Esquire編集部より。
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最後の取材

いよいよ、現時点で最終号となる7月号の作業も大詰め。
それもあって、GW中も、編集部の誰かしらが出社していましたね。

さてぼくが、このGW期間中に一番気にかけていたのが
ソニック・ユースのリーダー、サーストン・ムーアへの
電話インタビューでした。

なかなかタイミングが合わず、
レコード会社(Hostess Entertainment)の方や、
NYのコーディネーターさんのお手を煩わせてしまいましたが、
何とか無事終了。
(思えばこれが『エスクァイア日本版』での最後の取材になりました……。)


サーストンが登場するのは、
特集『未来へ伝えたい100のこと。』のMUSICコーナー。

以下に、今回サーストンに聞いた質問の一部を掲載しておきます。



『サーストン・ムーアへの質問表』(の一部)

■あなたの数ページ前に、ノーム・チョムスキーが登場するのですが、彼はインタビューの中で「Keep trying to have some hope because alternative might be worse. (希望を持ち続けることです。そうでないともっと悪いことが起きるかもしれないからです。)」と言っていました。あなたは、これから言う3つのフェーズにおける音楽の未来について、希望を持っていますか?(未来とは、具体的には2050年頃を想定しています。)

1……ロックという音楽の未来について(それに伴い、あなたの「ロックミュージック」の定義を教えてください)。

2……(自らが関わっている範囲での)NYの音楽シーンの未来について。希望を持っているにせよ持っていないにせよ、例えば独自性だったり影響力だったりフリーダムだったり、NYの音楽シーンにとって大事だと思われるのは、どんなポイントでしょうか? 

3……音楽の聴かれ方の未来について。ひとつはCD(ないしそれに変わるフォーマット)と、ダウンロードの共存について(今後はますますダウンロードが主流になると思いますか?)。もうひとつは、ステレオなどで「じっくり」聴くのではなく、iPodやラップトップで「何かをしながら」音楽を聴くスタイルがさらに増えていくとして、自身の音楽の作り方にも影響が出ると思いますか?



ロックの、そして音楽の未来に対して
サーストンがどんな回答をしてくれたのか。

それはもちろん、
5月23日発売の『エスクァイア日本版』7月号にてご確認を!




エスクァイアのドレスコード。

よく、外部スタッフの方々が仰っていることですが、
『エスクァイア日本版』編集部は、みんな仲良しです。
それに、テイストこそ違えど、みんな割とおしゃれさん。

しかし、それがあだ(?)となるこんな日もあるようで……。

Esquire編集部より。

どこまで仲良しなのでしょうか(笑)。
(ぜひクリックして大画面でご確認を!)


ちなみに右が、『エスクァイア日本版』副編集長兼
『LAST』編集長の菅原さん。
左が、4月24日発売号にて『落語特集』を担当した、斉藤くん。

以下、2人(どっちもSだ……)の会話の断片を収録。


S:季節の変わり目は、何となくコーディネートの
  感じがつかめないですものね……。
S:おい、オレの今日のスタイルに意志がないとでも?
S:でも、そんなぼくと同じ格好じゃないですか。
  『LAST』編集長としてどうなんですか。
S:靴が違うよ! 同じクラークスでも、オレのはローカットだ。
S:そこ、あんまし変わらないですよ。それより、
  シャツの丈まで同じじゃないですか(笑)。
S:納得いかねぇ。


いやホント、仲良しなんだから……。


菅原さんが毎回ほぼ一人でつくっている『LAST』最新号(Vol.13)
『オンビジネスに映える靴』は、現在絶賛発売中!
Esquire編集部より。


斉藤くん(と田口くん)が昨年末から取材を続けた『落語特集』は、
4月24日発売です!
Esquire編集部より。





ベルリンの天使、降臨。


ベルリン在住歴20年の編集者・ライター、
荒井剛さんからメールをいただきました。

荒井さんはこの6月でベルリンを引き上げ、
東京に戻ってくる予定。そこで最後のお仕事として、
『ベルリンのゲイカルチャー』に関するレポートをお願いしました。
4月24日発売号に掲載予定ですが、その渾身の内容を、
ご本人の筆でPRしていただきました! ではつよママ、どうぞ~!



