そろそろ研究系のぶっ飛んだエントリをこのブログにシリーズで書きたいと思っている Hattori です※( 今回ぶっ飛んだ内容はありません )
※M.S.注 ...という文章があったので、2/16(水)の定例更新で彼のブログを公開します。締切、厳守でよろしく>フクベエ君
実は昨年の年末に、 日本IBM様の 大和事業所( 事業所の中にはIBM東京基礎研もあります ) へ、弊社社員6名で見学に行ってきましたので、今日はその時の様子をここで報告したいと思います。
日本IBM様 と 弊社は、一昨年前に共同研究をしたという経緯もあって非常に関係が良好なのですが(※)、今回はそのご縁で事業所招待という機会を設定させて頂きました。
※M.S.注....もっとずっと昔からの付き合いです。あらゆるシステムが火を噴いていた過去のアメーバシステム(外注)で、まともに動作したのはIBMさんのものだけだったという...。まぁ外注だろうが内製だろうが、まともに動かないのはユーザから見れば、サービスプロバイダなのはいうまでもないですが、ひどい外注受け入れ体制の中、唯一気を吐いてくれました。
IBMといえば世界的大企業という事実は誰もが知るところですが、その事業所・研究所となれば当然内部は企業秘密の塊。一体どんな人達が、どんな環境で、何やってんの??――――と疑問は尽きないのですが、当日はその一部を垣間見る事ができまして、参加した社員一同非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。
と、前置きはこれくらいにして当日の様子などを・・・
< 日本IBM 大和事業所 正門前 >
渋谷から東急田園都市線の電車に揺られて40分。終点の中央林間駅から徒歩で15分程度で目的地の大和事業所の正面玄関に到着しました。(地図はこちら
) 大和事業所は住宅街の中にそびえたっているのですが、敷居面積は相当デカイです!後でちゃんと調べてみたんですが、東京ドームと同じくらいの広さらしいです。
( 左下で呆然としてるのが今回の我らが見学者達・・・ )
< 日本IBM 口頭発表の様子 >
当日は東京基礎研の皆様が対応してくださいまして、事業所・研究所の案内や、研究所で行っている内容でWEBに関係ありそうな研究テーマを抜粋して幾つか講演していただきました。
ちなみにテーマは以下の通りです。
・ プロジェクト Watson
- クイズ番組で、人間のチャンピオンに機械が挑むという話。
・ スピーチテクノロジー
- 最先端の 『音声からの文字の書き起こし』 の精度が高いという話。
電話の音声把握では今では人間よりも機械の方が優秀なんだそうです。
・ 特許の品質分析
- 特許の品質の善し悪しを判別するという話。
・ xAP + Stream Computing
- IBM自作のHadoopの高級言語(Pigに似たスクリプト言語Like)の紹介。
当該言語はストリーミング用のデータマイニングライブラリと組み合わせて使用できるそうです。
・ クラウドのセキュリティ技術技術
- AmazonEC2 などのクラウド環境を利用する際のセキュリティリスクの話。
・ アクセシビリティ
- 高齢者や障害者向けのWEBアクセシビリティを向上させるための取り組みについての紹介
どれも非常に興味深い内容だったのですが、今回は文量の関係上、一番最初に挙げた "プロジェクトWatosn" の話を一つだけ紹介したいと思います。
"プロジェクトWatosn" というのは、アメリカの非常に有名な早押しクイズのTV番組 『Jeopardy!,
』 のチャンピオンに、早押し問題で 機械の挑戦者 が勝利するのを目指すというプロジェクトなんだそうです。で、実際の対決は今年の 2/14 日に行われるみたいです。
( IBMの米ワトソン研究所のWEBサイト
では右上にこのイベントのカウントダウンがついております。 )
挑戦者の機械の回答手法に関する内容は、プロジェクトの成否に関わるので詳細は一切一般公開禁止のようなのですが、今回見学に行った際には少しだけ教えていただけまして、個人的には " あぁなるほど・・・ " と思った次第です。
