怪文書が好きなネトウヨ(ヘレン・ミアーズ編) | 誰かの妄想

怪文書が好きなネトウヨ(ヘレン・ミアーズ編)

http://chiba.cool.ne.jp/masaakihamada/janphadoyou.htm
資料ヘレン・ミアーズ 「アメリカの鏡・日本」より
 日清戦争は日本からみれば、完全な成功だった。西洋列強は喝采し、日本における彼らの「特権」を相次いで放棄した。そして、日本を対等の主権国家として承認した。日本は韓国に自由を贈り、韓国国王は中国皇帝、日本天皇と肩を並べる皇帝の地位を得た。


韓国併合を正当化するネトウヨ主張で用いられる引用です。


引用部分そのものは確かに存在するので怪文書とは言えないかも知れませんが、かなり恣意的な引用には違いありません。


まず書いた人;ヘレン・ミアーズ(Helen Mears)
1900(1898?)-1989
アメリカ人で、中国・日本などの東洋について研究していた学者です。
「アメリカの鏡・日本(Mirror for Americans:JAPAN)」は1948年に執筆し、日本語版も新訳と抄訳版が出ています。今回は抄訳版(2005年初版)を参照しました。内容的には、当時、東京裁判、日本は占領中、中国は内戦中である中で、日本が行ってきた行為は欧米がやってきたことを真似しているに過ぎず、欧米にも責任はある、と主張しています。

「西洋列強はいま、日本を激しく糾弾している。日本が「凶暴で貪欲」であったことは明白な事実だが、だからといって、列強自身の責任は、彼らが思っているようには、免れることはできない。日本の本当の罪は、西洋文明の教えを守らなかったことではなく、よく守ったことなのだ。それがよくわかっていたアジアの人々は、日本の進歩を非難と羨望の目で見ていた。」(P283-284)

これを見ればわかるように、ヘレン・ミアーズは別に日本を擁護しているわけではありません。むしろ、欧米側の一員として、欧米側にも自省すべき点があることを欧米に向かって主張していると言えるでしょう。

日本人が、日本には反省すべき点がある、と主張すると、日本のネトウヨらは「在日乙」とか「反日日本人」とか言うわけですが、ひょっとしたらアメリカのネトウヨらは、ヘレン・ミアーズに対して「在米乙」とか「反米米国人」とか言っているかも知れませんね。

ま、どっちも恥ずべきネトウヨであることに違いはありませんけど。



さて、引用部分です。2005年抄訳版ではこのように記載されてます。
「日本からみれば、この戦争(引用者註:日清戦争)は完全な成功だった。西洋列強は喝采し、日本における彼らの「特権」を相次いで放棄した。そして、日本を対等の主権国家として承認した。日本は韓国に自由を贈り、韓国国王は中国皇帝、日本国天皇と肩を並べる皇帝の地位を得た。日本は台湾と澎湖列島を割譲され、西洋の合弁会社が高利で中国に貸した賠償金で金本位制についた。日本は中国本土の遼東半島で大きな租借地を得ることになったが、ロシアが強く反対した。数年後、フランスとドイツに後押しされたロシアは中国との条約によってこの地域を領有した。」(P140)


この部分の前半を引用して、日本が韓国を併合したことは韓国人にとって良かった、日本は感謝されるべきで恨まれる覚えなどない、といういかにも精神的に成長してません、という未熟な認識をネトウヨは主張するのですが、ヘレン・ミアーズの立ち位置を考えれば、この認識が全く的外れであることがわかります。

つまり、日本の日清戦争・韓国併合に対して、それを承認したのも、そういうやり方を教えたのも、私たち欧米である、という認識であって、それは反省すべき点である、という考えです。もちろん、反省すべきである以上、日本の韓国併合が正しいなどという認識ではありません。


それは次の部分からも明らかです。
「いまになってみれば、日本が韓国を「奴隷化した」ことは明らかだ。日韓相互防衛のため、自国を併合してほしいと日本に要請した韓国皇帝の「請願」は侵略を糊塗するための法的擬制であることも明らかだ。」(P150-151)


この部分をネトウヨが引用することはまず絶対にないでしょうね。

韓国併合を(正しいと)認めているアメリカ人の代表として選んだヘレン・ミアーズが「日本が韓国を「奴隷化した」ことは明らかだ。」などと書いていることをネトウヨは認めたくないでしょうし、そもそもネトウヨの知能では、3行以上の文は理解できませんし。



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