プレッパーズ
プレッパー[Prepper]とは、prepare[準備する、備える]に由来し、「備える人」を意味する言葉です。自然災害やパンデミックなどで発生するカタストロフィー、更には現代文明の崩壊に備えて、物資の備蓄やサバイバル術や狩猟採集のスキルなどに取り組んでいる人たちの事です。その中には、世界の終末が訪れると本気で信じている人がいるのです。彼らは、その脅威に備えるライフスタイルが生活の一部になっているのです。
現在の日本にもそう言う人はいるのでしょうが、アメリカにはプレッパーが数百万人もいるとの事のです。実にアメリカ国民の1%以上がプレッパーなのです。
彼らはパンデミック、気候変動、地震、火山の噴火、核戦争、原発事故(メルトダウン)、金融危機、ハイパーインフレなどに至るシナリオを想定して、それに備えて準備しています。
文明崩壊後、すなわち現代社会のシステムが崩壊した後は、生産や物流は止まり、食料や日用品の購入は不可能となり、暴動、略奪、戦闘が起こるというシナリオを描いています。それに備えて、長い期間の食料・水・医薬品・N95マスクや隔離服を備蓄するだけではなく、自給自足で生活するための農場や家畜を所有したり、狩猟採集のスキルを磨いたりしています。更には身を守るためのサバイバル訓練、武器の扱い方を習ったりもしています。武器の備蓄もしています。
彼らの対策の中で興味深いものをいくつか挙げてみます。
先ず、遺伝子操作されていない在来固定種の種の備蓄です。自分で採種して何年も繋げていくことが出来るだけでなく、農地を持っていなくても、逃げていった先で蒔く事もできます。そして、お金に価値が無くなった崩壊後の社会では、物々交換に強く、貨幣代わりにもなるのです。
次に昆虫の飼育です。飼育や繁殖が楽で、タンパク源になるからです。
更に、食べられる雑草の知識を得たり、野生動物・魚を捕獲する練習も行っています。マッチやライター無しで火を起こす訓練もしています。
水は、大量に備蓄しているだけでは無く、井戸を掘ったり、汚れた水や尿を飲めるように濾過する装置を持っていたりします。
闘争に備えては、武器庫を充実させるだけではなく、プロから本格的な戦闘訓練を受けるプレッパーも少なからずいるとの事ですから、アメリカらしいと思います。
また、ペットを兼ねた番犬としての犬を飼うだけではなく、いざという時には、その犬を非常食にすると考えているプレッパーもいるそうです。
プレッパーズの興味深い取り組みは、まだまだ色々ありますが、このへんにしておきます。
ここで、プレッパーのスタンスについて述べてみます。
彼らは、政府などからの公的支援を当てにせずに、自力で生き延びることを信条としています。
政府やマスメディアを信じず、国際資本家を敵とみなす傾向が強いのです。だから、情報源も支配階級の力が及ばないローカルなラジオや身近なコミュニティ、そしてインターネットに頼っているのです。
ある程度経済的な余裕がなければプレッパーになるのは難しいと思いますが、富裕層とは限らず、国際資本家連中を敵とみなしているところが興味深いところです。この庶民的なプレッパー達は、アメリカの建国精神に基づいた抵抗権・革命権を主張するかのように、自分たちのコミュニティを自分たちで防衛しようと考えています。「自立と責任」という価値観を大切にしているのです。
このような庶民的なプレッパー達は、頭がおかしいとは思いませんし、嫌悪感もありません。寧ろ好感が持てるかも知れません。
しかし、彼らが敵とみなし、文明崩壊のきっかけを作ることにもなりそうな、国際資本家、大富豪のプレッパー達の準備は頂けません。
大富豪のプレッパー達は、人口が少なく、他者があまり侵入してこない孤立した場所、例えば森林やニュージーランドなどの広大な土地を購入して、食料や発電機や弾薬を備蓄しています。プライベートな消防士や奴隷に近い労働者まで雇ったりして備えています。さらには、食料供給網に、自分たちしか知らないロックをかけたり・・・かなりエゴイスティックな策謀をめぐらせています。
大富豪専用の避難シェルターとして、チェコには、世界最大の地下壕が建設されました。同じような施設がアメリカなどにも建設されています。
彼らには、近い将来起こりそうな、何らかのカタストロフィーの情報がもたらされているのかも知れません。彼らには、一般庶民よりも先に有利な情報を得て、自分たちだけ助かろうという匂いがぷんぷんします。
プレッパー達がプレッパーになったきっかけは、大恐慌、9.11同時多発テロや日本の3.11東日本大地震の津波や原発事故などのカタストロフィーの映像を観たことや、強盗被害や山火事被害、ハリケーンの被害などに実際に遭った事などがあるようです。
しかし、数々の陰謀論やカタストロフィーの情報が渦巻くネットからの情報がいちばん大きいのではないでしょうか?かなりの強迫観念を持ったプレッパーも多々いるようです。・・というよりもプレッパーになるような方々は、元々強迫観念が大きい方が多いのでしょう。
アメリカ以外にプレッパーがどのくらいいるかは分かりませんが、プレッパーの人数は今のところ、アメリカが断トツに多いようです。アメリカはそれだけ不安定な国になったのだと思います。そして、これから世界中に広まっていくように感じます。日本はアメリカに影響され易いので、日本でもそのうちプレッパーが多く現れる可能性は高いと思います。しかし、武装して戦闘訓練をするのはやめて欲しいと思います。アメリカのような暴力国家にはなって欲しくはありません。
瞬時のポールシフトを危惧しているプレッパーもいるとの事ですが、それこそ「杞憂」でしょう。そんな絵空事は起こらないでしょう。万が一そんな事が起こるとしても、備え切れるはずがありませんし、危惧しても仕方がない事です。流石にそんな人達は頭がおかしいと思います。
しかし、プレッパーは決して頭のおかしな人ばかりとは思いません。私も21世紀中に文明崩壊は起きる可能性が高いと考えています。少なくとも今回のコロナ禍よりはもっと大きな危機が世界に起こるでしょう。現代社会には、カタストロフィーや文明崩壊を引き起こす要因が多々あるからです。だからプレッパーが進めている準備は、杞憂とも言えず、ある意味先進的な取り組みやも知れません。プレッパーが沢山出現している現代社会は、終末に差し掛かっているのかも知れません。
<参考サイト>
Wikipedia プレッパー
https://ja.wikipedia.org/wiki/プレッパー
“世界の終末”に備える「プレッパー」という人々を知っていますか
https://note.com/minan_o/n/nb982fcdebe34
気候変動が生む、新たな「アパルトヘイト」
https://globalnewsview.org/archives/10390
アフターコロナの世界は「ミニマリスト」から「備蓄」の時代になる
https://president.jp/articles/-/34513
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