2025年リリースの聴いてよかった音楽を紹介します

わたくしめちゃくちゃに音楽が好きなのですが、好きであることは必ずしも研究熱心であることを意味しておらず、新しい音源の発掘は配信サービスのレコメンド頼りという受動的な態度で聴くようになって久しいです。人々がChatGPTの優しい応答に依存しバージョンアップに伴う性格変更に暴動を起こすようになるはるか以前から、僕はよりクラシックなAIであるところの機械学習によるレコメンドエンジンに支配されているわけです。何ならサブスク音楽配信が始まる前から、Amazonの「これを買った人はこれも買っています」でCD買ってましたからね、俺。AI操られの先駆者なので。

で、そういう聴き方をしていると新譜情報に疎くなるんですが、たまたま今年ひさしぶりにわりと新譜を聴いた気がするので、2025年リリースのよかった音源を書きたいと思います。
みんなに聴いてほしいと思って書いてるので気になるのがあったらどんどん聴いてくれ…!!

※追記:Spotifyのプレイリストも作りました。ここから聴いてね(Spotifyに入ってない曲は入れてません!)

2025年のベスト3

まずダントツで聴いた3枚のアルバムから。

『amor de encava』weed420

これ今年一番衝撃を受けたアルバムです。こんな音楽あるのかよと思って。聴いたことのない音。ベネズエラのグループらしいです。
個人的にはダンスホールレゲエをベースにズブズブにサウンドコラージュした先鋭的な音楽(ダブともまた違う)という印象を受けましたが、でもレゲトンとかラテン、懐かしのデジタルクンビアみたいな雰囲気もある。……といろいろ並べ立てることもできるんだけどとにかく聴いたことない音楽なのでとにかく一回聴いてほしいです。
元々たまたま見かけた「Epic Collage」というジャンルの解説記事から知ったんですけど、ここで紹介されてる他の音源と比べてもやっぱり唯一無二という感じがする。
おすすめのトラックは2,3あたり。

『!OK!』Khadija Al Hanafi

シカゴ発のフットワークっていう音楽ジャンルがあって、たしか盛り上がってたの2010年代くらいで、なんか速くてリズムマシンのスネアをやたらババババって細かく刻むダンスミュージックというイメージでした。
でこのアルバム聴いたとき1曲目とかすげえメロウでしっとりしてるし、たまたま最初に聴いたのが12曲目でハウスっぽい始まり方なので、なんかハウスリバイバル的なやつなのかな……とか思ってちゃんと調べたら、これが最新のフットワークだということがわかり度肝抜かれました。そしてそう言われると完全にフットワークでした。でももはやリスニングミュージックとして普通にめちゃくちゃ良い。スネアをババババでリスニングミュージックできるのかよまじかよと思って。チュニジアの人らしいです。
トラックでいうと1がなんだかんだ良いのと、12はおもしろいのでぜひ聴いてほしい、19あたりも新しいフットワークという感じがして分かりやすいかも。

『Past Future Present Memory』Hunter Van Brocklin

これはSpotifyにないのでBandcampで聴いてください。
最近ゲーム音楽っぽいのが好きで、といってもいわゆる8bitなモロのチップチューンじゃなくてもっとPCインディーゲームみたいな(主語がでかい)やつ、ピコピコしてシンセ感はあるけどしっかり表現の幅がある感じのやつ、わかりやすい例でいうとUndertaleのサントラとか。そういうのを聴きたくていろいろ漁ってたんですけど、現状のベストがこれ。適度にピコピコしてて適度にハイファイで、適度にエモい。これは本当に最高。米国ポートランドでブラウザゲームのサントラとか作ってたキャリアの人っぽいです。
こういう音楽はなんて言ったらいいんでしょうね。シンセウェーブともちょっと違う気がするし、ネオ・チップチューンと呼んでる人もいるっぽくて個人的にもしっくり来るんだけど一般的ではないと思う。一般的になってほしい。
おすすめは1。4も好きだな~。

