恐怖のマフィア大国ロシア!<前編>
悪魔が蔓延る伏魔殿国家は、
アメリカや中国だけではありません。
ユーラシア大陸北方の超大国ロシア連邦では、
平和な日常に安穏としている我々には想像も及ばない、
恐るべき大悪魔が政治権力を欲しいままにしています。
その大悪魔とは、
ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン、
すなわち、
KGBの後身である
ロシア連邦保安庁(FSB)の長官を務めたことのある
ロシア連邦の現大統領です。
皆さんもご存知の通り、
2006年10月、
反プーチンの活動を続けていたロシア人女性ジャーナリスト、
アンナ・ポリトコフスカヤ氏が、
ロシアン・マフィアのメンバー4人に射殺されました。
ロシア情報公開擁護財団の発表によると、
ロシアでは1999年から2006年までの間に、
計128人ものジャーナリストが死亡、
もしくは行方不明となっていて、
各国のマスコミからは
プーチン政権がこれらの事件に関わっているのではないか
と疑われています。
また、
2006年11月には、
プーチンを批判してイギリスに亡命していた
アレクサンドル・リトビネンコ氏も、
何者かによって、
ウランの100億倍もの放射能を放つ物質
‘ポロニウム210’
を盛られて殺害されました。
アレクサンドル・リトビネンコ氏というのは、
1988年からKGBの防諜部門に勤務していた人物です。
1991年以降は、
ロシア保安省(MB)やロシア連邦防諜庁(FSK)などに勤務し、
1997年には、
ロシア連邦保安庁(FSB)の第7課副課長に就任し、
組織犯罪組織工作・活動阻止局の先任作戦を担っていました。
そんな彼が、
1998年11月に同僚らと共に記者会見を開き、
ウラジーミル・プーチンがFSB長官を務めていたときに、
FSB内部における一部の幹部職員が、
政治的脅迫や殺人などの犯罪活動に
関与していたことを告発しました。
例えば1997年11月に、
リトビネンコ氏とその同僚らは、
エフゲニー・ホホリコフ少将と
アレクサンドル・カムイシュニコフ大佐から、
ボリス・ベレゾフスキーとミハイル・トレパシュキン
を暗殺せよとの指示を受けたにも関わらず、
彼らはその命令を拒否した
という衝撃的な事実を公表したのです。
これがプーチン大統領の怒りを買い、
リトビネンコ氏は1999年3月から2000年11月1日の間に、
政治的弾圧としての計3度の刑事告発を受けますが、
「ロシア国内から出国しない」
という条件で釈放されたのを機に、
トルコ経由でイギリスに亡命します。
その後、
2006年10月付けでイギリスの市民権を得た彼は、
ロシアのプーチン政権と、
チェチェン共和国に対するロシア政府の残虐行為を
徹底的に批判する評論活動に没頭しました。
それ以前にも彼は、
2002年に発行した
『Blowing Up Russia:Terror From Within』の中で、
「1999年にモスクワなどロシア国内3都市で発生し、
300人近い死者を出したロシア高層アパート連続爆破事件
(リャザン事件)は、
チェチェン独立派武装勢力によるテロと断定されたが、
実は第2次チェチェン侵攻の口実を得ようとしていた
プーチンを権力の座に押し上げるために、
FSBが組織的に仕組んだ偽装テロだった」
と暴露し、
プーチン大統領の逆鱗に触れていました。
それに加え、
彼は2006年10月に起こった
「アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件」についても、
プーチン政権と実行犯グループとの関係について
調査を進めていたのです。
そんな矢先に起こったのが、
あの「リトビネンコ服毒殺事件」でした。
イギリス警察の捜査によると、
この暗殺劇は明らかに、
ロシア政府、
或いは、
FSBの犯行によるもので、
イギリス警察当局は、
この事件で主犯とされる
旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元職員である
アンドレイ・ルゴボイ容疑者と
実業家のドミトリー・コフトゥン容疑者
の身柄引き渡しをロシア政府に求めています。
ロシア側はこれを拒否したために、
2007年6月21日に起こった
「ボリス・ベレゾフスキー殺人未遂事件」
などの問題も複雑に絡まって、
現在、
イギリスとロシアの関係は悪化しています。
ロシア大統領府のペシコフ副報道官は、
「リトビネンコ氏の毒殺未遂事件に
ロシア政府が関与することなどあり得ない。
全くばかげたことだ」
と反論したのを見る限り、
ロシア政府としては、
この「リトビネンコ服毒殺事件」を、
「関係が悪化していたかつての雇用主、
ボリス・ベレゾフスキーによる犯行だ」
とか、
「ロシアの国家的威信の失墜を目論む
アメリカCIAによる組織的な犯行だ」
として治めたいようです。
しかし一つだけはっきりしていることは、
今回の毒殺で使用されたのは、
ポロニウム210という放射性物質で、
人間一人を殺害できる0.1マイクログラムの価格は12億円。
今回リトビネンコ氏を殺害するのに使用されたのは、
その数倍にも及ぶ量で、
金額に換算すると40億円にも達するということです。
いくらボリス・ベレゾフスキーが、
ロシアの富を独占していた
新興財閥(オリガリヒ)の人間だったとはいえ、
人一人を暗殺するのに、
40億円も拠出するものでしょうか?