はじめまして☆うふ
世界一グラマラスで美しいドラッグクィーンとの異名を持つ、
つよこ・フォン・ブランデンブルクよ。

Esquire編集部より。
(C)Eisuke Kobayashi

エスクァイア編集部では「つよママ」って呼ばれてるけど、
せっかくのゲイ特集でしょ?
つよこがPRしちゃった方がいいかな~と思って。
なんてったって、ドイツ人からも
歩く自己主張と太鼓判を押されるつよこですもの。

みなさん、覚悟はよくって?
お~っほほほほほ・・・

「ベルリンのゲイカルチャーについて
 ミニ特集をお願いしたいと思ってます。
 今年はベルリンの壁崩壊20周年だし、
 つよママのドイツ生活も一区切りつくし・・・」

という、こ~に~(小谷さんのことよ)からの
予期せぬメールをもってこの企画は幕を開けたの。
こ~に~、えらい子!
よく企画を通したわ!

いっちゃ~なんだけど、
私たち外部のスタッフが企画を持ち込むって
容易なことじゃないの。
だってぇ~編集者は編集者のやりたいこととか
雑誌の方向性とかいろいろあると思うのよね~。

「雑誌は編集者の趣味のようなもの。
 自分の興味ある分野にフォーカスして広げていけるのが面白い」

みたいなことをいつかこ~に~は言っていたけど、
編集者って定めている未来図を雑誌で実現させる為に、
写真家やコーディネーターとかの外部スタッフの
領域、やりたいこと、可能性、興味、
はたまた人格の幅や生き方なんかも、
常にこっそり慮っているんだと、つよこ思うの。

まるでレーダーマンだわ!

もちろん、デザイン、建築、食、アートなんか、
世の中の動きについての知識も必要よ。
社会的視野と人を見る目を備えた人っていうのが
つよこの定義する優秀編集者の条件なんだけどぉ、
エスクァイアには、歴代の人も含めていい編集者が多いわ。

ああ、つよこのまぶたに一人一人の顔が浮かんでは消えるわ。
まるで走馬灯のように・・・・。(別に亡くなったわけじゃないのよ)

とにかく、マイノリティに対しても理解を示してくれる、
エスクァイアのセンシビリティに
つよこ座布団10枚あげちゃうわ~~!

だってぇ、一般誌でゲイ特集をもうける雑誌なんて他にあってぇ?
それがいかに画期的なことかは、取材依頼した時の
ベルリンのゲイたちの反応でも明らかだったわ。

「僕は、作品を紹介する時にゲイであることに
 焦点をあてて見て欲しくないんだけど、
 エスクァイアの試みに感銘を受けたから引き受けるよ」

と言ったのは(イケメン)プロダクトデザイナーの
ヘルマン・ヴァイツェネガーよ。

ゲイは、社会や政治に対する意識が高いと思うの。
マイノリティだから高くならざるを得ない状況があるわ。
日本が、同性婚等が認められているドイツと比べて、
必ずしもゲイ運動が成功をおさめている国ではないことを
彼らはよ~く分かっていて、ゲイ雑誌ではないエスクァイアが
こんな特集を企画したことを評価しているの。

紹介されているのは、ベルリンのゲイカルチャーの要となる7人のピープル
●映画監督
●アーティスト
●イラストレーター
●フォトグラファー
●ドラッグクィーン
●作家
●プロダクトデザイナー

と、6つのスポット
●ゲイ映画の日を催している映画館
●レストラン
●カフェ
●ゲイ博物館
●ソーセージスタンド
●ゲイ専門のブックショップ

本文の結末は、つよこが予期せぬ方向へと展開していったの。
日本の読者やゲイがこれを読んでどう思ったか是非とも伺いたいわ~

ベルリンはマイノリティの街なの。
ベルリンのカルチャーを語る時にゲイは欠かすことができないから、
いつか掘り下げたいわ~って思ってたんだけど、
これが帰国前のエスクァイアでの最後のお仕事になったわ。
うふ☆神様ったら粋な計らいをなさるものね。


つよママ、ありがとうございました!

