「浜岡原発耐震不正問題」 東京大名誉教授 纐纈一起 本当に過小評価したのか 早く具体的な説明を

中部電力浜岡原発3、4号機(静岡県)の原子力規制委員会による審査で、耐震設計の目安となる「基準地震動」を意図的に過小評価したと中部電が発表して規制委に報告し、大きな問題となっています。
地震動とは地震による揺れのことですが、本当に過小評価したのか、どうやって行ったのかについての具体的な説明がなく、規制委の調査に期待するしかありません。
一方、規制委の山中伸介(やまなか・しんすけ)委員長は記者会見などで、こうした不正を科学的に見つけることは困難だと繰り返し強調しています。これを見つけるために、審査の過程で規制委も基準地震動の作成を行うべきです。

原発が再稼働するためには、2013年に規制委が決めた基準に合っていると審査で認められる必要があります。基準地震動による力でも安全機能が損なわれる恐れがないと示すためです。
審査では、基準地震動は、政府の地震調査委員会による手法(レシピ)に基づいて計算する地震動であることが前提になっているようです。
レシピは、揺れのうち、ゆったりとした揺れは地震学の理論に基づいて計算し、素早い揺れは「統計的グリーン関数法」で計算して、両者を合成するとしています。中部電は、統計的グリーン関数法の計算を巡って不正をしたというのです。
計算の方法は、レシピが引用する京都大の釜江克宏(かまえ・かつひろ)さんらによる論文に書かれています。それによれば、まず素早い揺れのスペクトル(振動数ごとの強さや位相)を計算します。位相は波形のずれという意味です。

強さの計算には理論的に得られた式を用いますが、位相の計算にはそうした式がないので、でたらめにずれていると考え、数字がでたらめに並ぶ乱数を用いて計算します。得られたスペクトルを揺れに変換するのが統計的グリーン関数法です。
乱数は、最初の数字(初期値)をコンピューターに与えて作ります。初期値が変わると乱数も、計算結果も変わります。釜江さんらの論文では、20通りの初期値を与えて20通りの揺れを作り、その強さのスペクトルが理論的に得られた式に近い揺れを選んでいます。

規制委への説明によると、中部電はこれとほぼ同じ方法を用いています。揺れの選び方が多少異なりますが、大差ないと考えてよいでしょう。
公表された説明資料によれば、18年以前は「20組の地震動とその代表波」のセットを多数作成し、「一つのセットの代表波」を選定していました。20組の地震動は20通りの揺れ、代表波は選ばれた揺れのことです。
中部電も釜江さんらの論文を参照していますが、この方法は多数のセットを作ることを禁じてはいません。不正かどうかにとって重要なのは、どういう基準で一つを選んだかですが、明らかにされていません。

同じく18年ごろ以降、中部電は意図的に「平均に最も近い波ではないものを代表波」として選び、この波が平均になるような残りの19組を選んで「20組の地震動とその代表波」のセットを作成したということです。
こうなると、20通りの揺れの作成と代表波選択の順番が逆転しており、不正の度合いは格段に高いと言えますが、やはり選択の基準は明らかにされていないのです。


































