国会が解散されると、法律は廃案になります。継続審議ではなくて、廃案になります。まあ、現在ホットなテーマが廃案になることについては色々と思いがありますが、今日はちょっと違うことを書きます。


 法律や予算を国会審議する際、お役所はすべての国会議員に法律(案)、予算(案)を「お届け」します。どんなにテクニカルで理解不能なものであっても、すべて紙で持っていきます。官報についてもすべて届けられてきますし、国会の議事録もすべて紙で届けられてきます。そして、大半の国会議員はそれを読まずに捨てます。国会の議員会館に行くと、各階毎に毎日、毎日、膨大な紙ゴミが出ています。


 写真に撮って、どれくらいの紙ゴミが出ているかをお見せしたいくらいです。あれだけで毎日、どれだけに森林が消えていっているかと思うと、あの紙ゴミの山に問題意識を持たなかったこれまでの国会議員というのは相当に鈍感か、環境問題に意識がない人の集まりだったんだろうと思いたくなります。


 しかも、全く同じ法律(案)であっても、一回廃案になると、次の国会で全く同じ法律(案)が上程されても、また「お届け」(+関心の高い議員へのご説明)があります。例えば、郵政民営化法というのは膨大な法律で紙にすると10センチを超えるくらいの厚さになっていたような気がしますが、あれは郵政国会で否決され、先の総選挙の後、もう一度審議される際、また「お届け」がされたはずです。全く同じ資料であるにもかかわらず、です。


 私が昔、一年目でWTOを担当する課にいた際、WTO協定を国会審議にかけました。WTO協定は全部足すとやはり10センチくらいの厚みがあります。その際、今でも覚えているのは「今、国会で通らなかったら、また同じもの(協定(案))を議員に持っていかなくてはいけない。追加的に3000万円くらいかかるんだよな」とボヤいた庶務主任の話です。郵政民営化法の再審議の際、法律(案)の紙代、印刷代に幾らかかったのか、ちょっと興味があります。


 何が言いたいかというと、法律が廃案になると、次国会で全く同じ法案を審議したとしても、再度根回しはしなくちゃならんし、資料も全く同じものを「お届け」しなくてはならないということになるんですよね。偉大なる無駄です。こういうところの改革は一番国会が遅れています。


 議員の大半はどうせ読まないと分かっている資料をどんどん持ち込んで、エクスキューズを作ろうとする役所も問題ですけど、それをおかしいと思えない国会側も問題です。お役所が議員に「お届け」する資料なんてのは、役所のサイトにデータでアップして、「見たい人だけが見てください」ということにしておけば十分です。官報も、議事録も、すべての資料はデータでアップして、見たい議員だけが見ればいいようにしておけばいいのです。それで相当の森林が守れるように思います。


 国会の議員会館内の内輪ネタなのですが、それをあえて提起したくなるくらい議員会館の紙ゴミはすごいのです。