感じになって。
それで、一応総理の分も用意して、当日雰囲気を見ながら「もしよければ!」とお願いしてみたところ、はっぴを着ていただけたんですよ。
ある種「ダメ元」で行動したこと。また経産省の方が相談してくれたのも「ユートラならやってくれそうだ!」と思ってくださったから、というのもあるのかなと。これってモメンタムの力ですよね。
金子:
YOUTRUSTの体験は、「B側の体験」と「C側の体験」と2つの軸に分けて、楽しい体験(Fun)を最大化することを意識しています。
YOUTRUSTの体験って、企業側のクライアントが「個人ユーザーの体験」に影響を与えることも、ひとつの特徴になっていて。
例えば、企業側から「スカウト」が送られてきて、そこから良いご縁につながったとしたら、個人ユーザーの体験はより良くなります。
逆に、セールスだけ頑張っても成長しません。SNSとして利用者がいるからこそ、クライアントさんも採用サービスを利用してくれるので。
このようにB側とC側が連動しているんです。なので、C側で盛り上がる車輪を回すこともあれば、Bを起点にCが盛り上がる車輪を回すこともある。
この「火種」をどこに置くかは常に意識します。B側が使って嬉しいのか、それが転じてCが喜ぶものなのか、Cの中で盛り上がるものなのか。
金子:
YOUTRUSTでは、お祭りのような「ユーザー巻き込み型」のマーケティングが上手くいっています。これは「双方向」で作っていくものです。
オフラインで生み出した「火種」を起点に、それがソーシャルで拡散されて盛り上がるというのが成功パターンになっています。
例えば、日経新聞に掲載した広告は正にそうです。ユーザーさんの体験談を広告にすることで、それが「火種」になってSNSで広がっていきました。
なので、火種としては「オフライン」からはじまりますが、最終的な接点として見ると「デジタルマーケティング」に近いんですよ。
実際に「二次拡散」からのほうが流入は多いです。例えば、広告に掲載した約20名の方が「日経新聞に載りました!」とSNSで拡散してくれます。
すると、周辺の人たちも「○○さんが載った!」「うちの会社が載ってた!」と拡散してくれる。YOUTRUSTを応援してくれる人も広めてくれる。
そして、僕らがまたその「喜びの声」「応援の声」を拡散する。このサイクルを回していくことでリーチが広まっていきます。
狙いとしては、YOUTRUSTの「認知未利用層を狙おう」と考えていました。「気になっているけど、まだ使ったことがない人」に登録してほしいと。
そのため、広告の内容も「YOUTRUSTを使って、どう人生が変わったか?」をメッセージに入れて、背中を押せるような広告にしました。
期間中に登録すると「Amazonギフト券がもらえる」というインセンティブも入れていたのですが、これもやって良かったです。
想定外だったのは、登録後の「翌月の継続率」が高かったことです。登録して終わりという人は想定よりずっと少なかったですね。
広告メッセージから、「自分もこんな使い方ができるかも」という期待感が生まれたことが、継続率の高さにつながったのかなと。
成果指標としては、基本は「MAUの成長」を目的にしていて、そのためにUU数をコストで割った「獲得コスト」を見ています。
このようなマーケティングでは、「どこに載せるか?」も大事にしています。掲載する場所によって「どんな印象を与えるか?」が変わるためです。
例えば、日経新聞に載ることって、権威性や信頼感につながると思います。渋谷や新宿のOOHに出すと、新しいサービスが出てきた感がありますよね。
—
【取材協力】
株式会社YOUTRUST:https://youtrust.co.jp/
YOUTRUST:https://lp.youtrust.jp/
株式会社YOUTRUST 岩崎由夏さん、金子彰洋さん
【告知】YOUTRUSTさんでは、各職種にて採用中。マーケターやPMなどをとくに探しているそうです。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。
https://youtrust.jp/companies/youtrust
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、以下URLにて5つほどまとめています。スカウトの返信率を改善した機能、法人向けプランの継続率を高めた工夫、メディア露出が増える広報戦略のコツ、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n1da565ceb483
The post 反対されても「ほしい機能」は実験すべき。キャリアSNSの「YOUTRUST」が語る3つの成長の転換点。社内の「モメンタム」を高めたら事業が急成長していった話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年7月29日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n719f40c68e5b CAMPFIREさんを取材しま […]
The post 流通総額890億円の「CAMPFIRE」に聞く、クラウドファンディングのユーザー体験の磨き方。指標の「スパイク分析」で成長する方法と「共感度」が支援につながる話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年7月29日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n719f40c68e5b
CAMPFIREさんを取材しました。
大橋:
CAMPFIREは、誰でも資金調達に挑戦できる、国内最大級の「クラウドファンディングサービス」です。2011年にサービスを開始しました。
会員数としては400万人。累計9.3万件のプロジェクトが立ち上がっていて、累計の支援額(GMV)は890億円を超えています。
支援者さんの体験としては、基本SNSを見ていたら「プロジェクトを知る」というケースが多いため、スマホのWeb流入が多くなっています。
支援者さん向けに重視する指標としては、「ユニークユーザーあたりのGMV(支援額)」などを追っています。
大橋:
CAMPFIREは創業者の家入の、「身近な誰かの顔を思い浮かべて、手紙を書くようにプロダクトをつくる」という思想から生み出されたものです。
家族、友達、パートナー、自分自身。顔が思い浮かぶような相手に向けて、「拝啓〇〇様…」と手紙を書くように、彼はプロダクトを作ります。
CAMPFIREの場合は、お金がないけど個展を開きたいクリエイター友達などに向けて「もっとお金の支援ができたら」という想いで作ったそうです。
CAMPFIREは2011年にスタートして、徐々に成長していましたが、2016年頃には実はかなり低迷していました。
当時は「プロジェクトの成功率」を主要なKPIに置き、見込みの薄いプロジェクトは掲載せずに、手数料も高めに設定していました。その結果として、掲載されるプロジェクト数、流通金額は減る一方でした。
そこから急成長するキッカケになったのは、「個人や小さなチームの力を、インターネットでエンパワーする」という原点に立ち戻ったことでした。
1円でも多く、1人でも多くの方に渡すために、地域や、飲食店、加工業者などオールカテゴリーの「ロングテール戦略」を取り、サポート体制を強化。これをキッカケにして、大きく流通金額が伸びました。
この思想は今でも生きています。クラウドファンディングは「1対N」で支援が集まりますが、CAMPFIREでは「Nの小さなプロジェクト」が多いんですよ。
もちろん「1億円を目指します」というプロジェクトもありますが、地域に根ざしたものや、100人に向けて募集するようなプロジェクトも非常に多い。
プラットフォームとしては「何円以上からですよ」といった制限を設けず、あらゆる挑戦を支援する場所でありたいと考えています。
大橋:
クラウドファンディングって、開始直後と終了直前に「支援金額やPV数」が伸びる傾向があるんですね。
ただ、公開期間中にも何かをキッカケに、数字が跳ねることが結構あって、この「スパイク」を観察すると成長や改善のヒントが得られます。
スパイクを軸に考えるのは「再現性と拡張性」です。別のプロジェクトでも再現できないか。スパイクをより大きくできないかと考えます。
大塚:
例えば、支援金額(GMV)の推移を「カテゴリ別 × 流入チャネル別」に分けて、前月と比べてモニタリングすることで「スパイク」を検出します。
そして、前日時点で「一定以上の流通額」が突然生まれたプロジェクトは、社内のSlackに通知されるようにしています。
カテゴリと流入で分けることで、「検索」「サイト内の回遊」「SNS」のように、チャネル別の「スパイクの生まれ方」も掴みやすくなります。
スパイクが生まれるってことは、「成長余地が残されている」というシグナルでもあるので、こちらからサポートのためにご連絡することもありますね。
大橋:
例えば、スパイクの要因を調べてみると、プロジェクトオーナーさんが終了直前に「ライブ配信」をやっていたことがありました。
それがわかれば、終了間近に「ライブ配信」をやれば、支援者が増えて支援金額がグッと伸びやすい、という再現性のあるノウハウに変わります。
SNSや配信に強みがある方には、カスタマーサクセス担当から終了時期に「ライブ配信」を提案すれば、支援額をより伸ばせるかもしれません。
このように、1件1件「跳ねた通知」をひたすら見て、得られた分析結果を「ノウハウ・オペレーション・プロダクト」に落とし込みます。
大塚:
良かれと思ってやったけど、「負けてしまった施策」もたくさんあります。
例えば、支援転換率を高めるためには、「リターンの内容が早くわかったほうが良いのでは」という仮説があり、ボタンの文言を変更したことがあって。
具体的には、ボタンの文言を「プロジェクトを支援する」から「リターンを見る」に変えて、早くリターンを見てもらおうとしました。
結果としては、ボタンを押す人は40%も増えて「見られるようになった」のですが、肝心の支援転換率(CVR)は5%も減少してしまいました。
なぜかというと、支援するかをまだ決めていない人からすると、先にリターンの情報だけ見ても、共感しきれずに「割高に感じてしまう」のかなと。
もちろん内容にもよりますが、知らない人から「夢のために3,000円支援してください」と突然言われても、やっぱり支援しないと思うんですね。
共感が醸成されるための「文脈理解・本文の魅力」が一定担保されないと、支援というアクションにはつながりにくいのかなと。
大橋:
一般的なECでは、限られた時間で「どう端的に魅力を訴求するか?」が大事になることも多いですよね。
しかし、クラウドファンディングでは、文章などにじっくり触れて「ここに共感したな」と感じてもらう、共感のプロセスが支援につながります。
実際に、CAMPFIREでは「本文の文字量が多いほど集まる金額が多くなる」といった相関データも出ています。あくまで相関ではあるのですが。
なので、本文を読んで「共感してもらえること」は大事で、ただリターンの情報が先行しすぎても、支援にはつながらないのだなと。
大塚:
リターンだけが先走らないように、適切なバランスで「人気リターンの情報を表示すること」にはポジティブな効果がありました。
例えば、プロジェクトページの本文の上に「注目のリターン」というセクションを設置すると、支援転換率(CVR)は変わらなかったのですが、支援の購入金額を約5%引き上げることができました。
この施策は、細かい内容を変えながら4回ほど検証したのですが、毎回毎回「支援の平均額を引き上げる」という結果になったんです。
つまり、人気のリターンを伝えることは、支援意欲には影響しないものの、「どのリターンを選ぶか?」には良い影響を与えたのかなと。
いろいろ試した結果、現状では「注目のリターン」には、一定以上の支援を集めたプロジェクトにおいて、購入数が多い順に出るようにしています。
大塚:
プロジェクトページで「支援ボタン」を押したときに、モーダル上でリターンを選べるようにした結果、支援転換率(CVR)が大幅に改善しました。
もともとは、「支援ボタン」を押すと、別ページに遷移してリターンを選ぶという流れでしたが、そのままページ上で選べるようにしたんです。
支援意欲が高まったときに、行ったり来たりする回数を減らし、ストレスを減らしたことが「選択体験」を高めたのかなと。
この改善ステップの前に、ザッピングや比較がしやすくなるように、画像や説明文のサイズを調整して、一覧性を高めるテストもしましたね。
大橋:
CAMPFIREのプロダクト開発では、最近とくに「デザインドリブン」を意識していて、つくるものを早く可視化することを大切にしています。
例えば、3人でアイディアを話していて「これ面白そう!」となったら、1時間で話してデザインを作って、最初に「ユーザー体験」を画にしてしまう。
プロダクト開発のマイルストーンの最初に「デザインで体験を起こしてみる」というプロセスがあって、まずはそれを優先するわけですね。
なぜこれをやるかというと、デザインで「体験」を起こすと、みんなの認識が統一されやすくなって、コミュニケーションにも熱が帯びるためです。
CAMPFIREって構造的に、変化をしようとするとカスタマーサクセスなども含めた「オペレーション全体」に影響が出るケースが多いんですよ。
そうなると、どこかのチームが「あまりイメージ湧かないよね」となると、気持ちも盛り上がらないし議論や動きも進みにくくなります。
なので、社内での「一致団結」と新しいアイディアに対する熱量が大事で。それで「デザインドリブン」との相性が良いと考えています。
まだまだやりきれてないですが、デザイナー、エンジニア、プロダクトマネジャーのような、「○○er」による分業もしすぎないようにもしていて。
どちらかと言えば、全員が「プロダクト作り屋さん」で、その中でデザインが得意な人がいるという捉え方で、みんなで向き合うことを大事にします。
デザインもデザイナーだけに「これお願いします!」と任せるのではなく、Figmaでみんなで議論しながら作るケースも多いですね。
—
【取材協力】
株式会社CAMPFIRE:https://campfire.co.jp/
CAMPFIRE:https://camp-fire.jp/
株式会社CAMPFIRE 大橋 桃太郎さん、大塚 健太さん、広報の三春 桜子さん、オギユカさん
【告知】CAMPFIREさんでは各職種で採用中。プロダクトマネージャーやマーケターなどを探しているそう。ご興味あれば下記サイトをご覧ください。
https://campfire.co.jp/careers/
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、以下URLにて5つほどまとめています。+αの成功事例などを5つほどnote購読者向けにまとめています。支援CVRを「盛り上がりの可視化」で高めた施策、プロジェクトの提出率を高めた作成画面デザインの工夫、ボタンの「アクション率」を高めた改善、などご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/n719f40c68e5b
The post 流通総額890億円の「CAMPFIRE」に聞く、クラウドファンディングのユーザー体験の磨き方。指標の「スパイク分析」で成長する方法と「共感度」が支援につながる話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年7月31日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n8e5dfc95e5e3 食べログさんを取材しました。 […]
The post 年間売上278億円に到達した「食べログ」が顧客の声を聴く「カスタマーフライデー」を続ける理由。ユーザーの声を「事業成長」につなげるコツと5つのアプリ成功施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年7月31日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n8e5dfc95e5e3
食べログさんを取材しました。
香西:
食べログは「レストラン検索・予約サービス」です。掲載店舗数は86万店舗が掲載されていて、口コミ数は6,600万件を超えています。
Webは月間22億PV(UUは約9,350万人)、アプリの月間アクティブユーザー(MAU)は870万人に到達しています。年間売上は約278億円です。
業績が好調な理由としては「ネット予約サービスの成長」が大きいです。食べログでは、年間で延べ8,000万人以上がネット予約を行っています。
これは予約人数ごとの「従量料金モデル」になっていて(ランチ100円、ディナー200円)、予約が増えるほど売上の成長につながります。
体験としては「アプリの体験」を重視しています。アプリを利用してもらえると継続率が高くなり、ネット予約の頻度も高くなるんです。
香西:
食べログのユーザーさんと話して、体験を考える「カスタマーフライデー」という取り組みを、毎週金曜に2年半(約100回)続けています。
具体的には、Zoomでユーザーインタビューを行いながら、その様子を社内のTeamsにつないで、チャットで議論しています。
この方法であれば、ユーザーさんも「何十人に見られている」という感覚にはならないので、リラックスしながら話していただけます。
とくに社内チャットが盛り上がるのは、後半に「画面共有」をしてもらい、ユーザーさんに「お店の探し方」などを再現してもらうシーンです。
ユーザーファーストが大事だと言われるよりも、結局「自分がつくったモノ」が使われるのを目の前で見たほうが、体験って意識しやすいんですよ。
エンジニアなら「あそこの通信が遅かったな」と実感したり、デザイナーなら「この機能、想定通りに使われてないかも」と実感したりします。
例えば、食べログのトップには「地図」があります。デカデカと表示されていることもあり「みんな知ってくれているはずだ」と思っていました。
しかし、実際は「知らない人」も多くいました。インタビューでも「Googleマップには地図があるけど、食べログには地図がなくて不便ですよね。」といった声をいただいたことがあって。
ただ、実際には地図があるので「地図もあります!」と伝えると「本当ですか!?」と驚かれていました。これは僕自身も学びになりました。
食べログって「検索する場所」だと思われていることも多く、意識が地図に向かないまま大きく表示しても、気づかれないことがあるのだなと。
香西:
課題が見つかるのはもちろんですが、コミュニケーションの活性化によって「組織の雰囲気が良くなる」という効果を感じています。
インタビューを見ながら「ああだね、こうだね。」と会話をしたり、「この機能の利用率を見てみよう。」といったコミュニケーションが生まれています。
会議のときにも、「カスタマーフライデーではこうでしたよね。」と共通言語として使われたり、チームの中に蓄積されていくのを感じます。
意思決定の根拠も「架空のユーザー」になりません。自信を持って「こんなユーザーさんがいました。」と言えますし、納得感を持って改善に臨めます。
香西:
気をつけるポイントとしては、やはり「1人の意見」ではあるので、その声に引っ張られすぎるのはリスクだとは感じます。
ミスリードを回避するためには、N1の声を聞いたあとに、定量的に「その課題を抱える人が多いのか?」を評価するフローを入れると良いと思います。
例えば、食べログの場合は「アンケート」などで、多くのユーザーに意見を聞いたり、データを見ることで「課題の大きさ」を確認したりしています。
事業を成長させるためには「優先度をつけること」も重要なので、そこは「RICEスコア」をもとに優先順位をつけていますね。
リーチが大きいのか、インパクトが高いのか、工数が少ないのか、これらを見ながら進めていきます。
香西:
食べログのトップには、以前は「日時人数検索」という機能がありました。これは「エリア・ジャンル・予約日時」を入れて、ネット予約できるお店を検索する機能です。
僕らはこれをずっと「重要な機能だ」と認識していましたが、インタビューを繰り返すと、実は「ガッカリ体験」を生んでいるとわかってきました。
では、トップページにあって、実際に利用率も高くて「重要機能」なのに、なぜ最終的に「削除」することになったのか。
理由は、「誤認されて利用されていたため」でした。
この「日時人数検索」の日時というのは「ネット予約できる日時」を検索する機能です。ところが、この日時を「お店の営業時間」として検索しているユーザーさんがものすごく多かったんです。
例えば、「渋谷・ラーメン・本日19時」と入れると、ネット予約に対応したラーメン屋さんって多くないので、検索がそこまでヒットしません。
でも、ユーザーさんは「19時に開いているお店」のつもりで探しているので、「食べログってお店の数が少ない。」という感想になってしまう。
でも、実際には「日時と人数」を外せば、大量にラーメン屋さんが出てくるわけですよね。この認識のすれ違いが発生していました。
いろいろ試した結果、こうした「ガッカリ体験」は消しきれなかったため、この「日時人数検索」は削除することにしました。
データにもユーザー体験が表れていて。最初は「日時人数検索」ってめっちゃ使われるんです。でも「ガッカリ体験」が待っているので、訪問回数が増えるたびに利用されなくなるんですね。
一方で、アプリの上部にある「フリーワード検索」って、訪問回数が増えるたびに体験が良いから利用率が伸びていくんですよ。
この数字を「訪問回数」という分解をせずに見ると、最初に使った人はめっちゃ使うから、俯瞰して見ると「利用率が高い機能」に見えちゃうんです。
ですけど、実態は最初だけは利用率が高いけど、ガッカリして誰も使わなくなっていく「ガッカリ体験の量産機」だったんですね。
削除するときには、慎重に5~6段階に分けてABテストをして、ネガティブな影響がでないかを検証しながら削除する判断をしました。
香西:
食べログって、もともと口コミが多いサービスではありますが、コロナ禍前と比較しても「口コミの投稿数」って約4倍に伸びているんです。
例えば、ネット予約した人に、予約時間から推測して「来店を終えたぐらいの時間帯」に、「良ければ口コミを書いてくれませんか?」というポップアップを出したところ、口コミの投稿数がすごく増えました。
口コミの投稿数は、「投稿者の数 × 1人あたりの投稿数」で構成されますが、これは投稿者の数(レビュアー数)が増えた施策です。
つまり、適切なタイミングでお願いすると「今まで口コミを書いたことのなかった人が、書いてくれるようになる」という効果があったんですね。
香西:
僕が食べログの部署に来たのは2020年ですが、それ以前から食べログのWebには鬱陶しいぐらいの「アプリ誘導のバナー」が入っていました。
