本日は、珍しくメッセージが届かない平穏な日
ということで、最近読んだもっとも面白い本として『リフレはヤバい』を紹介したい
実は、昨日、週刊朝日の林真理子先生との対談で、拙著『東大の大罪』を取り上げていただいたのだが、久しぶりに売れているらしい
その中で、私の本よりランキングの上の本として、朝日新書の編集者もこの本を話題にしていた
というのは、この編集者も似たような内容の本を、著書の小幡績氏に書いてくれと頼んでいたからだそうだ
小幡氏は、榊原英資氏、野口悠紀雄氏とともに、私が日本で最も信頼するエコノミストである
人の悪口ばかり書いていると思われているが、私だって、出来る人は認めるし、そこから学ぼうとはする
小幡氏については、『すべての経済はバブルに通じる』という本から尊敬するにあたっている
この本のリスクテイクバブルの考え方は、非常に説得力があった
この本の影響もあって、私は、今回のアベノミクスによる株高、円安もバブルになるだろうと思っている
外国人のファンドが、これに乗じて儲けられるだけ儲けようとして、株も上げられるだけ上げる(2万円は行かないと思うが)、円も下げられるだけ下げておく(98年の140円台はないにしても、2001年の120円台は十分あり得る)
これを素直に喜ぶ人は多いだろうが、小幡氏も指摘しているように、バブルというのは、その進行中は、金融市場だけのバブルなので、その関係者だけはボロ儲けはできるが、実体経済には何ももたらさない。ところが、それが崩壊すると金融危機が起こるうえに不景気が起こるので、実体経済に大打撃を与える
おそらく、このバブルは、半年や1年は続くだろうから、次の参院選挙では、安倍氏が株価を大幅に上げたことが評価されて、自民党は圧勝に終わるだろう
しかし、バブルであって、実体経済が改善しないし、人々の賃金も上がらないから、必ず崩壊する
この小幡氏のまっとうなところは、日本人のバカマスコミと、エセ(経済のことがわかっていてそれを信じるのだからエセとしか言いようがない)経済学者、エセエコノミストがすべて信じている株高=景気回復、好景気とみていないことだ
株の値段が上がっても、金持ちしか儲からないし、企業にしても、金が借りやすくなるくらいの話だから(金融機関の含み益は増えるが)、賃金上昇にはつながらない
そして、もっと当たり前のことだが、インフレというのは賃金の上昇がない限り、起こらないという小幡氏の視点である
もちろん、もののない時代なら、賃金が上がらなくても、値段が高くても買わないといけないからインフレは起こる。終戦直後の日本はまさにそうだろう
でも、ものあまりの時代であれば、あわてて買ったり、値段を上げられてまで買おうと思わないので、インフレは起きない
円安で材料費が上がるからマイルドなインフレは起きるかもしれないが、円が147円までいった98年でもインフレ率は1%にもならなかったのである
おそらく、バブルははじけるし、国債の暴落まではいかなくても、国債価格は下がる(私も本書で知ったが、年末から年始にかけて国債価格は2%下がっているという
大したことはないと思っていたが、これは調達金利が2%も上がることを意味するらしい
円安の間に日本の資産が買いあさられる心配もしておられるが、これもその通りだと思う
円安のデメリット、リフレ論者の期待の甘さなど、まさにその通りと思える話が並ぶ
私もうすうす感じていたことだが、このような賢人に理論化してもらえると本当に嬉しい
ただ、分析面では、本書も藻谷氏(この人も私は評価している)も素晴らしいが、解決策があいまいだ
私がいうように、法人税も所得税も高くして、経費を大幅に認めることで、企業や個人に金を使わせる(企業にしても人件費が高いほうが得になる)、相続税を上げて高齢者に金を使わせる(藻谷氏は高齢者が金を使うことが景気回復のカギとは言っている)ような具体策が必要なのではないかと思うが、彼らに言わせたら、それも当座しのぎなのだろうか?
