2月9日は、「漫画の日」。この日は偉大なる漫画家・手塚治虫先生の命日にあたる、ということで、マンガを主に扱う書店「まんだらけ」が制定したという日なんですって。
せっかくマンガの日なのだから、マンガ家のことをもっと知ってみたい! そこで、当サイトにて4コマ漫画『サチコと神ねこ様』を連載中のマンガ家wako先生に、取材してみました。質問はズバリ “マンガ家に職業病(ついついやっちゃうクセ)はあるの?”
【漫画家の“職業病”ってどんなもの?】
その1. 夕焼けを見ると、トーンの何番を重ねて削るか頭の中で構築する
トーン(スクリーントーン)とは、白黒のマンガ内でカラーや模様を表現するもの。絵のなかで特定の色を表現したい部分に、切り抜いて貼って使います。
さて、きれいな夕焼けを見たら、ふつうの人の場合は「ああ、いい色だな!」って感動したり、「写真に撮ろう」なんて考えたりするところ。でも、マンガ家はちょっと違うらしい。
その美しい色合いを、「トーンでどうやって表現するか」をつい真っ先に考えちゃう! 何種類かのトーンを選び、貼り重ねてから削る……そんな地道な作業の末に生み出されるのが、マンガにおける夕焼けのシーン、なのだそうです。考えただけでも気が遠くなりそう……。
その2. 群衆(渋谷のスクランブル交差点や球場スタジアムなど)を見ると、描きたくねぇーーーってなる
大勢の人数を描く作業は、それはもう気が遠くなる作業とのこと。言われてみれば、全員同じ顔や同じ服にするわけにはいかないし、かといって背景にすぎないからリキを入れて描くわけにもいかない。そんな大変さを、人の多い交差点を渡るたびに思い返してしまうだなんて……心中お察しいたします!
その3. 散歩中も、頭の中で通りすがりの人をデッサン
人が通るたびに思わず、その人の姿を絵にするシミュレーションをしちゃうんですね。こいつはまた大変そうだけど、紙とペンがなくても、デッサンができるっていうのはとってもカッコイイ! ちなみに筆者も試しにやってみたのですが、スグに飽きてしまいました……。
その4. 映画やドラマや小説は、何を観ても読んでも頭の中でコマ割り
ジャンル問わず、ありとあらゆる作品を頭の中でマンガにしちゃう。コマ割り、つまりどうやってシーンを構成するかを考えちゃうんだそうです。ちょっと想像すると楽しそう……だけど、どんな作品でもそうしちゃうってのはちょっと大変なような気もします。うーん、これぞまさに“職業病”!!
その5. 電車に乗ると、正面に座る人の服やスーツのシワをガン見
マンガの中で服を描くとき、ちゃんとリアリティあるシワを描かないとヘンに見えちゃう。というわけで、目に飛び込んできた人の服のシワが気になって仕方なくなるんだそうな。ゆえにガン見……変な人だと思われないように気をつけて!
以上です。ちなみにその1・その2に関しては、実際の紙にペンで描いていた「アナログ時代」のものだそう。パソコン上で原稿を作成する「デジタル」が主流となった今では、ここまでではないそうです。
【マンガを描くって大変なことなんですね】
何を見てもつい、「マンガを描くこと」につなげてしまう、これがマンガ家さんたちの “職業病” なのですね。それほどまでに、マンガ家さんたちは作品1コマ1コマに心血を注いでいるんだなあ、とちょっと違う方面から感動してしまいました。
個人的には5つめの「服のシワをガン見」にうなりました。そういう視点はなかったわ……! これからは作品中の「夕焼け」や「たくさんの人がいる場所」「服のシワ」にも軽く気をつけてマンガを読むことにします。
wako先生、ご協力ありがとうございました!
イラスト:wako
取材・執筆=田端あんじ (c)Pouch
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