SNSでも「うざい」「鬱陶しい」と言われていて、僕もストレスを増やす施策はやりたくなかったので、これを減らしたり緩和したいと考えました。
そこで、アプリに誘導する箇所は増やさないで、既に出ているモーメントの体験を磨いていきました。
例えば、店舗詳細ページに出るアプリへの誘導を、広告的なデザインから「機能っぽいデザイン」に変えたところ、ここからのアプリのダウンロード数を月間で約6倍に伸ばすことができました。
これは、広告っぽいものを「機能っぽいデザインに変えた」というところが、心理効果として大きかったのかなと思います。
広告っぽいデザインだと、反射的に「邪魔だから消そう」となりやすいと思うのですが、機能っぽく出すとそれが多少は緩和されるのかなと。
香西:
アプリの起動タイミングで、月1回だけ「プレミアムどうですか?」と案内を表示したところ、食べログプレミアムの「月間の登録数」が月間で約8倍に成長しました。
ユーザーさんのストレスにならないように、体験の邪魔にならないように、頻度としては「月に1回だけ」に絞って表示させてもらっています。
もともとは、「プレミアムに登録しようかな」と思った方だけが、登録画面に向かうというフローだったため、到達する人数が少なかったんです。
これを出来るだけ多くの人に、プレミアムのメリットなどを見ていただけるようにしたことで、登録画面の到達人数が伸びて会員数が急増しました。
サブスクの会員が増えれば、その分の利益をユーザーさんに還元できるようにもなるので、体験とのバランスを考えながら実行しています。
香西:
食べログの検索で「0件ヒット率」(お店が1件もヒットしない)を減らしたことも体験の向上につながりました。
ここに着目した理由は、自分自身が「検索したら0件ヒットだった」という体験をして、なぜこうなるのかと違和感を持ったからでした。
ただ、これだけでは「1人の意見」に過ぎないので、まずは「課題の規模感」を確認するために、ユーザーアンケートを取ることにしました。
それで、アンケートで「食べログの検索のガッカリ体験」について聞いてみると「ガッカリした人」が45%もいたんです。潜在的には食べログユーザーのうち数百万人が課題を感じている可能性があるなと。
次に課題をグルーピングしました。「どんなときにガッカリしたか?」という設問の回答を1万件ほど確認して整理しました。そこから、課題に優先度をつけてひとつひとつ問題点を潰していきました。
例えば、表記揺れ。「串かつ」を検索するときに、ひらがなの「くしかつ」は当たるけど、漢字の「串」になると当たらないとか。
結果として、「0件ヒット率」を8%から1%以下に減らすことができました。レビューや問い合わせで「検索がイマイチ」と書かれることも減りました。
香西:
食べログで、マジックナンバー分析をすると、「3人以上を7日以内にフォローした人は、口コミ投稿の継続率が上がる」という結果が出ました。
面白いのは「フォローする」なんですよ。「フォローされる」「いいねされる」にも相関はありますが、「フォローすること」との相関が最も高かった。
誰かをフォローするってことは、その人の口コミを「継続的に読みたい」ってことだと思うのですけど、それって「誰かに口コミが読まれているんだ」と自分が実感することにもつながるのではないかなと。
そうした「コミュニティ感」を意識した人は、より誰かをフォローしたり、口コミも継続的に投稿してくれるのだと思います。
一度だけ口コミを書いて「二度と書かなくなる人」は多いのですが、これがわかってから「継続的に書いてくれる人」を伸ばしやすくなりました。
香西:
僕が食べログのチームに来たのは2020年のはじめで、その半年後ぐらいに「検索を改善するチーム」を持たせてもらえることになりました。
そのフェーズのときには、食べログでは規模が大きな開発が多くて、細かくプロダクトの改善を行う「PDCAを回す文化」はあまりありませんでした。
そこで、最初は「速くリリースする文化」を作ろうと考えて、チームの目標としては「①リリース数」と「②ポジティブな反響数」を置きました。
まずは「リリースすること」を評価して、小さな改善でも「速く出すこと」を目指す。そして、定性か定量の「ポジティブな反響」も評価しました。
例えば、SNSで1件の「良い口コミ」を見つけてもOKですし、データとして定着率が上がったでもOK。速度と良い反響を評価したんです。
そして、第2フェーズでは「リリース数」だけ伸びても事業は伸びないので、きちんと「事業のKPIをグロースさせること」を評価対象にしました。
例えば、口コミ数を増やす、アプリのMAUを増やす、検索を改善するなど、事業のKPIにつながるアクションを評価しました。
第1フェーズで「速く小さく出して効果測定する」という文化ができたので、第2フェーズでは「事業の成長」にフォーカスしたんですね。
そして、第3フェーズ(現在)では、より長期的な目標にフォーカスして、「戦略的な案件をリリースして完遂すること」を評価対象にしました。
具体的には、「本質的な社会課題にフォーカスして、食べログがこの先10年愛されるサービスになるように考えよう。」といった方針を掲げています。
例えば、「ネット予約を伸ばす」もそうです。事業KPIに加えて長期的な課題にもきちんとリソースを使って取り組んでいます。
香西:
2017年から、専門家などによる評価ではなく、生活者による投票でトップレストランを選出する「The Tabelog Award」を毎年続けていることです。
目的は「食のトップの飲食店を称えること」です。美味しいものを極めようとしている方たちに、特別な存在であることを伝えるのが役割です。
直接的な収益増にはつながらないですが、去年は授賞式を「帝国ホテル」で開催させていただいたり、毎年かなりの投資をして取り組んでいます。
2024年は456店舗がノミネートされて「Gold、Silver、Bronze」といった形で表彰されました。新たに選出されると、お店に注目がより集まるケースも多いです。
—
【取材協力】
株式会社カカクコム:https://corporate.kakaku.com/
食べログ:https://tabelog.com/
Tabelog Tech Blog:https://tech-blog.tabelog.com/
株式会社カカクコム 香西 利彦さん、広報の内山さん、小山さん
【告知】食べログさん(カカクコム)では各職種にて採用中とのこと。ご興味あれば下記のサイトから詳細をご覧ください。
https://kakaku.com/info/recruit/
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、5つほど以下のURLにまとめています。アプリのレビュー評価数を10倍に増やした工夫、Webからアプリへの誘導率を高められた伝え方、口コミ投稿キャンペーンの効果を高めた訴求、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n8e5dfc95e5e3
The post 年間売上278億円に到達した「食べログ」が顧客の声を聴く「カスタマーフライデー」を続ける理由。ユーザーの声を「事業成長」につなげるコツと5つのアプリ成功施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年6月27日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/nb8979612b214 プログリットさんを取材しまし […]
The post 常識から逆算して生まれた「プログリット」が年商30億円まで「仕組み化の力」で成長した方法。英語コーチングサービスの指標が「KPIの応援団長」を置いたら伸びた話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年6月27日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/nb8979612b214
プログリットさんを取材しました。
岡田:
プログリットは「英語のコーチングサービス」です。本気で英語力を伸ばしたい方のためにサポートをしています。
2016年に創業してから、プログリットの受講者は累計18,000人に、会社の売上(2023年8月度)としては約30億円に到達しています。
事業の指標としては「満足度・継続コースの入会率・友人紹介比率」など、満足につながる指標をいろいろな角度から見ていますね。
高価格帯のサービスを成立させるには、同業他社の中でも「圧倒的に高い満足度」が必要になるためです。
岡田:
根本にあるのは「英語は努力しないと身につかない」という考え方で、英語学習における「努力をサポートするサービス」を作ろうと考えました。
努力というのは「努力の方向性」と「努力の量」に分解できます。これらをコーチングで担保できれば英語力が伸びるはずです。
また、英語力が伸びることには価値があるため、これが正しいなら高価格でも成立するはず。このような仮説からスタートしました。
価格については「極力、高く売りたい」と思想から入りました。これは商売の原則でもありますが、業界の常識を変えたかったのも大きいんです。
英語業界って基本、単価が安くて儲からず、従業員の給料が低くて、非正規雇用が多くなるという、負のループに陥っている会社が多いと感じていて。
それを変えたいなら「当たり前を逆転させるべきだ」と、1つ1つ常識と逆に考えていきましたね。
岡田:
共同創業者と2人で、2016年に自己資金で創業しました。事業としては初月からずっと黒字で、2人で暮らしていく分にはそれで十分でした。
でも、未熟な2人で会社をやっていくことには不安があり、経験のある方に出資していただき、経営指導をしていただこうと決めました。
そこから、先輩に紹介してもらった、投資家の瀧本哲史さんに投資していただけることになり、毎月メンタリングをお願いできることになりました。
そこからは、2人でやるのではなくて、この商売を思いきりスケールさせるにはどうしたらいいか、というスタイルに方向転換しました。
定例ミーティングでは、瀧本さんのトークを必死にメモって、1ヶ月間の宿題をもらって愚直に実行する。これを毎月続けていきました。
瀧本さんは、2019年にお亡くなりになってしまったのですが、「君たち2人は絶対に成功するよ」と言ってくださり、僕らを応援してくれました。
岡田:
瀧本さんの最初のアドバイスは「来月に1人採用しましょう。」でした。僕らは「そうですか」と1人採用して、研修をして働いてもらいました。
振り返ると、プログリットの商売って「労働集約ビジネス」なので、スケールするためには「人を増やす」以外に方法がないわけですよね。
労働集約でスケールするのは難しい。でも逆に「仕組み化」できれば参入障壁になる。だから「それにチャレンジしよう」って意味だったのかなと。
次の月には「2人目を採用してください。採用した1人目に研修させなさい。」とアドバイスをいただいて、2人目の社員を採用しました。
僕らは研修しないで、採用した「1人目の人」が研修をする。これができれば、創業者が手をかけなくても人を増やせる体制になります。
これも結局は「仕組み化」に尽きるかなと。1人ずつ採用しても足し算の成長にしかならない。掛け算で成長するには仕組み化すべきだと。
次に進めたのは「研修プログラムのマニュアル化」でした。AさんがBさんに教えるのは良いのですが「Aさんが辞めたらどうするの?」となります。
となると「研修をマニュアル化すべきだよね」と。そうすれば、BさんもCさんも研修ができるようになり、研修に再現性が生まれます。
それから、瀧本さんから「本を出しましょう。」とアドバイスいただき「英語学習2.0」という本を出版しました。これも本当にやって良かったです。
本があるのとないのでは、事業の権威性も変わります。プログリットがこの本によって成長したのは間違いなくて、集客に大きく貢献してくれました。
本を出すことって「ノウハウの先出し」なんですよ。約1,500円を払ってもらえれば「プログリットのノウハウを全部教えますよ。」ってことなので。
このビジネスにおいて、これは非常に重要で「ノウハウはいかに出すか」なんですよ。ノウハウは隠せば隠すほど集客ができなくなります。
ノウハウは、検討中の方に「安心感」をもたらします。ここまでノウハウがあるなら「約60万円のコーチングも申し込んでみよう。」となるので。
社員が入社するときにも、この本を読んでもらっています。すると新入社員の知識や考え方がビシッと揃うので、新人教育にも役立っています。
その後にいただいたアドバイスは、瀧本さんが「上場しましょう。このビジネスは絶対に上場したほうがいいですよ。」とおっしゃったんですよね。
理由は、英語業界の競合サービスは山ほどあったけど、上場している企業は少なかったので、知名度や権威性という面でも有利に働くはずだと。
当時は、この言葉の意味をあまり理解できていませんでしたが、結果的には「本当にその通りだったな」と感じています。
お客様が増えていくのとは別に、世間がプログリットのビジネスを認めてくれたのは「上場してからだ」と感じます。上場するまではどれだけ成長していようが、周りも「ほんまか?」と半信半疑の反応でした。
着実にお客様は増えていましたが、「世間に認めてもらう」という観点では、上場して結果を出すしかなかったんです。
岡田:
最初は「自分を信じること」以外に方法はないと思います。僕らが救いたいお客様がいて、これが最高のサービスなんだ。これを突き詰めるしかない。
起業して1人目のお客さんが来てくれた。これすごく良いねと言ってくれた。それが2人になって。3人になって。100人になった。
これがずっと続いて、18,000人まで到達した。ある意味それだけなんです。「世界のたった18,000人に認めてもらえただけだ。」とも言えます。
周りが何と言おうが関係なくて。お客様にとって最高のプロダクトは何か?最高のサービス体験は何か? これを考えて実行する。これしかないです。
岡田:
2018年から本格的に「オンラインコース」をはじめたことで、世界中の人がプログリットを受けられるようになり、顧客層の拡大につながりました。
あと、プログリットのような店舗ビジネスって、稼働率がめちゃめちゃ重要なんですよ。たくさんある店舗の「稼働率の平準化」が課題なんですね。
例えば、有楽町店にはお客さんがめっちゃ来る、でも六本木店には来ないとなると、六本木店の稼働率が低くなって、全体の利益率が下がります。
オンラインコースは、この「店舗の稼働率」を高めることに貢献しました。オンラインなら稼働率の低い店舗のコンサルタントが担当できるためです。
稼働率が平準化されて利益率も上がりました。これは大きかったです。ただ店舗にこだわっているので、今後もオンラインだけには絶対しません。
岡田:
プログリットでは、社内に「KPIのアンバサダー」を置いているのですが、この仕組みであらゆる重要指標が圧倒的に上向きました。
例えば、お客様の継続率を引き上げるアンバサダーや、英語力を引き上げるアンバサダーが校舎毎にいて、社内で目一杯それを推進します。
言ってみれば「各指標の応援団長」みたいな感じですね。これは管理職ではなくてメンバーが担当します。期待と責任は人を成長させます。
この仕組みがあるかないかで、天と地の差ほどKPIの伸びが変わりました。うちは完全にこれで成長した会社だったなと言えるくらいです。
アナログな事業なので、全員が一致団結しないと伸びません。それで、同じモチベーションになれる仕組みとして、2019年頃に導入しましたね。
上司が言うわけじゃないので、メンバー間で協力体制も生まれやすいです。「同僚の○○さんが言ってるから協力するか!」という感じですね。
プログリットでは11店舗で、四半期に1度「ベスト校舎」を決めるのですが、優勝校舎を決めるのにも全部この指標が入っています。
岡田:
コロナ禍に判断を結構失敗したなと思っていて。コロナ禍の最初の1年目ぐらいのときって、プログリットは「上場準備中」だったんですよ。
上場準備中って予実管理が重要で、予算を下回れないんです。だから売上を減らすわけにはいかないぞと、広告費を増やして売上を伸ばそうとした。
逆風の中で思い切りアクセルを踏むと、シンプルにお金がものすごい勢いで減っていくけどお客さんは一向に来ない、ということが起こりました。
途中でこれは厳しいなと「一回上場準備やめます」と方針転換して。それで一回ディフェンスに回って、コスト削減に力を入れて持ち直したんですね。あのままずっと攻めていたら結構まずかったです。
当時は判断が難しかったです。苦しくても攻め続けるのも大事だと思いますが、ホントに駄目なときは撤退しなきゃいけません。
岡田:
プログリットで、英語力がめちゃめちゃ伸びたお客様と、伸び率の低かったお客様を200名弱ずつ分析すると、いくつか発見がありました。
1つ目は「学習時間は裏切らない」です。伸びたグループの平均の学習時間は1日3.26時間でしたが、伸び率の低いグループは1日2.53時間でした。
2つ目は「朝学習を制するものは1日を制す」です。伸びたグループは朝方に学習時間の明確なピークがありましたが、伸び率の低いグループでは朝と夜の時間帯にダブルピークが発生していました。
夜に勉強すること自体は悪くありません。ただ夜は突然予定が入りやすいなど不確実性が高かったり、遅れたときにその日のうちに取り戻せる可能性が低くなる、というデメリットもあります。
そのため、なるべく朝の早い時間にやり切るほうが、英語力が伸びる可能性が高くなります。これをもとにプログリットでもコーチングをしています。
太田:
シャドーイングに特化した「英語学習アプリ」です。ユーザーが音声でシャドーイングを行うと、英語のプロが添削して結果が戻ってきます。
当初は、プログリット卒業生のみを対象に提供していた「シャドーイングの添削サービス」を、2020年6月から一般向けに提供開始しました。
シャドテンの有料会員数は約6,500人。月間の売上は1億1,400万円に到達しています。累計の添削数は100万件を超えています。
単体のアプリとして利用される方と、プログリットの卒業後のコースとして利用される方の2パターンがありますが、前者のほうが多いです。
シャドーイングの学習方法は、英語話者の話している音声を聞いて、そこから2語3語遅れてスクリプトを見ながら自分でも発話するというものです。
プログリットでも「リスニングに効果がある」と活用されていた学習方法で、それを一般の方にも提供しようと「シャドテン」が生まれました。
初期はアプリもなかったので、PDFのスクリプトと音声ファイルを渡して、LINEの録音機能でシャドーイングをしてもらって添削をしていましたね。
使い勝手は悪くても学習効果は高かったので、その体験をより高めるためにアプリを開発することになりました。
太田:
プログリットでは、行動経済学者の相良奈美香さんに監修いただきながら、習慣化の理論をプロダクトにも適用しています。
習慣化で大事になるのは「トリガー・行動・報酬」この3つが重要で、これをいかに回していくのかを考えていますね。
まず、トリガーというのは「学習をいつやるか」です。人は何かタイミングを決めないとなかなか習慣化できないんです。
時間なら時間を決めたり、もしくは「朝起きたら何かする」など何かの行動とセットに使ってもらえる要素を、プロダクトにも取り込んでいます。
例えば、プッシュ通知で「学習リマインダー」をセットして、決まった時間に学習してもらえるようにするなどです。
次の「行動」というのは「目標とする行動」のことで、その行動のハードルを下げることが重要になります。シャドテンでは「シャドーイングの敷居を下げること」を意識しています。
例えば、「音声が速すぎて聞こえないよ」という障壁を避けるために、再生速度を変えられる機能を入れたりします。
そして「報酬」はアプリ内で褒めることです。課題を提出したらアニメーションで褒めたり、連続で提出したらメダルやバッジを表示します。
習慣化の指標については「毎日の課題の提出率」を見ていますね。もちろん継続できているかを見るために「継続日数」も見ます。
—
【取材協力】
株式会社プログリット:https://about.progrit.co.jp/
プログリット:https://www.progrit.co.jp/
シャドテン:https://www.shadoten.com/
株式会社プログリット 岡田祥吾さん、太田忠さん、広報/PRの福本実子さん
【告知】プログリットさんでは各職種で採用中とのこと。ご興味あれば下記のサイトから詳細をご覧ください。
https://recruit.progrit.co.jp/
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、5つほどnote購読者向けにまとめています。シャドテンの売上を伸ばしたYouTubeマーケのポイント、学習リマインダー通知の効果を高めた施策、プログリットのブランド力に貢献した要素、などご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/nb8979612b214
The post 常識から逆算して生まれた「プログリット」が年商30億円まで「仕組み化の力」で成長した方法。英語コーチングサービスの指標が「KPIの応援団長」を置いたら伸びた話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年6月25日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/nbceb49639e5b 結婚式場をLINE […]
The post 累計GMV100億円を突破。LINEで探せる式場探しサービス「トキハナ」成長の裏側。結婚式において「主役になりたくない人」が増えているトレンドの話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年6月25日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/nbceb49639e5b
結婚式場をLINEで探せる「トキハナ」さんを取材しました。
安藤:
LINEでできる「式場探しサービス」です。2020年からサービスを開始して、累計のGMV(流通総額)としては100億円を突破しています。
提携式場数は全国で600件あり、LINE公式アカウントの登録者数は8.2万人、月間のGMV(流通総額)は約8億円となっています。
トキハナは「結婚式の負」を解消するサービスです。LINEで相談いただくと元ウエディングプランナーが希望に合った式場を提案します。
もともと僕は、結婚式場の会社で働いていたのですが「結婚式をしない人」も増えていました。それで、やらないという選択を「やる」に変える事業がやりたかったんです。僕自身も結婚式をこれまで4回やっています。
