個人開発者でも商標申請した方が良い理由
個人で開発したサービスが軌道に乗り始め、長い苦労がようやく報われた…😭
そんな時こそ商標登録がおすすめです。
商標登録の利点
同名や類似名称サービスの登場を防げる
サービスが成功し始めると二匹目のドジョウ狙いや、あわよくば勘違いしてダウンロードしてもらおうと誤認されやすい見た目と名前のサービスが現れることがあります。
Youtubeや Google Play、App Store のように企業が運営するプラットフォーム上の場合、流石に全く同じ名前なら対応してもらえるとは思いますが、例えば Google Play だけで出しているアプリの偽物が App Store に出ても対応してもらえる可能性は低いでしょうし、問い合わせを機械が自動的に処理するようなところだとどうなるか分かりません。
商標を取ると特別対応をしてもらえたり、専用のフォームから申請できたりするようになります。
Webサービスをお作りになっている方も、自分のサービスの偽物のスマホアプリを勝手に作られるのを防げるので効果があります。
また、もちろん偽物のサービス運用元を直接訴えれますし、損害賠償も請求できます。法的に守られるのは心強いですね。
商標は画像も登録できるので、アイコンやロゴも保護できます。
商標申請だけでも効果がある
商標登録は審査があるので取れないこともありますが、商標申請をすると「先願権」が発生します。
これは他の人が同じ名称の商標を申請しようとしても、既に審査中のものがあると却下される仕組みです。
また、申請が受理された後は特許情報プラットフォームに載るため、他の人にも申請したことが分かりやすく伝わります。
審査は人の手で行われるため、審査期間はまちまちですが、本やネットに書いている限りでは5〜9ヶ月くらいが多いようです。
自分の場合は8ヶ月くらいが多かったです。
つまりその期間「この名称は商標申請中でっせ!」と牽制できます。サービスが伸び始める段階における約半年って大事ですよね。
ちなみに「商標早期審査」というものがあり、特別に審査を早めてもらうことも可能です。
自分はしたことが無いので詳細は分かりませんが、既に第三者に名称を使われ始めているなど緊急性があると判断されると受理されやすいそうです。
商標申請するだけなら簡単
商標申請と聞くといかにも大変な手続きが必要に思いますが、実は申請自体はお手軽です。
公式の説明はこちら(特許庁)
商標申請に必要なもの(書面での申請の場合)
申請内容を印刷した紙
所定のフォーマットで名称、申請する区分(基本的にアプリは「第9類」、Webサービスは「第42類」です)を書いて印刷します。
いくつの区分で申請するかにもよりますが、一区分だけならA4一枚で済むことも多いです。
商標申請の方法は個人事業主向けの解説本もあるので、それを読みつつ書けばサービスの利用規約を作るより簡単だと思います。
原則全角なところや「、」「,」の使い分けにはご注意(一箇所間違えて5000円ちょい追加で払ったことあります)
封筒
特許庁長官宛てに送ります(東京の霞ヶ関)
申請費用
出願にかかる費用分の特許印紙を郵便局で買って貼ります。見た目は切手です。
出願料は
- 3400円
- 8600円×登録する区分数
- 電子化手数料2400円
- 電子化する枚数×800円
です(公式から抜粋)
なので申請だけでも最低1万5200円かかります(+簡易書留の送料)。
電子申請だと少しお安くなりますが、かなり大変そうだったのでしたことはありません。
最終的に審査が通ると、登録するのに追加で3万2900円×登録する区分数かかります。結構高い…。
こちらは半年以上後の支払いですし、10年有効なので年3290円と考えるとドメイン代くらいではありますが。
まとめると、所定のフォーマットでWordなどで書いたものをA4の用紙に印刷し、特許庁宛の封筒に入れ、
郵便局で「特許印紙◯円分くださーい」と言って買い、それを貼った後に送るだけです。
(書留か簡易書留での送付が推奨されています)
とはいえ、商標が通りやすくなるノウハウや、商標を保護してもらいやすい書き方、申請を拒絶された後に再審査してもらうための効果的な意見書・補正書の書き方など、専門家(弁理士)でないと分からないことも多いので、専門家にお願いするのが一番安全ですね。
商標が取りづらい名称
既に類似の名称が登録されている
既に似た商標が登録されている場合、拒絶される可能性があります。
同じ名称でも登録区分が異なれば認められる場合もありますが、類似性の判断は難しいため、類似する商標が0件でない限り、やはり専門家に依頼するのが安全です。
名称が一般的すぎる
いわゆる「普通名称」と呼ばれるものですが、没個性的な語の組み合わせ方であり、見た人が誰でも一つの意味にしか受け取れないような名称は商標登録できません。
例えば「シンプル◯◯」という名称。これはほとんどの場合「シンプルな◯◯」としか解釈できませんよね。
同様に「◯◯検索」も、大抵は「◯◯を検索する」という意味にしかならないので審査に落ちやすいです。
ところが、例えば「シンプルサンプル」という名称だと通るかもしれません。多くの人が「『シンプルなサンプル』って何?」となるためです。
「ひょっとしたら『シンプルにサンプル』や『シンプルでサンプル』という意味かも」と言われたら(確かに…)と思ってしまいますよね。こうなると普通名称ではないと判断される可能性が高くなります。
「◯◯検索」も、「◯◯パパッと検索」など個性が加われば通る可能性が高まります。
注意点
商標は日本でのみ有効
日本の商標は日本で展開されているサービスにのみ効果があります。
もちろん海外の人に真似されたとしても、日本のアプリストアや動画サービスで出されたら防げるので安心です。
海外でも守ってもらうには商標の国際出願(登録されているものはこちらで検索できます)か、その国や地域での商標登録が必要です。
名前と住んでいる地域が公開される
会社などの法人の場合は団体名と登記された住所になるのですが、個人だと氏名と住んでいる地域(都道府県と市町村)が登録され、誰でも見れるようになります。
アイデアは保護されない
商標登録で保護されるのはあくまで名称のみなので、名前は全く違うものの内容はそっくりなサービスに対しては効果がありません。
区分が二つあるのが悩ましい
前述した通り、スマホアプリやPCソフトなどのダウンロードするものは「第9類」、Webサービスなどのオンラインサービスは「第42類」なのですが、一つだけ取るのか両方とも取るのかは難しいところです。二つ取るとお値段がほぼ倍になりますからね。
Webサービスであっても一時的とはいえダウンロードしている訳ですから「第9類」で保護されるのでは〜?といつも思うのですが、素人考えは当てになりません…。
一つだけでも効果は大きいと思いますが、心配な方は二つ取った方が無難でしょう…💸💸
まとめ
商標登録はそこそこお金がかかりますが、自分のサービスのそっくりさんによって利用者や信頼が失われることを防ぐ大切な制度でもあります。
特にこれから成長していく段階のサービスにおいて重要なので、心配な方は是非ご検討ください。
まあうちは商標登録する人が増えても何のメリットの無い会社なんですけどね(´・ω...:.;::..
(最近バズったサービスのパクリが速攻で現れる事件がタイムラインに流れてきたので勢いで書きました)
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