昨日、東京地裁で築地市場移転問題に関わる、「コアサンプル廃棄差止請求訴訟 第7回公判」が開催されました。

イシハラ都知事が都議会を完全に無視して、勝手に移転宣言をしてそれをマスメディアがさも決定事項のように書きたてて、さらに翌朝、築地の仲卸の店舗に「果たし状」を置いていった(厳密に言うと、都のN部長が、東卸組合に公文書の封筒に入れて撒かせた!!)という、見識も見境も公共心もない行為に出て直後の公判です。

あの果たし状(あるいは移転への協力お願い)を配っているということは、原告団の弁護士のお話にもありましたが、まさに、東京都は仲卸と密接な関係にあることを自ら明らかにしているに他なりません。

今回、平日昼一番ということで、立ち寄ることが難しい方も多かったと思いますが、傍聴席は8割方埋まっていました。
(本当は法廷を溢れさせて、余裕の表情を表面上作っているイシハラ都政に畏れをいだかせたいところです)

また、今回は全国紙などの取材はなく、業界紙2紙、それと独立系メディアのAPF通信社さんの取材もありました。
記事とUstreamの動画があります。

日刊APFニュース
【市民の声】築地市場移転問題で土壌サンプル廃棄差し止め訴訟 原告側が説明会を開催
http://www.apfnews.com/whatsnew/2010/10/post_76.html

で、本題に入る前に、上の記事からの抜粋として、下記強調部分にご注目ください。
東京都中央卸売市場広報課はAPF通信社の取材に対し、「原告側の主張は言いがかりに過ぎない」「国内最高レベルの専門家会議において、必要な土壌汚染対策を講じれば、有害物質は確実に取り除くことができ、例え、人が移転予定地に一生涯住み続けたとしても絶対に健康被害は生じない、という提言が出ている」「土のサンプルは採取から2年が経過し、すでに劣化しているため、再検証しても意味がない」と話した。
汚染があることを東京都側も認めて、サンプル保全を求めた裁判の被告になっているというのに、取材に対していきなりと「原告側の主張は言いがかり」など、あたかもクレーマー扱いする態度に、もうちょっとやそっとのイシハラ都政の嘘に驚かなくなっているわたしですら、やはり驚愕します。

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ちょっと話がそれましたが、ここからが裁判の本題です。

この法廷の浜裁判長はどうも公判を短く細切れに行うことを好まれるのか、今回も16分間で閉廷でした。
ただし、その中で(本当に3分と短い時間ですが)、原告団から一定の陳述時間が設けられることになり、原告からは、今回の準備書面として3点、

・きれいだとされた盛り土が安全でなかったことの発覚と(その盛り土も含まれる)土壌コアサンプル保全の重要性
  →対策に変更があるとするのだから、廃棄しては検証できない。または全部やり直しになる。
・地下水汚染(処理が極端に難しい、というか実際に東京都の言うやり方と期間では不可能)とコアサンプル保全の重要性
・(東京都からの店子の関係にある市場で働く方々への)安全配慮義務補充の主張

を中心に陳述がなされました。

そもそも汚染地に市場を移転させること自体に異常さがあるのは言うまでもないですが、さらに「一体どんなところに移転させられようとしているのか(移転が止まれば「いたのか」、になります)」を知るにあたり、各種の情報は東京都側に偏在しているため、築地で働く方々だけでなく全国の生産者、消費者に対して、客観的な再検証(クロスチェック)の余地がなければなりません。
なのに、さらになぜまたあえてそのサンプルを廃棄して証拠隠滅を図る(としか思えない)のはなぜでしょう?
まず、廃棄を差し止めなくては一切闇に葬られると言ってもいいでしょうから、第7回公判では、上記の観点や、本来の行政のあるべき姿を挙げて確認しています。

原告の準備書面と陳述内容に対して東京都は、

これまで繰り返してきたように、本件(裁判)が豊洲移転の是非でなく、廃棄差し止めにあるのだから、筋が違う、それらは争点ではない

などと発言しました。

以下がメモです。

2010/10/27(水) 13:10~13:24 東京地裁第610号法廷

◆冒頭で原告側陳述、原告団長から:
準備書面では求釈明と、以下3点を挙げている。
  (1)健全土とされた盛り土が安全でなかったことの発覚と土壌コアサンプル保全の重要
  (2)地下水汚染とコアサンプル保全の重要性
  (3)安全配慮義務補充
(1)はボーリング柱状図を参照、土質がたとえばこの図だと深さ2.6mまで盛り土と書かれている。被告はすでにこの部分を除いて取りまとめているとしているが矛盾、非論理的。
また盛り土は健全土としているが、朝日新聞の記事が出ると重く受けとめるとして対策の変更をするとした。
盛り土はコアサンプルに含まれる重要なものであり、密接に関係している。
また、この汚染発覚は東京都の対策がいかに杜撰であるかを示す。
(2)地下水についても調査不足である。
(3)東京都には、運営する市場で働く人々への安全配慮義務があると主張してきている。
(準備書面参照)
10月22日の石原都知事発言での最大の問題は、甚大な汚染のある土地にあえて市場を移転させること、そして対策がきわめて杜撰なことで、これで安全確保はできない。
東京都は安全確保責任も説明責任も果たさない、これは極めて不誠実かつ不適切な行為である。
司法本来の役割として、情報の偏在のもと、明らかにすることを願う。
準備書面に示した、盛り土の安全出ないことに対して、コアサプルをどうするか。
明らかになった現在の対策の不備を埋める変更点がどうなっているか被告側代理人回答を。

◆被告側(東京都側代理人)
本件は、これまで繰り返してきたように、本件(裁判)が豊洲移転の是非でなく、廃棄差し止めにあるのだから、筋が違う、挙げたことは争点ではない。

◆原告側
安全配慮義務の関係でコアサンプル保全が必要である。
今まで健全土としてきた盛り土が汚染されていた。
どうなっているか明らかにする過程で保全存否が明らかになる。
(サンプルの廃棄は)公務員の奉仕者概念に反する。
そちらが明らかにできないから、こちらで情報を展開するが。
なお、このような訴訟態度を今後も取るということか。

◆裁判長
被告は原告に対応して、準備書面(8)に対し検討して下さい。

◆原告側
また、本日は期日の関係を示した敬意が提出されるはずだったが。

◆被告側
準備中で、次回までに提出する。

◆裁判長
次回は被告側準備書面、12月8日の13:10から。

◆原告側
主張には意見陳述も必要ではないか。時間を取ってほしい。

◆裁判長
中途における意見陳述はあまりない。

◆原告側
あります。わたしの知る限り多数。

◆裁判長
意見陳述の位置づけは?書面で出すのが適切では。

◆原告側
裁判所に内容をしっかりご理解頂きたい。

◆裁判長
だったら事前に書面を頂いたほうが。その場だと「超」・能力が問われることになるし。

◆原告側
今回陳述時間を頂いたが、あまりに3分は短い。
書面に対して十分口頭で補足したい(裁判所に内容を理解してもらい進めたい)。

◆裁判長
我々は資料を読んで臨んでいるのだから、それは難しい。
次々回は1月27日で。

◆原告側
それであると被告側を読んですぐになる。2月半ばに。

◆裁判長
遅らせる?だとすると、「迅速でない」などと言われる(笑)

◆被告側
2月末だと遅いので・・・

◆裁判長
では2月17日 13:10から。

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