「本件バグは重過失とは認められない」との判決に、3割が「不当」、6割が「妥当」と判断---。みずほ証-東証裁判の控訴審判決について聞いたITproの緊急調査で、ITプロフェッショナルの意見は分かれた。

 調査は2013年7月29日から31日にかけて実施した。第一審と同じく東証に約107億円の支払いを命じた2013年7月24日の控訴審判決について聞いたものである(関連記事:「本件バグは重過失とは認められない」---みずほ証-東証判決、あなたはどう見る?)。

 今回の調査は、3日間という短い期間で930人もの方に回答をいただいた。本裁判に関するITプロフェッショナルの関心の高さがうかがえる。回答をいただいた方には、この場を借りて御礼を申し上げたい。

 今回のアンケート調査では、判決について二つの質問を選択式で聞き、さらに自由意見を記入してもらった。まずは選択式の質問の回答をみていこう。

 設問1は、東証の株式売買システムに、ある条件下で注文を取り消せないバグがあったことについてである。控訴審判決では、このバグが容易に発見・回避できたと認定するのは難しいとして「本件バグをもって、東証の重過失を認めることはできない」と判断した。この判断に対して、回答者の過半に当たる58%が「判決は妥当(重過失に当たらない)」と答えた()。特定のバグを重過失と認めることについて慎重な判断を示した高裁の判決に、一定の理解が示された格好だ。

図●控訴審判決に対するITプロフェッショナルへのアンケート結果
図●控訴審判決に対するITプロフェッショナルへのアンケート結果
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 とはいえ、回答者の属性別に、やや傾向に違いがある。この高裁の判断に「不当(重過失に当たる)」との回答は全体の27%だったが、属性別にみるとITベンダーが21%にとどまったのに対し、ユーザー企業(システム子会社を含む)は33%、その他では40%に上った。

 設問2では、誤発注を取り消せないことが発覚してからも、東証が株式売買を停止しなかったことについてである。高裁の判決では、地裁判決と同じく「東証の重過失に当たる」と判断した。サービスを提供するシステムだけでなく、サービス全体の運用体制について厳しい判断を示した格好だ。

 この判断については、回答者の89%が「妥当(重過失に当たる)」と答えた。ITベンダー、ユーザー企業、その他の属性でも、この割合にはほとんど差がなかった。

 第一審判決直後の2009年12月に実施した調査では、同様の質問に「妥当」と答えた割合は約8割だった。不具合が発生したときの対応ルールなど、運用体制の不備に焦点を当てた地裁判決への納得感が高まっていることが示された。