最初は「gensen wedding」「Choole」という2サービスを作ったのですが、顧客層が同じだと気づいて、これらを統合して「トキハナ」を作りました。
いろいろ試した結果、強かったニーズは「結婚式をいい感じにしてほしい」というものだったので、相談型のパーソナルサービスにしましたね。
トキハナを公開したのは2020年5月。コロナ禍には採用支援とLINEコンサルの事業で持ち堪えながら、トキハナを育てていきました。
安藤:
初期はとにかく毎朝、LINEの動きを観察して「お客様の関心の高い情報は何なのか?」を分析して、オペレーションに落とし込んでいきましたね。
LINEって、メルマガ配信のような「マーケティングツール」として捉えられがちだと思いますが、僕らはセールスのための「コミュニケーションツール」のように捉えていたんです。
例えば、LINEで「お客様の関心が高い情報」って、商談で言うと資料の特定ページを「めっちゃ見ている」みたいなことに近いですよね。
なので、LINEでコンテンツを配信して「関心度」を測って、その反応を元に「関心の高い訴求軸」でコミュニケーションを取ったりします。
例えば、LINEで「持ち込みできる式場」のコンテンツの反応率が高かった方には「持ち込み軸」のコミュニケーションを強めたほうが良い。
このように、ひとつひとつオペレーションやコンテンツを改善して、コミュニケーションを磨き上げていくと成果が出てきましたね。
パーソナルな相談サポートは「自動化」から入らずに、まず手動で非効率にやってみて成果が出たものを効率化する。この順序が大切だと思いました。
安藤:
1つは「エリアを拡大すると成長したとき」です。
東京からスタートして大阪にも式場が増えた。すると、大阪のお客様からも相談が増える。これはエリアが変わっても成立していることを示します。
そのため、成長率の高いエリアがあった場合には、戦略的にそこに広告を出稿して集客したり、式場を増やしたりもしましたね。
式場ラインナップは「決定率」にも影響します。エリアに30会場あるのに、5会場しか掲載されていなければトキハナ以外に流れやすくなります。
それが、30のうち15会場が掲載されていれば「この中から見つかりそう!」という期待値が上がり決定率も確実に高くなります。
式場のバリエーションも重要です。同じような15式場よりも、特徴を持った(価格・雰囲気・場所など)15式場があったほうが適切です。
2つ目は「ラインナップ」を増やすと成長したときです。
例えば、LINEでできる「式場診断」「見積もり診断」「パーソナル診断」など診断を増やしていくと、LINEの登録者が増えていきました。
診断が増えると「訴求パターン」が増えます。すると、集客の手札が増えるので「お客様のターゲット層」の拡張につながります。
この「訴求軸」と「エリア」が増えると、その組み合わせで掛け算で伸ばしていけるので、これでどんどん拡張していきました。
安藤:
想定外だった発見としては、知らない式場ではなくて「知っている式場」を提案しても信頼してくれる、というお客様が多かったことです。
顧客インタビューを行うと、「提案された式場が『知ってる式場』ばかりで信頼できた」と話してくれる方が多くて。パーソナルな相談サービスには「検討中の選択肢が間違ってないか」を確かめたいニーズもあるんだなと。
当初は「お客様が知らない式場」を提案したほうが満足度が上がると考えていたのですが、ニーズに合った式場をスパッと出すほうが良かったです。
SNSやネットで調べて、自分では「この式場かこの式場かな」と思うけど本当に合っているか悩む。トキハナが同じ式場を提案してきたら「ちゃんと合ってたんや!」と自信を持てる。すると、トキハナも信頼してもらえる。
これはインタビューだからわかったことでした。LINEでお客様は「私が良いと思った式場を提案するなんてさすがですね」とは言ってくれません。
安藤:
最も重要な指標になるのは「結婚式場の決定数」ですが、そこに至るための重要指標としては「相談数(LINEで相談してもらう)」を置いています。
LINEに登録するだけの方も多いため、能動的に「この式場はどうですか?」「こんな結婚式がしたい!」と相談してもらうことを指標にしています。
そして「相談数」を伸ばすために意識しているのは「返信スピード」です。これは「10分以内には返そう」という気持ちでやっています。
夜は22時まで対応しているのですが、深夜に溜まった相談も翌日の午前中に役員も含めて「全て返しきろう!」と頑張っています。
返信の速さは「満足度」にも直結します。お客様に「大事にされている」と感じていただけたり、サービス品質を体感してもらえるためです。
実際に「レスが早くて安心した!」のような口コミは多く、サービスの評価にも繋がりやすいポイントだなと感じています。
あとは「LINEの登録数」を効率よく集めるために、「検索・インスタ・広告」などチャネル別にマーケティングを行っているという感じですね。
安藤:
トキハナに掲載している「結婚式場のレビュー」は、お客様にLINEで感想を直接ヒアリングすることで、良質なレビューを素早く集められています。
ほとんどの方からご回答いただけるので、口コミを投稿いただくよりも、LINEのチャットで聞いたほうが回答率もずっと高くなると思います。
レビューの増加は「サービスの向上」にもつながります。少ないときには「この式場さんどうですか?」と聞かれても詳しく回答できませんでした。
レビューが増えると「こんな評判が多いですよ!このページに載っています」と誰でも伝えられるようになり、サービスの品質も向上しました。
安藤:
最も大きいのは、結婚式において「定番の演出」を望まない方が増えていることを肌感として強く感じています。
中でも強いニーズがあるのは「結婚式で主役になりたくない」なんですよ。だから「脱・主役の結婚式」というものを求める人が増えています。
結婚式はやりたい。ハッピーな時間を過ごしたい。でも「自分たちが主役だ」という雰囲気は嫌。このように考える方が増えているんです。
入場シーンも無くして友達と話したい。誓いのキスもスピーチもいらない。主役感を減らすことは「定番演出を回避すること」だとも言えます。
イメージ的には、飲み会に「主役」がいないのと同じで、結婚式にも「主役」はいなくていいと。披露宴ではなくウェディングパーティーがいいと。
求める演出も多様化しているため、トキハナでも式場が決まった方に「理想のウェディング」を行うためのノートも無料で送っているんです。
—
【取材協力】
株式会社トキハナ:https://tokihana.co.jp/
トキハナ:https://tokihana.net/
株式会社トキハナ 安藤 正樹さん、広報の菅井 さくらさん
【告知】トキハナさんでは「LINEのコンサルサービス」もやっているそう。不動産・自動車・ジュエリーなど「C向けの高単価商材」とは相性が良いとのこと。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。
https://salesdx.tokihana.co.jp/
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに、4つほどnote購読者向けにまとめています。効果の高かった2つの広告、見学率と成約率を高めた工夫、パーソナル相談型サービスが成立するかの判断方法、などご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/nbceb49639e5b
The post 累計GMV100億円を突破。LINEで探せる式場探しサービス「トキハナ」成長の裏側。結婚式において「主役になりたくない人」が増えているトレンドの話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年5月27日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n3be7bbb2f8e2 ナイルさんにAIの活用事例に […]
The post AIが分析した「成約可能性スコア」で年間約5,000万円のコスト最適化に成功。ナイル「定額カルモくん」のAI活用事例。車種や色が「真剣度のシグナル」になったワケ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年5月27日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n3be7bbb2f8e2
ナイルさんにAIの活用事例について聞きました。
高橋:
ナイルでは、2023年3月に「GAI活用部」という社内Slackをスタートして、生成AIで業務プロセスを改善する様々な取り組みを行なってきました。
生成AIなどを活用した「社内向けAIアプリ」も数十個ほどあって、年間で4,000万円以上のコスト削減にも成功しています。
例えば、WebコンテンツのリライトにAIを活用したり、社内ルールの質問に回答するAIボットで社員の対応コストを下げたりしていますね。
社内には「Nyle Generative AI Lab」というR&D組織があったり、他社さんの業務プロセスを改善する「生成AIのコンサル」も提供しています。
高橋:
車のサブスク「定額カルモくん」では、お客様からお申し込みがきた際に、「成約可能性スコア」をAIが分析していて、スコアの高い方から優先的にスタッフが対応することで生産性が改善しました。
このサービスでは、与信審査などを行なってから本お申し込みに進みます。月間数千件の申請がある中で、お客様の真剣度にも大きな開きがあって、営業の生産性を上げ切れていないことが課題でした。
そこで、お申し込み時にいただいた「デモグラフィック情報」をAIが分析して機械学習で「成約可能性スコア」を予測する仕組みを作りました。
一定の閾値を設けて「スコアの高い場合」には営業マンが対応する。また「スコアが低い場合」には一旦メールをお送りしてさらに興味がある場合は営業マンが対応する形にして、対応優先度を最適化したんです。
真剣度の高い方から優先して「営業リソース」を割く仕組みにしたことで、年間で4,000〜5,000万円の営業コスト(主に人件費)が最適化できました。
予想外だった発見としては、お申し込みのときに選択する「車種や車の色」と「成約可能性のスコア」の相関が、想像以上に大きかったことです。
なぜ車種や色かというと、サイト上で「デフォルトの車種や色」から動かしたという行動が、真剣度の高さを示すシグナルとして機能したのかなと。
デフォルト設定のまま、なんとなくお申し込みした方と、迷いながら真剣に検討した方を分ける、行動シグナルとしてAIが分析したのだと思います。
僕らは「競合と比較検討しているか」などが重要ではと予想したのですが、AIを活用したことで「想定外の発見」が色々ありましたね。
ほかには、都道府県も重要度が高かったです。都心よりも地方のお客様のほうが成約率が高くなるのは、車移動のニーズの高さが出たのかなと。
大浜:
この仕組みは「機械学習ベースのAI」と「生成AI」を組み合わせて実装しました。設計時にはChatGPTにもコードを書いてもらいましたね。
生成AIが得意なのって、前処理と言われる「データの修正」とか、機械学習ベースのAIが情報を読みやすくする「データのクリーニング」なんですよ。
そういう処理を生成AIに書いてもらって、最終的には機械学習ベースのAIで判定を行うといった、ハイブリッドの設計にしています。
私は、機械学習ベースのAIをずっとやってきたエンジニアですが、生成AIで開発速度が変わるのは驚きましたね。普通に実装すると1ヶ月はかかります。多くはデータ成形にかかる時間です。生成AIを使えば数日で実装できます。
強いて言うなら、今まで包丁でみじん切りにしていたのが、生成AIの登場でミキサーでみじん切りできるようになった、みたいな感じです。
弱点はもちろんあって、手作業でやったほうが綺麗な料理になるんですね。なので、後から手で書き直したりはしていますね。
工藤:
ほかに「定額カルモくん」で生産性を高めた工夫としては、AIに商談の通話履歴を要約してもらって「成績上位者のトーク」を分析したことです。
これは通話データを連携させると、AIがサマリーを生成して「商談フロー」を可視化する社内ツールをつくって、「どんな商談を最初にして、最後はどんな商談で成約したか」がわかるようにしているんですね。
このデータを使って「成約した商談」や「成績上位者の商談」を分析して、他のメンバーが参考にすることで営業効率を高めています。
通話は「Amazon Connect」で行っていて、AWSに蓄積された「通話のログ」をWhisperで書き起こして、ChatGPTのAPIで要約しています。
高橋:
商談サマリーから「成績上位メンバーの共通点」としてわかったのは、比較されたときに納得感のある「打ち返しトーク」が出来ていることでした。
例えば、お客様に「ローンと比較して高くない?」と言われたら、「サブスクだとこんなサポートメリットもありますよ。」とお伝えする感じです。
トッププレイヤーの「トーク内容」は様々でしたが、懸念や競合との比較に対しては、きちんと「納得感のあるトーク」が出来ていたんですね。
この分析を「全ての商談の音声」を聞いて行うのは大変です。AIによる商談サマリーを使えば、分析のプロセスもかなり時短できます。
この方法だと、複数の商談の流れを「線」で捉えやすいため、単体の商談を聞いただけではわからないことも分析しやすくなります。
—
【取材協力】
ナイル株式会社:https://nyle.co.jp/
定額カルモくん:https://carmo-kun.jp/
ナイル株式会社 高橋飛翔さん、中村紘子さん、石原翔太郎さん、大浜毅美さん、工藤択斗さん、伊藤真ニさん、広報の松中朱李さん
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに「+αのトピックス」を4つほどまとめています。コストを大きく削減できたAIツール、広報の調査業務にAI活用してメディア露出が10倍に、研修にAIを活用した方法など、ご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/n3be7bbb2f8e2
The post AIが分析した「成約可能性スコア」で年間約5,000万円のコスト最適化に成功。ナイル「定額カルモくん」のAI活用事例。車種や色が「真剣度のシグナル」になったワケ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年5月23日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/na472b2371d39 語学アプリの「Du […]
The post 年間売上は約800億円。月間で約1億人がつかう語学アプリの「Duolingo」が語るマーケティング戦略。コンテンツに投資する理由、継続率など改善した3つの施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年5月23日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/na472b2371d39
語学アプリの「Duolingo」さんを取材しました。
Manu:
楽しく外国語が学べる「語学アプリ」です。月間のアクティブユーザー(MAU)は9,760万人に到達しています。世界中にユーザーがいます。
新しい市場に展開するときには、その市場における「ユーザー数の成長率」や「エンゲージメントの健康度」を見るようにしています。
DAUとMAUを確認すれば「ユーザーが毎日戻ってくるか?」がわかります。この指標の高さは「その市場でのPMFの強い兆候」として機能します。
また「市場の収益性」も分析します。ユーザーは課金してくれているのか、課金ユーザーの比率はどれくらいかなどです。
Manu:
Duolingoは口コミで成長しています。アクティブユーザー(DAU)の増加分の約90%は「口コミから来ている」とも言われているんです。
口コミが主要な原動力で、その上にマーケティングとブランド構築があり、ユーザーがプロダクトに感じる「愛情や親近感」の醸成を助けています。
口コミの発生サイクルは、アプリを磨き上げて「良い学習体験」を提供した結果、ユーザーが友達や家族に紹介してくれることで起こります。
そして、Duolingoではこの「成長モデル」に沿ってチームを置いていて、それぞれのチームが異なる目標に責任を持っているんですよ。
例えば、ユーザー獲得やブランド構築に責任を持つマーケティングチーム、継続率に責任を持つリテンションチームなどがあります。
Manu:
Duolingoでは、エンタメ性の高い「コンテンツ」を通じて、ブランドのことを知ってもらうという取り組みに世界中で投資しているんですよ。
例えば「Duolingo on Ice」という、架空のスケートショーの動画コンテンツは、TikTok・インスタ・YouTubeで8,000万回ほど視聴されています。
これらのコンテンツは「言語学習」に関係なくても、SNSで話題になり多くの人に視聴してもらえると、プロダクトにも大きな影響を与えます。
こうしたコンテンツには、マーケティング視点では「ブランディング効果」と「リテンション効果」という2つの効果があると考えています。
まず「ブランディング効果」というのは、Duolingoのコンテンツに触れてもらうことで、いつか「外国語を学びたい!」と思ったときに、Duolingoを最初に想起してもらえるという効果です。
実際に、TikTokで「動画の再生数」が伸びることは、Duolingoのアプリの「新規ユーザーの増加」とも相関関係があることもわかっています。
他のコンテンツも同様です。コンテンツの視聴ボリュームが「ユーザーの獲得」にも影響を与えているというわけですね。
もう一つの「リテンション効果」というのは、Duolingoのコンテンツに触れることで、既存ユーザーが思い出してくれるリマインド効果のことです。
例えば、SNSで動画を見かけたら「あ、今日のレッスンやらなきゃ!」と思い出してくれる。つまり、コンテンツには「プッシュ通知」のような効果があって、これが頭の中のリマインダーとして機能するわけです。
Duolingoでは、MAUよりもDAUを重視します。やはり「月1回の学習」では進歩を感じにくいためです。つまり「リテンションビジネス」なんですよ。
このようにブランド構築に投資するのは、ユーザーの「エンゲージメント・継続率・再活性化」などに貢献するからなんですね。
Manu:
Duolingoでは、四半期にABテストを500回ほど行いながら、ユーザー体験をどんどん改善しています。
例えば、新しく「連続記録」をはじめた人に向けて、レッスン後に「目標を設定する画面」を追加したところ、長期の継続率が改善されました。
ユーザー自身が「○○日は続けます」と目標を設定したことで、より「目標への責任感」を意識するようになったのだと思います。
Duolingoの行動指針には、「Test Everything」という項目があり、このようにすべての取り組みを事前にテストしているんです。
Manu:
Duolingoには「Delight」という「体験をより楽しくすること」を目的としたチームがあって、アプリの中に「喜びを感じる瞬間」を増やしています。
例えば、レッスンで正解を祝うアニメーション、ボタンをタップしたときに感じる触覚フィードバックなど、細かい改善にも取り組んでいます。
これらは「体験の向上」が目的でしたが、ABテストで指標を測定してみると「滞在時間やリピート率」を高める効果があることもわかりました。
つまり、アプリの中で「ユーザーを楽しませること」に焦点を当てた結果、継続率などの改善にもつながっていたのです。
毎日、レッスンに戻ってきてもらうには「楽しく学べる体験」が必要です。これはDuolingoの競争優位性にもつながっています。
Manu:
Duolingoの「年間レビュー」(Year-in-Review)という、ユーザーに学習結果を年末に知らせる機能は、継続的な学習サイクルに貢献しています。
アプリ上で「あなたはこれだけ学習しました」と学習結果を可視化すると、ユーザーは「この1年がんばった!」と誇らしい気持ちになれます。
この「学習の可視化」と「コミットメントの祝福」は、ユーザーの継続率にとても良い影響を与えますし、友人や家族への共有を促進します。
2021年版では、数百万人が「年間レビュー」のカードをSNSに共有し、新規ユーザーが大幅に増えました。2023年はさらに良い結果が出ています。
途中から変更した工夫としては、ユーザーに合わせて「パーソナライズ」をさらに行なって、学習者にサプライズを届けるようにしたことです。
2020年版では、XP(学習ポイント)で上位10%のユーザーが、共有の約50%を占めていたので、より多様な軸で評価されるようにしました。
ユーザーによって「結果が変わる」ということは、ユーザー同士での対話につながりますし、SNSに共有される可能性を高めます。
水谷:
日本市場のDuolingoは、2020年11月の本格的なスタートから、3年半でDAUが約10倍に成長しました。日本はDAUの規模的にもトップ10の市場です。
韓国語のニーズも伸びていて、日本では「韓国語コース」の利用者が2年間で約17倍になっていますね。
直近で日本でユーザー数が伸びたのは、2023年6月〜2024年1月に3回ほど、全国規模でのテレビCMを放映したタイミングです。
水谷:
上手く機能したのは、アプリ冒頭に入れている「どこでDuolingoを知りましたか?」という簡易アンケートです。これが効果を発揮しました。
これのメリットは「正確に即時的に結果がわかる」ということなんですよ。すごく簡単な仕組みではありますが、精度の高い分析が出来ています。
もちろん、定量的な分析ツールも併用しています。ただ、ユーザーデータとテレビCMのデータを掛け合わせて分析しようとすると、時間がかかります。
後から分析ツールと照らし合わせても、この簡易的なアンケートでかなり正確な測定ができていることもわかっています。
水谷:
アンケートでわかった面白いデータとしては、テレビCMを打ったときに「友達・家族に聞いた」という項目もガッと伸びることなんです。
その理由としては、テレビCMには「ラストクリック」を促進する効果があるからだと解釈しています。
例えば、友達から「Duolingoいいよ!」と紹介されて、その後にテレビCMを視聴して「あ、友達が言ってたやつだ!」とダウンロードする。
すると、アンケートには「友達・家族の口コミ」として記録される。ただし最後のクリックは「テレビCM」が後押しした。そういう感じですね。
逆にCMから口コミが発生するケースもあると思います。テレビCMはいろいろな側面からファネル全体にポジティブな影響を与えています。
水谷:
公式キャラである「デュオ」の、ワイルドでクレイジーだけどちょっと可愛げのあるところが、SNSで面白がってもらえているのかなと思います。
