ノンリコースローンは合理的?
WSJが、「Lingering Bad Debts Stifle Europe Recovery」(いつまでも残る多額の負債が欧州の景気回復を抑えこんでいる)という記事の中で、下のグラフを乗せています。
一番左は、2008年の金融危機を挟んだ各国の不動産価格の推移。
どこも概ねピークの3~4割レベルに落ちていますが、アメリカがいち早く底を打って上昇に転じているのが目に付きます。
真ん中のグラフは、住宅ローンが可処分所得の何倍あるかを示しています。
オランダが250%、アイルランドが200%と高止まり。
アメリカはユーロゾーンの100%よりは高いもののピークは低く、減少傾向です。
右は、2002年以降の家計支出の変化の割合(インフレ調整済み)。
このグラフでは、アメリカの回復振りが顕著です。
WSJは、住宅ローンに関する欧米の違いが、回復の差をもたらしたと言っています。
アメリカの住宅ローンは原則ノンリコース。
返済できなくなったら鍵を返してサヨウナラ。
無論ブラックリスト入りですが、ともかくゼロから再出発。
欧州は、日本と同じで負債は人に残るのが基本。
オーバーローンが消費支出を抑制する「家計のバランスシート不況」といったところでしょうか。
米国方式は、担保物件が一気に市場に現れて市況を極度に悪化させる要因にはなりますが、ダラダラと不良債権を残すよりは市場原理と政府支援の低金利で素早く処理。
貸し手にも責任を負わせようとする仕組みは、いかにもアメリカ的合理主義という感じがします。
日欧で、個人にノンリコースローンが広まる可能性はあるでしょうか。
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