2013年のスペイン映画「ラスト・デイズ」を見ました。



そうそう、実は。



「ラスト・デイズ」

 広場恐怖症になった人類の末路。世界の終わり系。

「ゴースト・スクール」

 卒業を前に死に、悪霊化した生徒たちを成仏させる先生のドタバタホラー。

「ザ・エンド」

 人がどんどん消えていく……こちらも世界の終わり系か

「ペインレス」

 痛みを感じない子供たち、彼らが収容された施設の真相とは?狂気系か?




この4本でひとくくりにされて、今年の夏にスペインホラー映画祭りをしていたような。

たしか、スクリーム・フェスト スペイン2013っていうイベントかな。



スペインホラーが好きな私としては、かなり嬉しい。

「ラスト・デイズ」と「ゴースト・スクール」は見たんですけど、かなりの秀作でした。

ただ、TSUTAYAだけ!シリーズなんですけど。

やだー、もうやだー!

普通に見せて!

と言いたくなりますね。



ちなみに

ペインレス:RECの脚本家

ザ・エンド:28日後のプロデューサー×永遠の子供たちの脚本家

ラスト・デイズ:RECプロデューサー×フェーズ6の監督

ゴースト・スクール:なぜか最終爆笑計画の監督

という、「ご近所物語」も真っ青の脚本家と監督とPが入れ代わり立ち代わり恋と青春をしてる……のではなくて、ホラーを撮ってます。




私の中では「ゴースト・スクール」がめちゃくちゃ面白いのですが、ウィル・スミスがプロデュースでハリウッドリメイクとか……いや、ウィル・スミス好きだけどさあ……

あと、他DVDに入っているだろう予告編が最悪です。

「先生、まだ成仏(卒業)したくないよ!」って、そんなこと誰も言ってないような……

「ほっといてくれよ、ケッ」としか言われてないですけど。

この、逆に「現世に未練がある」風なキャッチやめてくれよ!



本題に戻る。




ゾンビの数だけ抱きしめて


トナカイ?




「フェーズ6」の監督デヴィッド・パストール&アレックス・パストールがおくる、隔離生活を描く戦慄の感染パニックスリラー。

スペインボックスオフィスで初登場第3位を飾った。

出演はキム・グティエレス、シホセ・コロナド。



アメリカ・ニューヨークで、3ヶ月もの間部屋から出ることができなかった少年が自殺した。

そしてオーストラリアのシドニーにあるオペラハウスでは、数百人の観客が外へ出ることを拒否、スペイン・バルセロナでは外へ追い出された男が心臓発作で死亡…。

外に出るだけで発作を起こす“広場恐怖症”というパンデミックに陥った世界。

人々が外へ出なくなったこの世の中で、愛する妻と再会するために一人の男が下した命がけの決断とは…。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=346538





なんだよ広場恐怖症ってさーまた余計な設定入れたんじゃなかろうなと思っていたら、意外と、というより普通に面白かったです。

「コリン」という低予算ホラー映画にもあったように、ホラー的状況で愛情を貫く男の話。

「愛のために行動する」ことの大事さが描かれているような。



あと、セットに気合が入りまくっているのもすごい。



主人公は、妻と喧嘩したまま連絡がとれなくなってしまった青年。

会社で有名な、ねちっこくてイジワルな上司がGPSを持っていることを突き止め、「彼女を探したいから一緒に行動してくれ」と頼み、ともに地下通路を通って主人公の家を目指すという話。



この映画は、藤子不二雄先生的なところもあります。

F先生の短編集が好きなら、この映画も好きなんじゃあないかな。

今まで仲良くなかった上司と和解し、最後に一番分かり合える存在になれたこと。

愛のために、彼女のために行動すること。

それがあざやかに描かれています。



というわけで、先に見ていただくことをオススメする!




ネタバレ

・主人公、会社をクビになりそうになる。だんだんと、会社の人も外に出られない症状が出始める

・奥さんと喧嘩して、そのまま数ヵ月……地下通路に穴を開けることができた!