ユーザーさんからも「ほんとに公式なの?」「こんな狂ってる公式、あなたしかいないよ」といったコメントをいただいています。
以前は「学習のTIPS」など真面目な投稿が多かったのですが、楽しい投稿を増やしてから、数百万インプレッション見てもらえる投稿も増えました。
運用で意識しているのは「コメントの返信」です。SNSに投稿して15分間はデュオがずっと張り付いてコメントに返信していますね。
引用リポストでも「返信が面白い」という感想もいただいていて、コミュニケーションが1つの「エンタメ」になっていると感じます。
会話を覗こうとすると、それも「投稿のエンゲージメント」に加算される。すると、アルゴリズム的にも伸びやすくなるのかなと。
新生活シーズンには、ムキムキのデュオたちがユーザーさんを胴上げして、連続記録をお祝いするという企画もやりました。
企画については、僕たちが「笑ったかどうか」も大事にしています。面白くて「人に教えたい!」と思ってもらうことも大事だと思うからです。
—
【取材協力】
Duolingo:https://ja.duolingo.com/
Duolingo Manu Orssaudさん、水谷 翔さん
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに「+αのトピックス」を4つほどまとめています。サブスク登録画面で「CVRの高かった訴求」、効果を高める「CMクリエイティブ」の検証プロセス、ユーザーインタビューで成果を高める質問など、ご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/na472b2371d39
The post 年間売上は約800億円。月間で約1億人がつかう語学アプリの「Duolingo」が語るマーケティング戦略。コンテンツに投資する理由、継続率など改善した3つの施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年4月23日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n584293a803b9 会員数が120万人を突破した […]
The post 目標を数字で追わない「体験向上チーム」で目に見えない満足度を改善。会員120万人の「Qiita」が語る、プロダクトの成長サイクルを回した施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年4月23日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n584293a803b9
会員数が120万人を突破した「Qiita」さんを取材しました。
柴田:
「Qiita」は、エンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービスで、日本最大級のエンジニアコミュニティにもなっています。
会員数としては120万人を超えていて、月間のPV数は4,500万、月間のUU数は650万人。アクセス数の70〜80%は「検索流入」です。
収益モデルとしては広告がメインで、詳しい業績は非公開ですが、売上や会員数は順調に伸びています。
サイトのアクセス数は「平日の朝8時〜19時」がピークで、逆に夜間や休日はめっちゃ落ち着きますね。年末年始やお盆も同様です。
これは、開発のお仕事中に「困ったら調べたり閲覧をする」というアクションとPVが、明確に連動しているのだと考えています。
柴田:
Qiitaというサービスは、2011年に創業者の海野が開発したサービスで、実は公開された当初は「Q&Aサービス」だったんですよ。
サービスを開始すると「質問の数」は少なかったのですが、回答率は非常に高かったんです。そこに着目して「投稿型のサービス」になっていきます。
ここから読み取れたのは、プログラマーたちは「潜在的に発信できる情報」を実はたくさん持っているのではないか、という仮説でした。
質問が起点だとハードルが高かったため「情報発信しやすい場所をつくる」という方向性で、Qiitaは投稿コンテンツを軸に成長していきます。
2017年には、エイチームがQiitaを買収(取得額 約14億円)することになり、2019年に創業者が退任したタイミングで、僕が代表に就任しました。
自分が代表になってからは、Qiitaにあった良いところはそのまま残しつつ、良い方向に伸ばせると感じたところは改善していきました。
柴田:
Qiitaはユーザーの記事投稿によって、成り立っているサービスであるため、ユーザー満足度をとても大切にしています。
社内では「ハーベストループ」と呼んでいるのですが、成長サイクルを図にしたものを軸に、Qiitaの成長に向かって運営しています。
例えば「セレクション増加」というのは、記事の種類のことです。いろんな記事が揃っていれば、読み手の体験が向上してPVも伸びます。
そして「生産者体験の向上」というのは、記事を書く人の体験のことです。記事が読まれたりいいねがもらえると「また記事を書こう」となります。
そこに紐づく指標も細かくあって。例えば「トラフィック」なら、PVや1UUあたりの回遊数などに分解して追っていますね。
記事を書いて投稿するって、Qiitaのサービス的にめちゃくちゃ大事だけど、ユーザーにとっては労力も時間もかかります。
月間のユニークユーザーは650万人いる中で、記事を投稿するユーザーの方は月間で1万人前後。なので「書き手の体験」を上げることも大切です。
例えば、ユーザーインタビューで「書き手のモチベーション」をヒアリングすると、初心者の方は「文章を書くこと」にハードルを感じていました。
そこで、「文章を書くハードル」を下げるために、文法の誤りや誤字をハイライトするAI機能を実装したりもしましたね。
柴田:
代表に就任した当初2020年に、ユーザーが「Qiitaで閲覧・投稿した記事の傾向」を、デフォルトで公開される形でリリースした結果、ユーザーさんから猛反発を受けてSNSで炎上してしまったことです。
これは完全に僕らの至らなさが原因です。それからは、挑戦的な機能を実装するときには、クローズドベータに任意で参加いただいて検討する仕組みをつくるなど、ユーザー体験を大事にするようになりました。
また、2021年には「CX向上グループ」という、売上や指標などの定量的な目標を持たずに、ユーザー体験の向上に特化するチームもつくりました。
開発チームが1つだと、短期的な売上や指標に捉われてしまって、「今やらないといけないこと」ばかりに追われがちです。
すると、ユーザー体験的に「これをやれば絶対に良くなるのに、定量的にはインパクトを測れない施策」ってめちゃくちゃ後回しになるんですよ。
それで、数字は一旦無視して「ユーザー体験」にとって良いことをひたすらやるチームをつくったんです。
例えば、記事の投稿後には、画面に「投稿ありがとうございました」など、運営からのお礼メッセージを出すように変更しました。
これは数字では効果検証できません。でもユーザー体験にはきっと貢献するはずですよね。こういうことをひたすら続ける感じです。
レストランで例えるなら「なぜリピートするのか?」を調べたら、「料理が美味しかった」はあっても、「挨拶が気持ちよかった」「トイレが綺麗だった」という意見はあまり出てこないと思うんですよ。
でも、それは恐らく「満足度やリピート率」にも効いているはず。逆に売上や客単価だけを追い求めても、限界が来るってことだと思います。
Qiitaでも、こうした取り組みを続けた結果として、細かいユーザー体験や満足度をかなり高められたと考えています。
柴田:
ユーザーからの要望や質問などにオープンに回答する「Qiita Discussions」という場をつくったことは、色々な意味でよかったと感じています。
主なメリットは、オープンな場でディスカッションを続けて、運営の透明性を高めることで「ユーザーからの信頼感」を得られやすくなること。
もうひとつ面白いのは、この形式だと「運営:ユーザー」という『1対1』ではなくて、「運営:ユーザーコミュニティ」と『1対多』の構造になるので、議論が発展しやすくなることなんですよ。
議論が深まるメリットは、運営が想定していなかった「第三の選択肢」が生まれやすくなることです。
例えば、運営が「A」という意見を、あるユーザーが「B」という反対意見を持っていたときに、別のユーザーが「C」という解決策をもたらしてくれる可能性があるわけです。これはクローズドな対応では生まれません。
あと、オープンな場で「議論しながらつくった機能」って、リリースしたときにユーザーさんがSNSでもシェアしてくれたりもします。
そういう風に、ある意味ユーザーの方を巻き込みながら進められることも、オープン型の良いところじゃないかなと。
柴田:
Qiitaで、記事のボタンを「いいね」から「LGTM」に変えたことです。これは数字的には「押された数」などは変わらなかったんですよ。
ただ、ユーザーからは不評の声が挙がりました。例えば「わかりにくい」「レビューを承認している感覚になって押しづらい」といったものです。
僕らの意図としては、「エンジニアらしいサービス体験」をより感じてもらいたいと考えたのですが、これは勝手な押し付けだったなと。
ちなみに、「LGTM」とは「Looks Good To Me」の略で、コードレビューをするときに「いい感じです」とか「レビューOKです」と承認する単語です。
数字が動かなかったためすぐ戻さなかったのですが、約2年後に「いいね」に戻しました。そのときも指標に大きな変化はありませんでしたね。
戻した意図としては「様々な種類の記事を揃えていこう」という中で、別に運営が「いいね」の定義なんか決めなくても良いよねと。
当然、素晴らしい記事という「いいね」もあるだろうし、アウトプット頑張ったねという「いいね」もある。となると「LGTM」は使いにくい。
教訓としては、運営の主観で「○○らしい体験」をユーザーに押し付けても意味がなかったなと。ユーザーは何も得られていないので。
—
【取材協力】
Qiita株式会社:https://corp.qiita.com/
Qiita:https://qiita.com/
Qiita株式会社 柴田 健介さん
【告知】Qiitaでは「広告出稿・タイアップ」などを募集しているとのこと。エンジニア採用の一手として、ご興味あれば下記サイトからご覧ください。
https://business.qiita.com/
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに「+αのトピックス」を4つほどまとめています。書き手が生まれるサイクルを回した施策、投稿の幅を広げたアップデート、運営の意思決定スピードを上げた工夫など、ご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/n584293a803b9
The post 目標を数字で追わない「体験向上チーム」で目に見えない満足度を改善。会員120万人の「Qiita」が語る、プロダクトの成長サイクルを回した施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年4月15日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/ne47b8e34a3dc 85万ダウンロード […]
The post ショート動画の「切り抜き戦略」で約10億再生に到達。ショートドラマアプリの「BUMP」が語る85万DLまでの成長の裏側。ヒットするショートコンテンツを作るコツ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年4月15日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/ne47b8e34a3dc
85万ダウンロードを突破した「BUMP」さんを取材しました。
水谷:
1話3分のショートドラマ配信アプリです。アプリは累計85万ダウンロード、切り抜きを含めた「総再生数」は約10億回に到達しています。
Z世代の女性ユーザーが多く、移動時間よりは夜の時間帯に使われていて。寝る前などにゴロゴロしながら「マンガ感覚」で視聴されていますね。
収益モデルは、BUMPに掲載した作品から生まれた収益を、クリエイターと分け合うレベニューシェアモデルになっています。
作品あたりの収益のベースラインも伸びてきていて、制作費の回収が見える作品も増えている状況です。
澤村:
テレビドラマの面白さのままに、1話の尺を短くできたら面白いのではないかと2021年に「ショートドラマのアプリ」の着想を得ました。
最初はコンテンツもプロダクトも、何もないところからはじめたので、作品に関わる人たちを集めるために、毎日DMでお願いをしていましたね。
当然NGやスルーばかりで、門前払いも当たり前。社内のメンバー間でも「本当にこれいけるのだろうか」という空気が漂っていたのを覚えています。
ただ、あるときに「実績のある監督」がOKしてくれて。その瞬間から風向きが一気に変わっていくことになります。
何もなかった僕らに、その監督がOKを出してくれたのは、僕らが「BUMPで実現したい仕組みや世界観」に共感してくれたからでした。
そして、最初に「監督」が決まったことで、出演者やスタッフの方を集められるようになっていきました。
やっぱり「監督」って影響力があります。芸能事務所さんも「この監督なら出ます」となるし、カメラマンさんも「この監督なら付き合うよ」となる。監督を押さえられるかって超重要でした。
こうして、制作に関わる人を地道に集めてショートドラマ作品をつくって、並行してアプリも開発して、2022年12月に「BUMP」を公開しました。
澤村:
BUMPを公開して、最初に行わなければならなかったのは仮説検証でした。具体的には「ショートドラマに課金してくれるか」を検証することです。
3話まで無料で視聴できて、それ以降はコインに課金して視聴するというモデルが成立するかは、「課金してもらえるのか」にかかっています。
そこで、リリース時の6作品は「恋愛・アクション・不倫」とジャンルも意図的にバラバラにつくって、相性の良いジャンルを探っていましたね。
結果としては『今日も浮つく、あなたは燃える』という不倫をテーマにした作品がヒットして、ショートドラマの課金モデルが「制作費の何倍もの収益を生み出せること」を証明できました。
また、不倫といった背徳感を感じるような「インモラル系」のジャンルは、ショートドラマとの相性がめちゃくちゃ良いこともわかりました。
ここで、ショートドラマに「若いユーザーが課金してくれる」という手応えが得られたため、さらに新作をつくっていくことになります。
澤村:
カップルや夫婦って、もう見た瞬間に「関係性」がわかりやすいんですよ。数十秒で人間関係を描けるってことは、ショートドラマ向きなんです。
例えば「理想の夫婦生活」を30秒で伝えてから、夫のセリフで「これ不倫してるんじゃないの?」と匂わせれば、感情の落差が生まれます。
また「カップルや夫婦」は感情の揺さぶりをつくりやすいです。なぜなら、誰もが「出会いや別れ」で感情を揺さぶられた経験があるから。
だからこそ「本当に不倫しているの?」というシーンを1話の引きにすれば、次の話に引き込まれてしまうわけです。
澤村:
BUMPの成長につながったのは「切り抜き動画」でした。印象的なシーンの「切り抜き」をSNSにアップすることで、今ではコンスタントに「月間で数千万再生」されることにつながっています。
新作ドラマを出したら、SNSに「切り抜き動画」を上げる。すると切り抜きを起点に「BUMP」に流入する。このサイクルが生まれたんです。
同じような「バズっている切り抜き」でも、BUMPのアプリのダウンロードまでつながる「CVRの高い動画」と「CVRの低い動画」があって。
分析すると、CVRが高い動画の特徴は「ストーリーの続きが気になるもの」でした。視聴後に「アプリをDLする動機」が生まれるからですよね。
そのため、脚本段階から「各話にどれだけバズるシーンが作れるか」も意識して、1つの作品から「多数の切り抜き」が生まれるようにしています。
水谷:
ショート動画は「最初の1秒」で視聴するか離脱するかが決まるので、テロップを動画の上下に入れて「最初の1秒の情報量」を増やしていますね。
テロップで「シーンの状況」を伝えれば、それが「視覚的なアイキャッチ」になって引きが生まれて、視聴を継続してもらいやすくなります。
最初の1秒での、セリフで伝えられる「聴覚的な情報量」って多くないので、テロップをつかって「視覚的な情報量」を増やしているんです。
このテロップには「コメントを引き出す」という役割もあって。テロップのワードセンスは、動画のコメント数や視聴回数にも影響します。
あと、媒体によって動画も出し分けています。なぜなら、同じショート動画でもSNSによって「ウケるネタ」が違うからです。
例えば、インスタでは「共感を呼ぶあるあるネタ」がウケるので、テロップにも共感度の高そうな文言を入れます。
切り抜きの再生数は「TikTokが突出して多い」とかではなくて、本当に動画によってバラバラです。つまり、どの媒体も重要だということです。
澤村:
ヒット作品の共通点は「最終話まで見てくれる人が多いこと」なんですよ。分解すると「1話の視聴者の母数」と「継続視聴率の高さ」が大切です。
まず「1話の視聴者の母数」を増やすには、先ほどの「切り抜き動画」の視聴数をどれだけ増やすかがポイントになります。
また「継続視聴率の高さ」は、簡単にいうと「次話もみたい!」と思ってもらえるのかですが、すると大事になるのは「1話の冒頭」です。
ショートドラマって「最初の1話」の離脱が圧倒的に多くて。そこで次を見るかが決まります。低いと50%以下だし、高いと90%が視聴してくれます。
2話以降は、徐々に視聴者が減っていきます。なので、1話の出来栄えによっても「最終話の視聴者数」が全く変わってくるんです。
視聴を継続してもらうには、感情が揺さぶられるフックになるシーンを冒頭30秒に持ってくることと、その作品が「最終的にどこに向かっていく話なのか?」を1話目で伝えられないといけません。
例えば、「桃太郎」のショートドラマを作るなら、「なぜ鬼を倒したいのか」という動機を、1話の中で視聴者に提示しないといけないんですね。
だから、「昔々…」からはじまると遅くて、めっちゃ人のいい爺さん婆さんが鬼に襲われて惨殺されてしまう、という展開のほうが引きは生まれます。
これって「鬼滅の刃」の1話が正にそうなんですよ。鬼を倒す動機をつくる。主人公を応援したくなる理由をつくる。次への引きで終わる。
丁寧に伏線を貼って、じっくり説明していくよりは、「短時間で一発で感情移入できる」って状況をつくらなきゃいけないんですね。
澤村:
例えば、社内のスタッフが、脚本を読んで「継続視聴してもらえそうか」を判断する「フックレベルシート」というものがあって。
これは、脚本から「継続して視聴されそうか」を評価して、それが一定の基準を超えたら制作に入る仕組みになっています。
この評価を参考にしながら、課金箇所を調整することで、同じ視聴者数でも収益性が2倍に改善する、ということも起こっていますね。
同じように「バズレベルシート」というのもあって、脚本の中に「バズりそうな切り抜きが作れそうか」を、評価する仕組みもあります。
最終的にはプロデューサーが判断しますが、評価が高い脚本の中から「GO」という意思決定をするようにはしていますね。
澤村:
ここは大事なのですが難しくもあって。作り手としては「間を捨てる」ってチープに見えてしまう側面もあるし、業界習慣に逆行する手法なんですよ。
役者さんとしても「間で芝居する」みたいなところがある。だから、現場で監督に「間を捨ててテンポを上げたい」とリクエストすると、「え、それ本気で言ってるの?」となかなか受け入れてもらえない瞬間もあって。
でも、視聴者の動きをデータで見ると「テンポは大事だ」とわかっていて。そこはみんな「作品を最後まで見てもらいたい」って気持ちは同じなので、丁寧に説明してなるべく納得いただけるようにしていますね。
脚本でも、映画やドラマ感覚でじっくり説明を入れると、ショートドラマだとめっちゃ長く感じるんですよ。なので、セリフも短く削ったりします。
あと、テレビでよくある「引きの画」って説明的なものが多いですが、ショートドラマだと、視聴者的にはなくても成立するので「待たされている感覚」になりやすいです。
それで、BUMPでは「寄りの画」が多くなるようにしていて、僕も現場では「寄り」で撮ってもらうように、お願いしたりもしていますね。
—
【取材協力】
emole株式会社:https://emole.co.jp/
BUMP:https://lp.bump.studio/
emole株式会社 澤村直道さん、水谷誠也さん、広報の浦田さん
【告知】emoleさんでは各職種で採用中。PdMやコンテンツプロデューサーやバックオフィススタッフなどを探しているそう。ご興味あれば下記サイトから詳細をご覧ください。
https://www.wantedly.com/companies/emole/projects
※ 続きの話は、noteマガジン購読者向けに「+αのトピックス」を5つほどまとめています。仮説検証の成功ポイント、ストアレビューを上手く集めた工夫、切り抜きのコメントの会話量を伸ばすコツ、などご興味あればご覧ください↓
https://markelabo.com/n/ne47b8e34a3dc
The post ショート動画の「切り抜き戦略」で約10億再生に到達。ショートドラマアプリの「BUMP」が語る85万DLまでの成長の裏側。ヒットするショートコンテンツを作るコツ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年3月27日 )数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n361b257f6daa 利用者が2,000万人を突破 […]
The post ニーズを捉える「ユーザーテスト」から世界2,000万人の利用者に成長。「家族アルバム みてね」に聞く、コミュニケーションサービスの丁寧なつくり方。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年3月27日 )数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n361b257f6daa
利用者が2,000万人を突破した「みてね」さんを取材しました。
笠原:
「みてね」は、家族向けに写真や動画を共有できるアプリで、利用者数としては世界で2,000万人を突破しています。
日本国内では、2022年に生まれたお子さまのご家庭の「2家族に1家族以上」に利用されている(55%)というデータも出ています。
