12月14日の夜、北九州市小倉南区のファストフード店で、塾帰りの中学3年の15歳の女子生徒が刃物で刺されて死亡し、一緒にいた男子生徒が負傷した事件では、近くに住む無職、平原政徳容疑者(43)が男子生徒に対する殺人未遂の疑いで逮捕されました。
これまでの捜査で、容疑者は店に入ってから30秒足らずの間に2人を無言で1回ずつ刺したとみられ、捜査関係者によりますと、容疑者の自宅や車から数十本の刃物が押収されたということです。
このうち、事件に使われたものと特徴の似ているナイフが、現場への行き来に使ったとみられる容疑者の黒い車から押収され、血のついた状態だったことが捜査関係者への取材でわかりました。
ナイフは刃渡りが10センチほどで、男子生徒の証言や傷の状態ともほぼ一致していて、警察が鑑定を進めています。
逮捕から1週間余りがたち、こうした物的証拠の収集が進められ、捜査関係者によりますと、動機について少しずつ供述しているものの、具体的には明らかになっていないということで、警察が解明を進めています。
北九州 中学生殺傷 容疑者の車から血のついたナイフ 凶器か
北九州市のファストフード店で中学生2人が殺傷された事件で、事件に使われたとみられる刃物は刃渡り10センチほどのナイフで容疑者の車から血のついた状態で押収されていたことが捜査関係者への取材でわかりました。逮捕から1週間余りがたち、物的証拠の収集が進められ、動機について少しずつ供述しているということで、警察が解明を進めています。
防犯カメラに黄色いサンダル履く容疑者
NHKが入手した平原容疑者の自宅周辺にある店の防犯カメラの画像です。
事件の2日前の12日、黄色いサンダルを履く容疑者の姿が確認できます。
つま先があいていて甲が覆われたかたちの黄色っぽいサンダルという、警察が公表していた特徴に似ています。
この店には、事件の後、警察が話を聞きに訪れました。
店の関係者によりますと、よく買い物に来ていたものの、これまで不審に感じる言動などはなかったということです。
平原容疑者とは
平原容疑者の自宅周辺に住む人などによりますと、容疑者は北九州市小倉南区に実家があり、地元の公立中学校を卒業したということです。
その後、入学した私立高校ではバスケットボール部に所属し、当時を知る同級生によりますと、おとなしい印象だったということです。
不動産の登記簿などによりますと、容疑者は2018年に5キロほど離れた市内のマンションから現在の自宅に移り住み、妻と娘と暮らしていたということです。
近所の人などによりますと、娘は事件の被害者と同じくらいの年代だということで、1年以上前に離婚し、その後は1人で生活していたとみられています。
逮捕時は無職でしたが、この地域では容疑者の実家は土地や複数の建物を持つ資産家として知られているということです。
近くに住む人によりますと、自宅の玄関前でたばこを吸う姿はみられるものの、あいさつを交わすような雰囲気はなかったということです。
2024年に入ってからは大声を出すようなことがひどくなり、5月と10月の2回、近隣の住民から騒音に関する苦情の通報を受けて警察官が対応していました。
容疑者知る人「動機が知りたい」
平原容疑者が通っていた理容店の店主によりますと、容疑者は高校卒業後は派遣の仕事などをしていたということです。
2009年5月に店を訪れたときには容疑者から「あす結婚式を挙げ、子どもも生まれる」と告げられたということです。
容疑者は口かずが少なく寡黙でおとなしい印象だったということで、最後に来店したのは2023年1月だったということです。
その際の印象について店主は「目の焦点が合わないし、落ち着かず違和感を感じました。話しづらい雰囲気でした」と振り返りました。
逮捕されたことについて「とにかく動機が知りたい。昔から来てくれていた子があんな事件を起こして残念です。被害者の親御さんのことを思うとつらいです」と話していました。