・主人公とイヤミな上司、協力することに。

まずは主人公の彼女を探し、次は上司の行きたいところへ行くことになる



ちなみに、引きこもりの青年の自殺のニュースが報道されている時に

「日本のゲームオタクみたい」

「日本人のオタクは引きこもってるんでしょ、よくわかんないけどさ」

と散々言われます。

そ、そうだね……そうなの?



あと、奥さんが子供のおもちゃのお店で働いていて、マリオネットを作っているのですが、これがパンダにキバが生えた人形で怖い。

ダンガンロンパかよ!




・途中、ヒャッハー無法地帯な撃ち合いに巻き込まれたり、家に帰ったら知らない一家が住んでたり(和解する)



主人公と上司は、何度も喧嘩したり悪態をついたり。

でも助け合います。

その一方で、主人公は妻に「こんな時勢に、子供を産む奴なんてバカだ」みたいなことを言ってしまったことを悔いているのですが、実は奥さんは妊娠していたわけで……

なんというダメ男



・家まで来たから、今度は上司のお父さんのいる病院へ

途中でクマに襲われるですけど、どっから出てきたんだよクマ

しかもけっこうあっさり倒して、クマの肉食べます。

どうやってさばいたんだ……??

・病院が燃えてた!哀しみのあまり自殺しようとする上司

・上司、「俺はもうここにいる」と動かない。主人公、妻の職場のショッピングモールへ



・そこでも食料を巡って大喧嘩。

ちょうど着いたところで紛争が起こる

・奥さんの友達(同僚)と会う。奥さん、子供ができていて産婦人科にいる。

ここで火事になり、奥さんの同僚が火にまかれそうに。

外への逃げ道もあった。しかし外が怖くて動けず逃げ出せず、そのまま死を選ぶ同僚さん

・上司、刺されそうになった主人公を助けに来て、自分が刺される

予想していたけどカッコイイ~!

・奥さんのいるところまでたどり着くが、上司死亡……

でも、ニコニコ死ぬ上司がやっぱりカッコイイ。

主人公と一緒に生きていて欲しかったな……!

・その思いを背負って主人公、広場を横切って、意識を失いながらも奥さんのところへ!

耳から血が出て、眼球も濁り……それでも辿り着く

・急に話が進みます。

出産、子育て……

上司が持っていた「種」で、野菜を育てる家族

子供だけは、外に出ることができる



そうそう、なんでこうなったかは誰もわからないし、説明もないまま。

火山の爆発のせい?とかも言われますが、決定打はなし。

この不親切さが楽しいし、気持ちがいい。



・10数年後。

子供がある程度大きくなった頃、同い年くらいの子供たちが旅のスタイルで現れる。

彼らは新天地を探して、旅をしているようだ……

そして共に旅に出る息子。それを送り出す両親。

息子の名前は「エンリケ」。上司と同じ名前。




私は、このラストシーンがどうにも藤子F先生の「みどりの守り神」に見えてしまいました。

「フェーズ6」はこのブログでも紹介しようと思いつつ、もう1回見るのめんどくせーなーと思っているのですが、この映画にも似た「主人公が、絶望的な状況でもあきらめない」というところが強かったような気もする。

それだけ障害も大きかったり、自分の心の弱さに負けてしまう人も登場したのですが。

前向きになれるというのも少し違うし、ハッピーになれるというわけでもないし、ただひたすら精神を揺さぶられたような気持ちになります。




ただ、いろいろと気になるところもあります。

産婦人科にどうして人がひとりもいないのかとか、野菜をそんなにうまく育てられるもんかね?とか、出産シーンがキレイすぎとか、よく旦那テキパキ赤子を取り上げたなとか。へその緒何で切ったんだ……??

クマも、どっから出てきたんだかわからないし。

でも、この映画の「人の弱さ」の説得力はすごい。

そして、あなたは現時点で「職場でいちばん苦手だと思っている人」と一緒に、サバイバルできますか?




あと、「ラスト・デイズ」って映画多すぎっすよね。

検索していっぱい出てきたわ。

それは思いました。