つよママの深い洞察による渾身の原稿が読める
『エスクァイア日本版』6月号は、
4月24日(金)発売です。おたのしみに!

Esquire編集部より。

写真展は日曜日まで。

現在、『A246 Gallery』(外苑前)にて
開催中の田渕睦深さんの写真展は
今週末29日(日)で終了です。

『エスクァイア日本版』の取材時に撮影された
様々なカットとともに、
ブータンで撮影したという
ターキン(チベット周辺に棲息する、ウシ科のほ乳類)の
写真は、必見ですよ~!

Esquire編集部より。

A246 Gallery
東京都港区北青山2-7-15
エスコルテ青山(NTT青山ビル1階)
12:00~20:00

六本木にて。


昨晩会社を出た後、無性にラーメンが食べたくなり、
迷わず六本木の『ザボン』へ直行。


ネギラーメンと餃子と黒ラベル(中瓶)で、締めて¥1,950。

満足したところで、青山ブックセンターへ。
最近、雑誌コーナーが以前のように入り口付近に移動し、
当事者としても単なる雑誌好きとしても、嬉しい限りです。


この日の釣果は、以下の通り。

『PLUTO7』浦沢直樹(小学館)¥550
『消費社会の神話と構造』(ペーパーバック版)
     ジャン・ボードリヤール(紀伊國屋書店)¥2,039
『ぼくには数字が風景に見える』ダニエル・タメット(講談社)¥1,785
『幻影の書』ポール・オースター(新潮社)¥2,415
『The Collected Fanzines』ハーモニー・コリン(Domino)¥4,725
『Stranded in Canton』ウィリアム・エグルストン(Twin Palms)¥6,720

締めて¥18,234。


深夜のABCでは何故か、「ついつい買っちゃう」
マインドセットになりませんか? 
ボードリヤールなんて、ハードカバーを持っているのに(笑)。

不思議。

Esquire編集部より。

一次情報が内包する物語を、発見し、語ること。


かつてNTTに勤めながら独自に研究を続け、39歳でMITの教授になり、
『タンジブル』というコンピュータにおける画期的な
インターフェイスを開発した石井裕さんは、
とあるインタビューでこう語っています。


「私は宮沢賢治の『永訣の朝』という詩が学生時代から大好きだったんですが、(アメリカ赴任前に)その肉筆原稿を初めて見ました。私が読んでいた文庫の中で、『永訣の朝』は等間隔の9ポイントの活字で表現されていました。ところが肉筆原稿は、書いては直し、消しては書き、が繰り返されていた。それは、彼の苦悩を静かに物語っていました。インクの軌跡を見つめていると、ペンを握る彼の太い指、ごつごつした手が見えてきました。しみだらけの原稿用紙には、彼の体の痕跡や苦悩のプロセスが塗り込められていました。
 こういう迫力が、標準化・電子化されたテキスト・コードではまったく伝わってこないんです。デジタルの世界は乾いていると思いました。『どれだけ情報を削ぎ落とし、圧縮できるか』という技術効率至上の考えが、『人間的なぬくもりや感動を伝える情報の中身は何なのか」』という本質的議論に優先していた。」(上記HPより一部抜粋)


この石井さんの発言は、
ぼくら雑誌編集者にとって2つの重要な事柄を示唆しています。
ひとつは、「紙の魅力」。
そしてもうひとつは、「一次情報が持つ情報の密度」です。

『エスクァイア日本版』はこれまでも、個々の編集者が
価値のある一次情報を「発見」し、そこに「物語」を見いだし、
それをナラティヴに再構築し、表現するという
「ストーリーテラー」の役割をこなしてきました。