ちなみに問題の出題は、司会者が読み上げると同時に全文が回答者の画面にも表示される形式になっており、機械にはこの全問題文が与えられます。機械でこれを処理する場合、ごく普通に考えれば 『"問題文の意味解釈を行う" → "問題の意味をクエリ化して知識DBに問う" → "返却された結果の内容の特徴から機械学習に元づく精度を出す" → "精度によって回答するかしないかを決める。"』といった手順や、『"問題と答えをひたすら用意してどの問題に近いかで回答する"』みたいな手順を思いつくかと思います。
しかし実際には、それ以上に複雑で、しかも泥臭い方法をとっているみたいで、よく計算スピードが追いつくよなぁ・・・と思ったり、アルゴリズム+泥臭さ+インフラの様々な要素のスクラムで勝負に行ってるよなぁと想像した次第でした。
実際の勝負の結果は近々出るかと思いますが、非常に楽しみです。
< IBM製品の歴史を紹介 >
発表会場の前に来客用の展示場がありましたので、休憩時間中にIBM製品の歴史を紹介していただきました。昔のランドセルよりもでかいHDとか展示してあったのですが、インターネット世代の20~30代からすると想像し難い形状でした。
ちなみに、IBMはハード機器類の生産からほぼ撤退したモンだと思っていたのですが、CPUの生産は今でも積極的にやっていて据え置きゲーム機器のCPUはほぼ100% IBM製らしいです。 PlayStation3 の "Cell" などは流石に有名なので知ってはいたのですが、Wii や XboxのCPUも IBM製だというのは知らなかったので、個人的にちょっと驚きました(※)。
※M.S.注...そういえば一時期、CAMP(CyberAgent Marketing Platformシステムで、PS3をMARSライブラリ+OpenSSLで並列に起動し、WebのSSLを処理させようと前田氏と検討していました。
< サイバーエージェント 口頭発表の様子 >
基礎研の皆様の発表を聴いた後は、場所を移しまして弊社からの発表を行いました。
写真は 『 AmebaPiggの裏側 』 という題名で、弊社のPiggのシステム開発の責任社 w さんが発表している様子です。wさんからはPiggの開発体制、バックグラウンドのシステム構成とその変遷、Piggの規模がどんどん大きくなる上で発生した様々な問題とその対処について説明していただきました。
ちなみに私も 『 WEB企業におけるR&D 』というテーマで発表しまして、最近のWEB業界の状況や、R&Dする機運が高まってきている背景、その中での弊社における取り組みなど話させてもらいました。
< ちなみに聴講者側はこんな感じになっておりました。 >
両発表とも研究系というよりは、サービス開発・事例紹介といった内容のボーリュームの方が圧倒的に大かったので、基礎研の皆様の興味に合うかどうか心配だったのですが、発表中には本当に多くの質問・鋭い質問がでてきまして、発表者としては非常にうれしかったです。
また基礎研の方は非常に気さくな方々が多く、私の発表後に、とある研究者の方がいくつか手法についてのアドバイスをしてくださいまして、非常に有意義な時間を過ごせました。本当にありがとうございました。
当日はこの発表の後に、研究所内の見学や、施設内のIBM秘話などを教えていただきまして話のネタが増えました。見学してる際に聞いたのですが、研究所の皆さんは完全フレックス制 ( 24時間いつ出社してもOK ) だそうです。これはうらやましい限りでした。
またオフィスを見学している際に、以前弊社との共同プロジェクトに関わっていただいた社員さんのデスクの前を通ったのですが、何故かそこに弊社の ”Ameba Water” が並べてあったので驚きました。曰く 『 (共同プロジェクトの)記念品として皆大事にとってあるんですよ! 』 とのことで、大変ありがたかったのですが、何なら一箱くらい積めて送った方がいいのか??とも思ったしました。
<Ameba Waterが飾ってある様子>
最後に。>> IBM東京基礎研の皆様へ。
この度はわざわざご招待いただきましてありがとうございました。
弊社発表も皆様にとって何かしかの刺激になるものであれば幸いです。
またの機会がありましたら、是非その際はよろしくお願いいたします。