雑草の言葉

自動車というドーピング

2009/10/05
Economic Fascism 14
 便利なものって、依存症になってしまうものです。理性で考えれば使う必要のない場合にさえ使ってしまう場合が日常茶飯事です。現代社会はそんなもので溢れていますが、その大きな象徴の一つが自家用車ではないでしょうか。
 ちょっとした距離の用足しに自動車を使う人は普通にいます。距離にして、1km未満でも自動車を使う人は普通に沢山います。500mくらいでも自動車を使う人がかなりいます。
 直接自動車を持っていなくても、ちょっとした距離のところに家族などに送り迎えして貰うと言う事も日常の事でしょう。・・本人ならば1往復で済むところを、送る人が帰って来てまた迎えに行くものだから、結局2往復する事になります。・・かなりな無駄をみんな普通の事としてやっています。
 それならば、便利なようにもう一台車を買ってそれぞれ使えと言う事で一家に複数台自動車があるのも普通になってしまいました。田舎では、電車に乗るのに駅まで自家用車・・・と言う場合も日常の事になっています。通勤で電車を使う人が駅まで自家用車で送って貰ったり、駅前に駐車場を確保したり・・。鉄道会社もパーク&ライドと言うサービスを行っています。(・・・本来ヨーロッパなどで実施されているパーク&ライドとは違う感じです・・)

 自動車そのものばかりではありません。駐車スペースも必要になります。自動車通勤の場合、自宅(近く)と職場両方の駐車スペースが必要になります。それから、各施設・・・公共施設から、様々な小売店、サービス施設まで・・広い駐車場を確保しています。かなりのスペースと経費とが必要でしょう。その店を利用する場合、自動車で来た人も自動車を利用しなかった人も、間接的に駐車場の施設費も払わされている事になるのです。駐車場の面積のほうが売り場の面積より広そうな店舗も沢山見受けられます。・・・全国の駐車スペースは、現在使われている自動車の何倍分もあるでしょう。
・・そのスペースや道路を耕地にしたら・・・耕地でなくとも、そのまま草地や森林にしたら・・と思わずにはいられません。。実際来るべき食糧不足の事態では、駐車場を潰して耕地にしよう・・・という動きも出てくるでしょう。・・それに備えて、駐車場は、コンクリート等で固めず土のままで・・・と思うのですが、今どき舗装していない駐車場は珍しいでしょう。

 現代社会は、必要のない、環境破壊の商売で溢れていますが、自動車社会によって、それが加速された面がかなり大きいでしょう。自動車の普及と道路の整備によって、職場も遠くなり、営業エリアも拡大されています。免許証を持たなければ採用してくれない会社も沢山ありますし、車がないと成り立たない職業も増えました。こんな社会で、運転免許を持たない事や自動車を使わない事は、仕事をするのに同業者と比べて不利になる事が多いのです。【ドーピングしたほうが強い】娯楽も自動車を使って遠くまで行く人が増えました。・・・高速道路の無料化によって、無闇に遠くまで出かける人も激増しました。・・・その結果、移動の時間のほうが、実際に現地にいる時間よりも長いなどと言う事も日常茶飯事時の事となったでしょう。
公共交通機関の利用ならば、まだ時間を有効に使えると言うものです。
 
 一見便利な自動車と言うものを使い過ぎて、歩く量が減り、運動不足に陥り病気になる・・・なんて事も普通によくあることとなって来ました。まさにドーピングです。
 
 最近は若者の自動車離れも進んできた・・・と言う事のみ考察すれば、若者も利口になって来たといえるでしょう。そう、マイカーを持たなければかなりの出費を抑えられ、生活にもゆとりが出てくるというものです。自動車会社の派手なコマーシャルに踊らされずに、自動車というドーピングから解放されていくべきでしょう。・・・と言っても、個人には限界があります。政府も自動車会社優遇政策はやめ、エコカー減税とか補助金なんて全部廃止し、逆に贅沢品として税金を沢山掛け、高速道路も高くすべきです。また、公共交通網をしっかり整備すべきでしょう。
 庶民も、無闇に遠くに行くようなドライブのような娯楽は止めて、もっと有意義な事をしたほうがいいでしょう。・・・別に有意義でなくとも他に楽しくて、環境負荷の小さい娯楽も沢山ある筈です。