2025年のよかったアルバム

つづいて、他にアルバム単位で良かったやつをいくつか紹介します。

『鯨』有田咲花


※Spotify課金してない人用YouTube Music

ド年末の12/19くらいにこの人のことを知ったのですが、ていうかおととい初めて聴いたやつを年間ベストに挙げるなよという感じですがそれは置いといて、この人とにかくまじで尋常じゃない才能の溢れを感じるんですよ。本当にやばい。中村佳穂を初めて聴いた時と同じインパクトがありました。
この人に関してネットにはぜんぜん情報がなくて、検索してみると椎名林檎っぽいと言ってる人がけっこういるのですが、椎名林檎からロックを引いて宅録やってる感じというのはわかる、しかし個人的にはキセルを思い出すんですよね。ラスタ抜きの日本の宅録ポップとしてのレゲエ。だからフィッシュマンズとか好きな人にも響くと思う。けどなんでもいいから全員聴いてほしい。
6曲目がレゲエ感含めてとにかく好きですが4の宅録感も好き。あともう一枚「鴎」っていうアルバムも今年出てるのであわせて聴いてほしい。

参考)キセル初期の名曲。25年前!?!?!?!?
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『Orbits』The Circling Sun

ニュージーランドのスピリチュアル・ジャズバンド。ファラオ・サンダースとかサン・ラとか好きな人(俺、俺!)は絶対良いので絶対聴いてほしい。
逆にスピリチュアルジャズにあんまり馴染みがない人も効きやすい(誤変換だがこれでいい)キャッチーなアルバムだと思う。スピリチュアルジャズっていうのは鈴が鳴ってるジャズのことです(雑)。大所帯になってくると合唱が入りがちで恍惚感高め。
1曲目がかっこいい感じで始まって2でグルーヴィーに、3でわージャズってこんな平和で美しい曲もあるんだ、と思いながら聴いていくと7でずぶずぶにスピっていくので這い上がれなくなってほしい。

『Under a Familiar Sun』 The Vernon Spring

夢みたいなふわふわした音楽聴きたかったらこれをぜひ聴いてほしいんですよね。あるいは水の中に沈んでいくような感じもある。優しくて没入感があって幽玄。そして美しい。
なんかアンビエント的な音響の美しさと、ポップミュージック的な音楽としての美しさが両方あるという感じがする。そういう稀有なアルバム。
全曲いいけど個人的には1がおすすめ、再生回数の多い11もすごくきれいな曲。

『Who's Keeping Score?』 Twin Brother


※Spotify課金してない人用YouTube Music

この人はたぶんぜんぜん有名じゃない人で、シアトルで地元のバーとかで演奏してるジャズベーシストが出したアルバムっぽいです。こういうアルバムに急にパッと出会えたりするのがレコメンド聴きの面白いところだと思う。ジャケ買いがなくなった時代に現れた新たなハプニング性というか。
1曲目とかはかなりジャズなんですけど、たまにしっとりしたドリーミーな曲があったり、その中間があったりとちょうど良い。Domi & JD Beckっぽさもある。好きなんだろうな。
おすすめはジャズっぽい12とドリーミーな7。

『REAL JUNGLE3』Hopper1000

フロリダのジャングリストです。
結局俺が一番好きなのはジャングルなのかもしれん、と思いながらつねづね生きているのですが今年たまたま見つけたのがこれでした。90年代に濫造された雑なコンピ盤みたいなアートワークも最高。音も全体にブートレグ感というか、勝手Mix感があっていいんですよね。意外とラガっぽくなくて、曲によってはむしろドラムンベース感あるやつとかトラップっぽいのもあったりするのですが、ちゃんと90年代前半のジャングルのあの空気感もある。おすすめです。
個人的に好きなのは3、ジャングルらしさという意味では1かな。

『テーブルテニスのゲームのレフィル』諭吉佳作/men


※Spotify課金してない人用YouTube Music

これはなんて言っていいのか全然わかんない。アコースティックな音色中心の室内楽?みたいな感じなんですけどストリングスとか打ち込みっぽいしクラシック音楽の空気感とは明らかに違う。じゃあ何かっていうともしかしたらゲーム音楽とかに近…くはなくてそういうエンタメ感はなくもっと凛としてて、現代的というか前衛的な感じもある。でも全然難解じゃなくて普通に聴けるポップさがある。でもやっぱ変ではある。そんな感じ。
今年、竹村延和の新譜がすごい久しぶりに出てやベーって感じになったのだけど、あれとこれが同じ年に出たのけっこう面白くないですか?
アルバム通して聴いてほしい感じなのでおすすめ曲は選ぶの難しいですが、強いて言えば9かな。4もわかりやすく良いかも。


