青森県タバコ問題懇談会では、2月19日に弘前市蛯名正樹副市長と面談し、弘前市タバコ対策基本条例(タバコの煙がない空気がきれいな街づくり条例)の制定を求める要望書を提出しました。
→要望書PDF
→別紙資料:市町村長および議会に求める 受動喫煙防止対策を中心とした総合的なタバコ規制政策の必要性 「タバコ対策基本条例」の提案
→別紙論文:http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/201302/gakkaisi_130306_3.pdf
----------------------------------------------------------
平成26年2月19日
弘前市長 葛西 憲之 殿
弘前市議会議長 田中 元 殿
要望者住所 青森市松原1丁目2-12
団体名 青森県タバコ問題懇談会
顧問 中路 重之
弘前地区世話人 中畑 範彦
鳴海 晃
蓮尾 豊
前田 淳彦
弘前市タバコ対策基本条例(タバコの煙がない空気がきれいな街づくり条例)の制定を求める要望書
要望趣旨
青森県の喫煙率がトップレベルに高いこと(男性1位、女性2位、2010年都道府県別喫煙率)が、男女とも最短命県(2010年平均寿命)であることの大きな原因になっています(別紙資料 p3)。また青森県内では、飲食店や宿泊施設等を含む多数の者が利用する公共的空間における受動喫煙防止対策が不十分であり、施設内のPM2.5は危険域にあります(別紙資料 p14-15)。そのため未成年や妊婦を含む多くの市民・従業員や県外からの観光客が日常的に受動喫煙の害を被っているのが現状です。さらに青森県の子どもの約6割は喫煙家庭で育っており(別紙資料 p4)、家庭内でも受動喫煙の被害から逃げられません。未成年の喫煙率ゼロは、子どもの教育だけでは達成できず、大人に対する実効力のある規制が必須です。受動喫煙防止法を施行すると、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による入院と死亡が減少することが観察されています(別紙論文:Circulation. 2012 Oct 30; 126(18): 2177-83)。
そこでタバコ規制枠組み条約(FCTC)ガイドライン(別紙資料 p9-10)を遵守し、①分煙を認めない受動喫煙防止、②成人の喫煙率低下、③未成年者の喫煙率ゼロ、④妊婦の喫煙率ゼロを基本方針とした総合的なタバコ対策基本条例の制定を要望いたします。
条例に盛り込んでいただきたい事項は以下の要望項目のとおりです。神奈川県や兵庫県にも受動喫煙防止条例の先例がありますが、分煙を認めない、分煙設備に対する公金の助成は一切行わない条例としては全国初です(別紙資料 p18)。「タバコの煙がない空気がきれいな街」を実現できれば、健康的な観光都市として世界中にアピールできるものと期待されます。
要望項目
①分煙を認めない受動喫煙防止
受動喫煙による超過死亡数が肺がんと虚血性心疾患に限っても年間6,800 人にのぼり(別紙資料 p7)、その影響が大きいことが報告されています。また、受動喫煙の曝露状況の改善により短期的に急性心筋梗塞や成人および小児の喘息等の呼吸器疾患による入院を減少させるなど、確実な健康改善効果が期待できます(別紙資料 p17)。
タバコ規制枠組み条約(FCTC)喫煙防止ガイドライン(別紙資料 p10)および健康増進法第二十五条(別紙資料 p8)では、公共的施設の屋内全面禁煙を求めています。また平成22年2月25日付の厚生労働省健康局長通知「受動喫煙防止対策について」(健発0225第2号)では、受動喫煙防止対策の実施主体と責任が地方自治体にあることを示していることが法的根拠になります(別紙資料 p11)。また職場については、平成22年に閣議決定した「新成長戦略」において、平成32年(2020年)までに「受動喫煙の無い職場の実現」が掲げられました(別紙資料 p12-13)。
100%禁煙以外の措置(換気、喫煙区域の使用)は、受動喫煙を防止できず不完全ですので、公共的施設はすべて屋内全面禁煙である必要があります。したがって「分煙」という用語自体用いるべきではなく、また分煙設備に対する公金による助成は一切行う必要はありません。
(1) 教育機関、医療(保健・福祉)機関では、例外なく敷地内完全禁煙とする。
(2) 官公庁およびその関係機関は、例外なく少なくとも建物内完全禁煙とする。
(3) 事業所(職場)・飲食店・宿泊施設(宴会場・会議室を含む)を、例外なく建物内完全禁煙にする。屋外に灰皿 を設置する場合は、受動喫煙防止のため出入口からなるべく離れた人の通行が少ない場所に設置する。
(4) 公共的施設には屋外の公園、観光地なども含む。
(5) 監督官庁の立ち入り検査で、条例の遵守状況を点検し指導する。
(6) 例外なく一斉に実施することにより全施設・全店が同一条件になり、禁煙化によって経営に影響がでないようにする。
②成人の喫煙率低下
タバコは日本人の疾病と死亡の原因として、最大かつ回避可能な単一の原因です(別紙資料 p5-6)。タバコ消費を継続的に減らすことによって、日本人の死因の第一位であるがんをはじめとした喫煙関連疾患による回避可能な超過死亡と超過医療費、経済的損失等を将来的に確実に減少させることができます。健康ひろさき21(平成20年3月 p48)において、「成人の喫煙率を低下させる目標値」が掲げられています。
(1) 喫煙希望者の禁煙を支援する。
(2) 特定保健指導の際に、喫煙者が禁煙を希望するように動機付ける。
(3) 地域における禁煙の啓蒙活動を促進する。
(4) WHOの求める6つの規制政策(MPOWER)に基づき、タバコ税増税、画像警告表示、広告・プロモーション・スポンサー活動禁止の実施を促す(別紙資料 p22)。
③未成年者の喫煙率ゼロ
未成年期からの喫煙は健康影響が大きく、かつ成人期を通した喫煙継続につながりやすいことから、未成年者の喫煙をなくする必要があります。健康ひろさき21(平成20年3月 p48)において、「未成年者の喫煙を0%にする」ことが目標として掲げられています。
(1) 弘前市内の全小学生に対する喫煙防止教室を継続する。
(2) 未成年喫煙者の禁煙治療を支援する。
(3) 家庭における受動喫煙ゼロを目標とする。
(4) コンビニ等における未成年者へのタバコ販売を厳格に禁止する。
④妊婦の喫煙率ゼロ
妊娠中の喫煙は、妊娠合併症(自然流産、早産、子宮外妊娠、前置胎盤や胎盤早期剥離など)のリスクを高めるだけでなく、出生後の低体重、先天異常、乳幼児突然死症候群(SIDS)、知能低下のリスクとなります。健康ひろさき21(平成20年3月 p48)において、「妊婦の喫煙を0%にする」ことが目標として掲げられています。
(1) 母子健康手帳の交付や、パパママ教室の際に啓発を行い、禁煙を動機づける。
(2) 妊婦喫煙者の禁煙治療を支援する。
(3) 妊婦と同居する喫煙者の禁煙も支援する。
⑤条例の策定作業について
(1) 自治体、議会、市民や専門家による連絡協議会を設置し協同で進める。
(2) タバコ産業関係者を策定・運用に関与させない。
(3) タバコ産業のあらゆる活動に自治体は関与しない。
以上を要望いたします。