鎌倉・江ノ島の観光・旅行

【2024】紅葉の季節の鎌倉観光! 絶景も楽しめる一日モデルコース

都内から気軽に出かけられる観光地として人気の高い鎌倉で、紅葉も絶景も楽しめる一日観光モデルコースを紹介。鎌倉の紅葉は通常11月下旬から12月上旬頃に最盛期を迎えるが、2024年は色づきが例年よりも遅く、12月になってもしばらく楽しめそうだ。

森川 天喜

執筆者:森川 天喜

国内旅行ガイド

都内から電車で約1時間、気軽に出かけられる観光地として人気の高い鎌倉で、紅葉も絶景も楽しめる一日観光モデルコースを紹介しよう。
<目次>
鎌倉の紅葉は、通常11月下旬から12月上旬頃に最盛期を迎えるが、2024年は暑い夏が長く続いた影響もあり、紅葉の色づきが例年よりもだいぶ遅れている。12月に入っても、しばらく紅葉が楽しめそうだ(写真は2023年以前に撮影したものを使用)。

【円覚寺】まるで極楽浄土

鎌倉の紅葉散策、今回はJR横須賀線の北鎌倉駅からスタートしよう。下りホームに設置された簡易改札を出るとすぐに、鎌倉五山第二位の円覚寺の総門があり、門前の紅葉が見事に色づいているのが目に入る。
円覚寺総門前の紅葉

円覚寺総門前の紅葉

鎌倉五山というのは、鎌倉・室町時代に時の幕府によって付与された禅寺(臨済宗)の格付け制度。京都には京都五山があり、鎌倉には鎌倉五山がある。鎌倉五山は筆頭(第一位)の建長寺から順に、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺が名を連ねる。
 
総門をくぐり、境内に歩を進めると、まず目の前に現れるのが大きな山門(三門)。文豪・夏目漱石の小説『門』の中に登場することでも知られるこの門は、ずっしりとしながらも全体として均整がとれ美しく、数多い鎌倉の寺院の門の中でも傑作とされる。
 
円覚寺の境内で、特に紅葉がきれいなのが、この山門の周辺と境内奥の妙香池の辺り。妙香池周辺は、紅葉、黄葉が織りなす美の世界が広がり、まるで極楽浄土のようだ。
円覚寺境内の妙香池付近の紅葉

円覚寺境内の妙香池付近の紅葉 

【建長寺】裏山からは絶景も

円覚寺境内を出たら、横須賀線の線路に沿って左手(鎌倉駅方面)へ進もう。途中、明月院方面へと続く細道が分かれる。明月院は「鎌倉のアジサイ寺」として知られるが、紅葉も見応えがある。本堂の円窓越しに見ることができる庭園の紅葉は、これ以上ないほどにフォトジェニックだ。
明月院本堂の円窓越しに見る紅葉

明月院本堂の円窓越しに見る紅葉

明月院から元の道に戻ると、間もなく県道と合流。すぐ近くに「鎌倉五山」というそば店があるが、その店先の小さな石碑を見ると「安倍晴明大神(石碑は「安部」となっている)」と刻まれている。

安倍晴明といえば、平安京で活躍した陰陽師(おんみょうじ)だが、なぜ鎌倉にまつられているのか。鎌倉時代には京都から鎌倉へ陰陽師も呼び寄せられたというから、それと関係があるのかもしれないが、石碑自体はそんなに古いものではない。

県道をそのまま進めば、1kmほどで鎌倉五山第一位の建長寺の門前に到着。建長寺の紅葉は裏山の中腹にまつられている半僧坊へと続く「半僧坊道」沿いに多くが集まっている。半僧坊まで石段を登れば富士山を眺める絶景スポットがある。さらに裏山の頂上には、建長寺の境内を一望できる「勝上けん展望台」が設置されている。
建長寺「半僧坊道」沿いの紅葉

建長寺「半僧坊道」沿いの紅葉

勝上けん展望台からは、鎌倉の峰々を縦走する天園ハイキングコースに足を踏み入れることもできるが、割と本格的な山道を歩くことになるので、トレッキングシューズなどの準備が必要だ。ハイキングコースを少し行けば、ちょうど鶴岡八幡宮の裏手に位置し、海に向かって一直線に延びる若宮大路を一望できる絶景スポット「十王岩の展望」がある。
「十王岩の展望」からの眺め