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Comments 14

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でなしNo.146

自動車がいらない社会へ…

私も通勤で車が必要なのでマイカーを持っていますが、この出費がなければ、相当自由になるお金があると思います。

ただ、やはり生活を営む上で車を持たないという状況は不利に働く事が多く、このあたりも行政が入ってでも是正する必要があると考えます。

(以前もお話があったと思いますが、車を使ってしなければいけないような仕事は本来必要性がない仕事がほとんどですよね^^)

近い将来、現在の社会体制では乗り切れない状況になった時に、仕方なく規制することになるのかもしれませんが、そうなる前に、時代の流れを見据えていろいろな対策を進めておくべきです。

2009/10/05 (Mon) 11:35

雑草Z

>自動車がいらない社会へ…

    でなしNo.146さん

 日本も第二次世界大戦後だんだんと社会に車をドーピングされて来ましたね。エンゲル係数ならぬ、自動車係数・・・出費に占める自動車関係の経費・・てかなり多いでしょう。

>車を使ってしなければいけないような仕事は本来必要性がない仕事がほとんど


そう、長い目で見れば、やらないほうが社会の為の場合が殆どですね。

>時代の流れを見据えていろいろな対策を進めておくべき

これまでの自民党政権には望むべくもありませんでしたが、民主党には多少期待出来るかとも思います。・・・でも高速料金無料化・・・などと言ってるようでは駄目ですね。

 しょうもないのは、政府もアメリカのような自動車社会になるのを容認するかのようにどんどんと自動車に優遇して来た事です。・・その結果社会も持続不可能になってしまいました。・・・自動車社会は持続不可能でしょう。・・その事については次の記事に書いてあるので、また鋭い洞察によるコメント期待しています。

 

 

2009/10/05 (Mon) 22:45

BEM

私は高速道路は個人的な理由で(^^; 地方などは部分的に無料化にして欲しいんで、、その他は全て大賛成です(笑)

如何に車を使わずに生活するかって思ったより簡単なんだって、最近自転車によるようになって感じています。
今思うと、こんな距離に車を使っていたのか! と驚くばかりです。
特に都市部だと、車も自転車も時間的にはほとんど変わりません。

また駐車場を舗装にするというのも、地面からの湿気が車に良くないとか聞いたことがありますが、それも舗装業者の営業でしょうか。
住宅部やほとんど通らない林道なんて土のままでも充分でしょうね。

車はやはりあると便利ではあるので、カーシェアリングのようなものをもっと増やして、車の絶対量を減らしていくべきでしょう。

これまで日本は若者でも気軽に車を買っていましたが、欧州では自動車保険が若年層は凄く高くて、古い中古車しか買えなかったと聞いたことがあります。
不況の要因があるとはいえ、若年層がスポーツカーを乗り回し事故を起こすという事例も減ってきて、車中心ではなく、身の丈にあった生活を考えられるようになったのは良いことだと思っています。

2009/10/06 (Tue) 00:37

guyver1092

若いころ車が大好きでした

 今は、それほどではありません。しかし、通勤等にあると便利なので所有しています。(田舎だと通勤時間が短くなることが多い)
 ちなみに私の個人的感覚によると、ドーピングというよりは麻薬という感じがします。(若いころを思い出して)
 むだに乗る人は確かに多いですね。私は時間に余裕があれば3キロ位なら歩きます。ちなみに25分かかりません。一生懸命練習しました。(減量のためです)

>政府も自動車会社優遇政策はやめ、エコカー減税とか補助金なんて全部廃止し

 そのとおりですね。するなら炭素を多く使った製品ほど税率が高くなるように工夫した炭素税等で全ての税金をまかなえばよいと思います。

2009/10/06 (Tue) 20:48

mao

若いころから(今もそこそこ若いですが)車は好きでしたが、
自転車で快適な社会が作れないものかとよく考えていたものです。
今でもその気持ちはありますが、現実問題として、
車からの脱却は難しいですね・・・。

