韓国ユン大統領の拘束令状 大統領側と捜査機関 攻防続く見通し

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による「非常戒厳」をめぐり、警察などで作る合同捜査本部は裁判所に請求していたユン大統領の拘束令状が認められたと明らかにしました。これに対し、大統領の弁護団は、令状の効力の停止を求める仮処分を申し立てたとしていて、大統領側と捜査機関の間で攻防が続く見通しです。

「非常戒厳」を宣言した韓国のユン・ソンニョル大統領について、警察や政府高官などの捜査を担う「高位公職者犯罪捜査庁」などでつくる合同捜査本部は、内乱などの疑いで、これまで3回にわたり出頭を要請しましたが、ユン大統領は応じませんでした。

これを受けて、合同捜査本部は30日、ユン大統領の拘束令状を裁判所に請求し、31日になって、令状が認められたと明らかにしました。

令状には、大統領が、内乱を首謀した疑いがあると記されているということです。

韓国で現職の大統領に対する拘束令状が認められたのは初めてです。

「高位公職者犯罪捜査庁」の関係者は、令状は1月6日まで有効で、いつ執行するかについては、「今の段階で申し上げることはない」としています。

これに対し、ユン大統領の弁護団は、「高位公職者犯罪捜査庁」に内乱罪を捜査する権限はないと主張して「令状は違法で無効だ」と反発し、令状の効力の停止を求める仮処分を申し立てたとしています。

大統領の拘束をめぐって大統領側と捜査機関の間で攻防が続く見通しです。

ユン大統領の支持者が抗議

ソウルにある大統領公邸前には、朝からユン・ソンニョル大統領を支持する多くの人たちが続々と集まり、通信社の連合ニュースは警察の推計でおよそ3000人に上ったと伝えています。

集まった人たちは「ユン大統領の拘束令状を取り消せ」などと抗議の声を上げ、一部の支持者が道路に横たわるなどして、警備にあたる警察官ともみ合いになる場面もありました。