登録経路としては「先輩のママ・パパから聞きました」という口コミからが圧倒的に多いようです。
笠原:
「みてね」を開発したキッカケは、自分に子どもが生まれたときに「ここまでたくさん写真・動画を撮るようになるのか」という驚きがあって。
それで、家族と「子どもの写真・動画」を共有できるベストなサービスを、自分たちで作りたいと考えたのがはじまりでした。
最初はニーズの検証からはじめました。自分自身の体験だったり、社内のメンバーに聞いてみると、まず一定のニーズはありそうだなと。
ただ、本当にみんなが「子どもの写真・動画」を多く撮っているか疑問で、ネット業界の人だけかもとも思えたので、その辺りを調査しました。
アンケートを万単位で回収して、どれくらいの頻度や枚数で撮るのか、共有したいニーズはあるのか、既存ツールへの不満点などを調べましたね。
結果としては「子どもの写真や動画」を撮りすぎるくらい撮っていること、また「家族と共有したい」というニーズがあることを確認できました。
笠原:
一定のニーズを確認できたので、今度はテスト版の「みてね」を開発して、ユーザーテストを実施していきましたね。
このユーザーテストでは、0歳児のママたちを約20人ほど集めて、テスト版の「みてね」を家族と2〜3週間ほど使っていただきました。
1回目のテストの結果は、実は評価が悪かったんです。最も不評だったのは「子どもが生まれた日から遡って写真・動画をアップしていくUI」でした。
僕らは生まれた日からの写真や動画をアップすると「アルバムが完成する」という特徴に目が向いていたのですが、ユーザーは「今日の写真や動画」を家族に共有したいと考えていました。
ユーザーの声としても「今日撮った写真をあげたいのに」「生まれた日からだと多すぎて大変です」といったものが挙がっていましたね。
そこで、シンプルに最新から選んでいく「今日の写真や動画」を軸にしたUIに変更して、2回目のユーザーテストを実施しました。
すると、アップロードの初期体験が変わったことで「テストが終わっても、使い続けたいです!」という声が増えて、評価が高くなりました。
これが嬉しくて、希望者の自宅まで伺って、テスト版のデータをリリース後も使い続けられるように、移行作業をしたりもしましたね。
1回目のテストでは高評価が10〜20%でしたが、2回目のテストでは高評価が70〜80%まで上がって、ここで一定の手応えを感じました。
なぜなら、使ってくれさえすれば「使い続けたい」と思ってもらえそうだとわかってきたからです。
笠原:
2015年に「みてね」をリリースすると、初速はそこまで良かったわけではなく、登録数がじわじわと増えているという状態でした。
こういう新しい事業をはじめるときって、基本的に「ネガティブな数値」が並びがちだと思うんですよ。新規のユーザー数が伸びないなとか。
このとき意識したほうが良いのは、「ネガティブな数値」に目を向けることではなく「ポジティブな数値」に目を向けることだと思うんですね。
例えば「みてね」でいうと、はじめは登録者が少なかったのですが、家族を招待して使っている方は、明らかにアクティブに使い続けていたんです。
あとは少し違いますが、子どもが生まれたばかりの人に「みてね」を紹介すると、ハマってくれる人が多かった。これも勇気になりました。
実際に、初期に鈴木おさむさんが、偶然ブログで紹介してくれたことから、「みてね」の登録者が大きく増えたこともあります。
感覚的には、ドンピシャのターゲット5人に紹介して、4人くらいがいいねと言ってくれる場合は、成長する可能性が割とあるのかなと感じます。
SNS「mixi」を作ったときも、競合サービスに初速では負けていたんですよね。そこだけ見ると「ジリ貧だな」と思ってしまいます。
ただ、はじめた人の「アクティブ率や熱量」には手応えを感じたんですね。書く人は日記を毎日書いていたし、見る人は日記を毎日見にきていた。
そういう、アクティブユーザーの熱量を見ると、初期の成長スピードでは負けていても、いつか逆転できるかもと思えたんです。
なので、とくに初期は「ネガティブな数値」ではなくて、何か特徴的な数値や想定よりも伸びている指標に注目したほうがいいのかなと。
もちろん、そもそものコンセプトがウケていない場合には、そこを見続けたとしても、伸びないケースもあるとは思うのですが。
笠原:
コミュニケーションサービスでは「人が賑わっている感」を出すことも大切でそこも意識しています。これがないと、やっぱり寂しいので。
例えば、ご家族が「みてね」を見たかどうかがわかる「みたよ履歴」という機能には「人が賑わっている感」を伝える役割があります。
この機能があると「どの写真や動画を見たか?」まではわからないものの、「誰々が見てくれた」という情報がほんのり伝わります。
すると、共有した方も「あ、写真を見てくれたかも」とか「もっと動画をあげようかな」と思えるので、共有するモチベーションにつながるんですね。
直接言葉を交わさないものの、ひとつのコミュニケーションになっている。ということで、これは入れて良かったなと思います。
この機能は、mixiの「足あと」などが原型です。日記を書いて「足あと」が残っていると「あ、見てくれたのかな」とほんのり伝わります。
笠原:
非連続な成長を起こすためには「顕在ニーズと潜在ニーズ」にリーチするための施策のバランスも大事で、これも意識しています。
手堅い改善だけではなく、 サプライズを起こせるチャレンジ施策も必要で、後者は「ユーザーの声」を聞いても中々出てきません。
例えば、みてねの「1秒動画」という、動画を1秒ずつ切り取ってつなぎ合わせたムービーを、自動作成する機能はこれに該当します。
ユーザーの方に「1秒動画」を届けることで、「こんなに小さかったのに大きくなったんだな」など、忘れかけていた思い出を届けられます。
この体験を通じて「また撮ったものを上げておけば、いいことあるかも」と思ってもらえれば、共有するモチベーションにもつながります。
つまり「みてね」の体験としては、熱量の高い「今」を共有してもらい、気づけば「思い出」が溜まっていき、感動の振り返りがカンタンにできる、このサイクルを大切にしています。
過去の写真を「ウィジェット」に表示する機能や、月ごとに振り返るアルバムのUIなども、感動の振り返り体験があり、このサイクルに貢献します。
指標としては「Weekly Active Family」(WAF)というものを追っていて、1週間に1回以上は使ってもらえることを意識しています。
笠原:
2017年に「みてね」の英語版をスタートして、現在は7言語・175の国や地域でサービスを提供しています。
海外に広げていくときは、言語圏の市場規模、課金の市場や文化、翻訳体制の構築難易度などをもとに、展開する言語などを決めましたね。
サービスの特徴としては「子どもが生まれた後」に一気にニーズが生まれるというものなので、適切な瞬間に知ってもらう必要があります。
そのため、広告を活用したマーケティングで「最初のユーザー」を獲得しているのですが、そこからはじわじわと口コミで広がっています。
国や地域別に「自然流入:広告流入」の登録比率も見ていますが、海外でも自然流入の比率は一貫して上がり続けていますね。
現時点では、海外では英語圏である「北米」のアクティブユーザーや新規登録が最も多くなっています。
海外版の「みてね」の名称は、当初は「FamilyAlbum Mitene」にしていたのですが、1年後くらいに「FamilyAlbum」に変更することにしました。
Miteneだと「意味がわからない・綴りがわからない・発音できない」というコミュニケーションにおける難しさがあったためです。
これは現地の方に話を聞いてわかりました。やはり「発音」に自信がないと発声してもらえませんし、招待する家族にもアプリ名を説明できません。
そうなると、どうしても「口コミしづらいね」ということで、わかりやすい「FamilyAlbum」に泣く泣く変えることにしたんですね。
海外の街を歩いていても、「UNIQLO」「MUJI」「Ootoya」といった名称のままで進出している、日本のブランドを多く見かけました。
それを見て、何度も「みてねのままでも良いのでは」とも考えたのですが、成功確率を1ミリでも上げたくて名称を変更しました。
笠原:
マネタイズについては、月額課金の「みてねプレミアム」「みてねプレミアムPro」はもちろん、関連サービスをつくることでもマネタイズしています。
業務提携をしたり、資本も絡めて提携することで「みてね年賀状」「みてね出張カメラマン」といったサービスをつくってきました。
まずは「みてね」のニーズとの関連性が強い「写真・動画」に関わる商品から進めてきました。これは自然な導線なので立ち上げやすいですね。
また「みてね」のアクティブ率の高さを軸に、子育ての課題をITの力で解決するサービスへの、タッチポイントとしても拡大しています。
例えば「みてねみまもりGPS」は、子どもを大切に思って使うモチベーションとしては同じなので、「みてね」を経由して結構売れているんですよ。
子どもの年齢に応じて、年齢が低いときは「写真プリント」、小学生以降は「みてねみまもりGPS」など、長期のARPUのバランスも考えています。
連携相性としては、「新しさや驚き」を提供できるサービスは相性が良く、逆にどこにでもあるものはあまりウケないな、という印象ですね。
例えば、普通に「ランドセル」を販売したとしても、百貨店でもネットでもどこでも買えるから、「みてね」から買う理由が生まれないのかなと。
笠原:
コミュニケーションサービスの体験というのは、「共有したいコンテンツ」× 「共有したい相手」で決まると考えています。
ここで大切なのは、どちらか or どちらにも「新しい価値・発明・体験」をつくれるかどうかで、それが魅力的に差別化されていることです。
その体験が優れていると、ヒットする確率が高くなると考えています。
例えば「みてね」では、コンテンツは「子どもの写真や動画」になります。これは家族にとってのキラーコンテンツです。
スマホでいつでも撮れるようになった、祖父母世代にもスマホが普及して祖父母にも見てもらいやすくなった、という時代性もこれを後押ししました。
また「共有したい相手」は、自分がアルバムに招待した「視聴率100%」の子どもの大ファンの人です。
完全招待制で、見る人が「子どものファン」だけしかいないということは、共有するほうも安心して遠慮なくコンテンツをアップできます。
あとは「mixi」や「みてね」もそうですが、広告費をいきなりドカンとかけずに「ロケットスタートしない成長」をしたほうが健全だと考えています。
スタートアップって「お金がない状態」からはじまって、少しずつ成長していくことが多いですよね。このプロセスが意外と大事なのかなと。
最初はドカンと行かずに、気付いた人が「これ、いいね」と使ってくれる。そして挙がってきた課題を改善する。また少し広がって「これ、いいね」と誰かが使ってくれる。このループを回して満足度や評判を高めていく。
そして、口コミが増えて多くの人に気付かれる、またはマーケティング費用を大きくかけられるようになったときには、すごくいいサービスに育っている。この成長プロセスが大事で、基本はそうありたいなと。
完成度については「らせん階段状」に仕上げていくことを意識しています。代わる代わるで「課題」を解決していくイメージです。
なぜなら、リソースが少ないうちはとくに、そのほうが全体の完成度を高められると思うからですね。ある課題を突き詰めるよりも、一定良くなったら次の課題に移る、また一定良くなったら次に移る、と進めたほうが良い。
なので、最初はザザッと下書き的につくって、完成度を高めていくことを、アプリやプロダクトの開発では意識していますね。
笠原:
ドメイン毎に分かれたチームが、まず施策を洗い出して、仮説や効果を事前に検証した上で、優先度をつけながら施策を行なっていますね。
例えば、データを洗い出してみて、これぐらいの人がこういう行動を取っているから、この機能を入れたら良いのでは、と見積もりを立てます。
ニーズを確認するときは「ユーザーアンケート」を行うことも多いですね。これも回答率が高くて非常に助かっています。
一部のケースでは、1枚ペラのLPを試験的につくってみて、ニーズを検証してみることもありますね。
例えば、海外で「FamilyAlbum」のギフトカードの開発を検討したときは、LPをつくって「関心度の高さ」を検証しました。
通常は、Amazonやスターバックスなどのギフトカードを選べるのですが、その中に準備中の「FamilyAlbum」のギフトカードを並べてみる。
タップすると「現在準備中です。」と表示されるだけなので、体験はあまり良くないのですが、そこのタップ率を見れば関心度がわかります。
結果的に、そのタップ率が「予想よりも高く出ている」と検証できたので、商品を開発していくことになりました。
あとは、チームにおける「気づきと発見の回数」が多ければ多いほど、いいものをつくれると思っていて。
例えば、社内のSlackには「アイデアソン」という、思いつきやアイディアを投稿するチャンネルがあって、こんな面白いサービスがあった、こんなサービスを連携したらどうか、と自由に投稿していますね。
ユーザーの方からいただいた代表的な「要望・不満・疑問」を、カスタマーサポートチームから共有してもらうチャンネルなどもあります。
アプリやプロダクトを作るときって、「気付きや発見」を得てから行動するという流れが多いので、そこが増えれば増えるほどいいなと。
笠原:
事業部のミッションとしては「世界中の家族のこころのインフラをつくる」というものを掲げています。
原点にあるのは、「子どもの写真・動画」を共有整理できるベストなサービスを作りたいということです。
おじいちゃん・おばあちゃん世代でも簡単に使えて、美しいUI・UXで誇りに思えるものを作りたい。これが原点でこれからも変わりません。
自分自身でも「みてね」を使うと、家族の絆が深まったり、子どもへの愛情を世代を超えてつなげていけるなと感じますし、非常にやりがいを持って楽しく続けられています。
—-
【取材協力】
株式会社MIXI:https://mixi.co.jp/
家族アルバム みてね:https://mitene.us/
株式会社MIXI 笠原 健治さん、広報の小松 右宜さん
【告知】「みてね」では各職種にて採用中。PdM、マーケティング、デザイナーなどを募集しているそう。詳しくは下記サイトからご覧ください。
https://team.mitene.us/jobs
※ 以降はnoteにて、「+αのトピックス」を5つほどnote購読者向けにまとめています。プレミアムの機能をどう設計するか、訴求タイミングで反応率6倍になった施策、海外展開で工夫していること、などご興味あればご覧ください↓
https://markelabo.com/n/n361b257f6daa
The post ニーズを捉える「ユーザーテスト」から世界2,000万人の利用者に成長。「家族アルバム みてね」に聞く、コミュニケーションサービスの丁寧なつくり方。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年2月28日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/nbe0c284ec6f4 家電のサブスク・レンタルサービ […]
The post サービス名を「カタカナ表記」主体にしたら指名検索と口コミ数が成長。累計100万人が注文した「レンティオ」が語るユーザーコミュニケーション施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年2月28日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/nbe0c284ec6f4
家電のサブスク・レンタルサービスの「レンティオ」さんを取材しました。
新規注文件数が累計100万件・月間利用者13万人の「レンティオ」では、サービス名表記の「カタカナとアルファベット問題」に取り組んだと言います。なぜそれをやったのか、成果など聞きました。
高橋:
当初は、何も考えずに「Rentio」と表記することも多かったため、お客様もアルファベットの「Rentio」で認識や入力をされていたと思います。
すると、一発で覚えにくかったり、指名検索で入力しづらかったり、口コミ投稿でタイプミスが起こっていたり、という問題が発生していました。
レンティオが普及して「当たり前のサービス」になることを考えたときに、ここは障壁になってくるのではという実感がありました。
三輪:
様々なサービスの検索回数を、カタカナとアルファベットで調べてみると、カタカナのほうで多く検索されているケースも多かったんですね。
例えば、Yahoo!ですら「ヤフー」とカタカナで検索する人が多くて。英語のスペルがわかりにくいと「カタカナ」が好かれる傾向もあるなと。
あくまで仮説ですが、アルファベットで「一定の文字数」を超えてくると、日本のユーザーは英語のロゴを認識しにくくなるのではないかと。
6文字の造語である「Rentio」も同じ問題を抱えていて、ロゴ以外は「カタカナ表記」にしたほうが良いのでは、という意思決定をしました。
また「文字数」という要素のほかにも、「人によって読み方がブレないか(誰でも読めるか)」といった要素もあると思いました。
単語の組み合わせもあると思います。PayPayは「PayとPay」の組み合わせ、iPhoneは「iとPhone」の組み合わせ。これだと認識しやすいですよね。
ちなみに、社名についても早い段階で、株式会社カンパニーからレンティオ株式会社に変更していて、早めに変えてよかったと感じています。
とくにスタートアップで「このサービスしかない!」という状況であれば、社名とサービス名は統一したほうが認知されやすいのかなと。
高橋:
まず、カタカナの「レンティオ」よりも、アルファベットの「Rentio」のほうが多く露出していたので、これをカタカナに寄せていきました。
例えば、ロゴも「カタカナありとなし」を使い分けるようにしていて、印刷するチラシやイベントでの配布物には、「カタカナあり」のロゴを使用しています。
これは表示面積に余裕があったり、初めてレンティオを知る方が多いようなケースでは、「カタカナあり」のロゴを使うというイメージです。
逆に、Webサイトやアプリなどでは、表示面積にも制限があるので「カタカナなし」のロゴを使うようにしていますね。
メディア向けのプレスキットのページでも「できればカタカナの表記を優先してください」のように記載して、強制ではないものの「カタカナ表記」を推奨するようにしています。
記事にしていただくときに「Rentio(レンティオ)」とカタカナを併記いただける場合には、読者の方が読めないことを避けるために、1箇所だけカタカナを併記していただくこともあります。
また、サイト内や外部に送るテキストも「カタカナ表記」に統一していって、原則カタカナファーストに変えていきました。
こうした地道な取り組みを続けていくと、明らかに「カタカナ表記」の指名検索数が伸びていきました。
全体の指名検索の増加には、様々な要因がありますが、アルファベット表記よりも「カタカナ表記」のほうが大きく伸びていますね。
無意識的にアルファベットで表記している社員も多かったので、社内の認識を揃えていくのにも、半年くらいはかかったかなと思います。
地道な取り組みを続けると、社内のコミュニケーションにも「カタカナ表記」が浸透していきましたね。
社内Slackの言及数も、2020年と2023年で比較すると、「レンティオ」は約2倍に増加していて、「Rentio」は約20%減少しています。
高橋:
まず、カタカナ表記が浸透したことで「有効な口コミ数」が増えたことを実感しています。サービス名が思い出せないと口コミしても伝えられません。
例えば、今までは「あの家電レンタルサービスが」と言われていたものが、「レンティオが」と表現してもらえる可能性も上がりますよね。
SNSでの口コミ投稿数(UGC)も増えた実感があります。恐らく「カタカナ表記」が浸透したことで、言及していただきやすくなったのかなと。
現実的に「読み方がわかる」というのは、口コミされる上でもすごく大事なことだなと改めて感じました。
ほかには、カタカナ表記が浸透したことで、SNS検索やハッシュタグからの「口コミへのアクセス経路」が整備されたようにも感じています。
例えば、インスタでも「#Rentio」を以前は使っていたのですが、海外にも同名のサービスがあって、関係ない情報も表示されてしまっていました。
これも「#レンティオ」を優先的につかうことで、徐々に口コミや投稿などがひとつのハッシュタグに集約されるようになりました。
—–
【取材協力】
レンティオ株式会社:https://www.rentio.co.jp/
レンティオ:https://www.rentio.jp/
レンティオ株式会社 三輪謙二朗さん、高橋 瑞生さん、広報の本間さん
【告知】レンティオさんでは、プロダクトマネージャー・カスタマーサポート・エンジニアなど各職種で採用中。ご興味あれば以下のサイトからどうぞ
https://recruit.rentio.co.jp/
※ 以降はnoteにて、「+αのトピックス」を2つほどnote購読者向けにまとめています。ニーズをリアルタイムで把握する施策、顧客からの口コミの活用方法、などご興味あればご覧ください↓
https://markelabo.com/n/nbe0c284ec6f4
The post サービス名を「カタカナ表記」主体にしたら指名検索と口コミ数が成長。累計100万人が注文した「レンティオ」が語るユーザーコミュニケーション施策。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年2月27日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n56227403af87 「北欧、暮らしの道具店」のクラ […]
The post 上手くなるより「下手でも上手くいくコト」を探す。年商60億円の「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムが続ける「新しい取り組み」を成功に導くためのコツ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年2月27日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n56227403af87
「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムさんを取材しました。
青木:
僕らが運営する「北欧、暮らしの道具店」は、顧客との関係性をライフカルチャー(世界観)が支える、ユニークなプラットフォームです。
2023年7月期の売上は60億円超、年間の購入者は約20万人となっていて、商品売上の半分以上は「オリジナルブランド」が占めています。
