スイプリ最終回について

　まあ、何はともかく「スイートプリキュア♪」最終回。

　前作が相当な変化球だったためか、今回は直球＋新生を狙ったと思われるけど、その分多くの課題を残す作品だったね。

　一時は「コレでプリキュアシリーズ終わっちゃうんじゃね？」と危惧してしまうぐらい、特に終盤の１クール弱は相当にグダグダな観が否めなかったけど、最後は上手い具合にまとめてくれたし、これはこれで良かったんじゃないかと。
　

　ただ何度も書く事だけど、せっかくの設定や、面白くするための要素を活かしきれてなかったのは、やっぱり惜しい。点と点がキレイに結びつかずに線にならない感覚、とでも言おうか。
　おそらく、製作スタッフがやりたかった事の１／３も、具体化出来てなかったんじゃないかと推察する。

　その最たる例と言えるのが、「響奏仲悪い設定」。例えば初代だと、ほとんど相手を知らない状態からいきなりコンビ組まされて、そこから徐々に仲良くなっていく過程が、物語のキモにもなってたわけで。
　二人が名前で呼び合うきっかけになったエピソードとか、目に見える進展状況も用意されてて、緩急のつけ方も上手かったと思うんだ（のわりに、実はＭＨとＳＳはほとんど観てないんだけど　笑）。
　
　もしくは某デカレンみたいに、ずっと一方通行（表面上は）だったのが、最終回かその前ぐらいにやっとお互いを認め合う、みたいなね。

　それが、僅か２話か３話で消化しちゃうし、１クール終わる頃にはイチャイチャし始めるしで、ビートが出てくる時期には既に「そういやそんな設定あったね」てな感じに。
　別に毎回殴り合え罵り合え、とは言わないけど、「仲直り」っていう根底のテーマがあるなら、お互いがどうしても料簡できない、越えられない一線みたいなの、それこそ「相棒って言うな」的な何かを用意しておいて欲しかったかなと。

　もちろん、二人であんまりギスギスしすぎると、チビッコ達がイヤーな気分になって観なくなる可能性もあるし、何より、そのやるには仲裁役、まとめ役、火に油を注ぐ役等々、それなりの員数が必要なんで、当初の二人でやるには相当ムリがあるのは分かるんだけど、そのために二人の両親とか、和音ちんとかスイーツ姫とか王子隊がいたんじゃないのかね？
　彼ら彼女らもまた、最終的にほぼ「いるだけ」になっちゃってたのは、いいキャラだけに非常にもったいない。

　そう考えると、当初から懸念していた「キャラクターバランスの悪さ」が露呈されてしまった案件と言える。もう一回言うけどもったいない。

　とはいえ、最後は最凶最悪の敵であるはずのノイズ様＝負の感情の具体をも受け容れ、ともに生きていく決意をするってところまで落としてくれたのは、なかなか良かった。
　
　強いて言うなら、白猫が夢の中でノイズ様と一緒に歌ってるか遊んでる、みたいな演出があってもよかったんじゃないかなーとは思うけど（前回のでは、あまりに一方的すぎる気がするので）、なるほど未就学児、しかも女の子向けのアニメなら、あのやり方がベターなのかもしれん。　

　他にもパイプオルガンとか、魔響の森とか、いろいろ言いたい事はあるけど、とりあえず一年間無事に完走し、次回作へとバトンタッチできたんで良かったとしよう、ウン。
　特に去年は、例の震災で少なからず進行にも影響があったと思われる中、最後までキッチリと仕上げていただいた製作スタッフの皆様には、ただただ敬服するばかり。
（完成度は別にして、ね）

　
　一年間おつかれさまでした。続く「スマイルプリキュア」も、ガッツリ楽しませていただきます。