【解説】大学生暴行死 交際相手ら2人を強盗致死など罪で起訴

ことし10月、江別市の公園で、当時20歳の男子大学生が暴行を受けて死亡し、少年を含む男女6人が逮捕された事件で、検察は6日、このうち、被害者の交際相手の女子大学生ら2人が、被害者に暴行を加えて現金やクレジットカードなどを奪った上で死亡させたとして強盗致死などの罪で起訴しました。

ことし10月、江別市の公園で、当時20歳の千歳市の男子大学生が暴行を受けて死亡した事件では、少年を含む男女6人が逮捕され、警察は傷害致死や強盗などの疑いで捜査していました。
札幌地方検察庁はこのうち、江別市の大学生で、被害者の交際相手の▼八木原亜麻被告(20)と▼川村葉音被告(20)がことし10月25日から翌26日にかけて被害者に殴る蹴るなどの暴行を加えて現金2000円あまりやクレジットカードの入った財布を奪ったほか、奪ったキャッシュカードの暗証番号を聞き出すなどしたとして強盗致死の罪で起訴しました。
また、2人は江別市内のコンビニエンスストアで被害者のクレジットカードを使いたばこをだまし取ったり、だまし取ろうとしたりした詐欺や詐欺未遂の罪でも起訴されました。
検察は2人の認否を明らかにしていません。
法定刑が傷害致死より重い、強盗致死の罪で起訴したことについて検察は「捜査を遂げた結果、立証が可能で適切だと判断した」と説明しました。
2人は、被害者から奪ったキャッシュカードで現金を引き出した疑いでも逮捕され、川村被告は窃盗の罪で起訴されましたが、八木原被告は不起訴となりました。
理由について検察は明らかにしていません。
一方、2人とともに逮捕された少年らほかの4人については警察が引き続き捜査を進めています。

【担当記者が解説】
2人の被告が強盗致死などの罪で起訴されました。取材にあたっている小柳玲華記者が解説します。

Q1:
2人は傷害致死などの疑いで捜査されていたが、起訴された段階では罪名が変わった。どういうことか。
A1:
今回の事件で検察は、傷害致死より法定刑の重い、強盗致死の罪で2人を起訴しました。
傷害致死の法定刑が3年以上の懲役なのに対し、強盗致死の罪は、法定刑が死刑か無期懲役と定められています。
強盗致死の罪で起訴した理由について、検察は「捜査を遂げた結果、立証が可能で適切だと判断した」と説明しました。
一方、八木原被告については、被害者から奪ったキャッシュカードで現金を引き出したとして逮捕された窃盗の疑いについては不起訴となりました。
理由については明らかにしていません。

Q2:
この事件では被害者を6人で暴行したとされている。なぜ、集団暴行に至ったのか。
A2:
起訴された2人のうち、八木原被告は被害者と同じ釧路市出身で交際関係にありました。
ただ、「交際関係でトラブルがあった」という趣旨の供述をしています。
一方、川村被告は八木原被告と大学は違うものの、同じコンビニエンスストアでアルバイトをしていました。
被害者と八木原被告の交際関係のもつれから、川村被告やつながりのあるほかの4人も被害者の暴行に至ったとみられています。

Q3:
集団暴行から、強盗、詐欺、窃盗まで、事件の詳細はどこまで解明されたのか。
A3:
被害者と八木原被告は江別市内で落ち合ってから被告の自宅で過ごしたあと、現場の公園に向かい、集団暴行に至ったとみられています。
その際の様子は動画で撮影されていました。
そして八木原被告ら2人は、被害者から奪ったクレジットカードを使って、コンビニエンスストアでたばこなどをだまし取ったあと、現場の公園に戻っているということです。
その後、八木原被告を除く、川村被告ら5人が車で札幌市内に向かい、奪ったキャッシュカードでATMから現金12万7000円を引き出しました。
カードとともに奪ったかばんなどは札幌市内の川に捨てていたことが分かっていて、その一部は見つかっています。
これまでの調べで八木原被告は被害者と将来を含めた話で口論になり、「交際関係でトラブルがあった」という趣旨の供述をしています。
これがきっかけとなって、集団暴行に至ったとみられますが、交際をめぐる問題で金品のみならず、命まで奪ってしまった詳しい動機についてははっきりしていない点も多くあります。
明確な動機は今後、裁判員裁判で明らかにされることになります。