先頃のダイヤ改定で、「特急」が消滅した京王。「準特急」を残したところから見て、いずれ復活するのでは…と思っていましたが、その見立ては正しかったようです。
ダイヤ改定予告 2月22日、 京王線・井の頭線のダイヤを刷新します。相模原線に「特急」が登場
(京王電鉄公式HPより。上記はPDFファイルです)
(いずれも以前の記事から転載)
さらに驚きなのは、11年前に消えた「橋本特急」が復活するというニュース。
以前に運転されていた「橋本特急」は、相模原線内の停車駅が京王多摩センターしかなく、停車駅が少なすぎて利便性が低いことと、新宿-調布間のスピードが上がらなかった(前を走る高尾線直通の急行に頭を押さえられていた)ため、乗客が伸びなかったことにより廃止されました。
新しい「橋本特急」は、新宿を出ると明大前・調布・京王稲田堤・京王永山・京王多摩センター・南大沢・橋本の順に停車しますので、調布まで特急・調布以遠は急行と、特急と急行を合体させたような列車です。
このような停車駅配置は、過去の失敗に学んだであろうことは明らかですが、今になって相模原線直通列車のスピードアップを図るのは、やはり小田急・多摩急行に対する対抗策ではないかと思われます。確かに京王は、対新宿であれば圧倒的にスピードで有利ですが、多摩急行には乗り換えなしで表参道や霞ヶ関・日比谷・大手町へ直行できる利便性を備えているため、スピードという優位性に磨きをかけたいということなのでしょう。
特急関連でいうと、分倍河原・北野を特急停車駅に加えるということなので、これは以前に管理人が述べていたとおり、「特急と準特急の統合」がなったということです。
それでは準特急は廃止されたかと思えば、さにあらず。準特急は存置されますが、これは現在土休日に運転されている、北野まで準特急で高尾線内各駅停車という、「区間準特急」を準特急と呼称するようになります。
以前の「区間準特急」が案内上分かりにくかったことの対策かもしれませんね。
それはいいのですが、この新しい「準特急」、高尾線内では種別の逆転が生じてしまいます。急行は依然として高尾線内停車駅はめじろ台と高尾だけですから。このあたりのアンバランスはどうなるんでしょうか。あるいは、「準特急」は土休日のみ・急行は平日のみの運転になり、両者が同じ日に運転されないことになるのでしょうか。それなら分かりますが…。
特急以下の列車では、それまでの通勤快速を「区間急行」に改称することをアナウンスしています。これは、現在の通勤快速を通勤時間帯以外・土休日にも運転することの布石なんでしょうか。
それでは快速はどうなるのかですが、何と調布以西を各駅停車化することになっています。以前の改正で停車駅が増やされた快速ですが、また増えた…。
井の頭線に関しては、急行と各駅停車の1:1のダイヤを維持しつつ、1時間当たり6本から8本に増やされます。これまでは10分サイクルのダイヤでしたが、7.5分サイクルになるわけですね。そうなると確かに、輸送力増強にはなります。
ただ井の頭線でかわいそうなのが、永福町以外に緩急接続や追い抜きが可能な駅がないこと。駒場東大前や高井戸あたりは、その気になれば作れそうな気はしますが。
今回のダイヤ改定について、一部鉄道趣味界では、列車種別が複雑化したことや、西武池袋線や西武新宿線の例(一時期ラッシュ時中心にかなり複雑化したが、現在は単純化の傾向がみられる)を挙げるなどして、批判的に見る向きがありますが、京王に限らず鉄道事業者はあくまで「企業の論理」で行動していますので、今回のダイヤ改定もその結果です。したがって、その「企業の論理」に基づく行動の結果に対し、愛好家の目線で批判を加えることは慎むべきでしょう。
管理人も今回の改定については、言いたいことは本文以上にありますが、止めておきます。管理人が京王に愛着を持っているのは、学生時代お世話になったという一点だけであり、現在は「よそ者」でしかありませんから。
とりあえずは、詳細が明らかになるときを待ちたいものです。
※ 当記事は11/05付の投稿とします。