ミッションは「フィットする暮らし、つくろう。」です。これは「自分の生き方を自分らしいと感じ、満足できること」だと捉えています。
青木:
新しいカテゴリーの場合には、最初は「コンテンツ」から出すんですよ。例えば、アパレルの読み物を出して「お客様の興味や関心や悩み」はどこにあるのかコンテンツを通して反応を見ていく。すると「仮説」が生まれます。
反応から生まれた「こういう商品なら求められているのかも?」という仮説を元に商品を作ったり、ときには「仕入れの商品」を投入して検証します。このプロセスを挟むと、オリジナル商品をつくる前に「大体の当たりどころ」がわかってきます。
そうした過程から得られた「ここは当たるね、この周辺はぴったりの商品がなく空いてるね」という要素をオリジナル商品に落とし込んでいく感じです。
青木:
ひとつは、スタッフの約8割が「元お客様」であることです。
クラシコムでは、基本は「北欧、暮らしの道具店」での採用募集を行うのですが、多いときには年間1,000人の応募があり「100倍以上の倍率」になることもあります。ですから、応募者も社員も「元お客様」ばかりなんです。
それで、顧客と趣味嗜好の近い社員が、高い解像度でニーズを理解しながら商品開発を行っていて。つまり「インナー」が企画しているんですよ。
商品企画で一番重視しているのも「個人的な動機があるか」なんです。売れ筋とかではなくて「自分の主観」をすごく大事にしています。
主観というのは「自分の想い」もそうですが、自分の目から見た他者とか、その年齢や立場になったらどう思うかを想像することも含んでいて。そこに確かに「共感できる動機」が感じられるかを大切にします。
例えば「このファッションに興味あるけど、上手に着こなせる自信ないな」みたいな、自分の動機から企画のタネを見つけることも多いです。
もうひとつは、商品の種類が少ないので、想定と少し違う動きになっても、値下げだけに頼らずに手間をかけて売っていけるんですね。
なので、お客様が求めるものだけを企画して手間をかけて売れる。これが「定価消化率95%以上」を続けられる理由だとも考えています。
青木:
新しいことをはじめるときに意識するのは「下手なのに上手くいくコト」を徹底的に探すことなんです。
上手くいかないコトがあると「下手だからだ。どうしたら上手くなれる?」と課題を設定して取り組みますよね。これって典型的な失敗パターンです。
だって「上手くならないと成功しない」ってことだから。ではなくて最初は「下手なのに上手くいくコト」を探す。僕らも毎回これなんですよ。
例えば、「北欧のヴィンテージ品」をECサイトに並べただけで開店初日に6割も売れた。2014年ごろ社員がインスタを試してみて気づいたら売上の8%がインスタ経由になった。これが「下手なのに上手くいく状態」です。
それって「伸び代がある」ってことだしワクワクします。継続もしやすい。まだ「絞られていない雑巾」を探して絞る。そういう感覚です。
なので、新規事業をやるときは「頑張りすぎないで」と言います。頑張ってしまったら仮説が当たっているか判断できないからです。
逆算で「これをやろう」というよりは、大して準備せずに色々やってみる。ただ、お客様をガッカリさせないことだけは気を付けていますね。
青木:
温泉に例えることを着想したのは、渋谷PARCOのポケモンセンターに行ったときに、これって「現代の観光業なんだな」と解釈したときでした。
コロナ禍に入った2020年2月、渋谷PARCOに行くと多くのアパレルショップにはお客さんがあまりいなかったのですが、ポケモンセンターにはたくさんお客さんがいたんです。整理券を配っているほどでした。
商品の品質には大差ないはずなのに、なぜここまで集客に差がつくのかなと考えると、自分たちで「世界観を持っているから」ではないかと。
世界観って人々の頭の中にある「観光地」のようなものだと思うんですよ。つまり、ポケモンは「自分達の掘った温泉地」の周りで商売をしている。
一方で、アパレルの多くが流行に左右されるのは、他の人が掘った温泉地(例:パリコレクション)で商売をしているからではないかと。
他人が開発した観光地に、お土産やさんを出そうとすると、隣の人と競争をすることになります。観光地が廃れたら集客ができなくなります。
この構造を見て「現代の観光業だ」と思ったんです。言ってみれば「温泉」を自分たちで掘っている。これってものすごく強いんじゃないか。
世界観を「観光地」に例えると、その周りには2つのニーズが生まれます。
1つは、観光地の周りには「飲食店や旅館」のような、滞在ニーズに応えるサービスに機会が生まれます。そこに「長く滞在したい」と思うからです。
もう1つは、その観光地には「お土産のニーズ」も生まれます。ステキな空間で過ごした「体験や思い出を家に持って帰りたい」と思うからです。
ポケモンでいうと、魅力的な世界観に滞在するための「ゲーム」があって、体験をリアルの世界に持ち帰るお土産として「グッズ」がある。
僕らのビジネスも同じです。世界観に浸ってもらう「コンテンツ」があり、世界観を持ち帰ってもらうお土産としての「商品」がある。
温泉地が魅力的であれば、SNSやアプリや動画といった「エンゲージメントチャネル」と呼んでいる、様々な交通機関から人がやってきます。
温泉地を開発するように、「北欧、暮らしの道具店」というライフカルチャープラットフォームの上に、多様な事業を展開していこうという感覚です。
「北欧、暮らしの道具店」では、アプリを紹介するメルマガで「ABテスト」を実施している。その中で効果的だった2つの施策を紹介。
メルマガの文章を「コンパクトver」と「商品紹介ver」で検証したところ、コンパクトverのほうがアプリのダウンロード率が1.6倍高かった。
考えられる理由は、メインビジュアルにスマホがあると「アプリの話だ」とわかりやすく伝わったため。
また、商品画像をクリックしたら「商品の詳細が見られる」と期待していた方をガッカリさせてしまった可能性も。
元のテストで「スマホアプリであること」を明確に伝えたほうが良いとわかったため、別の角度から検証することに。
メルマガの文章を「コンパクトver」と「超コンパクトver」で検証すると、コンパクトverのほうがアプリのダウンロード率が1.9倍高かった。
情報量を減らしすぎても、あまり反応率が良くないことがわかった。
青木:
クラシコムは2006年に兄妹で創業した会社です。事業に失敗して残資金で「最後の社員旅行」に出かけたことが、「北欧、暮らしの道具店」の誕生につながりました。
当時は、古本を仕入れて売る「せどり」で食いつないでいたので、せっかくなら北欧の雑貨を買い付けて、日本の骨董市で売ろうと考えたんですね。
しかし、日本に帰ってくると梱包が不十分で、半数以上の雑貨が割れてしまっていました。そこで着目したのが「ECサイトでの販売」でした。
素人がつくった「ボロボロのEC」に、仕入れたヴィンテージ品を並べて、2007年に「北欧、暮らしの道具店」をオープンしました。
蓋を開けてみると、初日に60%の商品が売れて「これはイケるかも」と思ったんです。なぜなら、供給があれば売れるとわかったからです。
そこで「仕入れ」を仕組み化しました。10人弱の北欧にいる素人のバイヤーと提携して、日本から北欧のアイテムを仕入れて売りました。
この仕組みで売上が成長して、オープン約半年で月商100万円になりました。
青木:
2008年には、北欧の「現行品」の取り扱いをはじめて、大手のECモールや広告の活用で売上を伸ばしたのですが、粗利が減ったのと販管費が膨らんだことで利益が伸びていないことに気づきます。
そこで2010年頃に、販促コストを減らし「利益を残しながら成長する方法」として、雑誌とECの中間のような方向性の「メディア化」を進めました。
モールは縮小して、自社サイトの「メディア化」に投資することで、2012年の年商は2.1億円にまで拡大。利益もちゃんと増加しました。
青木:
2011年頃から「スマホとSNSの波」が来て、コンテンツ需要が高まったSNSに「雑誌的なコンテンツ」を投稿すると、さらに成長しました。
2014年にインスタを開設すると、気づいたときには「インスタ経由の売上」が全体の8%を占めるようにもなっていましたね。
この波に乗って、2013年には年商が3.2億円、2014年には5.1億円、2015年には8.6億円と拡大していきました。
そこから、2015年にオリジナル商品に展開。2018年から動画などコンテンツへの投資を積極化。2020年にはスマホアプリを公開しました。
2022年には上場して、2023年には「ライフカルチャープラットフォーム」として年商60億円まで到達しています。
—–
【取材協力】
株式会社クラシコム:https://kurashi.com/
北欧、暮らしの道具店:https://hokuohkurashi.com/
代表の青木耕平さん:@kohei_a
【告知】300万ダウンロードを突破した「北欧、暮らしの道具店」のアプリもぜひ興味を持った方は使ってみてください。
App Store 、 Google Play
※ 以降はnoteにて、「+αのトピックス」を5つほどnote購読者向けにまとめています。アプリとWebのエンゲージメントの違い、新しいコトを行うときの3つのステップ、通販で成果の出やすいカテゴリ、などご興味あればご覧ください↓
https://markelabo.com/n/n56227403af87
The post 上手くなるより「下手でも上手くいくコト」を探す。年商60億円の「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムが続ける「新しい取り組み」を成功に導くためのコツ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年1月26日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n2e29691bcbc0 販売食数が1.2億食を突破した […]
The post ARRが23億円を突破した「ココグルメ」に聞くペットフードブランドの急成長の裏側。ポップアップで「対面で話した人」と「少量を買って帰る人」の収益性が高くなるワケ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年1月26日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n2e29691bcbc0
販売食数が1.2億食を突破した「ココグルメ」さんを取材しました。
矢作:
獣医師監修の「手づくりフレッシュペットフード」です。コンセプトとしては「手づくりごはんで、一生愛そう」を掲げています。
2019年6月に発売されて以来、累計の会員愛犬数は20万頭を突破していて、累計の販売食数は1億2,000万食を突破しています。
ビジネスモデルとしては、サブスク(定期購入)が中心になっていて、ARRは23億円に到達しています。
僕らが解決する課題は「ご飯を食べてくれない」「手作りご飯をあげたい」といったものなので、美味しさや品質の高さには力を入れていますね。
矢作:
バイオフィリアは、2017年に僕とCEOの岩橋が共同創業した会社で、当初は「ペットとITの掛け算」で何かできないかと事業を模索していました。
そこから、4つほど事業を立ち上げたのですが、どれもあまりうまくいかず失敗してしまって…。会社の残金が3万円まで減った時期もありました。
そのときは、受託業務でしのぎましたね。僕はもともとエンジニアだったので開発の仕事を受けたり。岩橋は証券会社でIPO関連の仕事をしていたので、そうした業務を受けていました。
そこから、2018年末に「フレッシュペットフード」に着目します。最高の手作りペットフードをつくれないかと考えたんですね。
キッカケになったのは、共同創業者の岩橋の愛犬が亡くなったときに、僕ら自身が「ペットの健康問題」に直面したことでした。
また海外の市場を見ても、フレッシュペットフードの認知が拡大していて、ビジネス的にも可能性があると考えました。
矢作:
ココグルメの試作品は、共同創業者の岩橋の実家のキッチンで、実家の愛猫と一緒に開発していましたね。
当時、岩橋の愛犬が亡くなってしまったため、あまりご飯を食べない「愛猫が食いつくフード」を作ることからはじめたんです。
スーパーでほうれん草やにんじんを買ってきて、栄養素を計算して試作品をつくって愛猫に食べてもらう、そうした毎日を過ごしました。
試行錯誤を重ねると、食いつきの良い「これならいけるかも!」というレシピが開発できました。ただ、その試作品の見た目は正直あまり良くなくて、「ぐちゃぐちゃな野菜炒め」のような感じでしたね。
そこからは、完成した試作品をビニールに詰めて、工場に持って行って「こういうものを作りたいです!」と工場を探し回りました。
数十社に断られながらも工場を見つけて、残り僅かな資金で商品をつくり、本格的な生産に入る直前に、ベンチャーキャピタルなどから約2,000万円の資金調達をして、2019年6月にココグルメを発売しました。
矢作:
リリースすると初月は100万円ほど売れて、そこから口コミ・メディア掲載・広告出稿などによって、200万300万とポンポン伸びていき、約1年くらいで月の売上が約1,000万円まで到達しました。
苦戦したのは「資金繰り」でした。ものづくりのビジネスは、先にお金が出ていって後から売上として返ってきます。ここが本当に苦労しました。
工場での生産もあるし、お客様に出荷しなくてはならないので、赤字だからといって簡単に止められず、何度も倒産しかけました。電気代から何からコストを見直して、資金が回るように奔走した時期もあります。
そこからは、2022年の10月に会員愛犬数が10万頭になり、2023年の9月には会員愛犬数が20万頭と成長していきました。マーケティングについては、お客さんとのコミュニケーションを大事にしました。
矢作:
僕らはイベントでの「ポップアップ出店」に力を入れています。試行錯誤を重ねることで「Web広告と同程度」の獲得効率まで引き上げられました。
ひとつ発見だったのは、イベントで1袋でも買って帰ってもらえると、その後にWebで商品を購入してくれる確率がグッと上がる、という発見です。
イベントって「お祭り感」があって盛り上がりやすいのですが、家に帰るとスッと忘れてしまいます。熱量の維持のためには、何かを買って帰ってもらうことが必要で、これはサンプリングでは微妙でした。
さらに深ぼると、多く買ってくれる人よりも、少し買ってくれる人のほうが、お客さん1人あたりの収益性(LTV)が高いこともわかりました。
これはなぜかというと、サプライズの瞬間としては「愛犬が美味しそうに試食していた」という現地での体験がピークで、自宅に帰ると徐々にその熱量が薄れてしまうためです。
つまり、たくさん買って帰ってしまうと、食べ切るまで「次も買おう」とはならないわけで、食べ切った頃にはもう「テンションの賞味期限」が切れてしまうのだと解釈しています。
これが少量買う人のほうがLTVが高くなる理由です。
矢作:
また、既存のお客さんと「対面で会えること」も、ポップアップの隠れた魅力だと感じています。本当に採算の計算に入れているくらいです。
実際にココグルメでは、対面で会ったことのあるお客さんと、会ったことのないお客さんを比較すると、LTVが2~3倍くらい違うんですよ。
面白かったのは「商品を買う前」に対面で会った方って、特別LTVが高いわけではないんですね。普通なんですよ。そうではなくて「商品を買った後」に対面で会うことで、LTVが2~3倍になっていたんです。
利用後に疑問が解消されたり、ECサービスだけど会って話せることが、会社や商品の信頼性につながっているのかなと。
このスマホやネットの時代に、直接会って話せること、顔を見て商品を理解してもらえること、これは実は強力な差別化になり得ると感じています。
矢作:
ココグルメではアンケートを分析すると、初回の体験で「高品質感」に反応している方のLTVが1.5倍ほど高くなっていることがわかりました。
ほかにも印象としては、「健康そう」「安心できる」「美味しそう」などがあるのですが、圧倒的に「高品質感」だけ有意差が出ていたんですね。
この結果を受けて、ブランドの体験として「高品質感」を大切にすることを意識するようになりました。
例えば、箱の色を白色から「茶色」に変えると、配送過程でついた汚れや傷が目立ちにくくなって、手元に届いたときに「高品質感」をより感じてもらいやすくなります。箱の丈夫さ、同梱物などもそうです。
これは「高級感」とは違うものです。例えば、無印良品さんは高級なイメージは特別ないですけど、高品質なイメージはあるじゃないですか。
つまり、ハイブランドではなくても、日々愛用するにあたって、精神的に安心できる品質を感じられること、これが「高品質感」なのだと思います。
矢作:
僕らの会社で当たり前だった「愛犬愛猫と一緒に働ける」という制度を社外に発信したところ、求人応募数が10倍になったことがあります。
もともと、社長の岩橋もメンバーもみんな愛犬家で、動物と出社して一緒に仕事をするのが当たり前の光景だったんですよね。
それで、あるとき社長が「わんこを吸ってる写真」をSNSに投稿したら、これがすごい反響で。あ、これ当たり前じゃないんだと気づいたんです。
そこで「わんダフル・ワーキング」と名付けて社外に発信すると、メディアやSNSで話題になり、ありがたいことに求人応募数が10倍になりました。
やっぱり、愛犬を飼っている方って「会社には連れて来られないこと」が、働くときの障壁になっているんだなと。
他にも僕らの会社では、一緒に暮らす動物の扶養手当があったり、動物が亡くなってしまったときには休暇を取れる制度もあるのですが、こうした制度に魅力を感じて入社してくれる方も多いですね。
—–
【取材協力】
株式会社バイオフィリア:https://biophilia.co.jp/
ココグルメ:https://coco-gourmet.com/
矢作 祐之さん:@yahagi1989
【告知】バイオフィリアさんでは、データアナリストやデジタルマーケターなど各職種で採用中とのこと。ご興味あれば以下のサイトからどうぞ。
https://biophilia.co.jp/career_202312/
※ 以降はnoteにて、「+αのトピックス」を5つほどnote購読者向けにまとめています。テレビCMの成果と副次効果、価格検証でCVRが変わった話、数千件のUGCを集めた投稿企画、などご興味あればご覧ください↓
https://markelabo.com/n/n2e29691bcbc0
The post ARRが23億円を突破した「ココグルメ」に聞くペットフードブランドの急成長の裏側。ポップアップで「対面で話した人」と「少量を買って帰る人」の収益性が高くなるワケ。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年1月15日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n09ed312e3f21 主菜やスープが冷凍で届く「GR […]
The post 0から立ち上げて、サブスク会員計11万人。「GREEN SPOON」が語る、SNSやメディアで話題を呼ぶ「ブランドの体験設計」のコツ、1つの「言葉の発見」で売上が伸びた話 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2024年1月15日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n09ed312e3f21
主菜やスープが冷凍で届く「GREEN SPOON」さんを取材しました。
田邊:
GREEN SPOONは、野菜たっぷりの「冷凍デリ」が届く宅食サービスです。電子レンジにかけるだけで素材が料理になります。
2020年3月に開始して、会員数(サブスク)は累計11万人を超えています。単品販売もありますが、全体の85〜90%はサブスクになっています。
忙しく働く女性を中心に、「食で自分を大切にしたい。でも簡単にヘルシーに済ませたい」といった人に、多く利用されています。
田邊:
最初は、本当に何もないところから始まりました。お金もツテも作り方も何もなかったので、夢と情熱でブランドをつくろうとしました。
最初に「スムージーのD2Cをやろう」と思った瞬間に、お金がないと食品のサービスはつくれないので、まず4,000万円を資金調達しました。
そこから、原材料を集めるために、鎌倉の農家に「ピンポン」と訪ねて行って「野菜を仕入れさせてくれませんか?」とお願いしました。
工場も探さないといけません。全国の工場に電話をかけました。それで、「パーソナルスムージーを”100種類”つくりたいんです!」とお願いしていったのですが、ホントに誰も相手にしてくれませんでしたね。
でも、1社だけ「よくわからんが作ってやる!」と、ある方に紹介いただいた大阪の工場さんが面白がってくれて。そこから、話が進んでいきました。
ただ、僕は「パーソナルスムージー」というコンセプトを考えていたので、スムージーを100種類はつくりたいと思っていました。
しかし、食品は種類を絞ることが鉄則。「100種類はやめろ。死ぬぞ!」とはっきり言われて。それで、妥協して25種類で進めることになったんです。
そこから、管理栄養士の方にインスタでDMしてレシピ開発を依頼したり、サービスサイトをつくって、ようやく公開の準備が整いました。
GREEN SPOONをローンチするまでに、2,000万円ぐらいはかかりましたね。食品は在庫も抱えますし、ビジネスとしては初期費用がかかります。
田邊:
こうして、2020年3月にGREEN SPOONをローンチしました。当然サイトをオープンしただけでは、お客さんは誰も来てくれません。
そこで、はじめは創業メンバー3人で、エクセルに友達をリストアップして、「スムージー買ってくれませんか?」とDMすることからスタートしました。結果的に、100人に買っていただくことができました。
売上が伸びはじめたキッカケは、ローンチから数ヶ月たった頃に、芸能人の方がGREEN SPOONを「これいいよ!」と紹介してくれたことでした。
例えば、フワちゃんや指原莉乃さんが話題にしてくれて、テレビ番組などのメディアやSNSでもワーッと話題になっていきましたね。
コロナ禍だったので「自宅時間を楽しもう」みたいな文脈で紹介いただくことが多かったです。ここで1回火がついた手応えがありました。
田邊:
僕らが意識していたのは、「新しさ」でした。コンセプトも新しかったし、カップも新しかったし、「これ食品なんだ!?」となるじゃないですか。
見たことないものをつくったことが、メディアやSNS上での話題につながったのだと考えています。
スムージーを出したときには「写真を撮られる瞬間」をたくさんつくることも意識していましたね。本当にKPIとして設定していたくらいです。
