新人漫画家へ/あなたは主人公のことをどれだけ知っているか?
自分が生み出した二次元上の主人公。どこの誰よりも、作者が良く知っているはず。本当にそうでしょうか?そう思っているだけでは?自分の心の奥底すら、実はよく分からない。海の底と同じで、容易に近づけない。本当のところは、よく見えない。自分が作ったと思っている主人公、分かっているのは、分かってると思っている部分だけ。全部は分からないと思った方が良いです。そういう部分は、ムキになって追求しないで、読者に委ねましょう。読み手が、勝手に空白部分を想像してくれます。それでいいんです。キャラクターのすべてを完璧にコントロールしようと思うのは傲慢です。詳細なキャラクターの履歴書を作ってみても、すべての項目は埋まらないはず。分からない事や、記入漏れが山ほど出て来るでしょう。そんなものです。そこに突っ込んでいくと、燃料切れ起こします。それより、今見えている部分をしっかり描きましょう。今、主人公は何に怒っているのか。何に感動しているのか。何をしようとしているのか。誰の言葉にどう反応しているのか。そういう、超目の前のことにフォーカスすべし。その羅列で良いのです。主人公の今のリアクションがストーリーを作っていきます。成り行き主義というか、主人公にお任せ主義というか、そういうファジーな部分があるからこそ、連載は可能だと思います。作者であっても、主人公の何から何まで知ろうとしない。物語の進行は主人公に任せる。すべてを支配、コントロールしようとしない。案外、こういうものが奥義なのではないかと思います。適当、いい加減、ゆるいとも言えますね。ハンドルも「遊び」がないと危険です。ちょっと、「人」に頼ってみませんか?この場合の「人」は、あなたが生み出した主人公だったりする訳なんですが。