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2012.04.07

きっこ女史がガセネタを官邸ホームページ更新の件で流して大漁旗が揚がる大戦果 @kikko_no_blog

 やりおったか! 凄いガセネタの威力だ!

http://twitter.com/#!/katoyuu1/status/188467885927170048
きっこソースで不確かな情報が拡散されていく悲惨な例。 http://bit.ly/HiUkFHhttp://bit.ly/HkPtbwhttp://bit.ly/I0a5FA
(via http://www6.ocn.ne.jp/~katoyuu/

 流れを追っていくと、普通に仕事をしていればそんなことはまずありえない、ということが拡散されていくあたりにキュレーターなきウェブのアレな感じが残念に思います。梅田望夫さんはこういうことを言いたかったのか!

 IIJが請け負っていたのはCMSとか出る前の2005年以前のことで、その数字を並べてきて「4,550万ではなく1億1,000万だったんだよ!」「なんだってー」とかいう馬鹿がいっぱい釣れています。その後、落札DBには他の付随業務も含めての金額が牽強付会気味に貼られてますけど、それ他の業務も含んだ随意契約の金額ですから(後述)。

 通常のサイトがレン鯖借りて運用するのとは訳が違うのと、官邸ホームページどころかNISC含めた内閣官房全体のウェブ関連予算でいえば昨年が298億円ということで、なんで都合予算が600分の1のホームページのとこだけ見て騒いでいるのか不思議でしょうがないわけです。

ほんとは1億超えていた!首相官邸ホームページ4550万円問題、下請けにはキッズページは200万で発注。合計では1億2000万円オーバーの謎
http://plus.appgiga.jp/ky777/2012/04/06/15898/

 きっこのガセネタに釣られて大誤報を流し拡散させた「アプギガ」を運営してる株式会社エスタイルとかいう会社では、「保守費を含まずに1億円を超えていたとしたら」など事実とかけ離れた内容を記述してて、こりゃさすがに抗議ですね。どうやら入札の内容を調べるという基本的な動作すらできていなかったのかと思われます。

 で、それが2ちゃんねるまとめサイトに転載。

[政治] 首相官邸ホームページ、下請けには300万円で発注されてた事が判明
http://yutori2ch.blog67.fc2.com/blog-entry-3992.html

 これは綺麗な二次災害。流行ってないアプリサイトが炎上案件を2ちゃんねるに載せてまとめサイトから誘導を狙ったものかと思われます。2ちゃんねるに書かれているのを引用しただけだからガセネタでも許されます、というのはさてさて通るのかどうか。

 で、そのサイトに対する反響。

首相官邸ホームページ、下請けには300万円で発注されてた事が判明 - (´A`)<咳をしてもゆとり
http://topsy.com/yutori2ch.blog67.fc2.com/blog-entry-3992.html

 あんな5,000ページにも及ぶ巨大サイトと4,000近いpdfリンクの山の更新作業を、300万で請ける下請けがいたとしたら、それはもう中国だろ… 常識で考えろというお話でございます。なお、政府調達に関してはこちら。

復興に向けた首相官邸HPの日本語版、英語版情報発信強化に伴うシステム機能追加等業務及び中国語版立ち上げに伴うシステム機能構築等業務
http://bank-db.com/rakusatu/29405

 これが「随意契約」で実は1億円以上の受注だった! という根拠らしいんですが、ホームページはその作業のうちのひとつで、それ以外にも頻繁に中華ハッカーから攻撃される可能性のある中国語版公式のシステム構築が含まれてて、お前らイスラエルの専門会社がこういう公的機関のサイトを請けるのに幾らかかってると思っているんだよ、という感じ。

 むしろ、費用的に安すぎて、標的型メールでクラックされて書き換えられる可能性すら残るんだけれども、クラックされたら今度ネットの馬鹿は脊髄反射で日本政府の対応がぬるいからだと叩くのは目に見えているんですよねえ。

 官邸ホームページのリニューアルについては、真水部分が本当に4,550万なのかどうかはちょっと実は良く分からんところではありますが、妥当性について指摘したサイトはこちら。

首相官邸ホームページのリニューアル構築費用に対して製作者側からの考察
http://7dw.jp/blog/archives/915

 政府発注は不透明に見えるから叩かれやすいという風潮は否定できないけれども、今回みたいに馬鹿みたいにオープンで、受発注の一般的な仕組みさえ知っていれば「まあそんなことはなかろう」と分かるはずのもんが、きっこにガセネタ流されて吹き上がるようではちょっとなあと思う次第であります。

 通りかかったmixiが銃撃されて引火爆発炎上のすえ壮絶な最期を迎えることを祈念しています。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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