例えば、アイスのようなカップで中身はスムージーという驚き、蓋を開けた瞬間にどう野菜を並べると映えるのかなど、撮りたくなる仕掛けを詰め込みました。
あらゆるところに「かわいい・新しい」を詰め込み、撮りたくなる瞬間が生まれる体験を設計すれば、きっとみんな拡散してくれるはず。
利用した後の「おいしいね、簡単だね」という感想って、選んでもらった後にしか出てこないものなので、まず話題にしてもらうことを目指しました。
田邊:
最初のコンセプトだった「パーソナルスムージー」という言葉も、戦略的に設計したところがあります。
僕はいつも「“!?”がつく言葉をつくること」を意識します。今回で言うと、テレビ番組で「パーソナル・・・スムージー!?」とナレーションが流れる。これがしっかりとイメージできることが重要です。
この「!?」の正体は「わかるようでわからないこと」なんです。スムージーという言葉も、パーソナルという言葉もみんな知っている。でも掛け算することで「パーソナルスムージー!?」となる。メディアはこれが大好きです。
僕自身もサイバーエージェントのABEMAで働いていた経歴があって、これを直感的に理解していました。
田邊:
2020年3月にスムージーを発売して、11月にはスープを発売すると、これが好評で約80%の売上をスープが占めるようになっていきました。
スープは「夜9時過ぎたら、GREEN SPOON」という言葉を生み出した瞬間から、みんなの反応率が一気に変わってきたんですよ。
本当にこれは面白くて、「刺さる言葉・刺さる訴求」が見つかった瞬間に、同じものを売っていても何倍も反応が変わることがあります。
この言葉は、冨永愛さんとコラボしたときに、冨永さんが試食会で「夜9時過ぎたら、わたしもうGREEN SPOONなんですよ」とお話されていて。
これはいい言葉だなと思って、「夜9時以降のごはん」といった訴求で広告などを出してみると、めちゃくちゃ反応率が良かったんです。
つまり、夜9時以降には「炭水化物はとりたくない」とか「罪悪感のないヘルシーなものが食べたい」という心理の人がたくさんいたんです。
田邊:
次のターニングポイントになったのは、2023年6月に「主菜」を出したことでした。これによって顧客層がめちゃめちゃ広がりましたね。
主菜を出した2023年は「こんなに伸びるんだ!?」というくらいには伸びて、GREEN SPOONがはじまってから、一番伸びた年になったと思います。
2022年には、売上のほとんどがスープで、ダイエット中の人や、1人暮らしの女性の夜ご飯とか、そういうニーズにマッチして売れていたんですよ。
なんですけど、主菜が出た瞬間に「自宅で簡単にできる健康ごはん」という認知になって、その瞬間にユーザー層が一気に広がりました。
家族利用が増えたり、男性が増えたり、ダイエットじゃない層にも食べてもらえるようになりましたね。
田邊:
スープの広告で、「4食で2,900円」という広告と「12食で5,800円」という広告を出したところ、後者の獲得効率のほうが2倍も高くなりました。
仮説としては、「4食で2,900円」のほうが低リスクで試せるから、反応率が高くなるのではと考えたのですが、真逆の結果になったんですね。
理由としては、総額よりも「1食あたりの単価」で購入を判断する消費者が、想像以上に多かったためです。
食品って「1食あたりの単価」が消費者の認知として強いんですよね。ランチとかも「1食あたり500円までかな」みたいに決めたりするじゃないですか。
つまり、前者の「4食で2,900円」だと1食あたり約750円、後者の「12食で5,800円」だと1食あたり約500円なので、後者がお得と判断されたんです。
この結果には、めちゃめちゃ驚きましたね。この「小さな差分」だけで売上がとんでもなく伸びたことにもなるので。
田邊:
2023年にGREEN SPOONで「主菜」を出したときに値下げをしたところ、結果として全体の売上がめっちゃ伸びました。
値下げをしたことで「それならもっと買いたい!」と、1人あたりの平均の購入数などが伸びて、全体の売上が伸びたんですよ。
食品のビジネスの売上は、「顧客数 × 頻度 × 単価」の3つで構成されます。とくに食品は「顧客数」が伸びないと成立しません。
マットレス、アパレル、ジュエリーなどは、単価を上げて勝負できますが、食品は中々そうもいかないんです。なので最初から「いつか値下げしたい」と決めていました。
大げさかもしれませんが、GREEN SPOONは「すべての人に開かれるべきブランドだ」と考えていて。「本当にいいモノをつくってる」という自信もあったので、もっとみんなに食べてほしかったんです。
—–
【取材協力】
株式会社Greenspoon:https://greenspoon.co.jp/
GREEN SPOON:https://green-spoon.jp/
田邊 友則さん:@TanabetOMonOri
【告知】Greenspoonさんでは、各職種で採用中とのこと。ご興味あれば以下のサイトからどうぞ。
https://www.wantedly.com/companies/company_8930189
※ 以降はnote版で「+αのトピックス」を4つほどnote購読者向けにまとめています。LTVが高いユーザーの特徴は何か?、効果の高かったプロモーション事例、CVRを高めた工夫、4つのKPI、などご興味あればご覧ください。↓
https://markelabo.com/n/n09ed312e3f21
The post 0から立ち上げて、サブスク会員計11万人。「GREEN SPOON」が語る、SNSやメディアで話題を呼ぶ「ブランドの体験設計」のコツ、1つの「言葉の発見」で売上が伸びた話 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年12月21日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n625c6b206d7f 15万社が利用する「チャネル […]
The post ARR30億円を突破した「チャネルトーク」の成長に貢献した3つの戦略。その業界の「3社の満足」が成長を加速させる理由。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年12月21日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n625c6b206d7f
15万社が利用する「チャネルトーク」さんの日本展開を取材しました。
玉川:
世界22ヶ国で15万社のブランドに導入されている、顧客コミュニケーションツールです。本社は韓国にあり、東京とニューヨークにもオフィスがあります。
2018年に正式リリースして、ARRとしては30億円を超えています。継続率は約98%となっていて、日本は売上全体の約20%を占めています。
チャネルトークができたのは「顧客の声」を聞く課題に気付いたからです。もともと弊社は「店舗向けの分析ツール」の会社でした。売上は伸びていたものの、なぜかアクティブ率は低かったんですよね。
時間が経ってから、お客さんの店舗に行ってみると、衝撃的な事実がわかりました。店舗にパソコンがなかったんです。これを見て「我々ってこんなに顧客の解像度が低かったんだ…」とショックを受けました。
そこでつくったのが「チャネルトーク」でした。β版をつくって社内で「チャット対応数」を競うイベントを行うと1位と2位はエンジニアでした。エンジニアが「顧客の声」を聞いて爆速で開発していたんです。
これは価値があるぞと、サービスとして正式にリリースしました。
玉川:
リリース後の手応えは、日本と韓国で違いがありました。韓国では3ヶ月で3,000社が導入してくれたのですが、日本ではたった30社でした。
初期に失敗したのは「広告」でした。日本は代理店文化が強いですし、広告で認知度を高めないとダメだよね、と広告を回したのですが、課題が顕在化していなくてメッセージも響かず、完全に失敗しましたね。
このままでは「日本では撤退するかも」というときに、1人でも会ってくれるなら、その人に「記憶に残る最高のセールスをしよう」と考えました。
広告の獲得単価は「1社あたり約3万円」かかっていたので、その予算で1万円相当のノベルティセット(Tシャツや耳かきなど)をつくって、セールスの際に「お話を聞いていただき、ありがとうございました!」と渡しました。
お話を聞いてもらえると、お客さんにも「課題」はきちんとあって。ノベルティの写真を「こんなサービスがあるよ」「顧客の声って大事だね」とSNSで共有してくれて、少しずつ広まっていきました。
日本企業は「何かリスクはないか?」と慎重に検討します。だから、セールスで信頼を1つ1つ積み重ねていく必要があったんですね。
今でも、新規顧客のリードの50%以上は、既存のお客さんかパートナーさん経由での紹介です。クチコミは大事なチャネルになっています。
玉川:
初期は、立ち上げ期のスタートアップに導入していただき、彼らに紹介してもらいながら、より大きなスタートアップへと導入を進めました。
この戦略は成功したと思います。大手企業から導入してもらおうとすると、最初から一定の完成度が必要です。検討期間なども長くなります。大手企業からはじめていたら、日本では撤退していたかもしれません。
スタートアップからはじめて良かったです。メッセージは「顧客の声を聞いて、PMFを探りましょう!」というものにしていました。
次は、D2Cブランドに広まりました。これはD2Cブランド向けのセミナーや情報発信を軸に顧客が増えていきました。
D2Cで服を売るモデルは、韓国で先行して流行っていて、広告やインフルエンサーマーケティングに頼り切った会社は、数年で消えていました。
韓国の先行事例をもとに「顧客の声を聞きましょう。顧客対応も大事です」とメッセージを発信すると、日本でも支持されて広がりました。
次に増えたのは、アパレルの大手企業でした。彼らはオフラインの売上がメインなので、コロナ禍の「オンライン化の波」で需要が高まりました。
その課題に向けて、ウェビナーを開催すると「このままではまずいね」と。オンラインの購入率や満足度を高めるには「接客が必要だよね」と共感してもらえました。
また「店舗の店員さんのやることがない」という課題も顕在化して、そのリソースを「オンライン接客に回そう」という流れを作ることができました。良い事例が生まれて、さらに口コミで広がりました。
玉川:
成長がはじまるためには、特定のバーティカルな業界で、3社に導入・満足してもらうことが重要です。この条件を満たすと、業界内でのお問い合わせ数が加速していきます。
3社が満足してくれると、多くの会社が「うっすら検討している」という状態になり、セールスやマーケの効率が上がります。これを業界ごとに3社つくることが大切です。
この3社の中に「影響力のある会社さん」がいると、さらに成長します。
満足度を高めるには、はじめは「投資対効果」を無視することが大切です。専任の担当を置いて、直接会いに行って、全力でサポートします。
最初の3社の成功例ができると、そこから導入速度が上がります。3社まで1年かかっていたら、10社までは半年、20社までは3ヶ月と加速します。
はじめは効率が悪くても、満足するまでの道筋が徐々にマニュアル化され、必要なサポートコストも低くなり、セールスの必要性も徐々に減ることで、次第に経営効率も上がっていきます。
ちなみに、チャネルトークのセールスからの転換率は約50%です。そこから98%の継続率が出ていますが、オーガニックだと解約率が5%、直接セールスした場合は、解約率が1.5%とより低くなります。
解約率が低くなる理由は、導入企業が抱える課題に合わせて開発理由などを説明しながら、長期的にどう使用すべきかを提案しているためです。
玉川:
データから「満足度の高い接客」を分析すると、シンプルに「3分以内に返信すること」が、満足度にめちゃくちゃ効果があるとわかりました。
実際に、チャットの返信時間を「3分以内」と「3分以上」で比べてみると、「3分以内」のほうが接客後の購入率は2倍以上も高くなるんです。
逆に「3分」という基準を超えると「10分後」も「30分後」もあまり差がありませんでした。ECサイトからもう離脱してしまっているためです。
お客さんは「期待値」よりも高ければ満足します。店舗で店員さんに声をかけて3分待ったら「少し遅いかな」と思いますよね。ECサイトも同じです。
返信を待ってくれる時間は「サイトの滞在時間」にも関係します。つまり、コンテンツ量によっても「待ってくれる時間」が変化するんですね。
コンテンツ量が多いと「長く待ってくれる可能性」が高まり、商品がひとつしかないようなサイトでは、その逆のことが起こります。
玉川:
既存のお客さんの意見を聞き、お客さんが満足した経験を参考にしながら、意思決定することを大切にしています。
例えば、採用でも既存のお客さんに「これまでセールスを受けた中で、この人のセールスは良かった、という人がいたら紹介してください」と聞いて、そこからの紹介で採用につながった人が何人もいますね。
また新機能のリリースをするときも、事前に既存のお客さんに連絡してSNSで挙がった「お客さんの声」をプレスリリースに掲載して、お客さんを巻き込みながらSNSで盛り上げています。
広告クリエイティブでも、ただサービスを紹介するよりは、お客さんの事例や声を紹介した広告クリエイティブにしたほうが、クリック率や広告効果が大きく改善されましたね。
ちなみに、チャネルトークの顧客60社を分析すると、上位20%のお客さんの売上比率が高い企業ほど、売上の成長速度が高かったんです。
実際に、上位20%のお客さんの売上比率が80%を超える(平均は50%)会社は、たった2社だったのですが、その2社は明らかに成功していました。
売上上位20%のロイヤルカスタマーさんの売上比率が高いと成長するのは、彼らが新規のお客さんを連れてくるからです。おすすめされてから来るので転換率なども高くなります。だから成長するんですね。
—-
【取材協力】
チャネルトーク:https://channel.io/ja
玉川葉さん(@Jayor_jayor)
【告知】チャネルトークさんでは、各職種で採用中。マーケティングマネージャーなどを募集しています。下記サイトからご覧ください。
https://channel.io/ja/jobs
※ 以降は+αの事例をnote購読者向けに5つほどまとめています。1,000社超の獲得につながった施策、価格プランを設計するポイント、プロダクト運営で重視している指標など、ご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n625c6b206d7f
The post ARR30億円を突破した「チャネルトーク」の成長に貢献した3つの戦略。その業界の「3社の満足」が成長を加速させる理由。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年12月26日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n537775f3f080 くらしのマーケットさんを取材 […]
The post 200万人が依頼する「くらしのマーケット」に聞く、0から地道にマーケットプレイスを10年間で成長させた方法。「ネットワーク効果」を強くするための3つのポイント。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年12月26日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n537775f3f080
くらしのマーケットさんを取材しました。
浜野:
くらしのマーケットは、ハウスクリーニングや引越しなど、300種類以上の出張訪問サービスをオンライン予約できる、インターネット商店街です。
2011年にサービスを開始してから、累計作業数は200万件以上、累計利用者も200万人以上となっています。累計の出店登録数は9万店です。
浜野:
2011年にサービスを開始した当初は、1件1件電話をかけたり、実際に会いに行って出店者さんを集めていました。ネットで「ハウスクリーニング × エリア」などで検索して連絡していきましたね。
登録は無料でしたが、「ネットは怪しい」という不信感から断られることも多かったです。それでも「損はないので登録してください」とお願いして、なんとか消極的な気持ちで登録してもらっていました。
出店者さんが集まるまでの数年間は売上も伸びませんでした。リリースから数ヵ月後に「やっと予約が1件来た」というレベルで、もう1年目は「週に1件」や「1日に1件」といったことが続いていましたね。
ただ少ないけれど、着実に増えていたので「増え続けているから問題ない」という感覚はありました。実際に「最初の1件目」が来てから、月の依頼件数が減ったことは恐らく1度もなくて。ずっと増え続けているんです。
また予約が入るとすぐに、出店者さんに電話して「今予約が来ましたよ!」と連絡していましたね。まさか誰も「お客さんが来るだろう」と予想していなくて気付かないことが多いためです。
2014年になると、Googleのアップデートによって「くらしのマーケット」の検索順位が上がりはじめたんです。これはサイト内の継続的な改善が、評価されたのだと考えています。
例えば、出店者さんに登録してもらう際には、「ページを作ってください」とただ任せるのではなく、出店者さんの特徴を1つずつヒアリングして、初期からこちらでページを作っていたんですね。
事業者さんに「特徴を書いてください」と言うと、「何もないよ」と言われがちですが、実はそれぞれに特徴があります。夫婦で運営している事業者さんなら、それを書けば「1人暮らしの女性でも安心だ」と思ってもらえます。
このような地道な改善が、SEO的にもユニークなコンテンツとして評価されて、相対的な順位が上がっていったのだと思いますね。
検索順位が上がると注文数が増えます。注文や売上が伸びると、出店者さんも獲得しやすくなり、マーケティングチャネルを拡大できます。このようなサイクルが回ると一気に成長できるようになります。
出店者さんの獲得も、以前は「お客さんが来るかわかりません」と正直に言うしかありませんでしたが、「月商で何百万も稼いでいる方がいますよ」と言えるようになりました。訴求力が強くなれば登録率も上がります。
さらに売上が伸び始めると、デジタルマーケティング(リスティング広告)などに投資して、効率的に出店者さんを獲得できるようになります。個別に連絡するよりも圧倒的に効率は良いですよね。
こうして2014年から、毎月売上が「5万円・10万円・20万円」という感じで倍々に増えていって、一気に成長が始まりました。
マーケットプレイスの「ニワトリタマゴ問題」で重要だったのは、最初に供給側を集めるときに「需要は0」であっても、最低限成立する仕組みを用意することだったと考えています。
その仕組みに連動して、お金がかからず無料掲載できるというサービス設計が肝だったのかなと。
浜野:
業界に特化しなかったことです。例えば、ハウスクリーニング特化のサイトなどにはしないで、最初からさまざまなサービスを扱うことを目指していました。
バーティカルなサイトにすると、別カテゴリに結局拡大できないんですよ。後から拡大しようとしても「ハウスクリーニングのサイトだよね」「家事代行のサイトだよね」と認識されてしまいます。
つまり、カテゴリに特化したサイトだと、リピート率が伸びず、1人あたりの売上も伸びづらくなるんですね。例えば、エアコンクリーニングを「毎月頼む人」はいません、多くても年に数回くらいですよね。
ですが、多様なカテゴリを扱うと「トイレのクリーニングもあるよ」とか「引っ越しもできるよ」と、年に何度も利用される可能性を高められます。カテゴリを跨いだクロスユース構造が、サービスの規模を引き上げます。
浜野:
くらしのマーケットは、ネットワーク効果によって、競合が追いつけないところまで事業を進められたのも良かったと思います。
ネットワーク効果を強くするには、基本的には「エリア × 業種」を充実させていくことが大切です。カテゴリーの選定は、Googleの検索ボリュームが最も客観的な情報のひとつなので、そこでニーズがあるかを確認します。
新しくカテゴリを発掘するときは、出店者さんに「増えている要望や作業」を聞いたり、ユーザーからの要望を参考にしたり、サイト内で検索されたけれど結果を返せなかったキーワードを調べます。
新設して一気に当たったのは「エアコン取り外し」といったカテゴリです。地域によっては、賃貸でも自分でエアコンを設置して、引っ越すときに外さなけいといけない物件も多いんですね。
浜野:
ネットワーク効果をより強くするためには「出店者コミュニティの活性化」も重要だと考えています。勉強会やサミットを各地で開催することで、成功事例の共有が促進されて、相乗効果が生まれます。
例えば、出店者さんが毎回きれいなスリッパを持参してお客さんの自宅にあがるだけでも、ユーザー体験は確実に良くなりますよね。
勉強会でこうした成功事例が共有されると、その瞬間にエリア内でみんなが同じことを実践し始めるので、サービス水準が劇的に向上します。これを継続すると、ユーザー体験はめちゃくちゃ上がるんですね。
浜野:
ネットワーク効果を高めるには、良い人の行動を評価し、そうでない人の評価を下げる仕組みも重要です。
くらしのマーケットで、この役割を果たすのが「出店者スコアリング」という、出店者さんのアクティビティをスコア化する取り組みです。
これは「良い行い」をする出店者を評価して、「悪い行い」をした出店者の評価を下げる仕組みです。ランキングの順位にも反映されるので、正直に実直に行動していると評価が上がっていきます。
例えばですが、お客様からのお問い合わせへの返信は、当然遅いよりも早いほうが良いので、そういう「返信の早さ」も1つの指標になっています。
浜野:
予約リクエスト後の、アプリへの誘導の仕方を少し変えたところ、そこからのダウンロード数が1.7倍に改善しました。
ポイントは、アプリのダウンロードを「予約後のステップ」として組み込んだことです。ステップ①ステップ②と表示して、「アプリのダウンロードがおすすめです」「次はこれをしましょう」と説明しました。
ただストアのバッジを表示するよりも、ゆるい強制力が働くようになって、数値が改善したのかなと。
アプリを入れてもらえると、リピート率が高くなるなど、エンゲージメント率も改善します。出張訪問サービスは、出店者とのやり取りも多いため、アプリのほうが電話やメッセージの利便性も高くなるんです。
浜野:
くらしのマーケットの出店者には、「お客様に電話をかけません。メッセージのみで対応します」このように記載したところ、単価を1.5倍にしても売れるようになった、ハウスクリーニング事業者さんがいます。
理由は「電話が苦手なユーザー」が一定数いるためです。電話をしたくないユーザーというのも、最近は多くなっているのかなと。
