今月14日の夜、北九州市小倉南区徳力にあるマクドナルドの店舗で、塾帰りに立ち寄った中学3年の2人が刃物で刺され、このうち中島咲彩さん(15)が死亡しました。
一緒にいた同級生の15歳の男子生徒も、致命傷になりかねない深い傷を負ったということです。
北九州 中学生殺傷 最寄り駅の防犯カメラ 特徴似た人物写らず
北九州市のファストフード店で中学生2人が男に刃物で刺され、女子生徒が殺害された事件で、男が逃走したとみられる方角にある最寄り駅の防犯カメラには、事件の前後に特徴の似た人物の姿が写っていなかったことが捜査関係者への取材でわかりました。
事件直後に主要な道路で行われた緊急配備でも有力な手がかりは得られておらず、警察は周辺の路地裏も含めて捜索し、行方を捜査しています。
男は徒歩で北の方向に逃げたとみられていますが、現場から350メートルほど北側にある最寄りの北九州モノレール徳力公団前駅の複数台の防犯カメラを警察が調べたところ、事件前後の時間帯に特徴の似た人物の姿が写っていなかったことが、捜査関係者への取材で新たにわかりました。
現場の店舗は国道に面していて、近くにバス停もありますが、事件直後に警察が主要な道路などで行った緊急配備では有力な手がかりは得られなかったということです。
警察は周辺の路地裏も含めて捜索し、行方を捜査するとともに、不審者の情報が相次いで寄せられていることから警戒を強めています。
通学先の中学校では保護者説明会
事件を受けて、被害に遭った2人の生徒の通学先の中学校では17日夜、保護者説明会が開かれました。
説明会は全校生徒の保護者を対象に開かれました。学校は17日から授業を再開していますが、出席した保護者によりますと、学校側から
▽スクールカウンセラーを増やし生徒や教員の心のケアを行うことや
▽緊急の措置として、生徒が携帯電話を学校に持ち込むことを認めることなどについて説明があったということです。
出席した1年生の母親は「息子はよくしゃべる子ですが、事件のあとはあまり話さなくなりました。今は外に遊びに行くのも制限しています。学校側の説明に安心しました」と話していました。
また、別の1年生の父親は「不安なので早く犯人が捕まってほしいです。子どもの送り迎えなどできることをしていきます」と話していました。
北九州市 職員約1000人が登下校の時間帯にパトロールへ
中学生2人が刺された事件では、男が刃物を持ったまま逃走したことから、北九州市は、子どもの安全を確保するため、職員およそ1000人が登下校の時間帯にパトロールを行うことを決めました。
これは、18日、北九州市の武内市長が臨時の記者会見を開いて明らかにしました。
市長は「当たり前の日常が奪われたことに対して強い怒りが込み上げます。心からお悔やみとお見舞いを申し上げます」と述べたうえで、市の対応について説明しました。
それによりますと、子どもの安全を確保するため、19日から終業式が行われる12月23日にかけて、市の職員およそ1000人が、登下校の時間帯に通学路などに出て警戒のパトロールを行うということです。
また、子どもが大きなショックを受けた際にあらわれる反応などを一覧にしたリストを作成し、学校や保護者に配布することにしました。
具体的には、寝つきが悪い、腹痛や頭痛がする、食欲がない、などといった反応で、市は、このリストを活用し、必要に応じて市の窓口に相談してほしいとしています。
武内市長は「市民の皆様の安全・安心を守るために、警察と連携して取り組んでいきますが、在宅時も戸締まりを徹底することや、外出時には周囲に十分注意することなど、安全管理を徹底していただきたい」と警戒を呼びかけました。
現場周辺は 近隣住民「もう少し明るく」
女子生徒らが男に刺されたファストフード店は、北九州市の中心部から南に6キロほど離れた、北九州モノレールの徳力公団前駅に近い国道322号線沿いにあります。
周辺には商店や飲食店が建ち並んでいて、NHKの取材班が事件が起きた同じ時間帯の午後8時半ごろ、駅近くの状況を確認したところ、帰宅途中の会社員らが行き交う様子がみられました。
また、店舗に設置された複数の防犯カメラは、国道沿いの方向に向けられている状況が確認できます。
南北にのびる国道の両側には、2300戸余りの集合住宅「徳力団地」や、戸建ての住宅などが建ち並ぶ住宅街が広がっています。
住宅街に入ると、街灯も少なく、夜間は人通りもまばらです。
乗用車1台分の道幅しかない路地もあり、近隣の住民によりますと、高齢者が暮らしている割合が高いということです。
近くに住む80代の女性は「今の時期は寒いので夜間は特に住宅街の人通りが少ないと思います。街灯も少なく、もう少し明るくしてほしい」と話していました。