ガザ地区では、イスラエル軍がイスラム組織ハマスの拠点になっているなどとして病院への攻撃を相次いで行い、国際社会から非難の声が上がっています。
こうした中、OHCHR=国連人権高等弁務官事務所はイスラエル軍がおととし10月から去年6月にかけて行ったガザ地区の医療施設に対する攻撃について調査し、31日、報告書を公表しました。
それによりますと、この期間に39の病院や医療施設が少なくとも136回攻撃され、医療関係者の死者数は500人以上にのぼるとしています。
このうち、2度の軍事作戦が行われた北部のシファ病院では、イスラエル軍の撤退後に3つの集団墓地が見つかり、患者とみられるものも含めた少なくとも80の遺体が回収されたということです。
報告書では、イスラエル軍による医療施設への攻撃でガザ地区の医療体制が崩壊の瀬戸際に追い込まれていると指摘しています。
その上で病院や医療関係者に対しては、被害を最小限にとどめる予防措置などが必要で「これらの原則を尊重しなければ国際人道法の違反となる」として、状況によってはイスラエル軍の攻撃が戦争犯罪にあたる可能性があるとしています。
また「イスラエルはパレスチナの武装集団が病院を軍事目的に使用していると主張しているがこれを裏付ける十分な情報はこれまで提供されていない」とも指摘しています。
国連 “イスラエルのガザ医療施設への攻撃 戦争犯罪の可能性”
国連はイスラエル軍によるパレスチナのガザ地区の医療施設への攻撃が戦争犯罪にあたる可能性があるとする報告書を公表しました。
イスラエル「国際法に従って活動している」
OHCHR=国連人権高等弁務官事務所が発表した報告書についてジュネーブにあるイスラエルの国際機関代表部は「イスラエルは国際法に従って活動していて、罪のない民間人を標的にすることはない」とSNSに投稿し、イスラエル軍の攻撃は戦争犯罪にあたらないと主張しました。
その上で「民間人を人間の盾として使い、病院をテロに活用しているのはハマスだ」として、イスラム組織ハマスが病院を軍事目的に利用していると批判しました。