世の中が持続可能な方向に進むための最有力候補は政治主導でしょう。
過去の記事にもあったように、今の社会構造では、
ドーピングしたほうが圧倒的に強いですから、積極的に変える力が
必要かと思います。そういう意味では高速道路無料化は論外ですね。

とは言え、家計が助かるなどと目先の事を考えてしまうのも人の性ですね。

2009/10/06 (Tue) 23:00

団塊おやじの遺言

つけが出来て・・

半世紀も前の事ですがその地域に様々な個人の商店が
在り豆腐屋さん雑貨屋さん等におかずの足りない時には
しょつ中 食事時に走らされました
今日はお金が無いから ツケでね・・その当時は地域で
殆ど人たちが顔で判り子供でも信用が有った様な気が・・
今は無き昔の思い出です 個人商店は消えました
そして信用貸しの風潮も・・もう隣や近所に誰が住んで
いるのか気にしない社会 バラバラの生活で何をしようが
お構いなし・・他人に迷惑を掛けては駄目よとか個人情報
とか 昔の人と人のつながりは見られませんね
遠い畑の真ん中に大手の巨大な店が出現し一見便利に見えるが
つけで買うなぞ出来っこ無い! 豆腐や納豆を買うのに車が
必要な社会に そして人を疑う社会に 懐かしいあの頃・・

2009/10/07 (Wed) 07:12

雑草Z

車離れを歓迎しましょう。

    BEMさん

>如何に車を使わずに生活するかって思ったより簡単

その通りなんですよね。・・・でも一方、ちょっとしたところに出掛けるのにも自動車を使うのが習慣になっている人が沢山いますね。・・・それも、早くからエンジン掛けて暖気運のみならず、冷暖房をつけて車内を”快適”にしてから出かける・・・用足し先でも数分だったらエンジンを切らない・・・と言うお馬鹿さんが結構います。そんな事してるからひ弱になってしまうのでしょう。

>地方などは部分的に無料化にして欲しい

そのお気持もわからないでもないですが、現在は田舎ほど道路の恩恵を受けていると思います。高速料金が利権構造を産んで来たのも事実ですが、それは道路特定財源等というしょうもない制度があったからで、一般財源に組み込めば他の予算にもまわせるでしょう。


>車中心ではなく、身の丈にあった生活を考えられるようになったのは良いこと

そうですね。はじめ、若者の車離れを聞いた時は、意外でした。・・・嬉しい誤算です。そのうち「車にお金を掛ける程の馬鹿で無し・・・」という価値観を持つ人が増えればいいですね。現在自動車会社は、若者の車離れに歯止めをかけようと対策を練ってるようですが・・そんな事に引っかからない若者がもっともっと増えて欲しいものです。

 

2009/10/07 (Wed) 17:07

雑草Z

私も運転は嫌いじゃないですが・・。

    guyver1092さん

 おっしゃるように現代の日本は、田舎ほど、自動車が必要だし、田舎ほど自動車の恩恵に預かっている場合が多いですね。

>ドーピングというよりは麻薬という感じがします。(若いころを思い出して)

そうですね。おっしゃるように「麻薬」のほうが感覚的に合ってますね・・・・「麻薬」と「ドーピング」は本来は違う事ですが、同じニュアンスで使っていました。(・・汗・・笑)だから、ここのサイトでは「ドーピング」で統一して書いてました。


>私は時間に余裕があれば3キロ位なら歩きます

ガソリン代もかからないし、体力もついて一石二鳥ですね。・・因みに私はすぐに自転車に頼ってしまいます。・・・私にとっては自転車が麻薬ですね(笑)

