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TikTokの「秘伝のタレ」はAIではなくデザインにあり

knightcolumbia.org

先日書いた「インチキAIに騙されないために」でフィーチャーしたプリンストン大学教授のアーヴィンド・ナラヤナンについて、コロンビア大学のナイト研究所にて「アルゴリズムによる増幅」研究を行っていることを最後に紹介したが、ナイト研究所のブログで既に TikTok について書いている。

昨年は「ソーシャルネットワークの黄昏」話とともに、どこもかしこも TikTok に追従する話が伝えられるが、なぜ TikTok はそれほどまでに成功しているのか?

利用者が見たいものを選び出して表示する AI(アルゴリズム)が素晴らしいからと考える人は多いが、TikTok のアルゴリズムが同業他社より優れているとは言えないし、TikTok のエンジニアが誰も知らないようなブレークスルーを成し遂げたというのはありえない、とナラヤナンは指摘する。

実は TikTok の強みは AI(アルゴリズム)ではなくデザインだ、というのがこの記事の趣旨である。

具体的にそのデザインのポイントとして挙げるのは以下の4点。

  1. 動画を上にスワイプして次の動画に移るのが使いやすく、推薦エンジンのまずさを覆い隠している
  2. (YouTube などショート動画後追い勢と異なり)最初からスマートフォンの縦型フォーマットに適したデザイン
  3. クリエイターのフォロワーの数よりも個々の動画のバイラルの可能性を評価し、動画消費者をクリエイターに変えるクリエイター向けのツールの優秀さと参入障壁の低さ
  4. 安全重視の搾取(exploitation)型レコメンデーションよりも、リスクはあるが見返りも大きい探検(exploration)型レコメンデーションがクリエイターとニッチな視聴者を結びつける

以上を踏まえてナラヤナンは、レコメンデーションシステムは魔法のようにみなされがちだが、TikTok のレコメンデーションシステムは秘密ではなく、デザインが優れているのだと強調している。TikTok のデザインのイノベーションも周知ではあるが、他のアプリがそれを真似するのが難しいのは、それらはもともとは異なるユーザ体験のためにデザインされたアプリであり、ユーザーやクリエイターの好みによってロックオンされてしまうからで、クレイトン・クリステンセン言うところの「イノベーションのジレンマ(イノベーターのジレンマ)」だと分析している。

しかし、「ロングテール」という言葉が真面目な分析で使われるのを久しぶりに目にしたが、TikTok はそれを実現してるとな。

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