とある6月の夜。人生のなかで初めてもつ1つの想いを胸に、とある店に向かっていた。
その初めての想いとは「しょうがを食べるぞ!」という意気込みである。人生のなかでしょうがを意識して食べるだなんてことはしたことがない自分。あってもせいぜい「しょうが焼きたべるぞ!」程度のものだ。
料理の名脇役として名をはせているしょうがだが、そんなしょうがを思う存分堪能できる店で試食会をするよとお誘いをうけ、六本木にある生姜料理専門店「しょうがの香り。」へと足を運んだ。
店は六本木交差点から東京タワー方面に少しばかりあるいた大通りにある。
扉をあけると階段がつづき、そこからあがっていくとレジカウンターが。靴をぬいで席に通される。
もともとは店内装飾を業務にされていた企業とのことで、店内の内装はしゃれているが落ち着ける雰囲気で、カウンター席、カップル席、お座敷など席の種類も豊富。
席についてまずは飲み物を注文。
メニューをひらくとそこら中にしょうがマークがついている。このしょうがマークがついているものはすべて、なんらかの形でしょうががインされているということだ。生姜専門店すごい…。
とりあえず、ということで自分はジンジャービアー(甘口)を注文。
お察しの方もいるとおもうが、ジンジャー+ビールなのでいわゆるシャンディーガフというビアカクテルと同じものだ。ただきちんとしょうがの風味があり、ビールに負けていない。おいしい。
もう片方の辛口もひとくちのませてもらったが、いうほど辛口ではなく甘みが少し控えめなくらいで飲みやすい。
お通しはお刺身の上にオクラと生姜をのせたもの。お醤油をかけていただく。
そして乾杯がてら、本日いただくコースの説明をうける。
本日いただくのは、こちらのラインナップ。
これから梅雨に入り湿度や温度がたかくなってくると身体的な不調を感じることが多くなったり、またそれらを解消するのにエアコンの温度をさげたりしてからだが冷えてしまったりと、地味に健康面でよくない状態がつづいたりしてしまう。
それらの状態を6月病といったりするそうなのだが、解消するにはやっぱりからだの中から!ということで、代謝を高めてくれるたっぷりのしょうがと、冷え対策にいいといわれる豚肉をマッチングさせた、しょうがスープのしゃぶしゃぶをメインにコースを設定されていた。
というわけでまずは最初の一品、肉味噌生姜のレタス巻き。
実はこれ、店の外でメニューを見たときからとても気になっていて食べたかった一品。
さてさて、どんなかんじでくるのかなー、とわくわくしてまってると…
で、でかい…。なんだこの山は…!
山盛りのレタス。みたことない絵面である。
説明をうけて、レタスの葉を1枚手にとり、適当な大きさにちぎったところで肉味噌と白髪ネギをのせる。
そしてくるくるとまいてもぐもぐと食べる。うまい。肉味噌が最高にうまい。
この肉味噌にけっこうたっぷりとしょうががまぜこまれてるらしいのだが、ぜんぜんしょうがが強すぎずいい風味で、レタスにまくのもいいけどご飯にのっけてモリモリたべたくなる。ただこのレタスもおいしいんだなぁ。変な草っぽさがまったくないので、濃いめの肉味噌をさっぱりとどんどん食べ進めてしまう危険性がある。肉味噌は有料だがおかわりできるらしいので、遠慮せずガンガンのせて食べてもよさそうだ。
つづいてきたのは、鮪とアボガドのタルタル〜生姜バルサミコソース〜。
見た目の可憐さとはうらはらに、バケットに鮪とアボガド、そしてバルサミコソースをよくからめてのっけて食べた衝撃。鮪とアボガドというと、どうにもまったりとした味になりがちなのだが、そこに生姜バルサミコをかけたことによって、いい感じにパンチのきいた味になっていた。ビールがすすむ。うまい。
野菜をもりもりいただいているとこにやってきたのは、お待ちかね肉料理。
ここ、しょうがの香り。では大山鶏という鶏肉を扱っており、その鶏肉料理も一押しだという。
その中から今回いただくのは大山鶏の半身揚げ。
その名の通り、鶏の半分がまるまる揚げられたシンプルな料理だ。
添えてあるのは、普通の塩、カレー塩、そして生姜塩。
シンプルな料理ではあるが、この揚げ方にそれもうこだわりがあるらしく企業秘密の油をつかって独自に開発した揚げ方なのだとか…。
ほほう、どれどれ…。
…!!! 皮パリパリ…!!!!
