下のリストを見てください。プロジェクトマネジメントの研修で、エンジニアの方に「2つ以上該当する方は挙手をお願いします」と言うと、毎回、ほぼ全員が挙手します。「全部、該当します!」と胸を張る方もよくいらっしゃいます。

・仕様の不整合や勘違い
・誰が承認しているか分からない仕様変更や仕事
・根拠のないスケジュール
・納期が来て始めて,できていないことが分かる
・人に依存。できたりできなかったり
・手戻りが多く,無駄な作業に追われる
・せっかく作っても,違うと言われる
・経験,勘,度胸で仕事しろと言われる
・根性,体力があればよいと言われる
・混乱を楽しんでいる

 これらは、すべてプロジェクトマネジメントの問題です。そしてその大きな原因は、「自己流のプロジェクトマネジメント」にあります。昔は自己流でもうまくいきましたが、近年のようにシステム開発プロジェクトが複雑化・巨大化してくると、もはや自己流ではうまくいきません。

 PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)は、いろいろな経験をもった世界中のプロジェクトマネジャーが、失敗体験・成功体験から得た知見を体系的にまとめた、文字通りの“知識体系”です。この知識体系に沿ってプロジェクトマネジメントを実践しましょう、というのがPMBOKの考え方です。体系的だからこそ、普段行っているプロジェクトマネジメント業務を見直して、足りないところを補強することができます。結果的に、自己流よりもうまくプロジェクトを運営できます。

 プロマネの国際資格PMP(Project Managemet Professional)取得のコツについても説明します。

目次

デファクト・スタンダードになったプロマネ知識体系PMBOK

段階的詳細化、フェーズ、3つの制約・・・PMBOKの主要概念を理解する

[立ち上げプロセス群]プロジェクトは「プロジェクト憲章」の作成から始まる

[計画プロセス群]プロジェクト活動の基盤となるWBSとリスク計画

[計画プロセス群]プロジェクト作業の“設計図”WBSを作成し、アクティビティを定義する

[計画プロセス群]リスクを漏れなく抽出し、対処方法を事前に決める

[計画プロセス群]重要な役割分担の定義、会議などコミュニケーション方法も明確にする

[実行~終結プロセス群]EVMでコストやスケジュールを管理、決められた手順で終結する