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なぜ食べログはGoogleによく出てくるのか? SEO対策を研究してみる。

2024/12/27に公開

飲食店を探すときに「地名 + ラーメン」「駅名 + 居酒屋」などで検索すると、上位に食べログのページが表示された経験は誰にでもあるだろう。なぜこんなにも食べログがSEOに強いのか、その理由を探ることで、私たちが運営するWebサイトにも活かせるヒントが得られるだろう。

本記事では、その具体的な手法や応用の方法など、初心者から基本的なSEO対策の知見がある中級者くらいの知識を身につけた人にでも学びがある内容を目指した。

ぜひとも、あなたのサイト運営やSEO改善に役立ててほしい。


1. ユーザーに有益な情報を提供する「仕組みづくり」がある

SEO対策のために遠回りに見えて最も近道なのが、ユーザーに価値のあるコンテンツを生み出すことだ。

Google の自動ランキング システムは、検索エンジンでのランキングを上げることではなく、ユーザーにメリットをもたらすことを主な目的として作成された、有用で信頼できる情報を検索結果の上位に掲載できるように設計されています。

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google for Developers

飽きるほど聞いたSEO 対策かもしれないが、結局この事実に勝るものはない。

食べログの大きな強みは、行ったことのない店舗でも点数や口コミを通じて飲食店の「良さ」を可視化出来るところにある。

点数が信用できないという声もあるが、ネット上で得られる他の情報に比べれば概ね信頼に足る指標として見なされているからこそ、多くの人に利用されているといえる。

さらに、食べログはユーザーが欲しい情報を直感的に得られるよう、検索や絞り込みなどの導線を整備している。

これが単なるSEOテクニックの実装だけではなく、 「ユーザーが有用と感じる仕組みづくり」 に重点を置いている証拠だ。
実際、ユーザーの利便性を高めることで口コミが増え、さらに検索結果で上位を維持している好例である。

SEOの細かいテクニックももちろん重要だが、最終的にはこうした ユーザーにとって有益な情報を提供する「仕組み」 が根幹となる。

検索エンジンはユーザーが求めているコンテンツを優先的に評価するとされており、その観点から考えると、食べログは長年にわたりユーザー視点の価値提供に成功してきたといえるだろう。

参考にできるポイント

  • 単なる「SEOハック」ではなく、ユーザーが本当に求める情報を届けることを第一に考える。
  • 点数や口コミといった指標に加え、ユーザーが欲しい情報(営業時間、メニュー、価格帯など)を整理して見やすく提示する。
  • 「ユーザー満足度向上 → 口コミや被リンク増加 → SEO効果アップ」の好循環を目指す。

2. ユーザー参加型コンテンツ (UGC) の強み

食べログの特徴的な強みの一つとして、ユーザーによる口コミや写真といったUGC(User Generated Content) が挙げられる。
これはSEO的に複数のメリットをもたらしている。

  • コンテンツの更新頻度向上
    毎日多くのユーザーが口コミを投稿するため、サイト全体の新鮮さが保たれ、クローラの巡回頻度も高まる。
  • ロングテールキーワードの網羅
    ユーザーが自然な言葉で書き込むため、自社では思いつかないようなキーワードまで拾える可能性がある。

参考にできるポイント

  • レビューやQ&A、掲示板などユーザーが気軽に投稿できる機能を用意する。
  • UGCに対するポリシーやガイドラインを整備し、スパムや低品質投稿を排除する。
  • レビューを構造化して検索結果でアピールできるようにする(後述の構造化データの章を参照)。

3. ドメインパワーの強さと被リンク獲得戦略

食べログは2005年から運用を開始し、長期間にわたり自然発生的な被リンクを大量に獲得してきた。結果としてドメインオーソリティ(ドメインパワー)が非常に高い。
そしてGoogle検索セントラルでも言及されているとおり、被リンクは依然として検索エンジンにとって重要な評価指標だ。

  • 長期運用によるドメイン評価
    運用期間の長さに伴い、メディアやブログなどから多様なリンクが集まり、リンクプロフィールが自然に形成されている。
  • 質の高い被リンクの獲得
    実店舗や個人ブログ、ニュースサイトなど、多種多様なジャンルから引用されているため、リンクの質と多様性が高い。

参考にできるポイント

  • 長期的な視点でコンテンツを充実させ、自然にリンクが貼られる仕組みを整える。
  • SNSやキャンペーン、プレスリリースなどでサイトを効果的に露出し、被リンク獲得を促す。
  • Google Search Consoleでリンクレポートを確認し、低品質なリンクの否認(Disavow)も検討する。