電話で他人と話すのが苦手、忙しいので電話を取れないといった理由で、「電話をかけない」という約束に価値を感じる人がいるんですね。
浜野:
外壁塗装のカテゴリでは、まず現地調査員を派遣して必要なデータを集めてから、各事業者から見積もりを出す方式に変更したところ、2年間でカテゴリの流通金額が11倍に増加しました。
以前は「どんな人が来るのか。信頼できるのか?」と不安に思う人も多くて依頼の規模も小さかったのですが、安心して頼める仕組みになったことで、より単価の高い依頼が来るようになり、単価も4.5倍に向上しました。
安心して頼める仕組みがないと、外壁塗装なら「全面」ではなく「壁の一部」を頼もうとするなど、小さな単位で依頼する力学が働くんですね。
また、事業者さんをいきなり選ぶ方式だと、家に来て営業されると他に良い選択肢があったとしても、そこで決まりやすいのだと思います。
浜野:
1つ目の条件は、大きくて成長中の市場でやること。我々の場合でいうと、ハウスクリーニングやリフォームなどは、全部足したら数兆円の市場になると思いますし、それらをネットで依頼する市場はどんどん成長しています。
2つ目の条件は、マーケティングチャネルが存在すること。例えば、家事代行を「C2Cでやろう」とすると、供給側の「家事代行ができる主婦」を集めるためのマーケティングチャネルって、恐らく存在しないんですよ。
これがハウスクリーニングなら「ハウスクリーニング 渋谷区」と検索すれば事業者さんがたくさん出てきます。これは言い換えれば、事業としてやっている人の営業リストなので、そこにアプローチすれば良いわけです。
供給側の強度も重要です。「空き時間にちょっと家事代行をやりたい主婦」だと強度は高くありません。それより生業としてやっている人がいて、そこにアプローチできるかが大事です。
供給側が既に市場に存在し、その供給側を集めるチャネルがあるという状態でなければ、お金があっても効果的なマーケティングができず、マーケットプレイスとして成立しない可能性が高いです。
3つ目の条件は、社員が誰かに頭を下げなきゃいけない商売はやらないようにします。くらしのマーケットは、初期費用や月額費用は1円ももらわずに、お客さんが来たら手数料をいただくモデルです。
これだと「お願いする」というよりは「対等な関係」になります。win-winの関係に常になるからです。一方で、お客さんが来るかわからないけど、月額10万円を払ってくださいだと「頭を下げる商売」になってしまいます。
これを続けると成果が出ないときに社員の心がすり減っていくと思います。なので、社員が頭を下げないといけない商売はやりません。言い換えると、気持ちよくお金をもらえる仕組みを大事にします。
—-
【取材協力】
くらしのマーケット:https://curama.jp/
みんなのマーケット株式会社:https://minma.jp/
浜野 勇介さん:@yusukehamano
【告知】みんなのマーケットさんでは各職種で採用中。マーケティング本部のマーケターなど募集されています。詳細は下記サイトからご覧ください。
https://minma.jp/recruit
※ 以降は、成功施策の④⑤⑥⑦をnote購読者向けに4つほどまとめています。テレビCMの効果を高めた検証、CVRを高めた離脱防止の施策、決済画面で指標を高めた工夫など、ご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n537775f3f080
The post 200万人が依頼する「くらしのマーケット」に聞く、0から地道にマーケットプレイスを10年間で成長させた方法。「ネットワーク効果」を強くするための3つのポイント。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年11月29日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n00bc1fe562fd 出張撮影の「ラブグラフ」さん […]
The post 撮影組数は約10万組。出張撮影サービス「ラブグラフ」が成長した理由。カップルから家族向けに転換して依頼が3倍。非合理な決定が「選ばれる理由」につながる話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年11月29日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n00bc1fe562fd
出張撮影の「ラブグラフ」さんを取材しました。
何度も見返したくなる写真を撮影する「出張撮影サービス」です。2014年にスタートして、累計の撮影組数としては約10万組となっています。
撮影ジャンルは「家族」が半分以上を占めています。最近伸びているのは「プロフィール写真」で、これは2年で3倍に依頼数が伸びています。
例えば、カッチリ撮った写真よりも、自然に撮った写真のほうがマッチ率が高いという理由で、マッチングアプリに使われる方も多いようです。
駒下:
もともと、僕は学生カメラマンとして活動していて、全国のカップルを趣味で撮影していました。
2014年に、撮影したカップル写真を載せた「ラブグラフ」というフォトサイトを公開したところ、これが話題になって初日に3万PVほどを集めました。
これはどちらかというと、ただの写真集的なサイトで、そこに「撮影依頼」というページをつけて、依頼が来たら撮影をしていましたね。
ただ、当時住んでいた大阪から、全国を回ってカップルの写真を撮ろうとすると、交通費や移動時間が結構かかってしまいます。
そこで、これは「現地のカメラマン」と「現地のお客さん」をつないだほうがいいのではと、カメラマンを募集すると、全国のカメラマンが手を挙げてくれて。これが本当のラブグラフのスタートになりました。
なので、ビジネスモデルとか事業計画は何もなくて。カメラマンがただ好きで活動していたところからはじまりましたね。
初期はお金ももらっていなくて。「価値を感じた分だけ払ってください」というお気持ち制からはじめて、徐々に有料化していきました。
そこから1年後くらいに、全国から依頼も増えたし、大きい会社との取引も増えてきたということで、法人化したのが2015年でした。
村田:
初期に成功したのは、写真の左下に「ラブグラフ」とロゴを入れたことで、そこから認知が高まるサイクルをつくれたのは良かったです。
SNSに写真を載せるときに「ラブグラフで撮ったよ」と言及してくれる方もいたのですけど、ポンと写真だけを載せている方も多かった。
そういう投稿でも「ラブグラフの写真なんだ」と伝わるようにしたことで、サービスが広がりました。
駒下:
ターニングポイントになったのは、2019年にメインの顧客層を「カップルから家族」に変更したことで、そこから急成長がはじまります。
法人化してから資金調達もして。STRIVE(旧:グリーベンチャーズ)というVCから、根岸さんという優秀な方が出向してきてくれました。
そのときに市場の選定をしたんです。カップルの写真って市場がものすごく小さかったんですよ。だから、広告を打っても費用対効果が合わない。
そこで、事業を伸ばすために「広告で獲得できるプラン」をつくろう、そのためには顧客層を変えよう、ということで家族にフォーカスしました。
当初は、カップル向けに「1万円の撮影プラン」を出していたのですが、これを家族向けに「2.3万円の撮影プラン」に刷新。撮影枚数も増やしてニーズに合ったプラン内容にしました。
家族向けという大きな市場に出すと、広告から獲得できるようになり、これによって新規の依頼数が3倍に伸びて、これまでには見たことのない金額の売上が立つようになっていきました。
村田:
驚きだったのは、わたしたちは価格を上げたら「依頼数は当然減るものだ」と思っていたのに、価格を上げたら依頼数が3倍に増えたことです。
価格も2倍以上になっているのに、依頼数が3倍になったということで、市場が大きなところで勝負するって、ものすごく大事だったんだなと。
駒下:
また、既存サービスよりも「すこし便利にすること」を徹底したのも成長のキッカケになりました。
例えば、撮影サービスでいうと、写真のデータがもらえない、フォトブックにしないといけないとか、細かい不満も結構あったんですね。
そこは、写真はデータでもらえたほうがうれしいよねとか、電話よりもWeb予約ができたほうが便利とか、ニーズに合わせて最適化しました。
そこからも、大変なことはありつつも、順調に事業が成長していきました。
2020年の4月には、ミクシィと業務資本提携を行い「みてね出張撮影」を開始、2022年の3月にM&Aを通じてミクシィの子会社になりました。
今では「家族アルバム みてね」からの流入は、ラブグラフの依頼数の約1/3を占めるほどになっています。親和性の高いサービスとの連携は正義です。
駒下:
僕らは点ではなくて「線で写真を撮ること」を意識しています。どうしても写真って一瞬をパンと撮って終わりがちです。
でもそうではなくて「何枚か見たときに、思い出がより鮮明に思い返せる、ストーリーが伝わるような写真を撮ろう」という話をよくします。
例えば、子どもがグズってしまって、お母さんが困り顔であやしていたら、それも含めて「ありのまま」を撮るようにする。
いつか親子で振り返ったときに「あんた、このときずっと泣いとってんで」みたいな会話ができたほうが、思い出として尊いじゃないですか。
なので、「将来に見返したら、泣いている姿も愛しくなると思うので、この写真も撮っておきますね」と伝えたりします。
カメラマンがそう考えていれば、そういうコミュニケーションを取るようになるし、お客さんにも写真をより尊く感じてもらえると思うんです。
村田:
これは「はい、チーズ!」で撮らないこと。そうすると、つくられた瞬間じゃなくて、自然な瞬間が撮れやすいんですよ。
例えば、「はい、チーズ!」って言って、「えー、もう何したらいいか分からん、あはは!」とおどけているチーズの2秒後を撮るようにする。
もしくは「じゃ、撮るよ~」って言って、「もう今日ほんま緊張するなー」と言ってるときに撮っちゃう。
集合写真とかでも「はい、チーズ!」の1秒後くらいに、「あー終わった~」となっている瞬間が、実は一番みんな笑顔なんですよ。
駒下:
あとは、意識を「写真」に持っていくのではなく、他に向けてあげること。これも自然な写真を撮りやすくするコツだと思います。
例えば、お子さんがいたら「お子さんのほう見てください!」とか、ペットがいたら「ワンちゃんをコッチに向かせてください!」と言ったりします。
駒下:
やっぱり買収というと、売上はどうなんとか、アクティブ率はどうかとか、事業の数値を当然見られるじゃないですか。
でもここだけの話、何社かの競合を並べたときに、最後は結局「ラブグラフの写真が良かったから」と言ってもらえたんですよ。
「家族アルバム みてね」をやっている、ミクシィの取締役の笠原さんが、この件を決めてくれたのですが、そのように言ってもらえて。
買収について議論をしたときに、みてねのデザイナーチームに「どの会社が一番いいと思う?」と聞いたら、満場一致でラブグラフだったと。
サイトや写真から、ラブグラフの世界観を評価してもらえて。僕らもそこに価値があると信じていたので、とても嬉しかったんですよね。
駒下:
非合理の合理性を信じることです。会社をやってると「合理的な意思決定」はどんどん増えていきます。
なぜなら「合理の力学」が強過ぎるから。議論になると合理っていつでも勝っちゃいますし、合理的であるほど正解のような気がしてきます。
でも、非合理に見える判断をつみ重ねることが、他社との競争優位性につながり合理的な結果を生む、というのは大きな学びになりました。
非合理な意思決定をするためには、社長とか経営陣の「意思」が必要です。つまり意思がないと、だんだん差別化できない会社になります。
なので、非合理の合理性、非合理な意思決定を連続的にできるかどうかが、競争優位性をつくるために大切なのではないかなと。
ラブグラフも合理性を突き詰めたら、カメラマンも教育しないで数を集めていたかもしれません。それだと世界観は崩れていました。
でも、まずやさしい人を採用しよう、技術もこのレベルまでは守り切ろう、非合理にこだわった結果、大きなディールにつながったと考えています。
やっぱりラブグラフのお客さんって、プロのモデルとかではなくて、一般の家族の方や初めて写真を撮る人がほとんどなんですよ。
となると、腕はあっても「なんか怖いな…」と思われたら、それだけで表情が硬くなったりするし、いい人のほうが「いい表情」が撮れるんです。
村田:
カメラマンのコミュニティをSlackで運営していて、コミュニティは縦・横・斜めと「網の目状」に広げることを意識していますね。
例えば、カメラマンになるまでに、ゼミと呼ばれる「カメラマン養成講座」にご参加いただくのですが、卒業後には「1期生・2期生」など同期のコミュニティをつくったり。
ほかには、スタバ部やボードゲーム部といった部活をつくったり、地域別のコミュニティをつくって、誰でも何かの軸で「横のつながり」が生まれやすくなるようにしています。
あと、全国からカメラマンを集めて、年に1回「周年パーティ」を開催して、そのときにMVPの発表や表彰式などもやっています。
—-
【取材協力】
株式会社ラブグラフ:https://corporate.lovegraph.me/
ラブグラフ:https://lovegraph.me/
駒下さん(@komage1007)
村田さん(@murata_atsumi)
【告知】ラブグラフさんでは、マーケターや事業責任者を募集中。スタジオ事業や、インバウンド旅行客向けの撮影サービスもはじめているとのこと。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。
https://herp.careers/v1/lovegraph
※ 以降は+αの事例をnote購読者向けにまとめています。サービスの指標を伸ばした2つの施策、リピート率を高めるための戦略、組織の生産性を関係性から高めるコツなど、ご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n00bc1fe562fd
The post 撮影組数は約10万組。出張撮影サービス「ラブグラフ」が成長した理由。カップルから家族向けに転換して依頼が3倍。非合理な決定が「選ばれる理由」につながる話。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年11月24日)数値などは取材当時のものです。https://markelabo.com/n/n0485e22dc18b 日程調整ツールの「調整さん」 […]
The post MAUが600万人を突破した「調整さん」が語る成長の裏側。リクルートからスピンアウト創業した経緯、日程調整サービスで見るべき指標。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年11月24日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n0485e22dc18b
日程調整ツールの「調整さん」を取材しました。
北野:
国内最大級の「日程調整ツール」です。月間アクティブユーザー数としては600万人、出欠登録数としては累計で1.6億回を超えています。
最もよく使われるのは「飲み会や旅行」などの日程調整で、全体の60~70%程を占めています。プライベートでの日程調整がメインです。
プライベートの日程調整が多いので、出勤・退勤・昼休みの時間帯などは、アクセス数がめちゃくちゃ伸びる傾向がありますね。
北野:
日程調整サービスの「調整さん」は、2006年に株式会社リクルートホールディングスで、実験的なサービスとして公開されました。
2014年には、新規事業に位置づけられて、本格的にチームをつくって伸ばしていくことになりました。そのときにインターンとして、僕はチームに参加することになったんですね。
初期に追っていたのは「幹事転換率」という指標でした。これはゲストとして「日程入力したユーザー」に、今度はいかにホスト(幹事)として「日程調整ページを送る側」になってもらえるかという指標です。
調整さんって、1イベントあたりだと「平均 8人くらい」の方が参加します。つまり、調整さんが価値を発揮するのは「大規模な日程調整」なんですね。2~3人だとLINEで調整したほうが早いわけです。
当時の月間アクティブユーザーは約70万人。ある程度の利用者がいたので、ゲストをホストに転換できれば、サービスも成長するはず。
そこで「幹事転換率」を追いました。例えば、日程調整が終わったゲストに「幹事としても使ってみませんか?」と訴求しました。
途中からは「ゲストの使いやすさ」を重視するようになり、何度もABテストを繰り返して、わかりやすい日程調整のデザインを目指しました。
結果的に、2014年の月間アクティブユーザーの約70万人というところから、2018年には約200万人まで成長することができました。
ただ、2018年に「調整さん」は事業譲渡することが決まります。リクルートから別の会社に移管して運営してもらうということですね。
北野:
リクルートで「調整さん」の事業譲渡が決まった際は、上司に掛け合って「僕に託してほしい」と、譲渡先の候補の1つとして入れてもらいました。
僕のリクルートでの最後の2年間は、大学を中退してインターンからフリーランスに転向して、調整さんのプロダクトマネージャー兼エンジニアとして、全体の設計も担当するようになっていました。
なので、まだやり残したこともあったし、プロダクトのコントロールを自分がやっているところもあったし、「調整さん」を続けたかったんですね。
事業譲渡はいろいろな候補がある中で、今後もしっかり運営していけるか、譲渡金額など、色々な要件をもとに、譲渡先の選定が行われました。
最終的には、僕を選んでいただくことができて、2018年2月に「調整さん」をスピンアウトする形で、ミクステンドを創業しました。
北野:
今回の事業譲渡って、良く捉えられれば「開発者の想いでサービスが継続された」となるけど、悪く捉えられると「適当な会社に任せるからこうなる」というアンチパターンにもなりかねません。
なので、運営会社がリクルートから変わっても「使いづらくなった、不安定になった」と言われないように、安定性を強く意識していましたね。
例えば、当初エンジニアは僕1人だったのですが、異常があればSlackに通知が飛ぶようにして、常にスマホを見てエラーをチェックしていました。
具体的には、アクセスのエラー率が基準値を超えたらアラートを飛ばしたり、ページの読み込み時間が大幅に遅延したらアラートを飛ばしたり。
振り返ると良い方法とは言えず、アナログで泥臭いのですが、そういう閾値を設定して問題を早期発見することで、エラーを予防していました。
北野:
向かい風が吹いたのはコロナ禍でした。調整さんは「飲み会や旅行の日程調整」が半分以上を占めるため、予定が自粛で減ると利用者も激減します。
1回目の緊急事態宣言のときは、前年同月比でアクティブユーザーが50%ほど減って、景気悪化も重なり広告収益は85%ダウンしました。
このときはホントに胃が痛かったです。どうなってしまうんだろうと…。
ただコロナ禍に入る少し前に、ビジネス向けの日程調整ツール「TimeRex」をリリースしていて、こちらが逆に伸びはじめます。
これは「調整さん」のユーザーからの、「ビジネスの日程調整も便利にならないですか?」という声から開発したものです。
もう「調整さん」だけだったら、かなり売上的にもピンチでしたし、実際に事業としても縮小せざるを得なかったと思いますね。
当初は「調整さん」を主力事業として考えていましたが、直近では「TimeRex」と「調整さん」は同じぐらいの事業規模になっています。
北野:
はじめは、僕らに営業をかけてきた会社さんに、「TimeRexから日程調整してもらえればお話を聞きますよ」と逆営業するような形で広めました。
会社のサポート窓口に、営業のお問い合わせって結構いただくんですよね。エンジニアの採用はどうですか、マーケティングを支援しますとか。
その商談の日程調整にTimeRexを使ってもらい、商談のときも「僕らが開発したツールです。よかったら使ってください」と紹介しました。
この種のツールがまだ珍しかったこともあり、「これ便利ですね!」と使いはじめてくれる方もいて、少しずつ広まっていきました。
競合としては「メールやチャット」を意識しています。なぜなら、テキストでの日程調整コストを上回らないと、ツールを使ってもらえないからです。
なので「課題の大きさ」を意識することも大切です。例えば、営業の方って「日程調整の課題」が大きいんです。日程調整の回数が多いですし、社外の人とも日程調整をたくさんするわけですよね。
実際に有料プランをつくったときも、課金転換率が高いのは営業の方でした。営業や採用やカスタマーサクセスの方のニーズは強いですね。
逆に、バックオフィスやエンジニアの方で、たまに日程調整するくらいだとチャットのほうが楽なので、必要性を感じてもらいにくいんですよ。
北野:
TimeRexで成功した施策としては、ユーザーの意思決定コストを意識して、初回設定時にかかる負荷を減らしたことでした。
当初TimeRexでは、初期設定時に「日程調整ページ」のURLをカスタマイズできるようにしていたんですね。社名をURLの中に入れられるとか。
でも、これは機能があるからなんとなく設定しているだけで、実際はなくても問題ないのではないかと、機能を消してみることにしました。
結果としては、機能を減らしたのに「初回設定の完了率」が8.5%改善して、ユーザーさんからも「URLを変えられなくなった」という不満の声もとくに届かないという結果になりました。
必要性の低い機能によって、ユーザーさんがなんとなく使っている状態になってしまい、余計な負荷をかけさせてしまったのかなと。
—-
【取材協力】
ミクステンド株式会社:https://mixtend.com/
調整さん:https://chouseisan.com/
TimeRex:https://timerex.net/
【告知】ミクステンド社では、プロダクトマネージャーやマーケティングの職種などで採用中。基本はフルリモート(月1回は出社)とのこと。ご興味があれば下記サイトからご覧ください。
https://mixtend.com/careers/
※ 以降は+αの事例をnote購読者向けにまとめています。TimeRexで作成完了率を8%高めた施策、課金転換につながった機能、調整さんの成長につながった判断、ご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n0485e22dc18b
The post MAUが600万人を突破した「調整さん」が語る成長の裏側。リクルートからスピンアウト創業した経緯、日程調整サービスで見るべき指標。 first appeared on アプリマーケティング研究所.
]]>