「十王岩の展望」からの眺め 

【海蔵寺】「水の寺」の紅葉

今回は、ハイキングコースへは入らず、建長寺境内へと戻ることにしよう。境内を出て県道を北鎌倉駅方面へ少し戻ると、長寿寺という小さな寺院がある。この寺も紅葉の名所で、本堂の縁側に腰掛けて、庭園の紅葉をゆったりと眺めることができる。

長寿寺の脇に亀ヶ谷(かめがやつ)坂という細道があるので、この道を進もう。山に囲まれた鎌倉には「切り通し」と呼ばれる7つの入口があり、亀ヶ谷坂もそのひとつ。切り通しとは、山の尾根を掘り下げて開削した道のことを言う。
亀ヶ谷坂切り通し

亀ヶ谷坂切り通し

坂を越えると薬王寺という徳川家ゆかりの寺院があり、さらにその先には、源頼朝の娘・大姫にまつわる地蔵が安置されている岩舟地蔵堂がある。
 
地蔵堂の先で横須賀線のガード下をくぐると、道標が出ているのでチェックしよう。ここからまずは海蔵寺を目指す。海蔵寺は、鎌倉らしい谷間の地形「谷戸(やと)」の最奥にたたずむ寺院だ。
海蔵寺境内の紅葉

海蔵寺境内の紅葉

海蔵寺は、本堂裏手の回遊式庭園(非公開)の心字池や、不思議な形をした「十六の井」「底脱(そこぬけ)の井」など境内に豊かな水を湛えることから「水の寺」とも呼ばれている。また、庭がよく手入れされ、四季折々の花も楽しめることから「花の寺」とも言われるが、紅葉も見応えがある。

【源氏山】頼朝像と紅葉

海蔵寺を出たら来た道を少し引き返し、道標に従って次は源氏山公園を目指そう。途中、鎌倉7切り通しのひとつである化粧(けわい)坂切り通しを通ることになるが、ここは日当たりが悪く、いつも道がぬかるんでいるので、滑らないように注意が必要だ。
源氏山公園の源頼朝像と紅葉

源氏山公園の源頼朝像と紅葉

化粧坂を登りきると源氏山公園に出る。源氏山公園は標高93mと、周囲よりやや高所に位置するため、鎌倉の中では紅葉が色づくのが早い。源頼朝像が立つ芝生広場でゆっくりと紅葉を楽しもう。

【長谷寺】鎌倉では珍しいライトアップ

いよいよ最後の目的地である長谷寺(長谷観音)へと向かう。長谷寺は大仏のそばにあるので、道標に従い「大仏方面」を目指して歩いて行けばいい。源氏山から長谷へは大仏ハイキングコースを歩くルートと、住宅地の中を歩くルートがあるが、距離はどちらを歩いてもおよそ2.5km。住宅地を歩くルートは、少し経路が複雑だが、スマホのアプリを使えば迷うことはないだろう。
 
長谷寺は、言い伝えによれば奈良時代の創建とされ、鎌倉でも有数の古い歴史を持つ寺院だ。本尊の十一面観音像は、高さ9.18mもあり、歴史ある木造の仏像としては日本最大級とされる。
長谷寺の紅葉ライトアップ

長谷寺の紅葉ライトアップ

長谷寺での目当ては、日没から始まる紅葉のライトアップだ。紅葉の時期ともなれば、京都などではあちこちでライトアップが行われるが、鎌倉では珍しい。長谷寺のほかは、覚園寺(鎌倉市二階堂)で実施されているくらいだろう。

鎌倉の紅葉散歩、いかがだっただろうか。この時期になると、日暮れ後はさすがに肌寒い。防寒対策をしっかりとして出かけてほしい。
 
●2024年の紅葉ライトアップ
長谷寺は12月8日まで、覚園寺は12月10日まで。時間はいずれも日没~19:00

●鎌倉のイラストマップ
鎌倉のイラストマップ(出典:鎌倉紀行)

鎌倉のイラストマップ(出典:鎌倉紀行)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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