イスラエル軍 ガザへの攻撃基準緩和で民間人犠牲許容か 米紙

アメリカの有力紙は、去年10月にイスラエル軍がイスラム組織ハマスとの戦闘を始めた際、パレスチナのガザ地区に向けた攻撃の基準を従来より緩和し、巻き添えとなるおそれがある民間人の犠牲が20人までであれば、攻撃を許可していたと伝えました。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは26日、イスラエル軍の関係者らの話として去年10月にハマスからの大規模な奇襲攻撃を受けて戦闘を始めた際に、軍の指導者らがガザ地区に向けた攻撃の基準を、従来より緩和する指示を出していたと伝えました。

具体的には、部隊の指揮官らに対し、攻撃の巻き添えとなるおそれのある民間人の犠牲が20人までであれば、攻撃を実行する権限を与えていたとしています。

この指示によって、ハマスの一般の戦闘員が親戚や隣人とともに家にいるようなケースでも攻撃できるようになったと指摘しています。

それまでは、民間人の犠牲が10人以上に上るおそれがある場合には、攻撃が許可されることはほとんどなかったということです。

ニューヨーク・タイムズは軍の高官の話として、攻撃の基準が変更されたのはイスラエルが国の存続を脅かされる危機に直面したためだとしています。

イスラエル軍は、国際社会からの批判が高まる中で去年11月以降はこの基準を見直したものの、戦闘が始まる前と比べると緩い基準が許容されているということです。

ガザ地区の保健当局はこれまでにイスラエル軍の攻撃による死者は4万5000人を超え、多くの女性と子どもが犠牲になっていると訴えています。