「わが思い出の」なんて気持ち悪い言い方は生まれてはじめて使ったな。このあと「湿原」と続くような言葉を選んでみました。日本語は複数形に苦労する。ここでは「失言」を擬人化。そして失言は政治家の失言です。
あたしの失言なんて、ネタにもならない。パンダもヤマネもイシハラもネズミだというのならうけるかもしれないけど・・・。
生まれはご府内、神田にそだち、親は堅気の素町人、がきの頃から悪性で、たびたび覗く政治欄。
という恥ずかしい過去を利用して、記憶に残る、政治家の失言をご紹介。(かなりうろ覚えであることをお断りしておきます。)
今東光 「自衛隊は人殺しが役目なんだから、しっかり人を殺せ。俺は坊主だから引導をわたしてやる」
作家で天台宗僧侶(とっても偉い位)の今東光が参議院議員のときの発言。なんかの役職だったかな。
和尚と呼ばれていたと思うけど、天台宗って和尚というのかな。
彼は「平凡パンチ」か「プレイボーイ」かに人生相談のコラムももっていた。
この発言はだいぶ問題になりました。野党がけしからんと噛み付いたのは当然、保守にもヒンシュクを買ったと思うけど、人柄なのか、あまりにネタっぽいのか、そんなに後を引かなかったように思う。
細部はいいかげんですけど、「自衛隊は人を殺すのが仕事」という趣旨だったことはたしか。今ならしゃれにならないともっと政治問題化するかも。そして政府のほうがいやがるかも。
安倍首相想定答弁。「いま、委員のご質問でありますが、今先生のご発言は、はなはだ穏当さを欠くとことろではありますが、自衛隊員のいわば覚悟をうながした発言というふうに受け止めております。わが自衛隊が海外活動に際し、実力行使の事態に及ぶことが仮にありましても、それは職務上の行為でございまして、国際貢献活動に付随する任務として、いわゆる人殺し一般とは明確に区別されるものと、わたくしども、考えるところでございます」
椎名悦三郎「米軍はお番犬様です」
外務大臣椎名悦三郎が日米安保で駐留する在日米軍を「番犬」とたとえて、追及されたときに訂正した言葉。守ってもらうのに失礼だろうと追及されんだっけな。それで言い直したのが上の発言。
椎名は日韓交渉時の外務大臣だと思ったけど、いつだっけな。佐藤内閣、昭和40年代のこと。
すっとぼけた爺さんだった中小派閥領袖の発言ですが、「世界の中の日米同盟」なんて戦争を知らない世代の政治家が自己陶酔している現代から見ると、昔の政治家のほうが得体がしれないけど大物っぽくも感じる。
青島幸男「日本はアメリカの男妾じゃないですか」
参議院議員の青島幸男が佐藤首相に迫った国会質問で言った言葉。佐藤栄作はむっとして「品位にかける言葉は慎むように」といったんじゃなかったっけな。懲罰動議の沙汰になったかと思うけど、その辺の記憶はあいまい。
日本の対米従属姿勢はその頃から問題にされていたのですが、今ふりかえると、日本を「男」に喩えているところが興味深い。男妾って、高級女性会員様に知らない間に競売されたアホエロスパム愛好者の会会員のあたしみたいなのを言うのかな。ということはアメリカは女性ということか。自由の女神というからな。国がどんな性別でイメージされるかで、その人、その国民、その時代の深層心理がわかるかな。
思い出せばまだあると思うけど、この辺にしておきましょう。細部は違っているかもしれませんが、おおむねはあっていると思うよ。
こうした「失言」ちゃんは、なかなかお茶目でしょ。ともかくあんまり憎体なものではない。「失言」ですから、言っていいことではないにしても、ある批評意識が感じられます。こうした失言により明らかにされることを、直視しないところに政治の胡散臭さと退屈さがあるのかな、と思うのです。
しかしねえ。それに比べるちと、昨今の柳沢発言などは、しじみの味噌汁に砂が入っていたような感じだし、石原発言は失言というより暴言で、ぜんぜんお茶目じゃない。政治家ほか有名人のみなさん、もっと懐かしく思い出せるような失言をお願いします。
追記・訂正
pokopon様のご教示によれば、青島発言は「佐藤首相は財界の男妾」というものだったようです。その方が確からしいとわたしも思います。
訂正いたします。
ということは、「財界」は高級女性様なのかな、それとも衆道なのかな。
お若い方は知らないだろうけど、佐藤栄作は政界の団十郎と呼ばれていたのよ。今ならもっと「妻を殴る男」として海外で叩かれたと思うけど、奥さんの佐藤寛子さんが「夫に叩かれたこともあるのよ。おほほほほ」と語ったことがあったはず。
それから視聴率下位だったころのフジテレビの「スター千一夜」という番組があって、佐藤栄作元首相がノーベル平和賞をもらったときに出演した回は、番組史上最低の視聴率だったという報道を読んだ記憶が。でもうろ覚えだから、あんまり真に受けないでください。