誰も居ない廃墟の中で迷子になって座り込んで泣いているのは、幼き日の空深彼方(そらみかなた)。不安と孤独感に襲われただ泣いているだけのカナタの目の前に、1人の女性兵士が姿を現した。手には金色のトランペットを持ち、胸には鈴を付けていた兵士。救世主が現れたと思い、涙を拭いて近づいて来たカナタに向けて「どうしたの?」優しい口調で呟き、トランペットを吹き始めた。その音に憧れ恋心のような想いを抱き月日が流れた。



 軍人になればトランペットを吹ける。喇叭手に憧れを抱き続け15歳になったカナタ。軍に入隊して最初の駐屯地セーズ行きの列車に乗り込んだ。「嬢ちゃん起きたか?戦利品のおすそ分けだ。喇叭手に親切にしておくと、退却喇叭の音がよく聞こえるってな。それにしても珍しいな、今軍に入隊するとな?」乗り合わせた兵士からキャラメルをプレゼントしてもらった。「恐縮であります軍曹殿。私は音楽が習いたくって入隊したんです。」ついカナタが本音を口にすると、その素直な気持ちを知った兵士達に笑い声が湧き上がり、明るい雰囲気のまま列車を降りた。(素直で戦いには向かないカナタの性格が、よくわかりますね。正直で凄く感じがいい。最初のシーンだけで特徴を表現するのはいいと思いました。物語に入り易くなって!)



 駅から迎えのサイドカーに乗りこんだカナタ。物資輸送担当のクラウス荒っぽい運転に翻弄され、振り落とされそうになるのを必死にしがみ付きようやくセーズに到着した。「今日セーズは祭りだ!見ろ、貴様が配属される通称時告げ砦だ。辞令空深彼方二等兵、第1121小隊への配属を命じる。」クラウスから辞令が言い渡され、カナタが配属される第1121小隊の駐屯地時告げ砦の場所も教えられた。「着任時刻は1500。やっとあなたを歌わせてあげられるね。」着任時刻は15時。まだ2時間ほど時間があるが、既にカナタは喇叭を吹ける喜びを感じていた。(クラウスさんは、どう聴いてもセルゲイ大佐にしか聞こえない。じゃあカナタはソーマ・ピーリスですか?と突っ込みたくなりますけど、どちらかというとマリーっぽいかな。まあここまでは前段階なので、セーズを舞台にどのような話になるのか?)



祭りを開催しているセーズにやって来たカナタ。昼間から酒を酌み交わす男達、踊りを踊る人達の様子などを目の当たりにして目を輝かせた。1人街を歩きながら見つけたガラス細工に指を当て音色に興味を抱き、専門店を訪れたが値段が高くただ憧れるだけ。店番をしていた少女に指差され、頭を下げてばつが悪くなり立ち去った。「祭りにうかれた子猫が、あさっての方向に全力疾走して行った。野良猫ならいいが、生憎飼い猫なんだ。」少女はカナタが何者であるか判っていた。第1121小隊で喇叭手を務めている和宮梨旺(カズミヤリオ)だからだ。「ビックリした。でもまた素敵を見つけちゃった。」慌てて逃げてビックリしたが、噴水まで逃げて来たカナタの心中は、素敵なガラス細工を見つけた喜びに満足していた。そんな時1人の少女ミシオが近づきニカッと笑いながら、水鉄砲を顔面に浴びせた。


 

 そして爆竹が鳴ったのが合図となり、祭りのメインイベント水かけ祭りが始まった。至る所で大人達が水ではない特殊な塗料をかけ合い、カナタも男達から塗料の洗礼を浴びた。しかし皆が笑いながらかけ合っている姿を見てカナタも嬉しさ一杯。噴水の水をミシオに浴びせ、互いに「ありがとう」と言いながらかけ合いをした。「バカかお前は?しっかりと巻き込まれて、そんな格好でどうする気が?」かけ合いが終わりカナタを探しに来たリオ。呆れた顔で溜息を付きながら新人喇叭手を一喝した。しかし当の本人の耳に説教は聞こえず、くしゃみをするばかり。仕方なく店に案内して風呂に入れた。(日本的な名前と要素を入れていますが、全く架空の国家で行われているのが面白い設定です。ここでもキャラクターの個性が、上手く表現しているからどういう人物なのか理解しやすい。まあ第1話だからそういう説明は世界観を見せる上では必要だけどもう少し盛り上がりがあったほうがいい。昔の宮崎アニメみたいな感じがして、今の時代にはちょっと受け入れる人が限られそうです。)



 カナタが風呂に入っている間、砦で待つ第1121小隊の墨埜谷暮羽(スミノヤクレハ)と小隊長フィリシア・ハイデマンの様子は対照的だった。来ない事に苛立ちを見せるクレハ。のんびりなるようになるとマイペースのフィリシア。この2人もカナタの仲間となる。もう1人指導役を務めるリオは、骨董品店の店主ナオミから愛用の鈴を渡された。するとカナタは風呂から上がり「お風呂ご馳走様でした。道に迷ってこんな素敵に出会いました。」出会いとお風呂に入れてもらった感謝の言葉を返した。そしてベランダに出て絶景を眺め、見た事のない光景に大興奮。「何だか懐かしい音がします。」リオから見せてもらった鈴の音について感想を言うと、手にしてた鈴が飛んで来た鳥に持って行かれてしまった。「待て!泥棒。」ベランダから身を投げ出し、カナタのありったけの声が響いた。「バカ!こんな物で死ぬ気か。いいんだこれでいいんだ。」父親からのプレゼントだった鈴だが、命には替えられない。リオの顔には諦めの表情がにじみ出た。(鈴はカナタにとっては、今の自分を形成するきっかけとなった女性兵士が持っていた大切な物。リオは諦めていたけど対照的ですね。ここでも一生懸命な性格が、災いになるか心配です。)

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