一次情報、それも特に、知られていなかったり
消費されていない一次情報には、普通、
ほとんどの人がたどり着けない、
あるいはそれとは気がつかないまま通り過ぎてしまいます。

「一次情報/二次情報」、あるいは「良質の情報/そうでない情報」は、
web上のみならず、おおむね「均質化/並列化」された状態で漂っています。

さらには、たとえGoogleで「賢治、肉筆、永訣の朝」と検索し、
肉筆原稿の画像が表れたとしても、
上記の石井さんが発見した「苦悩」と、それに続く
「人間的なぬくもりや感動を伝える情報の中身は何なのか」という思いを
追体験することは、どこまで可能でしょうか?

2010年代以降も『エスクァイア日本版』に存在意義があるとすれば、
一次情報(だけ)が持つ、情報の密度というか、物語性を見つけ出し、
『それだけでは終わらないコンテクストを編み出し、
 そこから”ある”テクスチュアを抽出する』
(『』部分がエスクァイアの秘伝!)という作業を
丁寧に続けて行くことではないかと、ぼくは思います。

ネットであれ既存のマスメディアであれ、
比較的パッシブな態度で摂取する情報が、
日々のコンビニやスーパーでの買い物
(究極の二次情報の集積!)だとすれば、
『エスクァイア日本版』は、「まだ流通ベースには乗っていない、
最新技術と伝統製法をバランス良く取り入れた、
産地直送の干物(無添加)のお取り寄せ」ということになるでしょうか。

要するに『エスクァイア日本版』は、一次情報を丁寧に加工し
ときには、価値付け/価格付けの根拠となりうることで
他誌との個体識別を可能にしてきた雑誌、と言えると思います。

そうなると、

1:30代後半から40代のインテレクチュアルな「大人の男性」が、
 「既成のおにぎりやお弁当ばかりじゃまずいでしょ」
  という危機感を持ち、積極的に行動
 (情報摂取)をする意志を持ち続ける。


2:30代後半から40代の世代に向け、
  ラグジュアリーな商材を「知的な印象で」訴求したい
  クライアントは、今後もなくならない。


という2点が、『エスクァイア日本版』存続の前提、となるのかな???


菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール

昨日、菊地成孔さんのHPを見たら、「速報欄」で
2008年10月5日に新宿クラブハイツにて行われた
『菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール』の
「公式」ライブ画像をYouTubeにアップした旨が
アナウンスされていました。

2月いっぱいで営業を終了してしまったクラブハイツの様子が
記録された貴重な映像でもあるので、早速拝見。

http://www.youtube.com/watch?v=6vifqrM0bo8
http://www.youtube.com/watch?v=r2nOJxtiY-g&feature=related

ちなみに撮影と編集を担当したのは、
映画監督の冨永昌敬さん。
そう、『エスクァイア日本版』復刊に対する応援メールを
当ブログ欄でもご紹介させていただいたお二人が、
撮り、撮られている映像でもあるわけです。


このライブ、ぼくも(おとなしく座って)観ていたのですが、
いまこうして映像で見ると、ぺぺって相当踊れるバンドですね!

近々リキッドルームでライブがあるみたいなので、
いまから楽しみです。

ちなみに、2曲目の「ルペ・ベレスの葬儀」の映像で
菊地さんがかけているメガネは、
「アイウェア特集」で体験取材をしていただいた時に、
実際にお作りしたものです。

この日の公演は、昼夜2回だったので、
カットによって、メガネを
かけていたりかけていなかったりですが(笑)。



そういえばこの間、久しぶりに
ゴダールの『はなればなれに』を観たのですが、
冒頭からあんなにも繰り返し繰り返し、
菊地さんがアルバム『野生の思考』の中でカヴァーをした
”テーマ曲”が流れてることに、今更ながら気がつき、
ちょっと愕然としました。