人口が減る以上、サービス業(プラス製造業)の付加価値が高くなる、賃金が高くなる以外に、経済発展の道はないと私は考えている(外国市場をあてにする手もあるが、価格競争ではかえって低賃金とデフレを加速する。やはり高付加価値競争が必要だーーところが高付加価値競争で勝てるためには国内で高付加価値のものをもとめる消費者が必要なのである)
要するに、金融市場でなく、実体経済に金を吐き出させる政策が必要だと私は考えている
だから、重税で、経費を大幅に認める(高度成長期の日本はそうだった)、相続税を上げるなどが必要と思うのだがどうだろう
ということで、最近読んだもっとも面白い本として『リフレはヤバい』を紹介したい
実は、昨日、週刊朝日の林真理子先生との対談で、拙著『東大の大罪』を取り上げていただいたのだが、久しぶりに売れているらしい
その中で、私の本よりランキングの上の本として、朝日新書の編集者もこの本を話題にしていた
というのは、この編集者も似たような内容の本を、著書の小幡績氏に書いてくれと頼んでいたからだそうだ
小幡氏は、榊原英資氏、野口悠紀雄氏とともに、私が日本で最も信頼するエコノミストである
人の悪口ばかり書いていると思われているが、私だって、出来る人は認めるし、そこから学ぼうとはする
小幡氏については、『すべての経済はバブルに通じる』という本から尊敬するにあたっている
この本のリスクテイクバブルの考え方は、非常に説得力があった
この本の影響もあって、私は、今回のアベノミクスによる株高、円安もバブルになるだろうと思っている
外国人のファンドが、これに乗じて儲けられるだけ儲けようとして、株も上げられるだけ上げる(2万円は行かないと思うが)、円も下げられるだけ下げておく(98年の140円台はないにしても、2001年の120円台は十分あり得る)
これを素直に喜ぶ人は多いだろうが、小幡氏も指摘しているように、バブルというのは、その進行中は、金融市場だけのバブルなので、その関係者だけはボロ儲けはできるが、実体経済には何ももたらさない。ところが、それが崩壊すると金融危機が起こるうえに不景気が起こるので、実体経済に大打撃を与える
おそらく、このバブルは、半年や1年は続くだろうから、次の参院選挙では、安倍氏が株価を大幅に上げたことが評価されて、自民党は圧勝に終わるだろう
しかし、バブルであって、実体経済が改善しないし、人々の賃金も上がらないから、必ず崩壊する
この小幡氏のまっとうなところは、日本人のバカマスコミと、エセ(経済のことがわかっていてそれを信じるのだからエセとしか言いようがない)経済学者、エセエコノミストがすべて信じている株高=景気回復、好景気とみていないことだ
株の値段が上がっても、金持ちしか儲からないし、企業にしても、金が借りやすくなるくらいの話だから(金融機関の含み益は増えるが)、賃金上昇にはつながらない
そして、もっと当たり前のことだが、インフレというのは賃金の上昇がない限り、起こらないという小幡氏の視点である
もちろん、もののない時代なら、賃金が上がらなくても、値段が高くても買わないといけないからインフレは起こる。終戦直後の日本はまさにそうだろう
でも、ものあまりの時代であれば、あわてて買ったり、値段を上げられてまで買おうと思わないので、インフレは起きない
円安で材料費が上がるからマイルドなインフレは起きるかもしれないが、円が147円までいった98年でもインフレ率は1%にもならなかったのである
おそらく、バブルははじけるし、国債の暴落まではいかなくても、国債価格は下がる(私も本書で知ったが、年末から年始にかけて国債価格は2%下がっているという
大したことはないと思っていたが、これは調達金利が2%も上がることを意味するらしい
円安の間に日本の資産が買いあさられる心配もしておられるが、これもその通りだと思う
円安のデメリット、リフレ論者の期待の甘さなど、まさにその通りと思える話が並ぶ
私もうすうす感じていたことだが、このような賢人に理論化してもらえると本当に嬉しい
ただ、分析面では、本書も藻谷氏(この人も私は評価している)も素晴らしいが、解決策があいまいだ
私がいうように、法人税も所得税も高くして、経費を大幅に認めることで、企業や個人に金を使わせる(企業にしても人件費が高いほうが得になる)、相続税を上げて高齢者に金を使わせる(藻谷氏は高齢者が金を使うことが景気回復のカギとは言っている)ような具体策が必要なのではないかと思うが、彼らに言わせたら、それも当座しのぎなのだろうか?
人口が減る以上、サービス業(プラス製造業)の付加価値が高くなる、賃金が高くなる以外に、経済発展の道はないと私は考えている(外国市場をあてにする手もあるが、価格競争ではかえって低賃金とデフレを加速する。やはり高付加価値競争が必要だーーところが高付加価値競争で勝てるためには国内で高付加価値のものをもとめる消費者が必要なのである)
要するに、金融市場でなく、実体経済に金を吐き出させる政策が必要だと私は考えている
だから、重税で、経費を大幅に認める(高度成長期の日本はそうだった)、相続税を上げるなどが必要と思うのだがどうだろう