よたよた山歩き（仮称）

　
勝山街道(R416)を進み、北島で対岸の県道17へ。
橋を渡ってすぐのところでチョッと寄り道。

タンタン清水(栃原の瓜割清水)

鷲ヶ岳の西麓、永平寺町栃原の県道脇にある。

タンタンとやさしい水音を立てて湧く様子から、こう名付けられたとされる。

決して、この水で担担麺を作ったからではないようだ(笑)　ここで今日使う水を汲んでいく。

勝山市に入り、県道から左手の坂東島・伊知地(いじち)地区へ。
古い集落の細い道を進んでいく。

最初登山口の看板が分からなかったが、地元の方に尋ねて教えてもらう。

1人で鷲ヶ岳に登ると分かると、「物好きだね！？」と呆れられた(笑)

白山神社の鳥居を右手に見ながら進んでいく。


９：０７　鷲ヶ岳登山口駐車場(標高約110m)

駐車スペースは意外と広く、10台ほど停められそう。先行者の車はなかった。

今朝は放射冷却現象で、軒並み真冬並の冷え込み。この辺は氷点下になったようだ。

この方が雪が締まっていて、むしろイイかも。

案内板によると、山頂までは約3㎞。

標準CTは1時間30分だそうだが、途中から雪道になるだろうから、今日の目標CTは2時間30分。

駐車場脇にあった御影石の石標。

鷲ヶ岳は「勝山エコミュージアム」、鷲ヶ岳城跡は「ふるさと元気博物館」に指定されている。

鷲ヶ岳には南北朝期に山城が築かれ、ここに立て篭もったのが
”日本版スリーハンドレッド”の異名を持つ、畑(六郎左衛門)時能(ときよし)
って、勝手に私が呼んでいるだけですが(笑)

南朝方の新田義貞の家臣である畑時能は、北朝方の斯波(足利)高経とここ越前で対峙。
義貞が藤島庄(新田塚)で敗死した後も、鷹栖城(高須山)にて僅か二十七騎三百人で城に立て篭もり、七千余騎と言われる北朝方の攻撃を1年以上防いだとされる。
しかし持久戦となり形勢不利とみるや、手勢十六騎を率いてこの鷲ヶ岳に転進し立て篭もった。

準備を済ませ、登山口へ。最初は林道を歩いていく。

アイゼンを持っていこうかな？とも思ったが、おニューのスパイク長靴をチョイス。

９：１５　鷲ヶ岳登山口(標高約130m)

駐車場から3分ほどで林道と分かれ、登山道となる。
なおこの林道は尾根付近まで続いているようだが、この時期はまだ閉鎖中。

まずは杉林のなだらかな道を登っていく。


一部残雪のある場所もあったが、ほとんど雪は消えていた。


地元の山いい～ん会が作られた道標。

10-1とあるので、1合目という意味なのかな？

登山道は次第に急斜面にとりつき始める。結構キツい。。。


９：３７　10-2(水場)

沢を渡渉する箇所が2合目。水はタンタン清水で汲んできたので、スルー。

乾いているので滑ることはないが、このような路面が崩落しかかった場所もあった。


再び急登になり、つづら折れに登っていく。ヒーヒー


９：５１　馬の蹄跡

登山道脇に大岩があり、この岩に合戦時の名残である馬の蹄跡が残っているらしい。

これかな？　でも馬にしちゃやたらデカいし、跡があるのは岩の垂直面。

恐らく地元の方が、畑時能公を偲んでこじつけたものだろう。

馬の蹄跡のすぐ先には、10-3の道標があった。

まだ1/3も登っていないの？

登山道は比較的整備されているが、中には倒木が完全に道を塞いでいる場所も。


根腐れして立ち枯れした木が、雪で倒れたようだ。


次第に路面に雪が目立つようになってきた。

さすがスパイク長靴。ほとんど滑らない。

１０：１１　林道出合(標高約400m)

ここで小休止。登山開始から56分なので、このペースだと2時間30分は厳しいかも。
近くには水屋の清水や馬屋跡など山城の遺構があるようだが、登りはパス。
下りで時間があれば寄ってみよう。

ここからはしばらく林道を歩いていく。

雪面には少し前に登山者が歩いたと思われるトレースが残っていた。

林道の積雪は約50㎝。


ガブるかなと心配だったが、今朝の氷点下のおかげで意外と締まっていた。

しかし積雪のせいか、10-3から標識を見ていない。もっともヘタに見て、ショックを受けるよりいいかも(笑)

鷲ヶ岳にはこのような巨岩が所々にある。


林道でみかけた、カモシカくんと思しきトレース。

イノシシくんやクマさんより安心だ(笑)

１０：５８　林道終点(標高約540m)


ここからは再び登山道になる。


前方に鷲ヶ岳山頂が見えてきた。

まだあんなに登るんだ。。。

ようやく稜線にでる。

ちょうど鷲の右の羽根の部分にあたる。

木の間からは、霊峰白山も望めるようになった。


稜線沿いにはマンサクが咲き誇っていた。


早春の訪れを告げるマンサク。

一番最初に咲くことから、”まず咲く”⇒”まんずさく”⇒”マンサク”と呼ばれるようになったとも言われる。

ドーピングが切れてきて、だいぶバテてきた。

そんな時は後を振り返り、真っ青な青空に浮かび上がる純白の白山から元気を貰うが、あまり長続きしない（笑）

１１：３０　小ピーク(標高約635m)