『はなればなれに』の音楽と言えば
タイトルロールのピアノ曲(ルグラン自身が弾いてますね)と
伝説のマジソンダンスの時の曲、
くらいしか印象になかったから……。

映画を観てる間ずっと、
ゴダールとルグランとラウル・クタールと菊地成孔が
頭の中で並列化し、
「こうして、記憶というのは上書きされるのかぁ」
というのをリアルタイムで実感してました。

もはや『はなればなれに 2.0』というか。

菊地さん、恐るべし(今更?)。


Esquire編集部より。
『野生の思考』
菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール
(イーストワークス)


Esquire編集部より。
『はなればなれに』
監督=ジャン=リュック・ゴダール
DVD販売元=紀伊國屋書店

エスクァイアの「裏側」が見られます。


3月21日(土)から3月29日(日)までの期間、
外苑前にある『A246 Gallery』にて、
弊誌で活躍中のフォトグラファー田渕睦深さんの写真展が
開催されます。


今回の写真展は、

『エスクァイアの撮影現場、その裏側。』

と題し、

「誌面に使われた写真なんて、彼らが見つけたもののごく一部に過ぎない。
 未掲載の膨大なカットにこそ、フォトグラファーの本質が宿っている。」

↑と、企画・運営を一手に担ってくれた編集部の斉藤大介くんが
DMに記しているとおり、フォトグラファーが
現場で「何を捉えていたか」を追体験できる、貴重な場だと思います。


田渕さんは今回、

Esquire編集部より。
2007年10月号『極上「ごはん」に出会う。』特集



Esquire編集部より。
2008年3月号『ピアノ300年 音楽の真相。』特集

の取材の際にシャッターを切った、ベタ焼きすべてを展示するそうです。


フォトグラファー、編集者、アートディレクターそれぞれの思惑、
さらには被写体や取材先、そしてときには思いも寄らない力などが
複雑に絡み合って、ページは出来上がって行きます。

ベタと、仕上がったページを見比べたときに感じるのは、
必然性? 疑念? それともミラクル?

滅多にない機会だと思いますので、ぜひお立ち寄りください!

Esquire編集部より。
photographs by Mutsumi Tabuchi

A246 Gallery
東京都港区北青山2-7-15 エスコルテ青山(NTT青山ビル1階)
開館時間12:00~20:00



ハーレム、奇跡の1日。

今日は、ある1枚の写真から、アメリカ版『エスクァイア』の歴史の
ほんの一部を語りたいと思います。


1958年の夏。当時駆け出しのアートディレクター兼
フォトグラファーだったアート・ケインの元に、
『エスクァイア』編集部からとある撮影依頼が舞い込みました。

「ジャズの特集を考えているので、
今までにないジャズミュージシャンの写真を撮ってほしい」。

Esquire編集部より。
アメリカ版『エスクァイア』1959年1月号
「The Golden Age of Jazz」特集


考え抜いた末、ケインは、面識もないジャズミュージシャンたちに
片っ端から手紙を書いたそうです。
「○月×日の朝、ハーレムの129丁目に来てほしい」と。

一体何人集まるのか見当もつかなかったというケインの不安をよそに、
撮影当日には、57名ものジャズメンが集結したそうです。
それも、アート・ブレイキー、セロニアス・モンク、ディジー・ガレスピー、
ソニー・ロリンズといった、“ジャイアンツ”ばかりが。

Esquire編集部より。
Esquire編集部より。
1959年1月号より


「あの写真を見るたびに、心が躍るよ。これは奇跡だって。
 無名のフォトグラファーの呼びかけに、こんなにも多くのジャズメンが、
 しかも朝に集まるなんて信じられるかい? 
 それくらい、『エスクァイア』の威光があったということかもしれないね。
 まあさすがに、マイルス(・デイヴィス)は来てないけど」

以前、取材でお会いしたブルーノートの社長、ブルース・ランドヴァル氏に
「『エスクァイア日本版』の者です」と名乗ると、即座に、
「写真」の話が返って来たのには驚きました。

