自衛官の処遇改善へ 政府が基本方針 4年後 給与引き上げの方向

政府は人手不足が深刻な自衛官の処遇改善に向けた関係閣僚会議を開き、駐屯地で暮らし始める新人に給付金を支給することや、4年後に給与を引き上げる方向で見直すことなどを盛り込んだ基本方針をまとめました。

自衛官の人員は昨年度、定員の9割程度にとどまり人手不足が深刻になっていて、政府は20日、総理大臣官邸で処遇改善に向けた関係閣僚会議を開き、今後、取り組む基本方針をまとめました。

それによりますと来年度からは、自衛官に採用され駐屯地や艦艇で暮らし始める新人に6年間で合わせて120万円の給付金を支給するとしています。

そして4年後の令和10年度には、専門家の意見を踏まえて自衛官全体の給与を引き上げる方向で見直すとしています。

また任期制の自衛官への希望者が特に少なくなっていることから、任期を終えた後の進学を支援するため給付金を拡充させます。

さらに退官後の生活への不安を払拭(ふっしょく)するため、関係省庁と連携して再就職の支援をしたり、予備自衛官になる場合は手当を大幅に増額したりするほか、将来的には定年を引き上げることも盛りこんでいます。

政府は来年度予算案に必要な経費を計上し、効果を検証しながら対策を着実に実施していきたいとしています。

中谷防衛大臣は防衛省で記者会見し「石破総理大臣の強力なリーダーシップがあったからこそ、ここまでできたと思う。自衛官の採用に対してプラスになるよう大いにPRしていきたい」と述べました。

その上で「自衛官の給与や手当も含め、定められた金額の範囲内で必要な防衛力の強化を図っていくことが防衛省の役割だ」と述べ、防衛力整備計画で示された、5年間でおよそ43兆円という防衛費の総額の枠内で対応していく考えを強調しました。