ここで2回目の小休止。既に2時間15分が経過。山頂はまだまだ先なので、これで目標の2時間30分は絶望的。

正直、今日はココで引き返そうかとも思ったが、

マンサクと青空から、再び勇気と元気を貰う。

小ピークから先は、ヤセ尾根になる。

この辺りになると積雪はまだ1m近くあった。

南側斜面は雪がどんどん溶けているので、踏み抜いて滑落しない様、北側寄りを歩く。


ヤセ尾根を過ぎると、少し広くなる。


ただ日当りが良いので、雪面が緩み始めており、時折ガブることも。


１２：１３　前峰(標高約710m)

たまらずここでも小休止。もう既に3時間近く経過。

山頂まではまだ300mほどあり、ここからはさらに2度ほどアップダウンを繰り返す。

再び心が折れかけそうになるが、自分を奮い立たせる。

１２：２５　10-9(標高約700m)

やっと9合目か。。。

再びヤセ尾根になり、慎重に歩かざるを得ないため、ペースが上がらない。


このように雪面に亀裂が出始めた箇所も多数。


山頂までの最後の急斜面では、立ち止まりが激増。


ようやく山頂が見えてきた。


１２：５４　鷲ヶ岳山頂(標高769m)

タイムは3時間39分。いくら積雪期とはいえ、標準CTの2倍以上もかかってしまったのは情けない。

山頂には1m以上の積雪があり、説明看板もご覧の通り。


一応こんなことが書かれているようです。

鷲ヶ岳に転戦した畑時能は、ここでも押し寄せる足利勢三千余騎を相手に縦横無尽の活躍をみせるも、肩に流れ矢が刺さり、3日間苦しんだ末、壮絶な最期を遂げたとされる。合掌。

山頂は高須山同様、広場になっており、しかも木々がないので360度のパノラマが楽しめる。

北東方面には白山(2702m)を始め、別山(2399m)や三ノ峰(2128m)も一望。


北側の加越国境には、越前甲(越前大日山1320m)や加賀大日山(1368m)


鷲ヶ岳から尾根続きの北西側には、杓子岳(980m)や浄法寺山(1053m)


勝山市街と九頭竜川の先には、日本百名山の荒島岳(1523m)


南側には銀杏峰(1441m)と部子山(1464m)


文殊山(365m)も少しだけ頭を出していた。


西側には畑時能ゆかりの高須山(438m)も望むことができた。


さぁ、山めしにしようと思ったら、ここでハプニング発生！
今回、水を1L担いできたが、気温が上がったのと3時間半を超える登りだったので水分摂取が増え、既に500mlほど飲んでしまった。
今日の山めしはパスタの予定だったが、この分量だと調理するのにギリギリ。
そうなると下りは水場(10-2)まで水なしとなってしまう。

思慮の末、今回は山めし抜きでコーヒーだけにする。

今日はこの絶景でお腹いっぱいですから。　トホホ・・・

ずっとこの絶景を眺めていたいが、下りも2時間近くかかるので下山する(13:25)


下りのヤセ尾根は一段と怖い。


気温が上がってきたせいか、雪面が緩み始めてきた。


心なしか登りの時より亀裂が大きくなっている気がする。


１３：４５　前峰(標高約710m)


再びヤセ尾根に差し掛かる。


完全にモナカ雪状態で、股付近まで埋まり動けなくなることもしばしば。

この辺りはワカンの方が引っ掛かって抜けられないかも。

１４：００　小ピーク(標高約635m)

ここで小休止。残り少ない水で喉の乾きを癒す。

雪面に大きな穴を開けながら、下っていく。

明日以降に登られる方、スミマセン(笑)

１４：２８　林道終点(標高約540m)

長靴の中に雪が入りまくって、足の指が冷たい。

林道は稜線以上に緩んでおり、歩く度にズボズボと膝まで埋まってしまう。


１４：４７　林道出合(標高約400m)）

ここでも小休止。水屋の清水や馬屋跡に寄る気力もすっかり失せていた。

ようやく雪がなくなってガボらなくなったが、慎重に降りていこう。


１５：１６　馬の蹄跡


この崩落箇所を過ぎれば、水場だ！


１５：２４　10-2(水場)


マグカップを取り出し、ガブガブ飲む。

ふ～　生き返る。

登山口まではもう少しだ。


ようやく駐車場が見えてきた。


１５：４７　鷲ヶ岳登山口(標高約130m)

下りは2時間27分。長靴の中がすっかりビチョビチョだ。

久しぶりの6時間を超えるハイクで、心地良い疲労感。

予想以上のモナカ雪ですっかりバテバテだったが、マンサクや白山も見れて大満足。
今度は雪がない時にも登ってみよう。お腹空いたよ～　ガッツリ食べるぞ！(笑)

鷲ヶ岳(769m)
標高差639m
登り 3時間39分、下り 2時間27分、TOTAL 6時間43分

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