「その当時は、ハーレムこそがジャズの聖地だった。
 ビバップが生まれた伝説のヴェニュー『ミントンズ・プレイハウス』は
 もう下火になっていたけれど、『Lenox Lounge』や
 『St. Nick’s Pub』、『Apollo theatre』といったクラブで、
 毎晩素晴らしい演奏が行われていた。
 あの写真はまさに、NYジャズ黄金期のメンバーを捉えた、
 世紀の1枚なんだよ!」

ちなみに、アート・ケインに撮影を依頼したのは、
当時『エスクァイア』のアートディレクターをしていたロバート・ベントン。
彼はその後、『俺たちに明日はない』(67)の脚本を書き、
79年には、『クレイマー、クレイマー』の監督・脚本を務め、
アカデミー賞(監督賞・脚本賞)を受賞しています。

そして後年、この1枚の写真を重要な「小道具」に用い、
スティーヴン・スピルバーグは、『ターミナル』(04)
という映画を撮りました。
(この作品のオチになっているベニー・ゴルソン、
 最近ニューアルバムを出しましたね。)


伝説的な名前が、幾つも連なる1枚の写真……。

以前、折しもジャズシーンの取材でNYを訪れた折に、
件の1959年1月号を持って、ハーレムを散策しました。


そして、伝説が生まれた場所を発見すると、
現在そのアパートに住む方々に話を聞きながら、
写真を撮らせていただきました。

Esquire編集部より。
photograph by Kei Taniguchi


「この写真、ハーレムのカフェには大概貼ってあるね。
 ここで撮ったんだ! 知らなかったよ。しかも、
 『エスクァイア』に載った写真だったとはね……」


このときのジャズ企画(2005年2月号)と連動するかたちで、
ビクターさんのご協力のもと、『The Look of Jazz』という
コンピレーションCDを発売していたことを、思い出しました……。

Esquire編集部より。

CDショップにはもう置いていないと思いますが、
Amazonでは、まだ購入できるみたいですね。



ちなみに、eBayにもありました……。
なぜか香港の方が出品しているようですが(笑)。




50年前に撮られた1枚の写真に端を発し
『エスクァイア』、『ジャズ』というキーワードで紡がれていく
不思議な旅は、この先、どんな風に伝播していくのでしょうか。




MILK

本日、新作『MILK』のプロモーションのために来日していた
ガス・ヴァン・サント監督の取材をしてきました。

『MILK』のオフィシャルサイトはこちら↓
http://milk-movie.jp/


Esquire編集部より。
撮影は、大森克己さん。



2007年の秋、ポートランドにある彼のオフィスを訪ねたのですが
運悪く、ちょうどその『MILK』の件で打ち合わせが入り
彼はサンフランシスコに発ってしまいました……。
主人不在のまま、どこを撮っても絵になるオフィスをゆっくりと撮影し、
後日、配給会社のご協力を得て、
電話インタビューを行うことができました。

『エスクァイア日本版』の編集に携わって8年目ですが、
彼の編集室兼試写室で『パラノイドパーク』を観た経験は、
編集者人生の中でも、特別な時間でした。


Esquire編集部より。
『エスクァイア日本版』2007年2月号より

このときの撮影は、塩田正幸さん。
主人不在のオフィスを守っていた愛犬の名はマイロ。
今日監督に聞いたら、彼はいつでも元気だそう。



さて、今回のインタビューは、4月24日発売号に掲載予定なのですが、
もうひとつ別のお願いを、監督にしてきました。

5月に出る、現時点での最終号は、
『未来に残したい100のこと。』というテーマで
現在編集作業を進めているのですが、
監督には、未来に残したい映画作品の選定を、
していただければと思っております。

ちゃんと回答をいただけるといいけれど!

ガス・ヴァン・サントがどんな作品を未来に残したいと思っているのか、
そしてそれはなぜなのか。
結果は、5月23日発売の『エスクァイア日本版』にて!

そのほか、どんな方々が登場するかは、
追々この場でお伝えして参ります。