政権与党の議員が、あまりこういう場で提言めいたものをやるのは良くないのかもしれませんが、ちょっと最近、「実はこれは良いのではないか」と勝手に信じているアイデアがあります。
オバマ大統領がノーベル賞を取りましたね。核廃絶への取組み等が評価されたのだと思います。そこで、我が日本はここで大きなイニシァティブを打ち出してはどうかと思いました。その名も「核兵器廃絶条約」。これだけだと、「こいつはアホか」と思うでしょう。私の真意は、「具体的な期限は難しいだろうが、世界全体で将来的な核廃絶に向けて条約というかたちでコミットさせる」ということです。非常に短い、簡単な条約を作って、世界のすべての国に約束させるようなことができないかなと考えます。
あまり深く考えずにワーディングをやってみました。この程度の内容の条約であれば、交渉はそれ程難しくはないはずです。日本はここ15年程、国連総会に核廃絶の決議 案を出して採択され続けていますが、国際的な縛りという観点に置きなおすと、そうそう簡単ではありません。複雑になればなるほど、こういうのは纏まらないのです。
【私の考える核兵器廃絶条約(案)】
1. All States shall take measures not to increase any forms of nuclear weapons.
2. All States shall reduce, with a view to phasing out, all forms of nuclear weapons.
3. Modalities to reach the above-mentioned purposes are to be negotiated on the basis of equality, transparency and fairness.
国際約束としては少し細目を付け加える必要がありますが、基本的にはこれだけです。ポイントは2.の「reduce, with a view to phasing out」というところです。実はこのフレーズ、核兵器とは全く関係ない、とある国際交渉の中で生み出されたものです。当時から「上手い表現だなあ」と感心し、将来何処かで使えるだろうと思っていました。つまり、「いつ廃絶するか」は明らかにしないけど、将来的な廃絶の方向性についてはコミットしてもらうということです。そこは「超長期」を想定するのか、「中期」を想定するのか、同床異夢になるでしょうが、大きな方向性のサインとしては十分な意味があるはずです。
日本が旗を振ってこれをやれば、オバマ大統領は断りにくいような気がします。核廃絶と言っても、すぐに具体的な成果に結びつけることは難しい中、分かりやすくて、実のある(かどうかは微妙ですが)成果と言えばこういう類のものかなとも思うわけです。また、実はオバマの核廃絶イニシァティブの主眼点は「核不拡散」の方にあるという事実は、あのプラハでの演説 をよく読んでみれば分かることです。そういうところにも目配りしてみると、こういう内容になるわけです。
日本のイニシァティブとして打ち出し、アメリカを乗せて、まずは安保理常任理事国の了解を取っていけば、後は大半の国が付いてくるでしょう。難関であるイラン、イスラエルは何となく乗るんじゃないかな、という気がします。残る最難関国はインド、パキスタン、北朝鮮くらいでしょうかね。ここはどういう反応が返ってくるか分かりません。
比較的コストが少なくてやれそうな、このイニシァティブ。完全に私個人から出たアイデアですが、著作権等は全く主張しませんので、誰か使ってやってください。