なんだこの皮パリ。皮せんべい食べたい。
さすがこだわりぬかれた揚げ方だけある…。パリパリ。
そんなところで飲み物がなくなってきたので、これからの暑い時期におすすめというフリージングハイボールを注文。
専用のそそぎ機でいれられたマイナスまでキンキンに冷やされたハイボール。これがうまくないわけない。
ちなみに生姜酒の利き酒セットなんかもある。今度いったときはこれ頼みたい。
そしてコース内にはなかったのだが気になってたメニューを1つ頼ませてもらった。
手作り豆腐4種類。女性人気の高い一品。
豆腐はこちらの店舗で手作りされているもので、寄せ豆腐、たまご豆腐、うに豆腐、黒ごま豆腐の4種類がのっている。薬味にネギ、みょうが、そして生姜。
せっかく手作りなのでしょうがを混ぜ込んだ豆腐とかもあってもいいんでないかなと思わないこともなかったが、でも4種類とも全部おいしかった。個人的には黒ごま豆腐が好きだ。
そしてやってきました、メインディッシュのしょうがスープのしゃぶしゃぶ。
料理名は2色のしょうがの香り。しゃぶ。
4種類のスープの内、2つから好きなものを選んでしゃぶしゃぶを楽しむことができるというもの。今回は王道かつ1番人気のすりおろししょうががたっぷりはいった黄金スープと、それをベースに作られた火鍋スープの2つ。
ここに投入するのは、さきほどもお目見えしたレタス様。
そしてしゃぶしゃぶの主役、豚のロースとバラ肉。
スープが沸騰してきたらレタスをいれて、レタスがくったりしてきたらお肉をいれる。
ほどよく火がとおったところで、スープと一緒にいただきます。
くぅ、うまい。これはうまい。この間違いないしょうが感、なのに本当にまったくいやみのないスープ。そしてそれにひたったレタスとお肉。これはうまい。本当にうまい。
正直いって、しょうがが強すぎる味の料理はあんまり好きではないのだが、しょうがの主張がちゃんとあるのにそれでいてまったくいやみのないこのスープはしょうが料理の概念を覆すくらいうまい。
なんでもこのスープ、もともとは料理好きなお店の会長さんがホームパーティでつくっていたものらしく、それが好評で店を出すに至ったという。なるほど、それは間違いない。
火鍋のほうは火鍋らしく、とうがらしたっぷりでそれなりに辛いが、やはりベースに使われてるしょうがスープがいい味だしていてうまい。
そしてしゃぶしゃぶのシメとしてきたのは、なんと生姜麺。まじか。
なんでも生姜が練り込んであるらしい…おいしいのかこれ…。
あまりにもいぶかしんでいると、「試しにそのまま食べてみてください」というので、湯通ししてある麺を1本ちゅるり。おお、これうまいんでないの。
とりあえず鍋にどばっといれまして…若干ふつふつゆでまして…そこからすくいあげまして…
いただきます。
…わかってたけど、うまかった。はー、うまい。生姜麺うまい。
もうひとつご飯のしめに、ジンジャーレタス炒飯。
ご飯の炊き加減がうまい…炒飯うまい…生姜のなんかまざってるのうまい…。
この炒飯に使われているしょうがのきざんだやつは、店内レジ横のお土産コーナーで購入できる、万能おかずしょうが、というのを使っているそう。これまぜるだけで炒飯がひとあじ変わりそうだ。
また途中飲み物を追加。今度はジンジャーホワイトワイン。要するに生姜入りサングリア。
これがまた飲みやすい。ガブガブのんでしまう。今日のんだ中ではこれが1番すきだ。
そして最後の最後に、お待ちかねのデザート盛り合わせ!
普段は盛り合わせではなく1品ずつらしいが、今回は特別にご準備いただいたとのこと。
左から麦酒のアイスと生姜のコンフィチュール、厚焼きパンケーキ、しょうがの香り。フレンチトーストの3点。
パンケーキとフレンチトーストにはしょうががたっぷりはいった生姜シロップをかける。
シロップをたっぷりかけて、そのうえにアイスをのせたら、おいしくないなんてことない。うまい。これうまい。シロップがしょうがの甘さたっぷりで、フレンチトーストはふわっふわでやわらかくてアイスもまたいい感じにうまい。これは幸せ感はんぱない…。
そんなしょうがな時間を充分に堪能できた。
こんなにおいしいのにしょうがは代謝にいいし、血液サラサラになっちゃうし、そんなわけでダイエット効果もあるし、からだあったまるし、肌つやもよくなっちゃうってんで、あれいいことづくめだ。だまされてるかもしれない。もう一度いって確かめないと。
これからの時期、本当に気づかないうちに少しずつからだの不調が続いたりしてしまうので、おいしくしょうがを食べながら夏本番の暑さに耐えられるからだづくりをしておくのもよさそうだ。