それに、
CIAによる犯行にしては、
英国国内の治安を担当する情報局保安部(MI5/SS)と
英国外務省の情報局秘密情報部(MI6/SIS)に、
「動機、手段、機会の全てがFSBの関与を物語っている」
と言わしめるほどに、
あまりにも多くの証拠を現場に残しすぎています。
そのようにしてあらゆるマターを丁寧に精査していくと、
残される可能性はかなり限られてしまうことが分かります。
ところで、
リトビネンコ氏が2002年に著した
『Blowing Up Russia:Terror From Within』では、
プーチンがFSBの長官だった時に、
プーチン自らが
組織犯罪に手を染めていたことが克明に描かれていました。
また、
2003年には外国テレビ局の取材に対し、
「モスクワ劇場占拠事件」
を起こした犯行グループの内2人は、
FSBの工作員だった可能性も示唆しています。
「モスクワ劇場占拠事件」というのは、
2002年10月23日から10月26日の3日間、
42名のチェチェン共和国独立派武装勢力が、
モスクワ中央部にある
劇場‘ドブロフカ・ミュージアム’で、
922名を人質にとって立て篭もり、
ロシア軍がチェチェン共和国から撤退すること
を要求したテロ事件でした。
武装勢力側は、
「この要求が受け入れられない場合は人質全員を殺害し、
自分達も爆弾を使って劇場ごと自爆する」
と警告していたのですが、
ロシア当局は強硬手段に打って出て、
26日の午前6時20分頃に特殊部隊が強行突入。
その際、
‘KOLOKOL-1’という無力化ガスを使用し、
犯行グループ全員が死亡し、
人質の側にも129名もの犠牲者を出しました。
リトビネンコ氏によると、
このときの主犯グループである
42名のチェチェン独立派武装勢力の中に、
2人のFSB工作員が混じっていて、
しかも、
人質を犠牲にしてでも強行突入するという筋書きは、
ロシアの威信を世界に知らしめるために、
プーチン政権によって
予め計画されていたことだったというのです。
FSBによる捏造ではないかと疑われているのは、
この「モスクワ劇場占拠事件」だけではありません。
2004年9月1日から9月3日にかけて、
チェチェン共和国独立派を中心とする多国籍の武装集団が、
ロシアの北オセチア共和国ベスラン市の
ベスラン第一中等学校で起こした
「ベスラン学校占拠事件」も、
FSBによる自作自演説が囁かれています。
この事件では、
7歳から18歳の少年少女と
その保護者である計1181人が人質とされました。
人質たち1181人は、
バスケットコート1面分くらいの体育館にすし詰めにされて、
救出されるまでの50時間以上もの間、
噎せ返るような暑さの中、
食事も水も与えられませんでした。
中には、
衣服に尿を染み込ませて、
子供に飲ませる親もいたといいます。
そんな中
9月3日にロシア治安部隊が強行突入を敢行し、
事件の解決を図ろうとしたものの、
350人以上が死亡(うち186人が子供)、
負傷者700人以上もの犠牲者を出しました。
このとき、
日本の小泉純一郎首相は、
テロと戦うプーチン大統領の姿勢を支持し、
10万ドルもの資金協力を行いましたが、
この事件そのものが、
プーチン政権による捏造だったのではないかと
リトビネンコ氏を初めとする
ロシア国内の多くのジャーナリストたちによって
疑われているのです。
リトビネンコ氏はそれらの真相を追っていました。
…<続>…。
私は人間が内包している攻撃性にビビリまくっています。
そんな恐怖に慄きながら、日々真実を求めているのです。
こんな軟弱な私ですが、是非みなさんの勇気をお分け下さい!
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