今朝歩いて、とある自動販売機の前を通りかかったとき
何かの違和感を感じた。
立ち止まって見てみると
自販機下に仕掛けられていたネズミ捕り(粘着シート)に
スズメがかかっている。
バタつくこともなく、あきらめムードなのかかわいい黒い眼で
こちらを見ている。
目が合った。
「どきっ」とした。
周りを見渡すと誰もいない。
「ごめん、見なかったことにして。」と一瞬立ち去った。
しかし、
「ここで何もしないと、一生後悔する。」
「こいつのヒーローは俺しかいない!」
とすぐに戻った。
かわいい黒い眼のスズメを「チュン」と名付け
軍手をつけてそっとチュンに触れた。
「小さくてやわらかい。」
チュンも暴れることもなく、
私に体をあずけた。
粘着シートとの戦いは悪戦苦闘。
羽毛がはがれないように、
そぉっと、そぉっと・・・・・。
「がんばれよ、チュン。もう少しやぞ!」
チュンの体が少しづつ自由になっていく。
どれくらい時間が経っただろうか、
(実際は1・2分くらい)
私の今日おろしたての軍手と引き換えに
チュンは自由の身となった!
しかし、粘着剤が付着している羽で
飛べるのだろうか・・・?
と心配をよそに
チュンはわたしの手から飛び立った!
「やった!」
何かを成し遂げた感の私は
軍手をなくした右手をチュンに向かって
突き上げた。
チュンはそれに応えるように
何度も何度も私の頭上を飛び回・・・
ることなく
一目散に逃げて行った。
今晩、家に帰ってから
「舌切り雀」と「鶴の恩返し」でも読もう。
別に何かを期待しているわけではないが・・・。