日本の子供は意欲が低いのか | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

日本の子供は意欲が低いのか

 いわゆる皆さんがイメージする学力に近いほうがTIMSS「国際数学・理科教育動向調査」である。IEA(国際数学・理科教育動向調査)がやっている。2003年には日本では150の小学校と4535人の小学生、146の中学校と4856人が調査対象になったようです。
 そのデータはこれです。

 落書き

 なんだ。落ちてないじゃない。

 ただし、このときは「世論」では「日本の子供はやる気がない」って話になってたように思うが。

 中学生2年生の場合、「数学の勉強が楽しいか」の設問に対し、強くそう思う者は日本では9%で、国際平均の29%よりもきわめて高い。
 ようするに「楽しくない」っていっている、と。
 「数学の勉強への積極性」の高いレベルの者は日本では17%しかなく、国際平均の55%に比べて1/3ほどである。ふむ。さらに家庭での勉強時間も少ない。

 このデータね。というわけで、ここからである。PISAちっくな数学的リテラシーが必要なのは(笑)。

 なるほどねー。
 あのさ、日本の子供って、エリート男の子文化の影響で、「勉強好き」とか素直に言わない。そして「ガリ勉」っていうのを言われたくない、そう見られたくない特異な文化があります。
 「あいつってカゲ勉だよねー?」とかいってなかった?
 力いっぱいこれを回避しようとする心象です。
 「勉強だけできるのはださい、専門バカだ。だから勉強だけしてるんじゃなくって、サブカルとかマンガとか映画とかにも通じてなくっちゃ!できればスポーツも!」
 
 ・・・・小さいころからほんと大変だね、君たち。あのねスーパーマンじゃないんだからさ、勉強してるのが何かいけないのかよくわからないわけなんですけど、って私は思うわけなんだが・・。
 そういう子たちには
 「はいはい、君たちマンガもゲームも詳しいねえーすごいねーっ。いつ勉強してるの?先生やり方教えてもらいたいよ」て言ってあげると喜びます(実習で先輩の先生に、そう言えと、教わりました)。まわりのお友達からのベストのいわれ方が「成績がいいのに、勉強あいつあんまりしてないよな。いろんなこと知ってるよな」→これ。単純といえば単純(笑)

 このへんの「ガリ勉を嫌う文化」については高田 里惠子「グロテスクな教養文学部をめぐる病い をお読みください。
 私なんかはこれかなり受けながら読んだんですけど、覚えのある人にはかなり「痛い」です。覚悟して読んでください(笑)

 ともかく、文化的な話をおいておいても、この数字を私なりにですが、素直にとらえると勉学意欲が低いにもかかわらず、わりと成績はよい。家庭で勉強しないわりに効率もよく勉強してるわけで、学校の先生方、「やりたくなーい」という子供たちをよく教えこんでるってみるのが普通なのかなって思うんですけど、さてどうなんでしょうか。
 日本の学校がんばってるじゃないってかんじかと。もしくはふんばってるんじゃないってことかと。
 引用してる本でも、これ「まずは学校の先生を誉めてあげるべきデータだ」って書いてますね。
 ただ、やっぱり文化的なところを差し引いても勉強への意欲が他国と比べて低いことは低いかなと思います。経年の意欲に関するデータがあればそれは見たいんだけど、のってないからしょうがないや。

 ただ「学校何やっとんじゃあ、バカバカー」「びしびしっ心の教育だー」って話ではなくて、「やる気をもてないのはどうしてだろう」というもう少し巨視的な視点で気にしたほうがいいかなって気がします。


 参考文献
競争やめたら学力世界一 」 福田誠治 
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 フィンランドを持ち上げ過ぎって気もするんですけど、資料はたくさんあって読み応えありました。

 気にするのは別のとこっていうのを次回は書こうかなあ・・。