作品作りにおいて、「ごまかし」や「はったり」は大いに素晴らしい
要素です。
例えば、往来で悪事の真っ最中の悪人たちの頭上から、「待てッ!」と
ヒーローの声が響いてきたとします。が、舞台は街中だったはずなのに、
声のする方を悪人達が見上げると、いきなり断崖絶壁の端っこから
ヒーローが見下ろしていたり…こんな光景は良くあると思います。
あるいは、野球マンガで投手が渾身の決め球を投げる際、いきなり
背景に炎が噴き上がり、空に暗雲が立ちこめたりします。ボールだって
空中でお餅みたいにひしゃげて、何十秒も滞空したりもします。
球場で試合中にそんな怪現象が実際に起きたら、即刻コールドゲームに
なるでしょう(笑)。
映像作品では、こういった「はったり」の「でたらめ」が素晴らしい
劇的な効果となりうるのです。演出で盛り上げるのに、「ウソ」は
強力な武器になります。
理詰めで正確で正しい、論理的なキチッとした作風も良いですが、
作品を盛り上げる為には、そういった正確さ、整合性といったものを
あえて無視して、理屈に合わない無茶苦茶なごまかしやインチキを、
堂々と観客に叩き付けて見せる事も時に大事なのです。
作品が「正確」「理論的」であっても、その為に盛り上がりに欠けて
しまうようであれば、本末転倒です。正確であるよりは、ウソでも
ごまかしでも良いから「説得力」があった方が、より客をノせられます。
客を説得・納得させるため、時には「正確さ」よりも「凄み」「力強さ」
が優先されます。作り手から押しつけられたモノが、例え理屈無視の
メチャクチャのごまかしでも、作品を鑑賞しているその場で納得させ
られるだけの何かすごいモノさえあれば、客はそれで大満足出来ると
いうものです。
けれん味がある作品だと、見ている最中はワクワクドキドキ出来ても、
後から冷静に考え出すと、アレ!?何だいありゃといったツッ込みどころ
がどんどん出て来たりします。でもそれで良いのです。学術理論記録では
なく、創造作品なのですから。