2025年のよかった曲

つづいて、シングルだったり、アルバムの中でも曲単位で良かったやつをいくつか紹介します

『pa!』 SEE

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Spotifyが出してくる今年のまとめあるじゃないですか、一番聴いた曲の1位と5位がこの人だったんですけどどっちも過去曲だったので、2025年リリースの中からこの曲を紹介します。
この曲なんで好きなのかなーって考えたんですけど、歌モノのポップミュージックの好きな曲に理由とかあります?「この曲が好きだから」しかなくないですか!?+自分、めちゃくちゃ2STEP好きなんですよねのダブルでした。

ちなみに過去リリース含めると一番聴いたのはこれです。

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『Disarray』Lianne La Havas

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Lianne La Havasはイギリスのシンガーソングライターなんですけどたぶん俺は音楽家に限らず万物の中でLianne La Havasがいちばん好きかもしれない。ここ5年くらい共作以外でのリリースが無かったのですが、待望の新曲が今年出ました。
のびやかながらも少しハスキーな声に甘いギターの音色。純粋にLianne La Havasらしさ、良さを満喫できる一曲だと思います。
シングル出たということは来年あたりにアルバム出るかもしれないと思うと楽しみです。
この人を初めて知って気になった人は、コロナ禍の時期に自宅で収録されたTiny Desk (Home) Concertも見てみてください。

youtu.be

※こうやって2025年リリース曲の紹介エントリなのになにかとこじつけて過去の曲を貼るのをリリース年ロンダリングと呼んでいます。


『Taka』 Pino Palladino + Blake Mills ft. Chris Dave

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ベーシストのPino PalladinoとギタリストのBlake Mills、ドラマーのChris Daveのセッション。めちゃめちゃかっこいい。
最初フルートが入ってるのかと思ったらこれフレットレスギターの音?っていうことなんですよね?不思議。
派手な飾りつけのないタイトなグルーヴが続く4分なんですけど、なぜかカラフルでいろんな景色が見えてくる。これアルバムで聴きたいなーと思ったら8月にアルバムも出てたらしいです。あとで聴こ。


『snooze (intermission)』 chuuisinsane

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わりと安っぽい打ち込みサウンドなんですけどなんかずっと聴いてしまう、それでいて「耳について癖になるメロディ」って感じでもなくてわりと爽やか、でも結局癖になってくる、みたいなソフトドラッグ系の曲です。「もうなんかこういうのでいい」、と言いながらずっと聴いてました。
これマジで全然情報がなくて何なんだよと思ってたんですけど、これ書くにあたって執拗に調べたところどうもRobloxにuntitled farming gameっていうゲームがあって、そのサントラのCrush Outという曲をchuuisinsaneというアーティストがカバーしたものらしいです。
このエントリでも何度かゲームミュージックという言葉が出てきてますけど、個人的に今年はわりとゲームミュージックがテーマだったなーと思います。


『⎋ⁱ̴̴̴≮̸̸̴⨦̷̶̷⟁̶░̴̷.̵̐͝⟆⟟ⷙ̶̸⚚⍜⛀⍦꙰』 AQUASINE

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同じような感じでゲームミュージック的な音楽としてよく聴いてたのがこれ。でも、どうも特になにかのサントラとかいうわけではないっぽいんですよね。使われているすべての音色の中でメロディの音色が一番チープというのが最高。
あんまりこういう界隈が話題になってるのを聞いたことがないのですが、例えばSpotifyでこの人「AQUASINE」を検索してアーティストラジオ聴くとこういう曲作ってる人がたくさんいることがわかります。それを漁るのが楽しい一年だった。


『CURSE』 METAROOM

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で、なんかそれと隣接した、あるいは半分かぶってるくらいのところにこういうガチャガチャした、なんていうんだろう、ブレイクコア?みたいな音楽をやってる人たちがいるっぽくて、そういうのもかなり良くていろいろ聴いてました。
このへんは基本シングルリリースみたいで、しばらく掘ってるとSpotifyのニューリリースのところに勝手にしょっちゅう上がってくるようになるので良い感じです。