>炭素を多く使った製品ほど税率が高くなるように工夫した炭素税等で全ての税金をまかなえばよいと思います。

また、大胆なご意見ですね。環境税みたいなものを重くするのはいいアイディアですが、炭素税に固定化してはいけないと思います。放射能、有機系塩素化合物だとか二酸化炭素よりも遥かに環境に悪い物質は沢山あります。・・二酸化炭素だけに固定すると非常に危険です。
 それから環境税だけで賄うのなら、かなり広く多額を集めなければなりませんね。直接的ではない固定資産や金融商品からもしっかり環境税を割り出して取るべきですね。

2009/10/07 (Wed) 17:33

雑草Z

>政治主導

    maoさん



>現実問題として、車からの脱却は難しいですね・・・。

そうですね。おっしゃるように個人レベルでは、限界もありますね。

>ドーピングしたほうが圧倒的に強いですから、積極的に変える力が必要

そのとおりですね。自動車を持っているほうが有利であるという社会を改めなければなりませんね。だからこその

>政治主導

ですね。

  +++++++    ++++++  +++   ++++

maoさん、お久しぶりのコメント有難う御座いましす。・・・気にかかっておりました。 

2009/10/07 (Wed) 17:52

雑草Z

食料や日用品は、歩いて買い物に行ける範囲のお店ですね。

    団塊おやじの遺言さん



>遠い畑の真ん中に大手の巨大な店が出現し

郊外型の大型スーパー・・・って便利なようで、非常に不便ですね。・・・そのおかげで、おっしゃるように、町の中のお店が潰れ、どこの街でもシャッター街が普通に見られるようになってしまいました・・・非常に寂しい風景です。
 大きな物や高い買い物ならいざ知らず、食料や日用品を車で買い物に出かけなければならないって非常に不便ですし、車を持っていなかったり運転出来ない人は困ってしまいますね。・・・車があるから不便な社会になってしまった・・・と言えますね。

 それに、食料自給率の低い日本で、畑を潰して大型店舗を作る・・・なんて事はやるべきではありませんね。


私や他の皆さんと違った視点でのコメント有難う御座います。・・こう言う視点も大切ですね。

 

2009/10/07 (Wed) 18:29

guyver1092

目的はマイナス経済成長です

>放射能、有機系塩素化合物だとか二酸化炭素よりも遥かに環境に悪い物質は沢山あります。


 槌田氏の毒物税ですね。これもそのとおりとは思いますが、石油は現代文明の動力源なので、これを絞れば全ての毒物も自然と減少すると考えています。そして究極の目的のマイナス経済成長も推進できるのではと考えたわけです。

2009/10/07 (Wed) 19:23

雑草Z

>目的はマイナス経済成長

    guyver1092さん

 素早いレスポンス有難う御座います。

>究極の目的のマイナス経済成長も推進

これであれば、了解です。総論合意ですね。
でもやはり、「炭素税」とすれば抜け道が多くなるでしょう。やはり、「環境税」または、「消費税」・・・と言っても現在の消費税ではなく、資源の消費や環境破壊になる物資の消費に重く掛ける「資源消費税」・・・「環境圧税」・・でもいいかな・・・でもどう決めても「炭素税」のように抜け道や悪用を考える輩はいるでしょうね。

 次の記事で、自動車社会の持続不可能性について論じていますので、またそちらにも脱成長からの観点の素晴らしいご意見期待しています。

2009/10/07 (Wed) 19:38

Anthony

僕の知人で、50メートル先の自販機にタバコを買いにいくのに、自動車を乗る人がいます。(笑)

2009/10/11 (Sun) 23:56

雑草Z

完全に車ドーピングされてますね。

    Anthonyさん

 歩いて1分もかからないでしょうに・・・そのぐらい歩かなければ運動不足にもなりますね。たばこ吸って運動不足・・・不健康ですね。完全に車依存にドーピングされていますね。・・でも私も最近そのくらいの距離も歩かなくて自転車が多いですね・・・自転車依存症かも・・(笑)


それで思い出しましたが、50メートルではありませんが、昔、ほんの1kmくらいの所にたばこ買いに車で出かけて交通事故で亡くなった方の話を聞いたことがあります。

2009/10/12 (Mon) 00:33
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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