4. ディレクトリ構造とクローラビリティ

食べログのサイト構成は、都道府県 → エリア → ジャンル → 店舗 といったわかりやすいディレクトリ構造になっている。
これは数百万単位のページ数をクローラーがスムーズに巡回できるように設計されている証拠でもある。

ディレクトリ構造の重要性はGoogle検索セントラルでも触れられており、ディレクトリごとにクロール頻度を変更するよう学習されていることが示唆されている。

数千以上の URL を含むようなサイトの場合は、サイトの構造が Google によるクロールとインデックス登録の動作に影響を与えます。特にディレクトリ(フォルダ)を使って類似のトピックをまとめていると、各ディレクトリ内の URL が変更される頻度を Google が学習しやすくなります。

Google 公式 SEO スターター ガイド | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google for Developers

  • URLの階層が明解
    例: https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/ のように、都道府県・エリアがディレクトリで示されている。
  • 内部リンク最適化
    関連店舗や人気ランキング、口コミページなどへ適切にリンクが貼られており、サイト内回遊がしやすい。Googleがユーザーの滞在時間に類似する指標を重視しているのはGoogleの各種リークからも明らかである。

参考にできるポイント

  • サイトマップ(Sitemap.xml)やパンくずリストを整備してクローラーとユーザー両方に配慮する。
  • 深い階層のページにも適切に内部リンクを張り、孤立ページをなくす。
  • ユーザーが使いやすく滞在時間が伸びるように関連コンテンツや内部リンクによる適切なナビゲーションを行う。
  • ディレクトリ構成は最初にしっかり設計し、ジャンルやエリア分けを明確にする。

5. サイドバー条件リンクと自動生成ページの活用

食べログの店舗一覧ページを見ると、「デート」「禁煙」「家族・子供と」「オシャレな空間」などの条件がサイドバーにリンクとして用意されており、そこをクリックすると条件に合致する店舗だけが表示されるページが自動生成されている。

食べログのサイドバー例

そして、【個室あり】渋谷でおすすめの居酒屋をご紹介! | 食べログのように「地名 おすすめ 居酒屋」といった多くの人に検索されやすい単語、いわゆるビッグワードでタイトルや見出しが生成されるケースがある。

このように、サイドバーの条件を内部リンク化し、特定の条件ページが自然言語のようなタイトルや見出しを自動生成する設計は、以下のようなSEO効果をもたらす。

  • 複合キーワード対策
    「エリア + ジャンル + 条件(個室あり・飲み放題・夜景など)」といった複合キーワードに自然に対応できる。
  • 内部リンクの強化
    サイドバーからのリンクを通じ、クローラーがそれぞれの条件付き一覧ページを容易に発見・インデックスできる。
  • 長期運用で蓄積される評価
    こうした条件でタイトルが変更されるアルゴリズムは、ユーザーが実際に検索する語句に一致する場合が多く、長期的に検索流入を獲得できる。

参考にできるポイント

  • サイト内で「ユーザーが実際に絞り込み検索しそうな条件」をGoogleキーワードプランナー等で洗い出し、内部リンク化しておく。
  • ページタイトルやh1タグでの見出しなどに条件を明示的に含め、検索意図と合致させる。
  • 自動生成されるページが重複コンテンツにならないよう、メタタグ(canonical)などの処理を適切に行う。

6. 構造化データ (Schema.org) の徹底活用

飲食店検索サイトにおいて、LocalBusinessRestaurant といったスキーマを活用し、営業時間や住所、口コミ評価などを構造化データで明示することは非常に有効である。
食べログもこうしたマークアップを実装しており、リッチリザルト(星評価など)が表示される場合があり、検索結果での差別化とクリック率向上を可能とする。

  • 食べログのリッチリザルト例
    食べログのリッチリザルト例

  • レビュー・評価のマークアップ
    aggregateRatingreview などのプロパティを使い、検索結果に星評価やレビュー数を表示する。

  • 営業時間や予約リンクの周知
    Restaurant スキーマ内の openingHoursmenuacceptsReservations プロパティを正しく設定する。

参考にできるポイント


7. Core Web Vitals とモバイル対応の重要性

食べログはスマホアプリの提供だけでなく、モバイルWebの最適化も念入りに行っている。特に、Core Web Vitals(LCP・INP・CLSなど)の指標は、近年のSEOで重視されている。

  • LCP(Largest Contentful Paint)
    主要コンテンツの表示が遅いとユーザー離脱につながるため、画像やCSSの最適化を徹底していると考えられる。
  • INP(Interaction to Next Paint)
    ボタンやメニューをタップした際の反応速度を高めるため、不要なアニメーションを抑制している。
  • CLS(Cumulative Layout Shift)
    広告や画像の読み込みでレイアウトが崩れないよう配慮している。