ちなみにこの曲のMETAROOMと、一つ上の曲のAQUASINE(とあと2人)が一緒にやってる曲があって、これは2024年リリースなのですがかなりいいのでついでに聴いていってください。またロンダリングが。

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『Get Loose』 Cheetah, Nia Archives

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Nia Archives、Cheetahともにイギリスのジャングリスト。Cheetahの方はこの曲で初めて知ったのですが、Nia Archivesはちょっと前からすごい好きで。今年はPinkPantheressのRemixとかもやってたりしてスター性があって、メジャーシーンにおけるジャングル・リバイバルの動きをけん引してくれている存在と言ってもいいと思います。
面白いのは、Nia Archivesは「EQ50」という、ドラムンベースにおけるジェンダーの不均衡を是正するための団体から輩出されたらしいんですよね。そんなところまでジェンダーイコールの波が、と思ってちょっと意外に感じたんですけど実際こうやって女性スターが出てくることでシーンが盛り上がっている。さっき触れたPinkPantheressにしてもドラムンベースリバイバルの中で重要な役割を担った印象があるし(あんまり詳しく知らないけどたぶん)、もともと男性中心だったジャンルに新世代の旗手として女性が出てくるとただの蒸し返しではない新しい印象があり、男女問わず活躍できることがシーンをエンパワーメントしていく流れは確実にあるなと思いました。


『白か黒かは、言わない』 牛蒡と鰯

ごめんなさい今年リリースの誓いを破ります。だって完全に今年のだと思ってたから……。
というわけでこれだけ去年の10月リリースです。
山岳を思わせる重厚なサウンドとタムの乱打を特徴とするGORGEというジャンルを提唱するGORGE.INというレーベルからのリリースなのですが、めっちゃくちゃに重いサウンドのうえで女性ヴォーカルがちょっとアイドルっぽいというか、一見トラックと全く不釣り合いな感じなのですがそれがすごく良い、なんか単純に「ギャップ」という言葉では言い表せない組み合わせの妙を感じました。
アルバム枠で紹介してもよかったな。他の曲もいいのでぜひ。
これもSpotifyにないのでBandcampで聴いてください。


『花弁、それにまつわる音声 / 初音ミク』 あばらや

去年の年末くらいから急にボカロを聴き始めたんですけど、サウンド全体としての面白さを見たときにこの人が頭一つ抜けてる印象があります。すげえかっこいいんですよね。
でさあ、オタク音楽っていうことで見たときに、片や日本にはボカロがあって、海外にはvaperwave~future funk~なんとかコアみたいな流れがあるじゃないですか。ただ同じオタク音楽でもその2つの流れってあんまり交わってないように思える。その中で両方のいいとこどりをしつつ発展形を紡いでるのがこの人という感じがしています。で、やっぱりボカロって本質が歌ものポップスだから、こうやって融合したときにポップミュージックとしての底力がすごい効いてくるなという印象があって。これは名曲です。


『反実夢想 / なみぐる feat.可不(KAFU)』 なみぐる

それで、そういういろいろ語りたくなる音楽もほんと最高なんですけど、そうじゃない、さっきも書いたけど『歌モノのポップミュージックの好きな曲に理由とかあります?「この曲が好きだから」しかなくないですか!?』部門のボカロナンバーワンがこれでした。いい曲~。めちゃ聴きました。
※ごめんこれなんか全然勘違いで2021年の曲でした。めちゃ聴いたのはほんとなので消さずに残しておきます。

ほんとはまだまだ紹介したいものがあるのですがきりがないのでこの辺で!
紹介した曲を収録したプレイリストも作ったので作業用BGMにでもしてください。(Spotifyに入ってない曲もあるので全曲ではありません)

おまけ

たのしい電子工作動画の新作をアップしたので見ていってね!

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もうひとつおまけ

使ってよかったイヤフォン×2も紹介します。どちらも案件記事ですが普通にめちゃ良くて愛用してます。
nomolk.hatenablog.com
nomolk.hatenablog.com