Dropbox炎上? 非公開ファイルが著作権法違反で削除されたと話題に

「非公開フォルダでデジタルミレニアム著作権法違反の削除…初めて見た」

昨日、オンラインストレージサービス大手であるDropboxが、ひとつのツイートを火元にネット上で"炎上"しかけた。いわく、ユーザだけが閲覧・管理できるはずの非公開フォルダ内のファイルが削除された、というのだ。

非公開フォルダ内のファイルが削除?

経緯

簡単な経緯はこうだ。

まず、@darrellwhitelaw が、Dropbox上の非公開フォルダに保存しているMP4動画ファイルを知人に共有しようと試み、共有リンクをメッセンジャーで送信した(非公開フォルダ内のファイルでも、リンクを知るユーザへは共有可能)。

次に、共有リンクを受信した知人がリンクをクリックし、Dropbox.comを開いた。すると、"Certain files in this folder can't be shared due to a takedown request in accordance with the DMCA.(このフォルダ内の特定のファイルは、DMCA[デジタルミレニアム著作権法]に基づく削除要求により共有することはできません)"との警告メッセージが表示され、ファイルをコピーないしダウンロードすることができなかった。

そこで、その状況を撮ったスクリーンショットを @darrellwhitelaw がツイートしたところ、リツイートが3,000件を超えてしまった──これが、大まかな流れだ。

Dropboxは、著作権侵害の通知を受けたリンクを無効化している

たしかに、スクリーンショットだけを一見すると、共有しようとしたファイルが削除されてしまったかのような印象を受けるかもしれない。非公開フォルダ内の元ファイルが削除されたとしたら一大事だ。しかも、Dropboxが非公開フォルダ内のファイルをチェックし削除しているとすれば、プライバシーの観点から大問題となる。

Dropbox

しかし、@darrellwhitelaw によれば、ファイルは削除されておらず、単に共有リンクが無効になっているだけだという。大量のリツイートを招いた要因は、画像のインパクトの大きさとツイートの曖昧さだったものと思われる。

この件について、Dropboxは次のようにコメントしている。

There have been some questions around how we handle copyright notices. We sometimes receive DMCA notices to remove links on copyright grounds. When we receive these, we process them according to the law and disable the identified link. We have an automated system that then prevents other users from sharing the identical material using another Dropbox link. This is done by comparing file hashes. We don’t look at the files in your private folders and are committed to keeping your stuff safe.

要約:Dropboxは、著作権侵害の通知を受けると、法律に基いて識別されたリンクを無効化します。この無効化は、ファイルのハッシュ値を比較することでおこなわれ、自動的に処理されています。Dropboxは、プライベートフォルダ内のファイルを覗き見しているわけではありません。
Twitter

簡単に言うと、共有されたファイルのハッシュ値(ハッシュ値の意味が分からないなら、暗号のようなものだと考えてほしい)を、著作権侵害の報告がなされているファイルのハッシュ値と照合し両者が一致していれば、共有リンクが無効になるという処理がおこなわれているものと思われる。元のファイルが削除されるわけではない。

もちろん、Dropboxは、利用規約で違法なファイル共有を禁止している。また、アメリカのDMCA[デジタルミレニアム著作権法]は、Dropboxのようなサービス事業者に対して、著作権侵害の通知があったコンテンツを一定の要件のもとでファイル共有者の確認を取らずに削除することを認めている。

したがって、今回のような事例では、Dropbox側に非があるとは言い難いだろう。ただ、Dropboxは、ファイルの取り扱いに関する不適切な説明を理由に告発を受けたこともある。すねに傷持つ身だけに、このようなことが話題になるのは避けたいところかもしれない。