参考にできるポイント

  • LighthousePageSpeed Insightsでサイトのパフォーマンスを測定し、改善指標を得る。
  • レスポンシブデザインでスマホユーザーに最適なUIを提供する。
  • 大きい画像や外部スクリプトの遅延読み込みなどを検討し、ページ表示速度を最大限向上させる。

8. E-E-A-T観点から見た食べログの信頼性

Googleが品質ガイドラインで重視するとされるE-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)を踏まえても、食べログの戦略は有効だといえる。

  • Experience(実体験)
    多数のユーザーが実際に店舗を訪れた経験に基づいて口コミを書いている。
  • Expertise(専門性)
    飲食店検索・レビューに特化しており、ジャンルや価格帯などの情報が集約されている。
  • Authoritativeness(権威性)
    長い運用実績と幅広い利用者層を持ち、グルメサイトとしての認知度が高い。
  • Trustworthiness(信頼性)
    運営方針や利用規約の整備、店舗情報の更新精度などを通じて、ある程度信頼できるサービスとして認識されている。

参考にできるポイント

  • 運営者情報や問い合わせ先を明示し、ユーザーが安心して利用できる環境を整える。
  • 専門領域に特化したコンテンツを充実させ、サイト全体の専門性・権威性を高める。
  • 実体験に基づく口コミやレビューを集め、客観的な情報ソースを増やす。

まとめ

  1. ユーザーに有益な情報を提供する「仕組み作り」がある
    点数・口コミを通じて店舗情報をわかりやすく伝え、ユーザーが実際に欲する情報を体系化して提供している。

  2. ユーザー参加型コンテンツ(UGC)の強み
    ユーザー投稿の口コミや写真がサイトを常に更新し、ロングテールキーワードへの露出にも貢献している。

  3. ドメインパワーの強さと被リンク獲得戦略
    長期運用による自然な被リンクの蓄積と多様なリンク元によってドメインオーソリティを高めている。

  4. ディレクトリ構造とクローラビリティ
    都道府県 → エリア → ジャンル → 店舗 のように階層を明確化し、内部リンクでクローラーとユーザー双方の回遊性を向上させている。

  5. サイドバー条件リンクと自動生成ページの活用
    「個室あり」「禁煙」などの条件を内部リンク化し、複合キーワードへの対策を自然に網羅している。

  6. 構造化データ (Schema.org) の徹底活用
    RestaurantLocalBusiness のスキーマを使い、リッチリザルト表示で検索結果の差別化とクリック率向上を狙っている。

  7. Core Web Vitals とモバイル対応の重要性
    ページ表示の高速化やスマホでのユーザビリティ向上を徹底し、近年重視されるパフォーマンス指標をクリアしている。

  8. E-E-A-T観点から見た食べログの信頼性
    ユーザーの実体験口コミ、専門性の高い飲食店データ、長年の認知度による権威性などで、総合的に信頼度が高いサイトを構築している。

大規模サイトの施策をすべて個人サイトや中小規模のサイトが真似するのは難しいが、ユーザーが本当に欲しい情報を効果的に提供するという本質的な戦略はどのサイトにも応用できるだろう。

ぜひ、記事の事例を参考に、自身のサイトの構造やコンテンツの作り方を再点検してみてほしい。

本記事が、食べログのSEO戦略を理解し、自社サイトや開発したWebサービスを改善するヒントになれば幸いである。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


参考文献・リンク集

  • Google検索セントラル
    https://developers.google.com/search?hl=ja

    • 検索エンジン最適化やサイト管理のガイドラインが詳しく掲載されている。
  • web.dev
    web.dev

    • Googleが提供する「高速で安全なウェブサイトを構築できるよう」にするガイドライン。Search Consoleから警告される各種Core Web Vitalsの改善方法も掲載されている
  • Schema.org
    https://schema.org/

    • 構造化データを定義する公式サイト。RestaurantLocalBusiness などのスキーマを確認できる。
  • リッチリザルトテスト (Google公式)
    https://search.google.com/test/rich-results?hl=ja

    • 構造化データが正しく実装されているかテストできる。
  • PageSpeed Insights
    https://pagespeed.web.dev/

    • Core Web Vitals に基づくサイト表示速度の診断ツール。Lighthouseと併用して利用すると良い。
  • 食べログ等のカカクコム系の各種サイト
    https://tabelog.com/

    • SEOに強いカカクコム系のサイトから店舗ページやサイドバーの条件指定リンク、口コミ機能などの実装例を直に学ぶのがおすすめである。

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