原油価格の歴史
1973年(昭和48年)10月6日に第四次中東戦争が勃発すると、中東産油国が中心となってイスラエル支持国への経済制裁を発動。
10月16日に、「公示価格」が3.01$→5.12$へ70%の値上げ、翌年1月からは11.65$と127%の値上げ。
3ヶ月にも満たない短期間で、価格は4倍になりました。
これに比べると、半年で半分になった現在は、ある意味でカワイイものというか、市場による「穏やかな」価格調整機能が働いているという見方も出来るかもしれません。
当時の日本では、時の福田赳夫蔵相が「狂乱物価」と名付けたパニックが起こり、終電の繰り上げ、テレビの深夜放送自粛、ガソリンスタンドの日曜休業などの措置が取られました。
そして第二次オイルショックが来たのは、1979年。(昭和54年)
大産油国イランでパーレビ国王が失脚。
ホメイニ師が亡命先のフランスから凱旋帰国し、以後イランはイスラム教の伝統に基づく政治体制が続くことになります。
この時イランの原油生産は中断され、アメリカ大使館人質事件が発生して、世界は張り詰めました。
原油価格は40$レベルに急騰しますが、イランの原油生産再開と共に次第に落ち着き、日本のバブル前夜である1986年には12$前後に戻りました。
平成バブル絶頂期の1990年でも35$前後。
節目の40$を明確に越えたのは、イラン革命から25年経った2004年夏のこと。
アメリカの住宅バブルの芽が育ち、リーマンショックまでの熱狂の幕開け時期でした。
この頃の私は、JASDAQやマザーズの人気銘柄中心に、ガンガン回転させていました。
その4年後に原油は145$となり、急落します。
40$という価格は、1980年から四半世紀にも渡る上限価格であり、それなりの意味を持っているように見えます。
ちなみに、40年前の1974年の12$を、インフレ率3%/年として現在に引き直すと、ほぼ40$です。
また、1990年代前半の20$から同様に20年後を計算すると、37$くらい。
アメリカの軍事力が中東を抑えこんでいた当時よりも、今の方が地政学リスクが大きいとするなら、40$以下でショートを振るのは危険な香りがします。
なお、日本のガソリン代は、第一次オイルショック直後の昭和49年が大体100円、第二次オイルショック直後の昭和55年には150円。
「物価水準を考えると、当時の150円は大変高いレベルにありました」と言いたいところですが、実はそれほど物価が違う訳では無く、統計上では2割くらいのもの。
その頃、100円コーヒーは無く、吉野家の牛丼は350円でした。
ガソリン価格は昭和60年代になると120円台で落ち着くようになり、現在と大きくは違いません。
当時も今も、ガソリン1リッターには50円以上の税金が課されているので、原油価格の振幅ほどは動かない、とも言えそうですが。
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